日本補綴歯科学会雑誌
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47 巻, 1 号
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  • オペーク層の設定が色調発現に及ぼす影響
    島 弘光, 川本 善和, 根本 美佳, 檜山 礼秀, 今 悟, 河原 一茂, 島田 和基, 桟 淑行, 五十嵐 孝義
    2003 年47 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 高フィラー型硬質レジンのジャケットクラウンにおけるオペーク層の設定が, 色調発現に及ぼす影響を明らかにすることである.
    方法: 高フィラー型硬質レジンとしてエステニアとアートグラスを用い, それぞれのオペーク色レジンにより50, 100, 150μmの厚みのオペーク試料を作製し, 色調遮断性の測定を行った.また, デンティン色レジンにより作製したデンティン試料と, オペーク色レジンおよびデンティン色レジンを用いて作製した積層試料の色調を測定し, 両者の色差を算出し, オペーク層の設定が色調発現に及ぼす影響を調べた.
    結果: オペーク試料の色調遮断性は, 厚さ50μmのエステニアオペークを除くすべての試料において認められ, 厚みを増すごとに強くなり, 同一の厚みではアートグラスオペークが強い色調遮断性を示した.積層試料の色調については, すべての試料において色調に差が認められ, オペーク層の厚みを増すごとに明度と彩度が上昇し, 色差が大きくなる傾向が認められた.
    結論: 高フィラー型硬質レジンのジャケットクラウンの応用時に, オペーク層の設定の有無により色調発現に差が生じ, オペーク層を薄く設定するほどその差が小さくなるが, 材料によってその傾向が大きく異なることが明らかになった.
  • 色調発現に層構成が及ぼす影響
    島 弘光, 川本 善和, 根本 美佳, 檜山 礼秀, 河原 一茂, 島田 和基, 八木 庸行, 桟 淑行, 五十嵐 孝義
    2003 年47 巻1 号 p. 11-19
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 高フィラー型硬質レジンにより作製したジャケットクラウンの層構成の設定と色調発現との関係を明らかにすることである.
    方法: 高フィラー型硬質レジンとしてアートグラス, エステニア, グラディアおよびタルギスを用い, それぞれのデンティン色レジンとエナメル色レジンにより厚さ1.0mmの積層試料を作製した.デンティン層とエナメル層の比率が1.0:0から0:1.0まで等間隔・11種類の比率で層構成の条件を設定し, 色調遮断性および支台歯試料上における色調の測定を行った.
    結果: 色調遮断性はすべての試料において認められなかった.エナメル層の厚さを増加し, デンティン層の厚さを減少させるに従い, 明度差の値が徐々に大きくなり, タルギスにおいてその傾向が最も強かった.支台歯試料上での色調については, すべての試料においてエナメル層の厚さを増加し, デンティン層の厚さを減少させるに従い, 明度と黄色傾向が減少する傾向を示した.赤色傾向に関してはエステニアとタルギスは増加傾向を示したが, そのほかの試料はあまり変化がみられなかった.
    結論: 以上のことから, 高フィラー型硬質レジンをジャケットクラウンに応用する場合, 層構成を変化させることによる色調調整が可能であるが, その効果は材料によって異なり, また, 層構成によって背景色の影響が変化する可能性があることを考慮する必要が明らかとなった.
  • 材質および厚さによる変化
    古谷 暢子, 吉仲 正記, 小野 高裕, 野首 孝祠
    2003 年47 巻1 号 p. 20-27
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 硬口蓋を被覆することが厚さの弁別能にどのような影響を与えるかを検討することである.
    方法: 習慣的な喫煙経験がなく, 歯の欠損が認められない10名 (男性6名, 女性4名, 平均年齢24.7±2.2歳) を被験者として用いた.まず実験Iでは, 実験床の材質による影響について検討した.実験用口蓋床として, 硬口蓋を被覆する厚さ1.5mmのレジン床と金属床を製作した.各床装着時の厚さの弁別閾値は, 厚さ3mmを基準片とし, 0.2mmずつ薄くなる下降系列と0.2mmずつ厚くなる上昇系列の, 厚さのみが異なる9段階の比較片を測定した.次に実験IIでは, 実験床の厚さによる影響について検討した.厚さ1.5mmと厚さ0.5mmの2種類の実験床を製作し, 各床装着時と非装着時において, 実験1と同様に厚さの弁別閾値を測定した.
