生理心理学と精神生理学
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 岡市 広成
    2003 年 21 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
  • 一谷 幸男, 吉原 亨, 林 和子
    2003 年 21 巻 1 号 p. 5-17
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本稿では, ラット・マウスにおける空間認知・空間記憶能力の測定方法として, モリス水迷路学習と放射状迷路学習を紹介し, 次に, 記憶・学習の神経基盤と考えられる長期増強 (LTP) 現象と, それに深い関わりをもつグルタミン酸受容体の分類について述べた.さらに, 空間認知・空間記憶と脳内グルタミン酸受容体の関係について, NMDAグルタミン酸受容体と代謝型グルタミン酸受容体の順に, これらの受容体が果たす役割についての行動薬理学的研究の成果を概観した.最後に, 最近の進歩が著しい, 分子生物学的方法を用いた研究についても紹介した.
  • 杉岡 幸三, 醇 富義, 寺島 俊雄
    2003 年 21 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本稿では, 動物における空間認知のメカニズムおよびそれに関わる脳部位について概説することを目的として, 最初にヒトにおける神経心理学的見地から空間認知の概念, 空間認知障害の分類および脳におけるその責任病巣について説明し, 次にラットから得られた結果を中心に, 海馬が空間認知にどのように関わっているかについて認知地図仮説および作業記憶仮説の主要な2つの仮説を紹介するとともに, 空間認知に関わる他の脳部位についても言及した。また最後に, 胎生期メチルアゾキシメタノール (MAM) 投与によって得られた, 海馬の発生学的形態異常を伴う小頭 (脳) 症ラットの空間認知障害に関する我々の研究を紹介し, 胎生期MAM投与ラットが, 様々な課題下での放射状迷路およびMorris型水迷路事態で顕著な空間認知障害を示すこと, またそれが皮質の発育不全とではなく, 海馬の発生学的形態異常とより強く関係していること, およびこれらの結果が海馬損傷動物で見られる空間認知障害と非常に類似していることを指摘した。
  • 渡辺 茂
    2003 年 21 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    空間認知機能は動物の基本的認知機能であり, 様々な動物で認められる.鳥類大脳後部の内背側部は哺乳類海馬の相同部位であり, 体積研究も損傷研究もこの部位が空間記憶を担うことを示唆する.魚類大脳背側部も空間記憶に関係するが, 海馬の部位はなお明らかでない.哺乳類と比較すると鳥類海馬は空間機能により特化していると思われる.海馬機能の差は相同器官が放散した機能を持つ例といえるかもしれない.
  • 坂田 省吾
    2003 年 21 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    時間は一日の時間単位のサーカディアンリズムシステムによる制御と, 時間知覚として知られている秒から分単位の短い時間の別システムによる制御が使用されている.ここで述べる時間知覚は秒から分範囲の比較的短い時間間隔を弁別したり産出したりするのを含む処理である.動物における時間弁別研究の3つの方法論を紹介する.それは反応潜時分化強化 (DRLL), 間隔二等分課題, ピーク法 (PI) である.また時間知覚の行動特性であるスカラー特性について解説する.最近の研究は短い時間系とサーカディアン系の “内部時計” 下における行動と神経メカニズムに注目している.時間知覚メカニズムの理論モデルとしての情報処理モデルと脳波データから得られた結果より脳部位との関連を対応づけて論じる.
  • 畑 敏道
    2003 年 21 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本稿では, 動物 (特にラット) の時間知覚におけるコリン (ACh) 系とドーパミン (DA) 系の役割について検討した最近の研究を概観する.時間知覚の基盤として, 内的時計・参照記憶・反応決定の3つの機能からなる情報処理モデルが提案され, これらの機能にどの神経伝達物質系が関与しているのかも明らかになってきた.例えばMeckらの多くの研究は, ACh系は記憶部に, DA系 (特にD2サブタイプ) は時計部に作用することを示唆してきた.しかし後の研究では, ACh系の抑制が情報処理モデルで仮定されている閾値の上昇を引き起こすという結果や, D2サブタイプが時計機能を特異的に担っているわけではないことを示す結果も報告されている.これらの研究を紹介した後に, 今後の研究が考慮すべきいくつかの点について指摘する.
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