生理心理学と精神生理学
Online ISSN : 2185-551X
Print ISSN : 0289-2405
ISSN-L : 0289-2405
35 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
評論
  • 藤村 友美
    2017 年 35 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/26
    [早期公開] 公開日: 2018/10/11
    ジャーナル フリー

    本稿では,コミュニケーションにおける表情の社会的機能という観点から,これまでの表情研究から最新の知見までを概観した。表情の心理的起源に関する考えには,内的状態としての感情の発露としてとらえるか,表出者がおかれた社会的文脈に駆動された表出であるととらえるかという立場がある。他者の表情と一致した表情が自動的に生じる表情同調についても,同様に2つの立場からの解釈がある。今日では,表情同調は,他者の感情理解および,信頼性などの社会的文脈における他者との関係性の調整子としての役割を担っていることが明らかになってきた。表情同調の社会的機能を明らかにすることで,コミュニケーションにおけるヒトの表情の進化的起源や生理的基盤を理解する手掛かりとなるだろう。

原著
  • 廣田 昭久, 小川 時洋, 松田 いづみ
    2017 年 35 巻 1 号 p. 15-31
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/26
    [早期公開] 公開日: 2018/10/11
    ジャーナル フリー

    本研究は,暗算課題(MA)と歌唱課題(SONG)時の異なる顔面領域での皮膚電気活動(EDA)と皮膚血流量(SBF)について検討した。MAは集中的な内的注意を必要とし,社会的文脈が弱い課題であると考えられ,SONGは表出行動を伴い,社会的文脈が強いと仮定された。額,頬,鼻のEDA,額と頬のSBF,心拍数と規準化脈波容積を測定した。非観察及び観察条件下で,各生理反応における変化のパターンを,MAとSONGとで比較検討した。結果は,非観察及び観察条件下でMA中の顔面EDA及びSBFの変化を示さなかった。一方,SONGでは,観察者の有無に関わらず額のEDAとSBFの増加が示された。額におけるEDA及びSBFは,社会的文脈の強さを反映する指標であることが示唆された。額におけるEDA及びSBF増加の機能及び意味について生理学的及び精神生理学的に論じた。

  • 河島 三幸, 引間 理恵
    2017 年 35 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/26
    [早期公開] 公開日: 2018/10/11
    ジャーナル フリー

    本研究では,スキンケア時の意識的な自己接触が化粧品使用者の生理および心理に与える影響を検討した。実験では自己接触を化粧水の塗布後に手で顔を押さえる動作とし,生理指標には心電図計測および呼吸計測,心理指標には主観感情評価を用いた。実験の結果,化粧水塗布後に自己接触を行うことで呼吸が浅く増加し,幸福・満足感,活動的快,活力感,贅沢感や,ときめきが生起することが示された。自己接触を行うことで外に向かう自己への意識が高まり,より覚醒的な生理変化および主観感情が生じたことが示唆された。

  • 松田 いづみ, 廣田 昭久, 小川 時洋
    2017 年 35 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/26
    [早期公開] 公開日: 2018/10/11
    ジャーナル フリー

    隠匿情報検査では,被検査者が犯罪関連情報を認識しているかを調べる。本研究では,隠匿情報検査において,鼻尖部の皮膚血流量を測った。参加者20名が,犯罪関連項目を認識している条件としていない条件で隠匿情報検査を受けた。鼻尖血流量は,認識がある項目に対して,認識がない項目に対してよりも低下した。この鼻尖血流量の時間的な変化は,隠匿情報検査の既存の指標である指尖血流量とは異なっていた。また,鼻尖血流量により,各参加者の犯罪関連情報に対する認識の有無を有意に正しく判定できた。本研究の結果は,鼻尖血流量が隠匿情報検査の新たな指標になりうることを示している。

報告
追悼文
feedback
Top