    結果: レジン床装着時と金属床装着時では, 上昇系列および下降系列のいずれにおいても厚さの弁別能に有意差は認められなかった.床の厚さを変化させた場合, 下降系列においては, 1.5mm床装着時は非装着時と比較して有意に弁別能は悪くなり, 0.5mm床装着時は1.5mm床装着時と比較して, 有意に弁別能は良くなる傾向を示した.
    結論: 厚さを薄くすることが可能である金属床の選択は, 口腔感覚の点から考えて有用であることが示唆された.
  • 阿部 菜穂
    2003 年47 巻1 号 p. 28-37
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 最近の研究で, 残留仮着材により接着材の接着力が低下することが報告されている. そこで, 本研究では支台築造の臨床を想定し, ポスト孔内の残留仮着材の清掃方法について検討した.
    方法: 170本のヒト下顎前歯歯根を用い, ポスト孔を形成し, ポスト付きテンポラリークラウンを仮着した. コントロールは仮着操作なしとした.除去後, 4種類の清掃方法 (エキスプローラー, 根管清掃用ブラシ, 酸化アルミニウム粒子併用根管清掃用ブラシ, リン酸と次亜塩素酸ナトリウム処理) でポスト孔内を清掃した.その後, スーパーボンドC&B L-type (以下SBとする), パナビアフルオロセメント (以下PFとする), クリアフィルDCコア (以下DCとする) を用いて既製ポストを接着し, 引き抜き強さの測定を行った.また各清掃方法を行い, 接着材の前処理を行う前後のポスト孔内象牙質被着面を走査型電子顕微鏡で観察した.
    結果: SB, DCではリン酸と次亜塩素酸ナトリウム処理を用いた方法が, PFでは酸化アルミニウム粒子併用根管清掃用ブラシによる方法が最も高い引き抜き強さを示し, コントロールの値まで回復した.また, すべての接着材でエキスプローラーによる清掃方法が有意に低い値を示した.
    結論: 接着材の種類により異なるが, 2種類の清掃方法の有効性が認められた. 臨床において, レジン系材料で接着する前に, ポスト孔内を適切な方法で清掃することの必要性が示された.
  • 森田 誠, 西村 康, 坪田 有史, 阿部 菜穂, 山田 欣伯, 橋本 興, 福島 俊士
    2003 年47 巻1 号 p. 38-47
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 市販接着性レジンセメントがほかの合着用セメントと比較して, 補綴物の合着に適しているかどうか検討する.
    方法: 9種の接着性レジンセメントと2種のレジン添加型グラスアイオノマーセメントおよび1種のグラスアイオノマーセメントを用い, ヒト大臼歯象牙質にSUS304ステンレス鋼を各10試料ずつ指定の処理条件により接着した後, せん断接着試験を行った.また, エッチング剤, プライマー処理後の象牙質の表面性状を走査型電子顕微鏡にて観察を行い, 処理剤のpH値と象牙質表面の脱灰量との相関関係を調べた.
    結果: すべての接着性レジンセメントはレジン添加型グラスアイオノマーセメント, グラスアイオノマーセメントと比較し, 有意に高い接着強さを示した.接着性レジンセメントのうち, スコッチボンドレジンセメント, パナビアフルオロセメント (ADゲル法) は, パナビアフルオロセメント (通法), クシーノセムと比較して有意に高い接着強さを示した.また, 各種プライマーの象牙質表面に対する脱灰作用の大きさは, 必ずしもそのpH値と相関関係は認められなかった.
    結論: 象牙質表面に対する初期接着強さから, 接着性レジンセメントはほかの合着用セメントと比較して, 補綴物合着用として優れたセメントであることが結論づけられた.
  • 小川 匠, 重田 優子, 荒木 次朗, 平井 真也, 安藤 栄里子, 細田 裕, 福島 俊士, 鈴木 恭典, 阿部 實, 細井 紀雄
    2003 年47 巻1 号 p. 48-57
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 顎関節症患者に対し, 先端の径が小さい口腔粘膜用加圧疼痛閾値計を用い, 疼痛評価を行った.今回は, 試作した加圧痔痛閾値計における顎関節症患者の各被験部位の診断可能なカットオフ値の設定を目的とした.
