日本形成外科学会会誌
Online ISSN : 2758-271X
Print ISSN : 0389-4703
最新号
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追悼
原著
  • 山下 雄太郎, 安倍 吉郎, 長坂 信司, 伊澤 勝哉, 水口 誠人, 中川 舞, 生島 健太, 橋本 一郎
    2025 年45 巻10 号 p. 467-475
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/11/05
    ジャーナル 認証あり

     はじめに:EPIFIX®は2022年より保険適用となったが,その最適な使用方法はいまだ明確ではない。本研究の目的は,当施設における本製品の使用経験を通して効果的な使用方法や使用条件について検討することである。
     対象と使用方法:当院の下肢救済・創傷治療センターを受診した患者17例(18病変)に対して入院で本製品を使用した。糖尿病性足潰瘍(diabetic foot ulcer:DFU)で虚血を伴う場合は血行再建後の導入とした。静脈うっ滞性下腿潰瘍(venous leg ulcer:VLU)はすべて圧迫療法を併用した。
     結果:患者の内訳はDFU 15例(16病変),VLU2例(2病変),男性12例,女性5例,平均年齢65.1±8.8歳であった。すべての症例で本製品の使用による合併症は認めなかった。
     DFUではSPPの平均値が50 mmHg以上は10例(66.7%),50 mmHg未満が5例(33.3%)であり,潰瘍縮小率が50%以上(有効群)は7病変(43.8%),50%未満(非有効群)が9病変(56.2%)であった。またDFUではSPPが50 mmHg以上で有意に有効群が多かった(p=0.034)が,NPWTの併用群と非併用群間で有効性に有意差はなかった(p=0.615)。VLUでは2例の潰瘍縮小率はそれぞれ80%,95%であった。DFU症例で,SPPが50 mmHg以上であったが潰瘍縮小率が低かった2例は,後日に関節と踵骨の骨髄炎が判明した。
     結論:DFUではSPPが50 mmHg以上の症例でEPIFIX®の効果が得られやすかった。SPP 50 mmHg以上のDFUと入院管理したVLUは本製品のよい適応と考える。

  • 宇都宮 佐和子, 峯田 一秀, 髙津 州雄, 安倍 吉郎, 橋本 一郎
    2025 年45 巻10 号 p. 476-481
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/11/05
    ジャーナル 認証あり

     序論:汗孔腫とは,四肢に好発する良性の皮膚付属器腫瘍である。典型例は境界明瞭な広基性から有茎性の紅色結節とされるが,肉眼像が多彩であるため,術前診断に苦慮することが多い。
     方法:今回われわれは,汗孔腫30例35部位をAckermanらが分類した4つの病理組織型と混在型に分類し,組織型別に術前鑑別診断から求めた術前正診率などを検討した。
     結果:Pinkus型が21/35例(60%)と多数を占め,術前正診率は38.1%(8/21例)であり,52.4%(11/21例)で軟性線維腫を鑑別診断にあげた。Smith-Coburn型の術前正診率は40%(2/5例)であり,60%(3/5例)はボーエン病などを鑑別にあげた。Winkelmann-McLeod型(1例)とMayer型(2例)における術前正診率は0%であった。多発症例(1症例6部位)においては5部位で正診され,全体の術前正診率は28.6%であった。
     考察:汗孔腫の術前診断はほかの良性腫瘍と比較してむずかしいといえる。汗孔腫は汗孔癌の母地となり,切除しておくことが望ましい。さらなる症例の蓄積を行い,術前正診率の向上につなげていきたいと考える。

症例報告
二次出版
  • 石田 勝大, 額見 理生, 藤田 すみれ, 平山 晴之, 中山 栞奈, 油布 一貴, 長岡 真人, 大村 和弘, 宮脇 剛司
    2025 年45 巻10 号 p. 497-504
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/11/05
    ジャーナル 認証あり

     序論:中顔面領域の腫瘍切除および再建手術では,顔面切開アプローチは依然として課題である。今回,中顔面腫瘍に対する腫瘍根治性,整容と機能性を両立した新たな再建術式として,内視鏡補助下に顔面皮膚切開を最小限に抑えた上顎骨切除および腓骨皮弁による再建法を報告する。
     方法:2023年2月~2024年6月に本術式を6例に施行した。口腔と鼻腔よりアプローチし,補助切開として下眼瞼経結膜切開を3例に行った。上顎全摘術3例,上顎亜全摘術3例を施行し,腓骨の配置は全例でStacked fibula法を用いた。鼻腔内の再建は腓骨皮弁と鼻内粘膜弁で行い,口腔内は腓骨皮弁を用いて口腔と鼻腔を遮断した。
     結果:皮弁は全例生着した。最終的に顔面形態は維持され,患者の整容的満足度は高く,術後合併症も限定的であった。
     考察・結論:本術式は従来法を補完する有用な選択肢であり,将来的にはロボット支援手術にも応用可能と考えられる。

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