日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
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総説
  • 坂井 清英
    31 巻 (2018) 1 号 p. 1-11
    公開日: 2018/04/15
    [早期公開] 公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー

    小児先天性腎尿路異常 (CAKUT: congenital anomalies of the kidney and urinary tract) は,小児期から若年層の末期腎不全の原因疾患としておよそ1/3 を占めるというエビデンスが示されていることから,できるだけ早く発見して,治療を要する症例に対しては可及的早期に介入していくことが望まれる。超音波検査 (US: ultrasonography) は,医療施設においては時と場合を選ばずに容易に低侵襲で施行できる検査であり,胎児期からのスクリーニングも可能で,新生児・乳児にも安全に行うことができる。さらには出生後の診断の確定や,CAKUT 治療中の経過観察やアウトカムの評価のためにも主役となる検査方法である。また,2016 年に日本小児泌尿器科学会より小児先天性水腎症 (腎盂尿管移行部通過障害) と膀胱尿管逆流 (VUR: vesicoureteral reflux) の診療手引きが発表された。その内容も含めてUS の役割の観点から解説する。

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  • 三浦 健一郎, 服部 元史
    31 巻 (2018) 1 号 p. 12-20
    公開日: 2018/04/15
    [早期公開] 公開日: 2018/03/22
    ジャーナル フリー

    近年の遺伝子解析技術の進歩,国家的・国際的患者レジストリーの普及により,遺伝性尿細管機能異常症という希少疾患においても,その遺伝学的,臨床的特徴の詳細が明らかにされつつある。例えば,Dent 病,Lowe 症候群では腎石灰化が腎不全の進展に寄与しないこと,Bartter 症候群III 型では変異の重症度と発症年齢が関連すること,Gitelman 症候群では変異の種類と性別がカリウム補充量に関連すること,遠位尿細管性アシドーシスでは乳幼児期発症例において,既知の3 遺伝子すべてが候補遺伝子になることなどが報告された。また,Fanconi症候群ではナトリウム,リンのトランスポーターであるNaPi-IIa やペルオキシソーム酵素が新たな責任分子として同定された。一方,各疾患において原因遺伝子が同定されていない例も多く,水電解質,酸塩基平衡に関わる既知の分子以外に,それらに影響を与える因子の存在が想定される。

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  • 楊 國昌
    31 巻 (2018) 1 号 p. 21-24
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

    特発性ネフローゼは,小児腎臓病領域の主たる治療対象疾患である。過去60 年以上にわたり,特発性ネフローゼの治療の第一選択は合成グルココルチコイド(ステロイド)であるが,その劇的な抗蛋白尿作用の機序は未だ未解明である。我々は,ヒト糸球体にグルココルチコイド受容体が発現し,ステロイドとの結合により核移行することを見出した。さらに,グルココルチコイド不活化酵素がヒト糸球体ポドサイトに発現し,実際に酵素活性を有することも見出した。これらの事実を基に,我々はネフローゼ糸球体に対するステロイドの直接的薬理作用の概念を提唱した。その後,我々はさらにポドサイト内のエネルギーバランスの障害が蛋白尿の病態の根幹に関わること,ステロイドを含む免疫抑制薬が,ポドサイト内のエネルギー代謝パスウェイに作用することを示した。今後は,このエネルギー代謝パスウェイに介入可能な化合物が,ステロイド依存性や抵抗性を救済する新規の創薬研究のシーズになることが期待される。

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原著
  • 櫻谷 浩志, 掛川 大輔, 櫻井 俊輔, 平野 大志, 藤永 周一郎
    31 巻 (2018) 1 号 p. 25-29
    公開日: 2018/04/15
    [早期公開] 公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー

