日本小児腎臓病学会雑誌
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最新号
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総説
  • 清水 正樹
    原稿種別: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    浮腫とは細胞外液が血管外の間質に生理的な代償能を超えて過剰に貯留した状態である.その原因は多岐にわたり,①毛細血管内の静水圧上昇に起因するもの,②毛細血管内の膠質浸透圧低下に起因するもの,③血管透過性の亢進に起因するもの,④リンパ系およびリンパ系が流入する静脈系の還流障害に起因するものが挙げられる.浮腫の診察に際しては,浮腫の性状と分布を知ることが重要であり,圧痕があるか,ないか,圧痕の回復時間の遅い slow edema か,早い fast edema か,全身性浮腫なのか,局所性浮腫なのかをしっかり評価する必要がある.浮腫の病態は個々の症例ごとに,また病期により変化する.したがって浮腫に対しては,診察,検査所見の評価に基づいた適切な対応が求められる.

  • 漆原 真樹
    原稿種別: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/03/09
    ジャーナル フリー

    腎臓における局所のレニン・アンジオテンシン系(renin-angiotensin 系:RA 系)は全身性の RA 系から独立して制御されており,血圧や体液量の調節だけでなく腎障害の病態機序に関与している.近年,尿中に排泄された RA 系の基質であるアンジオテンシノーゲンが腎臓内の RA 系活性化を反映する優れた指標であることが明らかとなりバイオマーカーとして利用されている.その臨床応用は高血圧以外に,小児では慢性腎炎患者の疾患活動性,さらには腎臓の発生や発達においても腎臓内のRA 系活性化を評価するために用いられている.さらにアンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme: ACE)のホモログである ACE2 や(プロ)レニン受容体による新たな経路の生理学的機序も見出されており,今後もさらに多くの病態機序の解明や疾患へのアプローチが期待できる.

  • 元吉 八重子
    原稿種別: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/03/23
    ジャーナル フリー

    小児の高血圧は無症状で,健診などにより偶然発見される場合が多い.しかし,倦怠感,嘔気といった小児の日常診療でよく遭遇する症状が高血圧による可能性もあるため,積極的に血圧測定を行うことが奨められる.体格に合わせたマンシェットを用いて測定し,高血圧が認められた場合には安静時に 3 回測定する.性別,年齢,身長によって血圧の基準が異なることに注意が必要である.低年齢の特に 2 歳以下でかつ重症高血圧の場合には,二次性高血圧の可能性を考える.二次性高血圧は腎実質性高血圧が多くを占めるため,まず腎疾患を鑑別する.本態性高血圧においては,成人本態性高血圧への移行を防ぐために積極的に非薬物療法を開始する.二次性高血圧においては,原因となる疾患の診断,治療を行う.本態性,二次性いずれの高血圧においても血圧を基準値以下に下げ,高血圧に伴う症状を改善し,標的臓器障害を予防することが必要である.

  • 川崎 幸彦
    原稿種別: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/03/29
    ジャーナル フリー

    IgA 腎症は,小児期に発症しやすい代表的な慢性糸球体腎炎である.近年,その発症に IgA1 ヒンジ部の糖鎖不全が関与していることが判明した.これらの遺伝的背景がある中,抗原刺激により活性化された T 細胞や B 細胞により産生された IgA1 糖鎖不全免疫複合体が糸球体に沈着し,補体,マクロファージやメサンギウム細胞の活性化を介して炎症が惹起され,糸球体障害が進展する.自然経過あるいは治療によって尿所見が正常化するものから,蛋白尿の悪化,腎機能の低下を来して小児期に末期腎不全に至るものまで予後はさまざまであり,その重症度に応じた治療法が選択される.腎障害の進展を防ぐためには,これらの免疫応答を制御することが重要であり,重症例に対してはステロイド薬,免疫抑制薬やアンジオテンシン酵素合成阻害薬を併用した多剤併用療法が施行され,その結果,腎死例は減少し腎炎の長期予後の改善が認められている.今後は,小児が成長発達期であることをより考慮した,さらに副作用を最小限に抑えた治療法の開発が望まれる.

