心身医学
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62 巻, 4 号
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巻頭言
第62回日本心身医学会総会ならびに学術講演会
教育講演
  • 坂田 信裕
    2022 年 62 巻 4 号 p. 296-300
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    高齢化社会の進展や,Society 5.0への移行を見据え,さまざまなロボットの開発や活用検討が進んできている.国などの施策などによる開発支援も進められ,介護領域においても,次第にロボット活用に対する認識が広がりつつある.今回の学会講演では,介護領域でも活用・検討が行われている,「コミュニケーション」が可能なロボットの「存在感」や「存在」について,人との関わりの位置づけなどについて考察を行った.特にコミュニケーションロボットというユニークなユーザーインターフェイスによる存在感は,人の行動変容につながることも指摘されている.生活の中で利用する場合,存在感や存在の位置づけが,重要な要素の1つになると考える.今回,このようなロボットの存在感や存在について触れるとともに,ロボットの展開や活用に関することや,今後の臨床応用の可能性について言及する.

シンポジウム:今,本当にサイコオンコロジー・緩和ケアの臨床現場で求められるもの~そのトピックス
  • 小山 敦子, 大島 彰
    2022 年 62 巻 4 号 p. 301
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
  • 所 昭宏
    2022 年 62 巻 4 号 p. 302-306
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    第3期がん対策推進基本計画で『「精神腫瘍医」とは,がん患者,家族,医療従事者の心に及ぼす影響を熟知し,臨床・実践活動でがんに伴って生じる精神心理的な苦痛の軽減に取り組む精神科医又は心療内科医のことをいう』と明記された.保険診療における「精神症状の緩和を担当する医師」は,心療内科医であっても差し支えないと発出された.

    一方,がん医療,緩和ケアチーム診療において,患者さん,ご家族や医療者から精神心理的なサポートを担当する医師へのニーズは高いが,専門医師の配置が課題である.

    別の調査によると本邦のサイコオンコロジスト(精神腫瘍医)に求められる必須能力としては,①精神保健に関する専門性,②身体状態を診る能力,②コミュニケーション能力が報告されている.

    本稿ではサイコオンコロジスト(精神腫瘍医)に求められる能力としての知識,技能,態度,資格などについて概括し,課題と展望について報告する.

  • 辻 晃仁
    2022 年 62 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    がん診療の進歩は目覚ましく,がんゲノム医療が普及し,Precision Medicineが注目されるようになった.中でも分子標的薬や第4世代の免疫療法である免疫チェックポイント阻害剤などの新規抗がん薬の登場は,がん治療における新時代の幕開けをもたらした.従来であれば有効な治療法がなかった患者さんや,緩和医療を受けていた終末期の患者さんが,がんを克服する事例も増えてきている.

    こういったがん治療の変化により,がん緩和医療を取り巻く環境も大きく変化した.従来の終末期への対応に加えて,がん薬物療法開始までのイントロダクションとしての役割や治療期のがん薬物療法と緩和医療の併用などへの対応も新たに求められるようになっている.今後,最新のがん診療をがん治療医と緩和医療医とで共有し,治療期に緩和医療医が併診することで,臨床現場での新世代のがん診療が構築されることが期待される.

  • ―精神症状への対応スキルと医療コミュニケーションスキルについて―
    井上 真一郎
    2022 年 62 巻 4 号 p. 315-320
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    緩和ケア研修会の研修プログラムにおいて,「気持ちのつらさ」「せん妄」「コミュニケーション(一部)」の3セッションは,いずれもe-learningとなっている.本稿では,e-learningだけでは伝えきれない実践的内容について,精神科医の立場から,筆者自身の臨床経験を踏まえて具体的に解説した.まず「気持ちのつらさ」では,うつ病の過剰診断および過少診断に対する警鐘,そして非専門家でも抗うつ薬を使えるようになっておくことの重要性について述べた.また「せん妄」では,2022年に改訂された「がん患者におけるせん妄ガイドライン」について,実臨床における活用ポイントを解説した.最後に「コミュニケーション」では,共感をテーマとして,筆者ががん臨床で特に重視していることについて触れた.

  • 四宮 敏章
    2022 年 62 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は自己決定支援である.患者の思い,希望を大事にすることは当然だが,ご家族,さらには医療者の思いもACPに組み入れる必要がある.なぜなら,彼らは,患者さんが亡くなった後も生きていかなくてはならないからである.また遺族には,心的外傷後成長ができる人であるという視点も,われわれは知らなければならない.

原著
  • 増田 彰則, 山下 協子, 松本 宏明, 平川 忠敏, 胸元 孝夫
    2022 年 62 巻 4 号 p. 326-340
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    インターネットゲーム障害と診断された小・中・高校生107例の背景因子と外来治療経過について検討した.家族背景では,一人親家庭が46例(43.0%)と多く,44例(41.1%)に逆境体験があった.発達障害といじめられた体験をもつ例がそれぞれ38例(35.5%)であった.睡眠では入眠障害が63例(58.9%),昼夜逆転が39例(36.4%)いた.学校生活では不登校45例(42.1%),部分登校32例(29.9%)であった.親から注意されたとき,91例(85.0%)に暴言や暴力がみられ,警察介入が8例,精神科入院が5例いた.通院回数は5回以下が65例(60.7%)と多かった.1年間治療を継続できた41例中,37例(90.2%)で改善かやや改善がみられた.3~5年後の親からみた経過は,調査できた88例中66例(75.0%)が良好であり,22例(25.0%)は変わらないか,さらに悪化していた.子どものインターネットゲーム障害の外来治療では通院が継続しない例が多いが,1年後の経過が改善しているケースは3~5年後の経過がよかった.

連載 心身医療の伝承―若手治療者へのメッセージ
地方会抄録
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