夜尿症 (nocturnal enuresis: NE)は自尊心の低下や生活の質の低下 (Quality of Life: QOL)をきたすことが知られている。しかし,学校生活を含めた社会的影響は充分理解されていない。そのため,「社会的機能」と「学校の機能」の下位尺度を有するPedsQL を用いて非単一症候性NE (non-monosymptomatic nocturnal enuresis: NMNE) のQOL を調査した。
[方法]242 例のNE 患児と保護者からPedsQL を回収した。NMNE と単一症候性NE (monosymptomatic nocturnal enuresis: MNE)の比較に加え,本人評価と保護者代理評価,高頻度NE と低頻度NE の違いも検討した。
[結果]本人評価の総合得点(p=0.020),「身体的機能」(p=0.047),「社会的機能」(p=0.024),「学校の機能」(p=0.028)はMNE よりNMNE で有意に低下していた。しかし,保護者代理評価では差がなかった。「感情の機能」は本人評価より保護者代理評価で有意に得点が低下していた(p=0.025)。NE 頻度の差は本人,保護者代理評価共に差がなかった。
[結論]NMNE の学校,社会的QOL の低下が保護者に見過ごされている可能性があり,地域や学校を巻き込んだ支援が必要である。
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