原著
  • 桐澤 崇宏, 上原 央久, 河口 亜津彩, 荒木 義則, 西中 一幸
    原稿種別: 原著
    2021 年 34 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/02/22
    ジャーナル フリー

    多囊胞性異形成腎(multicystic dysplastic kidney: MCDK) 患児に対する排尿時膀胱尿道造影(voiding cystourethrography: VCUG)の施行意義を後方視的に検討した.当院,国立病院機構北海道医療センターの 2 施設の MCDK 患児 36 例を対象にした.Vesicoureteral reflux(VUR) は 6 例(16.7%)に認めた.6 例中 5 例が grade III であり 1 例が grade I であった.全例に予防的抗菌薬投与を行ったが,grade III の症例のうち 2 例で有熱性尿路感染症を発症した.VUR が改善しなかった 1 例を追加した 3 例にデフラックス注入療法を施行し VUR は消失した.健側腎エコーの異常所見と VUR 合併有無について検討したが,相関は得られなかった.MCDK は機能的単腎であることから,逆流性腎症に伴う将来的な腎機能低下の進行を防ぐため,MCDK 患児に VCUG を施行する意義はあると考えられた.

症例報告
  • 伊良部 仁, 金子 修也, 井上 なつみ, 水田 麻雄, 上野 和之, 清水 正樹, 谷内江 昭宏
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/01/19
    ジャーナル フリー

    小児で稀に経験される抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody: ANCA)関連血管炎では,腎機能低下が急速に進行するため早期寛解導入が望まれる.今回 ANCA 関連腎炎に対してリツキシマブが早期寛解導入に有効であった小児例を経験したため報告する.症例は 12 歳女児.中学校入学時の学校検尿で血尿,蛋白尿を指摘され紹介医を受診し,腎機能低下と MPO-ANCA 高値を認め,当科に紹介となった.腎外病変を認めず,腎生検では半月体形成性糸球体腎炎の所見だった.ANCA 関連腎炎と診断しステロイドパルス療法およびリツキシマブによる寛解導入療法,プレドニゾロンとアザチオプリンによる維持療法を行い,プレドニゾロン中止後も合併症・再燃なく経過している.ANCA 関連腎炎の早期寛解導入にリツキシマブは有用と考えられた.

  • 武市 実奈, 黒川 麻里, 塩穴 真一, 郭 義胤
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー

    A 群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染を契機として,溶連菌感染後急性糸球体腎炎(post-streptococcal acute glomerulonephritis: PSAGN),IgA 血管炎 (IgA vasculitis: IgAV),紫斑病性腎炎(Henoch-Schönlein purpura nephritis: HSPN)が発症することはよく知られているが,各疾患が合併した報告は多くない.今回,溶連菌感染後に IgAV を発症し,急性腎炎症候群とその後さらにネフローゼ症候群を引き続き合併した症例を経験した.腎生検ではメサンギウム増殖に管内増殖や半月体形成を伴う急性期病変と IgA,C3 の沈着,上皮下の hump が認められ,PSAGN と HSPN との両疾患の所見に一致していた.溶連菌感染後に PSAGN と HSPN を合併した過去の報告では,これらの合併症はほぼ同時に発症していた.しかし,今回の症例ではこれらの合併症は順次発症しており,既報とは異なる病態生理が推測された.HSPN はステロイドパルス,カクテル療法により血尿蛋白尿が消失し,再生検で組織学的にも改善していた.

  • 杉浦 紀香, 多代 篤史, 藤浦 直子, 山森 一輝, 宮地 悠江, 柴田 元博
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    Bartter 症候群(BS)における急性腎障害(AKI)の報告は少ない.今回我々は AKI を来した III 型 BS の 1 例を経験した.1 歳 1 か月の女児,生後 9 か月時に偶発的に低 Na,低 K 血症,代謝性アルカローシス,成長障害を指摘され,尿細管機能異常症を疑われカリウム製剤とアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)の投与が行われていた.感冒時に低 K 血症等の電解質異常悪化のため入院を繰り返し,1 歳 1 か月時にはインフルエンザ感染に伴う経口摂取不良を契機に AKI と高 K 血症を来して入院し補液と電解質補正で改善した.AKI は腎前性と虚血性急性尿細管壊死によるものと判断した.その後の遺伝子検査で III 型 BS と確定診断された.従来 III 型 BS は古典型とされ新生児型と比較し軽症とされてきたが,BS は体液量減少のリスクが高く,感染症による経口摂取不良を来しやすい乳幼児期や ACE-I 投与中の患者では AKI に注意を要する.

