心身医学
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59 巻 , 1 号
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巻頭言
特集 アスリートと心身医学
  • 本谷 亮
    2019 年 59 巻 1 号 p. 14
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー
  • 荒井 弘和
    2019 年 59 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    2020年に東京でオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるなど, わが国のスポーツは最盛期を迎えている. しかし, その主役であるアスリートについては, 心身医学的な問題を抱えていることも少なくない. そのため, アスリートには心身医学的支援が必要である. わが国では, 日本スポーツ心理学会が認定しているスポーツメンタルトレーニング指導士が活躍している. そこで, 心身医学の専門家とスポーツメンタルトレーニング指導士との緊密で継続的な連携・協働が期待される. そのために, わが国の臨床スポーツ心理学の土台を広げる必要がある. 2020年以降も見据えた, 心身医学とスポーツ心理学の連携・協働が期待される.

  • 武田 大輔
    2019 年 59 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    既存の臨床心理学をスポーツ現場に適用するだけでなく, 心理臨床学の考えを中軸に置く実践者かつ研究者によって, アスリートの心理支援の実践と研究が継続されてきた. それは日本独自の特徴をもった臨床スポーツ心理学として誕生し, 領域横断的な研究および実践を目指す領域である. アスリートが体験している身体は, 心の深層にある内的課題と密接に関係している. 競技に関わる主訴をきっかけに始まる心理相談では, アスリートは自らのパフォーマンスや身体に関することを語る. その語りの変化は彼らのアスリートとして, あるいは全人的な成熟に関連することが示唆されている.

  • 深町 花子
    2019 年 59 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    女性アスリートにおいて, 三主徴をはじめとする心身医学的な問題は山積している. その中でも健常アスリート, 障害を有するアスリートいずれにおいても月経随伴症状がパフォーマンスを阻害していると感じている割合は大変高い. その月経随伴症状へは, 薬物による治療が第一に優先されるが, 薬への抵抗感を示すアスリートも少なくないため, 認知行動療法をはじめとする心理療法が有効である可能性がある. 中でも近年注目されているマインドフルネスは, 広範な身体的および心理的症状に有効であることが指摘されており, 今後の研究が期待される.

  • 栗林 千聡, 武部 匡也, 佐藤 寛
    2019 年 59 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, 競技不安の介入研究を包括的にレビューし, 競技不安に対する介入の有効性を検討すること, 競技不安の介入研究で用いられている媒介要因と調整要因の情報を収集することであった. 論文検索には, PsycINFO, PsycARTICLES, PubMed, SPORTDiscuss, CiNii, 医中誌, NDL-OPACを使用した. 抽出された4,661件を対象に除外基準を適用した結果, 最終的に15件がメタアナリシスの対象となった. メタアナリシスの結果, 競技不安に対する介入は競技不安の低減に一定の効果を示すことが明らかになった. 一方で, すべての研究において競技不安の高い対象者をスクリーニングしていないこと, 介入メカニズムにおいて想定される媒介要因の改善と競技不安の低減の関連性を検討した研究は存在しないことが明らかになった. 今後の課題として, さまざまな領域 (スポーツ心理学や臨床心理学), 研究手法 (質的研究や量的研究) を統合した視点をもち, 選手の競技不安の背景にある要因を丁寧にアセスメントしたうえで, 適切な介入技法を選択していく必要性が述べられた.

  • 金澤 潤一郎, 榎本 恭介, 鈴木 郁弥, 荒井 弘和
    2019 年 59 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    大学生アスリートを対象としてADHD症状と海外で最も研究が進んでいる脳震盪経験との関連について検討した. その結果, 第一にADHD症状が陽性となった大学生アスリートは27.9%であった. 第二にADHD症状がスクリーニング調査によって陽性となった場合, 脳震盪経験が高まることが示された (β=0.25, p<0.05). これらの結果から, スポーツ領域においても脳震盪の予防や対応の観点からコーチやアスリート支援をしている心理士などに対してADHDについての知識の普及が必要となる. さらに大学生アスリートは学生であることから, 脳震盪からの復帰の際には, 競技面と学業面の両側面からの段階的復帰を考慮する必要がある.

原著
  • 伊藤 康宏, 加藤 みわ子, 古井 景, 伊藤 祥輔, 若松 一雅
    2019 年 59 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    多くの人々は, 若くて健康な人の肌の色は, そうではない人と比べて黒っぽいと考えることが普通である. しかしながら, 病気で入院している患者や血液透析を受けている人は肌の色が黒っぽく感じられる. 人は重度の病気になると不安を感じ, 抑うつが高くなるものである. われわれは, 健常な学生ボランティアの皮膚のメラニン度数と抑うつを測定し, 両者の関係を検討した. その結果, 皮膚のメラニン度数と抑うつには相関が認められた. メラニンには黒・褐色のユーメラニンとピンク・黄色のフェオメラニンがある. このうち, フェオメラニンの生成にはグルタチオンなど多量の抗酸化物質が必要である. 抑うつによる生活リズムの乱れは生体の酸化ストレスを誘導し, それに対応するために抗酸化物質が使われる. その結果, フェオメラニンの生成量が減少してユーメラニンの比率が増加し, 皮膚への色素沈着が起こるものと考えている.

症例研究
  • 大崎 園生, 林 吉夫
    2019 年 59 巻 1 号 p. 60-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    児童期に虐待を受けた成人患者は心的外傷後症状に加え対人不信や関係の打ち切り, 他者への攻撃的感情などの人間関係上の問題を抱える. これらは外傷的人間関係の再演となり, さらなる心的外傷後症状を発生させるため, 外傷的人間関係を変化させ肯定的な対人関係を形成・維持するための介入が重要である. 本研究では虐待既往のある成人患者の臨床心理面接症例を検討した. 再体験や解離エピソードおよび希死念慮などの心的外傷後症状が認められ, あわせて外傷的人間関係の再演および自他についての否定的信念が顕著であった. ソクラテス式質問法による内省の促進および患者の外傷的人間関係のケースフォーミュレーションの共有によって, 肯定的な対人関係の形成・維持が可能になり, 心的外傷後症状も緩和されるとともに自他についての否定的信念も変化した. 虐待既往のある成人患者の心理面接において現在の生活における人間関係を扱う意義が示された.

連載 心身医療の伝承―若手治療者へのメッセージ
地方会抄録
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