日本補綴歯科学会雑誌
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46 巻, 5 号
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  • 古宮 誠一
    2002 年 46 巻 5 号 p. 629-633
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    健保用歯科材料の金銀パラジウム合金は, 補綴金属材料として長年にわたり歯科医療に使用されている. しかし, 同合金の材料成分中20%を含有するパラジウムは, 平成10年より主産国であるロシアからの供給が一時止まったために, 急激な高騰が起こり同合金の市場価格が保険価格基準を上回る事態となっている. そこで, 合金の高騰要因である合金素材としての金・パラジウム価格の推移・需要・供給動向ならびに, 今後の金・パラジウムの供給見通しについて示した.
  • 伊藤 裕, 江藤 隆徳, 祇園白 信仁, 高島 史男, 福島 俊士, 安田 登, 阿部 俊之, 川添 堯彬
    2002 年 46 巻 5 号 p. 634-638
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    「金銀パラジウム合金の代替材料」に関する議論は, どこまでも, この数年の間に高騰した金銀パラジウム合金の価格が社会保険における診療報酬を圧迫したことによるものである. しかし現在のところ, 社会保険に適用される合金として, 12%金銀パラジウム合金に匹敵するほかの材料を見いだすことことは困難である. したがって, 今回の論議は最良の材料を純粋に考えるためのよい機会と捉えるのが妥当と考えられる.
  • 小田 豊
    2002 年 46 巻 5 号 p. 639-643
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    金銀パラジウム合金は, 金合金の代用合金として日本で長期にわたって汎用されてきた.その組成は, 銀を主成分として, パラジウムと金が腐食・変色防止, 銅が融点低下と強化の役割りを果たし, 脱酸剤として亜鉛が添加された合金である.液相点が1, 000℃ 以下で溶融が容易であり, 熱処理硬化性を有し, クラスプなど弾性を要求される補綴用材料としても使用可能な機械的性質を備えている. パラジウムの高騰やアレルギーの発現などから, 従来の技工操作をあまり変更することなく使用可能で, パラジウムを減少または含まない合金の開発に期待が寄せられている. しかし, クラスプなど高強度を要求される場合は, パラジウムを15%以上含有しないと機械的性質が満たされない, あるいはパラジウムを5%に減らした合金では, 金を30%以上含有しなければ銀の硫化を効果的に抑制することが困難で, 従来の金銀パラジウム合金に匹敵する耐変色性が得られないなどの報告もある. 銀-金-銅-パラジウムの基本組成, さらには添加元素の効果について, これまでの研究で明らかにされていることを概括した.
  • 嶋倉 道郎
    2002 年 46 巻 5 号 p. 644-648
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    チタンは耐食性や生体親和性に優れるだけでなく, 安価で資源としても豊富に存在することから, 金銀パラジウム合金に代わる歯科用金属材料として期待されている. しかし加工性に難があったため, 歯科臨床に普及するまでにいたらなかった. 近年になって, チタン専用の新しい埋没材や鋳造方法が開発され, 鋳造精度も向上して十分臨床応用可能なレベルに達している. また, CAD/CAMを始めとする鋳造以外の加工方法についても応用が試みられている.さらにもうひとつの問題点である研削・研磨についても, 新しい研磨方法が考案され, チタンを臨床応用するための技術的な問題点は, 解決されつつある. そこで技術的な問題以外に, 歯科臨床へのチタンの普及を阻んでいる原因を考えてみると, 卒前教育で習わないためとっつきにくいことや, 初期投資に費用がかかることなどがあげられる. 今後チタンを金銀パラジウム合金に代わる材料として歯科臨床に普及させるためには, 歯科用金属としてのチタンの利点と問題点について, 卒前・卒後教育を通じて理解を広めるとともに, チタンの特性を生かした補綴物の応用を考えることが必要であろう.
  • 井上 栄徳, 窪木 拓男, 前川 賢治, 土井 郁世, 矢谷 博文, 宮脇 卓也, 佐藤 俊樹
    2002 年 46 巻 5 号 p. 649-654
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 睡眠時無呼吸症は, 突然死をはじめ生活習慣病や日中の傾眠による交通事故の増加を引き起こすなど, 社会問題としても認識されている.今回, われわれは重度の閉塞性睡眠時無呼吸症患者に対し口腔アプライアンス療法を適用し, 症状の改善を経験したので報告する. 患者は42歳の男性で, 強度のいびきと無呼吸を家族に指摘され来院した. 終夜睡眠ポリグラフィーでは無呼吸指数が33.4, 無呼吸低呼吸指数が48.5と, 重度の睡眠時無呼吸症と診断された.本症例に対し, 下顎の前方維持を目的とした口腔アプライアンス療法を施行した.7カ月後に終夜睡眠ポリグラフィーを再度施行した結果, 無呼吸指数が4.5, 無呼吸低呼吸指数が9.7と著しく改善した.また, 徐波睡眠も全睡眠時間の1.5から17.4%と著明に増加した.