  • 奥村 保子, 竹下 直樹, 濱田 裕之, 西田 眞佐志, 木﨑 善郎
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/03/09
    ジャーナル フリー

    リツキシマブ(RTX)投与後に水痘ワクチン株による汎発性帯状疱疹を発症した頻回再発型ネフローゼ症候群(FRNS)の 1 例を経験した.水痘の罹患歴はなく,1 歳時に水痘ワクチンを 2 回接種していた.3 歳 4 か月時にネフローゼ症候群(NS)を発症した.ステロイド感受性であったが,減量にて再発を繰り返し,FRNS の治療としてシクロスポリンを導入した.その後も再発を繰り返し,5 歳 2 か月時にステロイドパルス療法と RTX の投与を行った.その後寛解し,ステロイド減量中の 5 歳 6 か月時に汎発性帯状疱疹を発症したが,静注用人免疫グロブリン製剤とアシクロビルの点滴静注により重症化することなく完治した.水痘の罹患歴がないため,水痘ワクチン株による帯状疱疹を疑い,ウィルス同定試験にてワクチン株と同定した.水痘ワクチンの定期接種化に伴い,RTX 投与後や複数の免疫抑制剤を使用している NS の患児では,水痘の罹患歴がなくても水痘ワクチン株の再活性化による帯状疱疹を発症する可能性があり,早期の適切な診断と治療が大切であると考える.

  • 森本 優一, 大島 理奈, 塩谷 拓嗣, 宮崎 紘平, 岡田 満, 杉本 圭相
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/03/15
    ジャーナル フリー

    先天性水腎症をはじめとする泌尿生殖器の先天異常は,胎児超音波検査で診断される最も一般的な形態異常であるが,囊胞性腎疾患との鑑別に困難な例も少なくない.症例は 2 歳男児.胎児期に水腎症を指摘されていたが,囊胞性腎疾患の家族歴があったため,同疾患として経過観察されていたが,再評価を目的に当院に紹介となった.精査の結果,左腎盂尿管移行部通過障害,および高度の腎盂拡張を認め,高度水腎症と診断した.MAG3 シンチグラムにて,分腎機能<40%,尿ドレナージ不良であり,1 歳時に腎盂形成術を施行した.術後 1 年を経過し,左腎盂拡大は残存しているが,尿,血液検査を含め,腎機能は正常範囲である.本例では,家族歴の影響や診断が未確定だったことから,遺伝性疾患に対する過分な不安を生じさせる結果となった.鑑別が困難な症例では,判定時期を含め慎重な評価と診断が必要であると思われる.

  • 髙橋 哲朗, 柴田 映道, 丸山 篤志, 中﨑 寿隆, 津久井 瑞江, 小林 靖明, 嶋田 博之, 粟津 緑
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    [早期公開] 公開日: 2021/03/19
    ジャーナル フリー

    重症 β サラセミアの16 歳女性.輸血後鉄過剰症に対し 13 歳時より経口鉄キレート剤 deferasirox (Def) を開始した.5 か月後に低K,低P,低尿酸血症を認め,P を補充した.14 歳時に同種末梢血幹細胞移植を行った.16 歳時に胃腸炎症状に伴い著明な低K,低P,低尿酸血症,腎性糖尿,低分子蛋白尿を認めDef による Fanconi 症候群と診断し,P に加えてK の補充を開始した.Def を減量したが,4 か月後に代謝性アシドーシスも出現し,Def を中止した. 1 か月後に各種溶質の尿への漏出は減少したがK の漏出は遷延し,中止から約 1 年間にわたりK の補充を要した.治療経過からK 漏出は近位尿細管における Na 再吸収障害に伴う遠位尿細管での Na-K 交換亢進が原因と考えた.Def による Fanconi 症候群は近年報告されているが,本邦での論文報告はなく,大量の K 漏出が遷延した Fanconi 症候群は国外からも報告がない.

第55回日本小児腎臓病学会学術集会 森田賞 受賞論文紹介
第55回日本小児腎臓病学会学術集会 優秀演題奨励賞 受賞演題紹介
二次抄録
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