    方法: 対象は顎関節症と診断された33名とした.また, コントロール群は顎口腔系に自他覚的な異常を認めない20名の健常有歯顎者である.検討項目は, それぞれの被験部位における疼痛閾値で, 顎関節症群 (以下TMD群とする) とコントロール群の閾値の違いに着目し, さらにカットオフ値の設定についても検討した.
    結果: コントロール群の疼痛閾値はTMD群と比較し, すべての部位で高い値を示し, すべての測定部位において有意な差を認めた.さらに, TMD群を無痛群および有痛群に分類し, コントロール群と比較したところ, すべての部位において有意な差を認めた.また, 無痛群の顎関節前方部の加圧疼痛閾値は, 有痛群と比較し大きく, 有意差が認められた (p=0.0074).一方, そのほかの部位では有意な差を認めなかった.側頭筋部のカットオフ値は合谷1, 800gf, 前額部800gf, 側頭筋部1, 100gf, 顎関節前方部1, 100gf, 顎関節中央部1, 000gf, 顎関節後方部1, 000gf, 咬筋起始部1, 050gf, 咬筋中央部1, 150gf, 咬筋停止部1, 050gfであった.
    結論: 以上の結果から, 本実験で用いた加圧疼痛閾値計は, 顎関節症患者に対し臨床応用可能なカットオフ値を設定できた.
  • 重田 優子, 小川 匠, 福島 俊士, 鎌田 奈都子, 細井 紀雄
    2003 年47 巻1 号 p. 58-65
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 新しいゴシックアーチ描記システムの開発を目的に, 半導体式タッチパッドの特性について検討した.
    材料と方法: 半導体式タッチパッドとしてVarsaPad® (Interlink Electronics) を用いた.また, 較正機として, 高剛性・精密型自動ステージSGSP26-100 (XY)(シグマ光機)(以下, XYステージとする) を使用した.XYステージの, X・Y方向の移動量をそれぞれ0, 5, 10, 15, 20mmの組合せで可動させ, 計測ステージに垂直に設置したスタイラスを用いて, パッド上に上記の25点を電気的にマーキングした.マーキングされた位置情報を, Adobe Illustrator® (Adobe Systems In.) を用いてパソコン上で座標値に換算し, 計測値として使用した.その計測値から, VarsaPad®におけるXY各成分の較正係数を求め, その係数をパッド内, パッド間で比較することによって特性を評価し, 臨床応用の可能性を検討した.
    結果: VarsaPad ® における位置情報再現性が高いこと, また, パッド上の偏受感特性・器差がないことが確認できた.XYステージの移動距離を規定量とし, パッドから得られた計測値を移動量と表現するときの較正係数は, X成分0.18, Y成分0.22であった.
    結論: 半導体式タッチパッドの座標再現性および計測精度は高く, ゴシックアーチ描記システムへの応用に十分であることが明らかになった.
  • 嚥下時の舌圧測定による検討
    田村 文誉, 鈴木 司郎, 向井 美恵
    2003 年47 巻1 号 p. 66-75
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 垂直的顎位と体位が, 摂食・嚥下機能にどのような影響を及ぼすかについて明らかにすることを目的として, 本研究を行った.
    方法: 対象は, 全身に特記すべき異常のない無歯顎者8名 (男性3名, 女性5名, 平均年齢55歳) である.対象者に対し, 個人別に3種類の垂直的顎位を再現できる上顎のみの実験用嚥下補助装置を製作した.装置の臼歯部相当部分は, 下顎の顎堤に接する形状とした.この部分を「支持堤部」とし, 上下義歯装着時と同等の垂直的顎位を「支持堤部あり (高)」, 上顎義歯装着時と同等の垂直的顎位を「支持堤部あり (低)」, 装置未装着時と同等の垂直的顎位を「支持堤部なし」と設定した.装置の口蓋部2カ所 (前方および側方) に圧力センサ (PS-2Ka, 共和電業, 東京) を設置し, 垂直的顎位と体位が舌運動へ及ぼす影響を調べることを目的として, 3種類の体位 (90度垂直座位, 30度仰臥位, 0度水平位) にて, 37度に保温した5mlの水を嚥下する際の舌圧を測定した.