    考察: 現在, 最も有効性が確認されている治療法は, 経鼻的持続陽圧呼吸療法である.本療法は, 重度の睡眠時無呼吸症患者においては, 最も信頼性の高い治療法であると認識されているが, 装用時の不快感から患者のコンプライアンスが低いことが問題となっている.口腔アプライアンス療法は, 装用時の違和感が比較的少ないことから, 本症例のような重度の閉塞性睡眠時無呼吸症患者に対する治療法としても, 十分考慮に足りうる選択肢と考えられた.
    結論: 下顎の前方維持を目的とした口腔アプライアンス療法が, 重度の閉塞性睡眠時無呼吸症に対して有効であった症例を経験した.
  • 湊 修, 河野 正司
    2002 年 46 巻 5 号 p. 655-664
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 義歯の構成要素を分離・交換可能な形態とし, 同一条件下で繰り返し実験ができるような下顎片側遊離端義歯を用いて, 間接支台装置の形態およびレストの設定位置が, 義歯床後縁の浮上にどのような影響を及ぼすのか検討することを目的とした.
    方法: 被験者の下顎運動と義歯の動揺を同期して測定するため, 上顎歯列および下顎歯列上に測定用マーカーを設置するとともに, 下顎片側遊離端義歯にも測定用マーカーをそれぞれ口唇前方に設置し, これら3種のマーカーの運動を多標点運動測定装置TMJAWGRAPH (R)(BTS, Italy) により同時計測した.
    結果: 間接支台装置の形態によって, 義歯床後縁点における浮上量に違いが認められた. また, 間接支台装置のレストの設定位置によって, 義歯床後縁点の浮上量に違いが認められ, 間接支台装置のレストの設定位置が歯列後方に変化するに従って, 義歯後縁点における浮上量が増加する結果が得られた.
    結論: 開口時における下顎片側遊離端義歯の浮上は, 義歯全体の上方への並進運動による浮上と, 義歯の回転によって生じる浮上が複合したものであることが明らかとなった. 義歯の回転による浮上の中心となっている回転軸は, 鉤間線とは関係なく, 今回の片側遊離端義歯では小臼歯部であった. しかし, 欠損形態や支台装置形態などによって, 浮上時の回転軸は変化すると考えられる.
  • 菱田 桃子
    2002 年 46 巻 5 号 p. 665-674
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 高齢者の歯の色調の加齢変化を解析し, さらに, 市販されている人工歯との色彩学的差異について明らかにすることを目的とした.
    方法: 健全な上顎前歯を有する高齢者69名 (男性38名, 女性31名, 平均年齢70.0±7.2歳) が研究に参加した. 中切歯と犬歯では歯頸部, 中央部および切縁部の3カ所, 側切歯では歯頸部と切縁部の21カ所について測定した. 人工歯については8種類, 51のシェードについて測定を行った. 歯の色調の加齢変化, および人工歯の色調の分布範囲から逸脱した色調の歯を有する被験者の割合について, 60-69歳のグループと, 70歳以上のグループで比較した.
    結果: L*, a*, b*の値は, ほとんどの測定部位において70歳以上のグループで小さくなり, a*では犬歯で, b*では側切歯, および犬歯で有意であった. 人工歯の色調の分布範囲から逸脱した測定値は, L*では全体の約24.0%, a*では約8.1%, またb*では約3.8%であった.L*では, すべての測定部位において, その割合が加齢により増加する傾向が認められた.
    結論: 高年層において, 加齢に伴い歯の色調の変化が生じることが観察された.人工歯の色調の分布範囲に含まれない色調の歯を有する被験者は, 加齢とともに増加する傾向が認められた. 本研究より, 歯の色調との調和を図るためには, L*については暗めで, a*については, やや赤みがかった色調を示す人工歯が必要であることが示唆された.
  • 鎌田 ユミ子, 鎌下 祐次, 濱野 徹, 丸山 浩美, 柳野 善秀, 長岡 英一
    2002 年 46 巻 5 号 p. 675-684
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 全部床義歯補綴臨床における画像診断法としての規格撮影パノラマX線写真透写図分析法に用いる, ポリゴン表の適切な計測基準点および標準値について検討すること.