    免疫抑制薬内服中の難治性ネフローゼ症候群 (nephrotic syndrome: NS) 患児が有熱性感染症に罹患した際,重症化やNS 再発に至ることがある。そこで,免疫抑制薬使用中に37.5 度以上の発熱で当院受診したNS 患児83 名 (計203 回) における再発および入院の危険因子について後方視的に検討した。NS 再発に至ったのは7.4% (15 回) で,再発群は非再発群と比較しmizoribine (MZR) 使用率とinfluenza (Flu) 罹患率が有意に高くmycophenolate mofetil (MMF) 使用率が有意に低かった。また入院例は7.4% (15 回) で,うち集中管理を要した重症2 例はFlu 感染 (ワクチン未接種) だった。入院群は非入院群と比較しMMF 使用率が有意に高く,年齢・cyclosporine A (CsA) 使用率が有意に低かったが,多変量解析では低年齢のみが独立危険因子だった。再発予防の観点からは高用量MZR よりMMF が優れている可能性がある。一方,入院の観点からは低年齢でのMMF 導入は入院のリスクを高める可能性がありCsA を優先すべきと考えられた。Flu は重症化や再発の危険因子となりうるため積極的な予防接種が必要である。

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  • 菅原 典子, 山村 菜絵子, 高橋 安佳里, 田澤 星一, 久保田 由紀, 小澤 恭子, 浅田 洋司, 田中 佳子, 永野 千代子
    31 巻 (2018) 1 号 p. 30-36
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

    マイコプラズマ肺炎を疑われ,小児における用法・用量の範囲内のトスフロキサシン(tosufloxacin: TFLX)を内服中に血清クレアチニン(creatinine: Cr)値上昇を来した7 例(4~13 歳)の臨床経過を検討した。4~7 回の内服後に血清Cr 値上昇に気づき,内服中止にて回復傾向を認めた。4 例が急性腎障害の診断基準を満たした。4 例で腹部症状を合併したが,内服中止2 日以内に症状は消失した。1 例は腹痛時にコンピューター断層撮影法での小腸壁の肥厚と磁気共鳴画像での腹水貯留を呈した。既報においても腹部症状を合併する例が多いが,その機序や血清Cr 値上昇との関連は不明である。

    TFLX による血清Cr 値上昇はcast nephropathy がその成因と想定されており,既報では小児における用法・用量を逸脱した内服が行われていたが,本検討の7 例は規定の範囲内での内服にも関わらず血清Cr 値上昇を来した。今後血清Cr 値上昇や腹部症状の発症機序が明らかとなり,より有効かつ安全にTFLX が使用されることが期待される。

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症例報告
  • 松橋 徹郞, 熊谷 直憲, 中山 真紀子, 島 彦仁, 梅木 郁美, 菅野 潤子, 呉 繁夫
    31 巻 (2018) 1 号 p. 37-43
    公開日: 2018/04/15
    [早期公開] 公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー

    頻回のステロイドパルス療法が奏功した膜性増殖性糸球体腎炎様の組織像であるISKDC 分類VI 型を呈した紫斑病性腎炎の1 例を経験した。12 歳男児,紫斑病性腎炎の発症時ネフローゼ症候群の合併と病理組織学的に膜性増殖性糸球体腎炎様像を呈しており予後不良と考えられた。多剤併用療法に加えステロイドパルス療法を3クール施行後さらに2 クール行ったところ,不完全寛解まで改善が認められたため外来治療とした。蛋白尿も血尿も軽快していったためステロイドを漸減中止しまた他剤も中止したが,腎炎の再燃は認められていない。中止前の腎生検組織ではISKDC 分類II 型と軽快が認められていた。ネフローゼ症候群の合併や膜性増殖性糸球体腎炎様像を呈した紫斑病性腎炎症は腎予後が不良とされ確立した治療法は存在しないが,頻回のステロイドパルス療法は有効である可能性が示唆された。

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  • 岩城 拓磨, 若林 誉幸, 井上 杏海, 入江 加奈子, 福家 典子, 近藤 健夫, 小西 行彦, 岡田 仁, 日下 隆, 森貞 直哉, 飯 ...
    31 巻 (2018) 1 号 p. 44-50
    公開日: 2018/04/15
    [早期公開] 公開日: 2018/03/22
    ジャーナル フリー

