要旨 腎コロボーマ症候群は
PAX2 遺伝子の異常により発症する疾患で,視神経乳頭と腎の発生異常を認める。今回我々は無熱性けいれんを主訴に受診し
PAX2 遺伝子変異を有する腎コロボーマ症候群と診断した11 歳男児例を経験した。症例は新生児期より先天性眼振・右外斜視・視神経コロボーマとして眼科で経過観察され,家族歴に腎疾患(検尿異常,腎機能障害)を認めた。11 歳に学校検尿で初めて蛋白尿を指摘された。睡眠中に呼吸抑制を伴う無熱性の全身硬直性けいれんを認め,当院に救急搬送された。受診時に尿潜血1+蛋白2+と腎機能障害を認めた。超音波検査で腎実質のエコー輝度の上昇を認め,腎病理検査で巣状糸球体硬化症の所見がみられた。その後無熱性けいれんを繰り返し脳波異常もみられたため局在関連てんかんと診断し,抗てんかん薬が投与された。
PAX2 遺伝子解析ではエクソン2 にc.58_64dup のヘテロ接合体変異を認めた。その後も腎機能障害は徐々に進行しており今後も慎重な経過観察が必要である。
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