    方法: 若年有歯顎者と新義歯装着直後の全部床義歯装着者を被験者とし, 規格撮影パノラマX線写真透写図上の解剖学的指標に基づき, 補綴臨床で重要な咬合高径や咬合平面に関する角度ならびに距離計測を行った. これら若年有歯顎者と全部床義歯装着者の計測値の平均値について, 一元配置分散分析と多重比較を用いて統計学的に分析した. さらに, 男女各1名の無歯顎患者の新旧義歯の評価に, 今回作製した全部床義歯装着者の男女別データを標準値とするポリゴン表の利用を試みた.
    結果: 計測値には, 若年有歯顎者と全部床義歯装着者ともに男女間, 男女ともに若年有歯顎者と全部床義歯装着者間で有意差を示したものがあった. また, 咬合平面は, 後方基準として耳珠上縁よりも下縁を用いたカンペル平面とより平行であった. さらに, 今回計測した全部床義歯装着者の計測値を標準値としたポリゴン表は, 無歯顎患者の咬合平面や咬合高径の評価に利用できることが示唆された.
    結論: 男女別の全部床義歯装着者の計測値を標準値として用いた, ポリゴン表による規格撮影パノラマX線写真透写図分析法は, 無歯顎患者の義歯を評価できることが示唆された.
  • 残存歯冠状態調査
    疋田 一洋, 舞田 健夫, 田中 收, 小林 國彦, 依本 卓見, 内山 洋一, 大野 弘機, 藤井 健男
    2002 年 46 巻 5 号 p. 685-692
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 歯科用CAD/CAMシステムを用いて, 反対側同名臼歯歯冠形態の反転データをクラウンの形態設計に利用する場合を想定し, 反対側同名臼歯の歯冠形態が, どの程度の割合で有効に利用できるか (反対側有効率) について調査し, 統計学的検討を行った.
    方法: 567名の患者の計1, 363本の臼歯の反対側同名臼歯歯冠形態の状態について, カルテ, X線写真, 模型, 技工依頼書をもとに, 反転データとして利用可能であるかについて判定した. そして, さらに調査結果を対象歯の部位により, 統計学的有意差の検定を行った.
    結果: 調査対象の1, 363本中, 324本 (有効率23.8%) の反対側同名臼歯の形態が, 反転データとしてクラウンの設計に有効に利用できると判定された. 上顎 (25.2%) と下顎 (22.6%), 左側 (23.2%) と右側 (24.4%) による分類では, 有効と無効の分布に有意差は認められなかった. 小臼歯 (27.5%) と大臼歯 (21.6%) グループ間では, 有効と無効の分布に有意差が認められた.
    結論: 反対側同名臼歯歯冠形態の反転データを利用したCAD/CAMクラウンの設計を目的として, 反対側同名臼歯の歯冠部の欠損状態を統計学的に検討したところ, 部位別では, 小臼歯部において反対側同名臼歯歯冠形態の反転データの有効率が高かった.
  • 金澤 毅, 津田 賢治, 田中 貴信, 中村 好徳, 連 直子, 服部 正巳, 濱田 弘顕, 太田 学
    2002 年 46 巻 5 号 p. 693-701
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 接触式の歯科用CAD/CAMシステムによって, ポストを有する補綴物の1つである根面キャップの製作を試み, その加工精度について検討した.
    方法: 歯科用三次元測定/切削システムの1つであるデンタルキャディム (R) を用いて, 以下に示す各原型から根面キャップの試料を製作した. 実験1ではマージン部にベベルを有しない根面キャップで, ポストと根面板の移行部分の形態を変化させた各原型から, それぞれ試料を製作し, それらの原型に対する形態精度について検討した. 次に実験2では, マージン部にベベルを有する根面板について, 同様の製作精度を検討した. さらに実験3では, 切削工程のみを繰り返して複数の試料を製作し, その試料間の形態的バラツキを測定して, 切削時の誤差を検討した.
    結果: 実験1では, 根面板とポストの移行部分に明瞭な線角を付与した形態 (Aタイプ) と, 丸みを付与した形態 (Rタイプ) とでは, 前者において, 試料と原型の印象との間に大きな間隙がみられた. また, 実験2における試料と原型との間隙量は, マージン部で0.100mm, ポスト先端部で0.082mmであった. さらに実験3の試料は, 実験2の試料と比較してバラツキは小さかった.
