目的: 実験的咬合干渉が, ストレスとして脳内で認知されるかを明らかにすることを目的とした.
方法: 実験には, 生後11週齢の雄性Wistarラットを用い, 金網拘束ケージ内に, 30分間拘束した拘束群 (6匹), 同ケージに水を入れ腹部が浸かる水位で30分間拘束した水拘束群 (6匹), 右側上顎大臼歯部に高さ1.0mmの干渉を付与した干渉群 (6匹), および対照群 (6匹) とした. 拘束, 水拘束群はストレス付与開始後60分に, 干渉群は干渉付与24時間後に採血し, 生化学的観察として全群同時間帯における血中コルチコステロン濃度を分析し, 分子組織学的観察として
In situ hybridization法にて, 脳内c-fos mRNA陽性細胞を扁桃体, 梨状葉皮質, 海馬, 帯状回皮質, 視床下部室傍核, 青斑核, 大縫線核, 中心灰白質で観察した.
結果: 実験的咬合干渉は, 拘束ストレス2群と比較して脳内c-fos mRNA陽性細胞の発現の程度は異なるが, すべての観察部位において発現を認めた. また, 干渉群の扁桃体, 梨状葉皮質では左右半球差を認めた. 血中コルチコステロン濃度は, 水拘束, 拘束, 干渉, 対照群の順で高値を示した.
結論: ラッフへの実験的咬合干渉の付与は, 明らかにストレスとして脳内および生体で認知, 応答され, また, 身体および精神的要因をもったストレス応答であった.
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