目的: 有床義歯の咬合採得に用いられる咬合床は, 口腔内環境で安定し, さらに, 十分な機械歯強度を有することが必要である. また, 咬合堤を支える基礎床は, 顎堤への適合性も良好でなければならない. そこで, 臨床で用いられている光重合レジンに着目し, 基礎床専用の光重合レジンを試作し, その機械的強度や適合性などを, 常温重合レジンと比較検討した.
方法: 基礎床用光重合レジン (SBPL-S3) と常温重合レジン (オストロンII, ユニファストII) を用い, 3点曲げ試験, 衝撃破壊試験接着試験適合試験を行った.
結果: 3点曲げ試験の結果では, 光重合レジンは40.9MPaの曲げ強さを示したが, ユニファストIIより小さい値であった. 衝撃破壊試験では, 光重合レジンは2.81KJ/m2, オストロンIIは2, 35KJ/m2であり同程度の破壊強さであった。接着試験では, 光重合レジン間にコンポジットプライマーを使用し, 24時間後に測定したものが他のものより接着強さが強く5.25MPaであった. 適合試験の結果では, 光重合レジンは最大0.20mm, オストロンIIは0.15mmの間隙量を示したが, 光重合レジンとオストロンII間, 加圧後の放置時間では, いずれも有意差は認められなかった.
結論: 試作光重合レジンは. 基礎床用材料としての臨床応用可能な物性を有することが確認された.
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