    結論: 現在市販されているCAD/CAMによって, 実用的な根面キャップの製作が可能であり, 根面板とポストとの移行部分の形態が適合に影響を及ぼすことが示された. また, このシステムの誤差は, 主に形態測定時に発現することも示唆された.
  • 渡邉 文彦, 多和田 泰之, 小松 繁樹, 高瀬 一郎, 畑 好昭, 榎本 紘昭, 古川 達也, 榎本 琴世
    2002 年 46 巻 5 号 p. 702-711
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究は, 日本歯科大学新潟歯学部附属病院および三条市榎本歯科医院の2施設で過去13年間に行われた271症例, 972本のIMZインプラント13年間にわたる症例の予後評価である.
    方法: 972本のインプラントのうち, 2年間に254人において臨床的に913本のインプラントが検査された (リコール率93.7%). 主に生存率, 上下顎の生存率, サイズ別生存率の項目について, Life Table AnalysisとKaplan-Meier法を用いて比較検討した.
    結果: 検討の結果, 以下の結論が得られた. 1.両施設での累積生存率は5年目で96.3%, 10年目で92.6%, 13年目で89.9%であった.2.インプラントと天然歯との連結症例において, 施設1で12.1%, 施設2で6.8%に連結歯の破折が認められ, そのいずれも失活歯であった. 3.両施設のインプラントの生存率を, Kaplan-Meier法で解析した結果, 上下顎の生存率に有意差が認められなかった (Breslow-Gehan-Wilcoxonの検定, p=0.61). 4.また, インプラント体の直径3.3mmと4.0mm間 (Logrankの検定, p=0.51) およびそれぞれの長径間 (Logrankの検定, p=0.45) で生存率に差はなかったが, インプラント体のサイズ別の除去率をみると, 2施設で直径別では直径3.3mmが6.9%, 直径4.0mmが3.4%と, 径の太いほど低く, また長径では, 長径8mmが13.0%, 10, 11mmは4.4%, 13mmは2.0%, 15mmは0%であり, 短いほど高い傾向を示した.
    結論: IMZインプラントの長期生存率は高く, 同インプラントが臨床的に有用であることが示された.
  • 大堀 ことは, 横山 敦郎, 川崎 貴生, 飯塚 正, 向後 隆男
    2002 年 46 巻 5 号 p. 712-721
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 多孔質ハイドロキシアパタイトブロックの骨膜下埋入に対し, ポリテトラフルオロエチレン (e-PTFE) 膜を用いたGBR (Guided bone regeneration) 法を併用した際の骨形成を, 組織学的・組織計量学的に評価することである.
    方法: ラット頭頂骨にハイドロキシアパタイト (HAP) のブロックを置き, e-PTFE膜で被覆した実験群と, HAPブロックのみを埋入した対照群のブロック周囲の組織反応および新生骨量を, 組織学的, 組織計量学的に比較検討した.また, 一部の標本については, 酒石酸耐性酸性フォスファターゼ (Tartrate-resistant acid phosphatase: TRAP) 染色を施し, 検索した.
    結果: 両群ともに, 新生骨の一部は, 術後2週でHAPブロックに直接接し, 以後新生骨は経時的に増加した.実験群においては, 対照群に比較し, ブロック気孔の上方まで骨形成が認められた. 新生骨量は, 4週では実験群において有意に多い値を示したが, 8週では有意差は認められなかった. TRAP陽性多核巨細胞数は, 両群ともに術後4週までは増加し, 8週では減少していた.また, 実験群では, 対照群に比較し有意に多い値を示し, 活発な骨改造が行われていることが示された.
    結論: 以上の結果より, 多孔質HAPブロックの埋入へのe-PTFE膜を用いたGBR法の応用は有効であることが示唆された.
  • 田辺 泰一, 渡辺 誠, 坪井 明人
    2002 年 46 巻 5 号 p. 722-731
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 咬合接触の異常と顎関節症との関連を明らかにすることである.
    材料と方法: 咬合接触の異常部位の咬合調整によって治癒した顎関節症患者40名および健常有歯顎者 (対照群) 群12名について, 咬頭嵌合位 (ICP) およびElectromyography (EMG) バイオフィードバック下におけるタッピング終末位 (生理的中心位;PCP) での咬合接触を, シリコーンチェックバイトを用いて記録し, その面積を計測した.分析は, 咬合接触面積の非対称指数 (AI) を算出し, 咬合調整群の治療前後および健常者群について比較し行った.