    Branchio-oto-renal (BOR) 症候群は鰓原性器官の形態異常,難聴,腎尿路異常を3 主徴とする症候群であり,EYA1 の異常が病因の一つとされている。EYA1 に新規の変異を認め,脳海綿状血管腫 (cerebral cavernous malformation: CCM) を合併したBOR 症候群を経験した。症例は1 歳10 か月の女児。出生時に両側側頸瘻,両側の難聴,両側の水腎・水尿管症を認めたためBOR 症候群と診断した。また母親は耳前瘻孔と難聴を認めていた。突然の無熱性強直間代性痙攣を発症し,MRI にて右頭頂葉にCCM を認め,遺伝子解析にてEYA1 のexon 13 に新規の変異をヘテロで認めた。EYA1 の変異を伴うBOR症候群にCCM を合併する症例は今までに報告がないため報告する。

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  • 金井 宏明, 沢登 恵美, 小林 杏奈, 後藤 美和, 東田 耕輔, 杉田 完爾
    31 巻 (2018) 1 号 p. 51-56
    公開日: 2018/04/15
    [早期公開] 公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー

    症例は7 歳女児。IgM 腎症に対しプレドニゾロン(prednisolone: PSL)内服を開始したが,尿蛋白は増加傾向となり治療前尿蛋白Cr 比1.1 g/gCr から最大4.3 g/gCr まで増悪した。血清Alb も低下したため,PSL を漸減し計8 週間の治療後に無効と判断し中止した。PSL 中止後,速やかに治療前の尿蛋白量まで回復したためPSLによる薬剤性腎障害と診断した。薬剤リンパ球刺激試験では使用したプレドニン錠® で陽性だったがメドロール錠® では陰性であり,プレドニン錠® のみに含まれる添加物であるヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose: HPC)で陽性の結果を得たためHPC が原因物質と判断した。PSL 開始後に尿蛋白が増加した場合には,治療無効と判断する前にステロイド剤自体の薬剤性腎障害も考慮するべきで,他の薬剤選択のためにも添加物の評価も行う必要がある。今回原因物質と同定したHPC は多くの薬剤に含まれているため留意すべき添加物である。

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  • 久富 隆太郎, 藤丸 季可, 上田 博章, 原 純一
    31 巻 (2018) 1 号 p. 57-62
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

    Bevacizumab (BV) はvascular endothelial growth factor (VEGF)に対するモノクローナル抗体で,血管新生を阻害して抗腫瘍効果を発揮する分子標的薬である。代表的な有害事象に蛋白尿を認めるが,腎病理学的に検討されることは少ない。今回,視神経膠腫に対するBV 単剤治療中に蛋白尿が出現し,糸球体内皮細胞障害と巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis: FSGS)を認めた。BV 関連の腎組織所見は血栓性微小血管症が多くFSGS の報告は稀である。近年,健全な濾過障壁の維持にはVEGF を産生分泌するポドサイトと供給される内皮細胞のクロストーク機構が重要とされている。本症例は,BV による内皮細胞障害から係蹄構造が崩壊し,ポドサイト-内皮細胞VEGF 軸であるクロストーク機構が破綻してポドサイト障害を示すFSGS を認めた可能性が示唆された。

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  • 大倉 隆宏, 清水 順也, 中原 康雄, 片山 修一, 真子 絢子, 久保 俊英, 後藤 隆文, 青山 興司
    31 巻 (2018) 1 号 p. 63-68
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

    症例は13 歳女児。胆汁性肝硬変に対する経過観察中に肉眼的血尿を発症した。血液検査上,低補体血症とASO,ASK の高値を認め,溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (acute poststreptococcal glomerulonephritis: APSGN)を疑ったが,発症6 か月前の学校検尿で尿潜血を指摘されており,既存の腎疾患の潜在も強く疑われ経皮的腎生検を施行した。Nephritis-associated plasmin receptor (NAPlr) 染色,plasmin 活性がともに陽性であり,APSGN と確定診断したが,電顕所見では内皮下,メサンギウム領域に高密度電子沈着物を認め,またmesangial interposition に伴う係蹄基底膜の二重化を呈しており,肝性糸球体硬化症の存在が示唆された。蛋白尿消失約1 年後の尿検査でも顕微鏡的血尿が持続しており,臨床経過・腎組織所見の両者から,肝性糸球体硬化症を発症しているものと考えた。肝硬変の児では急性腎疾患の臨床所見が修飾される可能性があり,慎重な鑑別診断が必要である。

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