    結果: 口蓋前方部・側方部ともに, 30度と0度それぞれの体位において, 支持堤部なし群のほうがあり (高) 群よりも有意に舌圧が大きかった.口蓋前方部のあり (高) 群において, 体位90度では0度と比較して有意に長い作用時間であった.
    結論: 嚥下時の安定した下顎の固定が困難な無歯顎状態においては, 上体を後傾にすることによって, 摂食・嚥下運動時の舌はより大きな力が必要となることが推察された.
  • 片側大臼歯欠損遊離端症例について
    澤田 萬喜子, 奥田 啓之, 内田 愼爾, 畦崎 泰男, 南 正高, 川野 晃, 西崎 宏, 兼平 治和, 前田 照太, 井上 宏
    2003 年47 巻1 号 p. 76-85
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 片側大臼歯欠損に局部床義歯を装着した患者へのアンケート調査により, 義歯の使用状況, 義歯を使用しない理由, その満足度などについて調査し, 使用実態を明らかにするのが目的である.
    方法: 片側第一, 第二大臼歯欠損に対し遊離端義歯を装着した251名, 258床を調査対象とした.これらに対しアンケート用紙を郵送し, 返信によって得られた回答を集計した.
    結果: 158床 (61.2%) の回答が得られた.「毎日使っている」と回答した群は45.6%, 「ときどき使っている」と回答した群は12.0%, 「全く使っていない」と回答した群は23.4%, 「その後, 新しい入れ歯を作った」と回答した群は19.0%であった.分析対象の義歯が片側処理か, 両側処理か, またレジン床義歯か, 金属床義歯か, さらに対顎の義歯装着の有無などによる使用状況に有意な差は認められなかった.「毎日使っている」と回答した群の満足度は高く, これら群間に有意な差が認められた.「全く使っていない」と回答した群の平均年齢は, ほかの群と比較して有意に低く, 3ヵ月以内に装着を中止する症例が60.6%みられた.使用しない理由は多岐にわたっていたが, 「不快」が多かった.
    結論: 片側大臼歯欠損義歯を用いた補綴治療の介入の是非論は言及できなかったが, 義歯を使用していない群は, 義歯を使用している群に比較して平均年齢は低く, 3ヵ月以内に使用を中止する傾向があった.
  • 権田 知也, 福井 友, 竹村 有史, 董 堅, 小野 高裕, 野首 孝祠, 中山 博帥, 高見 恭子
    2003 年47 巻1 号 p. 86-94
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 井上アタッチメントとその横揺れを制限する機構を備えた試作品について, クラスプとの比較も含めて, 模型実験を行い, 支台装置の種類が支台歯に加わる側方力と義歯床の変位に与える影響を明らかにすることである.
    方法: 実験に用いた支台装置は, いずれも4, 5を支台歯とする (1) エーカースクラスプ,(2) 双子鉤,(3) 井上アタッチメント3号,(4) 試作アタッチメントの4種類とし, 45全部鋳造冠と部分床義歯 (67欠損) を製作し, 義歯咬合面に49Nの荷重を加え, 計測を行った.計測項目は, 支台歯に加わる側方力および義歯床の変位とした.
    結果: 支台歯に加わる側方力は, 4支台歯において6と7の荷重時に, 試作アタッチメントがほかの支台装置に比べて有意に大きくなり, また, 5支台歯において7荷重時に, 試作アタッチメントが井上アタッチメントに比べて有意に大きくなった.義歯床の変位は, 6荷重時に, 双子鉤に比べて試作アタッチメントが有意に小さくなった. また, 7荷重時に, エーカースクラスプに比べて, 井上アタッチメント, 試作アタッチメントが有意に小さくなった.
    結論: 井上アタッチメントと試作アタッチメントは, エーカースクラスプと双子鉤に比べて, 義歯床の変位が小さく安定が得られやすいが, 試作アタッチメントは, ほかの支台装置に比べて支台歯に加わる側方力が大きくなり, 支台歯への負担軽減に対して, レストを設けるなど設計上注意する必要があることが示唆された.