    結果: 1.ICPにおける咬合接触面積のAIは, 咬合調整群の治療前後および健常者群の3群間に有意差は認められなかった. 2.咬合調整群のPCPにおけるAIは, 治療開始前 (54.6±33.1%) に比較し, 治療終了後 (15.1±12.5%) は有意に減少した. また, 健常者群のAI (14.9±9.7%) と比較して, 治療開始前は有意に大きかったが, 治療終了後は有意差が認められなくなった.3.咬合調整群の咬合接触面積の左右バランスは, 治療に伴いすべての部位で改善が認められた. 大臼歯部での改善度は, 前歯・小臼歯部よりも高かった.
    結論: PCP (特に大臼歯部) での咬合接触面積の左右バランスは, 顎関節症の発症・治癒に関連があることが示された. さらに, PCPでの咬合接触の左右的均衡は, 咬合接触の健常者像の1つであると考えられた.
  • 中禮 宏, 佐々木 幸生, 上野 俊明, 谷口 尚, 大山 喬史
    2002 年 46 巻 5 号 p. 732-737
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 咬合機能と握力発揮特性の関連性を検証することである.
    方法: 被験者は, 安定した咬頭嵌合位を有する健常成人男性12名 (23.7±2.2歳: 平均値±標準偏差) を対象とした.変色視覚刺激を合図に, 咬頭嵌合位での最大噛みしめ (MVCT), あるいは下顎安静位 (RP) の条件下で, 2秒間の右側瞬発握力発揮を各2回, 計4回行わせた.試技順序は任意とし, 各試技間には3分間の休息を設けた. 握力発現開始からの1秒間を解析対象とし, 最大握力 (maxF), 0.1秒ごとの区間平均握力 (aveF), 0.001秒ごとの微分握力最大値 (maxRFD) および90%最大握力発現時間 (T90%max) を算出し, 各条件間で比較検討した. 統計学的検定にはpaired t test (p<0.05) を用いた.
    結果: RP時と比較してMVCT時に, maxFの8.4%の有意な増加 (p=0.0480), aveFの7.9-36.1%の有意な増加 (p<0.0095), maxRFDの16.2%の有意な増大 (p<0.0001) およびT90%maxの0.055秒の有意な短縮 (p=0.0017) が認められた.
    結論: 本研究より, 噛みしめることでより素早い, そしてより大きな握力を発揮できる可能性が示唆された.
  • 服部 克彦
    2002 年 46 巻 5 号 p. 738-747
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: シリコーン系軟質裏装材を用いたリライニングにおいて, 直接法と間接法における表面粗さの比較を行い, 石膏および分離剤がリライニング面に及ぼす影響を検討する.
    方法: アクリル板をシリコーン印象材にて印象採得後, 3種類の石膏を注入して試料を作製し, 3種類の分離剤を塗布後, 軟質裏装材を貼付し試料とした. 非接触三次元測定装置を用いてアクリル板, 印象面, 分離剤塗布前後の石膏面, 軟質裏装材の表面粗さを計測し, 石膏および裏装材はSEM観察を行った. 下顎全部床義歯装着者21名に対し, 2種類の軟質裏装材を用いて直接法および間接法にてリライニングを行い, 直接法では裏装面, 間接法では印象面, 分離剤塗布前後の模型面, グレーズ剤塗布前後の裏装面について表面粗さの計測を行った.
    結果: 1.分離剤塗布前の各石膏表面粗さには有意差は認められず, 分離剤塗布後は塗布前と比較して有意に粗さが減少した.2.軟質裏装材の表面粗さは普通石膏にワセリンを塗布した群がほかと比較して有意に小さな値を示した.3.間接法の表面粗さは直接法より有意に大きな値を示した.4.間接法の表面粗さはグレーズ剤の利用により直接法と比較して有意に小さな値を示した.
    結論: 間接法の裏装面は石膏や分離剤による影響を受けるため, 直接法より表面粗さは大きくなることが示されたが, 間接法の面にグレーズを塗布することにより直接法より滑沢な裏装面を獲得できる可能性が示された.
  • 鈴木 卓哉
    2002 年 46 巻 5 号 p. 748-749
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 武部 純
    2002 年 46 巻 5 号 p. 750-751
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 大山 哲生
    2002 年 46 巻 5 号 p. 752-753
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 小峰 太
    2002 年 46 巻 5 号 p. 754-755
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 術後6年経過症例
    秋山 仁志
    2002 年 46 巻 5 号 p. 756-757
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 荒川 光
    2002 年 46 巻 5 号 p. 758-759
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
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