目的志向的行動は, 行為の継続的なモニターを必要とする.良好な結果をもたらした行為は強化され, ゴールからの逸脱, すなわちエラーに対しては, 行為や方略の修正がなされる.近年, エラー関連の脳内システムが存在することが, エラー関連陰性電位, すなわち, 反応時間課題におけるエラー反応後 (反応ERN), またはエラーフィードバック提示後に誘発される電位成分 (フィードバックERN) から推測されている
本研究では, フィードバックERNの機能を検討する目的で, 反応に伴う報酬/罰価, 予測不確実性, フィードバックの内容, の3要因を操作した被験者内要因の実験を行った.ERN振幅は, エラーフィードバック時, 特に, 予測不確実性が低い時に大きく, この効果は報酬価に応じて観察された.すなわち, フィードバックERN振幅は, 参加者が, 当たると予測してエラーフィードバックを受けたときに最大であった.さらに, フィードバックERN振幅とその次の試行での反応切り替え率との間に, 有意な正の相関が見られた.本研究の結果から, フィードバックERNが, 報酬予期のエラーに基づく反応選択を反映していることが示唆される
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