  • 林 幸男, 内藤 元, 浅野 隆, 高井 周太郎, 小林 喜平
    2003 年47 巻1 号 p. 95-106
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 習慣性咀嚼側を利き手に代表される身体機能の側性の1つに位置づけ, 咀嚼機能および身体機能に関する14の項目を設定し, 側性係数 (Lateral quotient: LQ) を算出し, 主成分分析を用いて客観的に評価することである.
    方法: 被験者は健常有歯顎者20名である. 咀嚼機能の評価には, ガム片側咀嚼によるサイクルタイムの変動係数, ガム自由咀嚼によるストローク数, それぞれ最大, 50%, 10%噛みしめ時の咬筋筋電位, 咬合力および咬合接触面積, そして唱嚼に関するアンケート結果を, また身体機能の評価には利き手, 利き足に関するアンケート結果の計14項目を設定した. そして, 各14項目の左右側の測定値より側性係数 (LQ) を算出し, この側性係数に対して主成分分析を行った.
    結果: 1.機能的側性を示す14項目を累積寄与率83.68%で, 5つの主成分 (Hardclenchingfactor, Light clenching factor, Physical functional factor, Masticatory factor, Masseter factor) に総合化することができた.2.被験者20名の習慣性咀嚼側をMasticatory factorの主成分得点より量的尺度として客観的に評価することができた.
    結論: 習慣性咀嚼側を身体機能の側性の1つと捉え, 主成分分析を用いることにより客観的評価の可能性が示唆された.
  • 小野 高裕, 堀 一浩, 野首 孝祠, 角田 明, 古川 惣平
    2003 年47 巻1 号 p. 107-116
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: Digital subtraction angiography (以下DSAとする) 装置を用いて, グミゼリーの咀嚼・嚥下過程を観察し, 咀嚼能率が嚥下動態に及ぼす影響について検討すること.
    方法: 歯列状態と咀嚼能率の異なる2名の被験者にBaSO4含有グミゼリー1個を咀嚼させ, 嚥下にいたるまでの過程をDSA装置を用いて毎秒30フレームにて撮影し, 咀嚼・嚥下動態の観察を行った.
    結果: 平均的な咀嚼能率を有する天然歯列者の被験者Aでは, グミゼリーの咬断に始まって, 咬断片の拡散と効率的な細分化, 均質な食塊の形成と中咽頭への移送, 嚥下反射によるスムーズな下咽頭通過という一連の過程が観察された. 咀嚼の進行は3期に分かれ, 進行に伴って, 下顎運動と協調した舌運動の段階的変化が観察された. 一方, 咀嚼能率の低い欠損歯列者の被験者Bでは, 初期の咬断が効率的に行われず, 咬断片が粗く不均一なために, 良好な凝集性と柔軟性を有する食塊が形成されず, 嚥下後に喉頭蓋谷での残留が認められた.
    結論: 本実験の結果から, 健常有歯顎者と欠損歯列者におけるグミゼリーの咀嚼・嚥下動態が示され, 固形物の唄嚼能率が嚥下に影響を及ぼす可能性が示唆された.
  • 朴 康鉐, 佐藤 正樹, 川添 堯彬
    2003 年47 巻1 号 p. 117-124
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 健常者および顎機能障害者の習慣性咬合位から咬頭嵌合位への下顎変位を三次元的に解析し, その変位量および変位方向の違いを明らかにすることである.
    方法: 被検者として, 健常有歯顎者6名と顎関節部の雑音を有する顎機能障害者6名を選択した. Light clenchingと30% MVC (Maximum voluntary clenching) の咬合力を発揮させて採得した, 2種類のシリコーンバイトを試料として, 非接触形状計測を行った. 頭部X線CTから, 頭蓋顔面骨の三次元構築データを抽出し, その解剖学的標点から, 基準座標を設定した. テフロン球をマーカーとして三次元構築データの位置合わせを行った後に, 上下顎歯列咬合面の位置合わせにより, 習慣性咬合位から咬頭嵌合位への下顎変位を算出した. 下顎変位を表現するパラメータとして, 下顎咬合平面を決定する三角形の重心の変位量および変位方向をMOD (Movement of dentition), 左右側下顎頭最上点の変位量および変位方向をMOC (Movement of condyle) とした.
