日本赤十字看護学会誌
Online ISSN : 2433-3425
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最新号
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原著
  • 阿部 利恵
    2025 年 26 巻 1 号 p. 22-31
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー

    目的:透析施設において「終末期ケアを語る会」を展開し,参加者の変化を明らかにする.

    方法:アクションリサーチの方法を用い,参加者が安心して透析患者の死をめぐる経験について語り合う場としての「終末期ケアを語る会」の開催をアクションとして16回実施した.

    結果:自分の気持ちや考えを話す機会のない日常に気付く,事前指示書の取り組みの難しさから日常的なかかわりの大切さに気付く,透析患者の死を見据えたケアにおける感情を吐露し共有する,これまでの慣例を超えて支えあう組織へと変化する,終末期ケアについて相談し合う場を自分たちで続けようと模索するという5つの変化が見出された.

    考察:安心して語り合える場を組織の中で育むことにより,日常的なケアの延長線上に終末期ケアがあることへの気付きと,医師中心の固定化された組織から主体的なケアを協働で実践する組織へと変化する可能性が示唆された.

研究報告
  • 髙橋 のどか
    2025 年 26 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,急性期の脊髄損傷患者を看護する看護師の感情体験を明らかにすることである.急性期混合病棟で脊髄損傷患者の看護経験がある看護師5名に半構成的面接調査を実施した.

    データ分析の結果,脊髄損傷という疾患の特異性及び急性期混合病棟の特徴を背景とする感情体験として,7つのカテゴリが抽出された.看護師は脊髄を損傷した【患者の今後を見据え踏み込んだかかわりを躊躇う】が,【入院生活の中で垣間見る患者のプラスの変化により患者への志向が高まる】という感情体験により,同情から共感へとプロセスを経て援助関係の構築に至ることが推察された.また,急性期混合病棟で【多重業務に起因する不全感は割り切らざるを得ない】という対処行動をとっており,ネガティブな感情に対して無意識下で看護師自身の感情や認識を変容する方略を用いていることが推察された.看護師が自身の感情や思考パターンを知ることが必要である.

資料
  • 鬼頭 幸子
    2025 年 26 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,看護補助者への業務の委任における看護師の判断に関する国内外の文献を検討し,判断の特徴と日本における今後の課題を明らかにすることを目的とした.医学中央雑誌Web版(Ver.5),CINAHL, MEDLINE, PubMedを用いて期間は限定せずに検索を行い,基準を満たした文献は計16件(日本7件,国外9件)であった.看護師の判断は,委任の適否に関する判断,委任業務の選定に関する判断,委任に関する看護補助者とのかかわりに関する判断,委任した業務の責任の所在に関する判断,の4つに大別された.看護師の判断の内容は多岐にわたり,専門的判断の必要性や患者の利益,安全性を考慮して行われていた.

    今後は,研究対象を広げ,委任の一連のプロセスにおける看護師の判断を明らかにする必要がある.

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