    結果: 健常者に比べて顎機能障害者では, MOD, MOCともに下顎変位量が有意に大きかった. また変位方向については, すべての顎機能障害者において, 下顎歯列部では上方に, 下顎頭部では後方に変位する傾向が認められた.
    結論: 習慣性咬合位から咬頭嵌合位への下顎変位が, 顎関節雑音の発症に関連している可能性が示された.
  • 岡崎 祥子
    2003 年47 巻1 号 p. 125-134
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 義歯床下粘膜の健康状態の指標を得ることを最終的な目的とし, 義歯に機能力が加わった場合, 義歯床下粘膜の血流量の実態を確認するために, 義歯装着時の血流量を計測, 検討した.
    方法: 上顎無歯顎者10名と, 同年代の上顎有歯顎者5名を被験者として, 口蓋粘膜の29点における血流量を2台のレーザードップラー血流計を用いて測定した. 各測定点を解剖学的形状に基づいて, 無歯顎者においては, 顎堤頂臼歯部, 顎堤頂前歯部, 口蓋正中部, 口蓋前方部, 口蓋側方斜面部の5部位に分けて, それぞれの血流量を比較検討した.
    結果: 1. 安静時血流量の日差に関しては, 無歯顎者, 有歯顎者ともに, 良好な再現性がみられた. 2. 同年代の無歯顎者と有歯顎者の安静時血流量に有意な差は認められなかった. 3. 無歯顎者の安静時血流量は, 顎堤頂臼歯部において最も少なかった. 4. 無歯顎者の血流量は, 測定点すべてにおいて加圧により減少する傾向がみられた. 5. 粘膜加圧時の血流量変化率は, 口蓋部に比較して顎堤頂部でより著明であった.
    結論: 義歯床下粘膜の血流動態は, 各部の解剖学的特徴に対応し, また義歯機能時を想定した加圧時の力学的反応として, 合理的な変化を示すことが確認されたことから, 今後, より詳細な検討を加えることで, 各種臨床術式の判定や粘膜部の健康状態を評価する指標の1つとして利用できる可能性が示唆された.
  • 木内 延年, 河野 正司, 池田 圭介, 道見 登, 植田 耕一郎
    2003 年47 巻1 号 p. 135-144
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 摂食嚥下障害者の多くは舌運動障害を認める. これらの症例について, パラトグラム法およびvideofluorography (VF) 法を用いて, 舌運動機能の診断法の検索と舌接触補助床の設計を行った.
    方法: 測定対象は, 構音障害を認め摂食嚥下の準備期および口腔期の機能障害者, およびコントロールとして顎口腔系機能に異常を認めない健常者とした. パラトグラムは, 被験語「タ」, 「ナ」, 「ラ」, 「キ」発語時および唾液嚥下時を記録した. さらにVF装置を用いて, この4語発語時および唾液嚥下時の舌形態と, バリウムクッキーの摂食嚥下時の舌形態との共通点を観察した. これにより, パラトグラムによる摂食嚥下時の舌機能診断が可能であるか否かを検討した.
    結果: クッキー咀嚼終了時点, 食塊形成時, および食塊形成終了時点の舌形態は, 被験語「タ」, 「ナ」, 「ラ」発語時の舌形態と酷似していた. また, クッキー嚥下終了時点の舌形態は, 被験語「キ」発語時および唾液嚥下時の舌形態と酷似していた.
    結論: 本研究で用いた被験語発語時および唾液嚥下時のパラトグラム像により, 摂食嚥下時の舌運動機能診断ができることが明らかとなった. さらに, 患者群にこのパラトグラムによる舌運動機能診断法を応用した舌接触補助床を製作したところ, 食塊形成能力および嚥下機能の向上に有効であった.
  • 植原 典子
    2003 年47 巻1 号 p. 145-146
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 小見山 道
    2003 年47 巻1 号 p. 147-148
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 大前 百子
    2003 年47 巻1 号 p. 149-150
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 菅 武雄
    2003 年47 巻1 号 p. 151-152
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 秀典
    2003 年47 巻1 号 p. 153-154
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
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  • 前川 賢治
    2003 年47 巻1 号 p. 155-156
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 今村 義治
    2003 年47 巻1 号 p. 157-158
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/08/10
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  • 2003 年47 巻1 号 p. 166
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/08/10
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