日本赤十字看護学会誌
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最新号
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原著
  • 安島 幹子
    2026 年27 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/01
    ジャーナル フリー

    目的:実習を通して,看護学生が患者の病いを理解する経験を明らかにする.

    方法:基礎看護学実習後,一つ以上の実習を終えた看護系大学の看護学生7名を対象とした,半構造化面接法を用いた質的記述的研究である.

    結果:看護学生が患者の病いを理解する経験として,4つの大テーマ【関わりを積み重ね,見えていない面があることに,ハッとする】,【想像を超える反応に驚き,相手の立場で考えようとする】,【表情や言動,置かれた状況を読み取り,語られない思いを想像しようとする】,【ベッドサイドに行き続け,相手の真意に近づこうとする】が導き出された.

    考察:看護学生が患者との関わりに困惑した局面に立たされることは,患者の病いに着目する契機となっていたが,傷つき,無力感が生じることもあった.患者の病いを理解する過程では,看護学生のこころの動きを見逃さずに関わることが重要だと考えられた.

  • 清水 美代子, 百田 武司, 野口 眞弓, 鎌倉 やよい
    2026 年27 巻1 号 p. 44-54
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    目的:高齢近親者の介護を担う就労者の仕事と介護役割間の葛藤に関連する要因を産業看護職者がアセスメントするための指標を開発する.

    方法:文献等から選定した指標案76項目の内容妥当性を検討した.その結果(69項目)を用いて就労介護者を対象とした質問紙調査を行い,543部を回収し(回収率41.1%),419部を分析対象として構成概念妥当性,内的整合性,併存妥当性を確認した.

    結果:指標は〖精神的・身体的圧迫〗,〖職場の理解〗,〖被介護者の認知症〗,〖家族のサポート〗,〖被介護者の病状〗,〖介護者の価値観〗,〖制度・サービス〗の7因子38項目から構成された.適合度はGFI=.822,RMSEA=.060,α係数は.883であり,併存妥当性は各尺度で有意な相関があった.

    結論:仕事と介護役割間の葛藤に関連する要因をアセスメントする指標として,実践で活用できることが示唆された.

研究報告
  • 酒井 志保
    2026 年27 巻1 号 p. 12-21
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    目的:2022年度改正カリキュラム下における学生が初めて学ぶ看護過程の授業の実態を明らかにする.

    方法:全国の看護師養成施設816校の教員を対象に,郵送による質問紙調査を実施した.有効回答数は344校(回収率42.2%)であった.単純集計に加え,授業内容の重みづけおよび教授活動自己評価尺度を統計的に比較した.自由記述はテキストマイニングで分析した.

    結果:授業は講義,演習,紙上事例など複数の形態を組み合わせて実施されており,304校(88.4%)がアクティブラーニングを導入していた.授業内容は“アセスメント”や“全体像の把握”を特に重視していた.教授活動の自己評価は中高得点領域で,授業準備や知識伝達が高得点であった.自由記述からは学生の理解度に応じた個別対応や他科目との連携の工夫がみられた一方で,教授の難しさや教員支援の不足も示された.

    結論:教員は多様な教授法を取り入れ,特に実践的側面の習得を促している.教員支援体制や学習支援の充実が今後の課題である.

  • 梅野 華乃子, 糸川 紅子
    2026 年27 巻1 号 p. 73-82
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,看護学生における終末期看護に対する学習意欲の関連要因を明らかにした.看護系大学3年生103名に回答を求め,48名から回答を得た(回収率:46.6%).看護学生の終末期看護に対する学習意欲は,「死」をテーマとしたテレビドラマや映画などの視聴・小説や漫画を読んだ経験,中学校での教育経験との関連が認められた.また,ノンフィクションの補助教材へ好ましさを感じている一方,学習に伴う心的負荷を懸念するために臨場感の少ない教材で学びたいとの声もあった.終末期看護に関する授業において「死」をテーマとした資料に触れた経験を問う事は,終末期看護に関する講義への関心を高めるための導入として有用であると考えられる.また一部の学生にとっては臨場感に溢れる補助教材が精神的な負荷を生じさせる可能性を考慮しつつ,学生の学習機会を高める補助教材を選択することが求められる.

  • 池田 圭子
    2026 年27 巻1 号 p. 83-91
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/15
    ジャーナル フリー

    目的:糖尿病性腎症を原疾患とする維持期にある透析患者の経験を,生活の調整や工夫に焦点を当てて当事者の語りから明らかにする.方法:透析導入後1年以上経過した維持期にある5名に半構造化インタビューを行い質的記述的に分析した.結果:参加者は症状や出来事を手がかりに身体反応や限界を捉え【症状や出来事をきっかけに自身の身体がわかる】経験をしていた.また,同病者の変化や会話を将来の自分と重ね,生活の工夫や役割調整につながる【同病者や社会との関わりを通して生活を調整する】経験をしていた.さらに,慣れたこと・慣れないことがある中で変動に応じて調整し,気にしすぎず無理のない範囲を探る【慣れたことと慣れないことがありながらも自分なりに生活を続ける】経験がみられた.結論:維持期においても突発的な出来事や症状と隣り合わせの日常を送り,ほどよい加減で無理のない形で生活を続けていることを理解し,尊重する支援が求められる.

資料
  • 山本 孝治, 種村 智香, 布谷 麻耶
    2026 年27 巻1 号 p. 22-33
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,国内文献を対象にした文献レビューを実施し,アプリを活用した看護支援の実状とアプリの仕様・機能設定,課題を明らかにすることを目的とした.

    方法:医中誌Web,CiNii Researchを用いた文献検索を行い,本テーマに即した22件について検討した.

    結果:アプリを用いた看護支援として,セルフケア支援,症状モニタリング・マネジメント支援,医療職者間でのデータ共有など多様であった.アプリの仕様・機能設定として,患者が入力したデータに適時フィードバックする設定などがあった.課題として,マンパワーと通信費用の問題,表示画面の見えづらさや入力負担の大きさなどが抽出された.

    考察:患者と看護師の双方向性のやり取りが可能な機能設定は,患者の状態把握や個に即した看護支援に有用であると考えられた.文字の大きさや目的に応じた入力項目を選別し,簡便で実用性の高いアプリを活用することで,より有用性が高まると考える.

  • 高橋 理佳, 志賀 加奈子, 尾栢 みどり
    2026 年27 巻1 号 p. 34-43
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    国内における助産師の就業継続の背景要因について,先行研究を通し明らかにすることを目的として文献レビューを行った.文献検索の結果,22件を対象として,マトリックス表で整理し,助産師の就業継続を左右する背景要因を抽出しコードを付けた.次に,経験年数区分の分析結果をもとに経験年数を3つに分類した.カテゴリーは合計18個抽出され,1~3年目および11年以上は11個,4~10年目は7個であった.本研究の結果,【職場内の人間関係】と【助産師としてのアイデンティティ】は経験年数にかかわらず助産師の就業継続を左右する背景要因であることが明らかとなった.また,経験年数にかかわらず共通している就業継続の背景要因がある一方,その経験年数特有の背景要因も抽出された.これらの結果から,助産師の就業継続には,経験年数に合った支援を検討する必要性が示唆された.

  • 鈴木 香苗
    2026 年27 巻1 号 p. 55-62
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    有害事象による治療延期を経験した切除不能な進行・再発大腸がん患者のレジリエンスの様相を明らかにすることを目的とした.がん診療連携拠点病院で化学療法を継続する患者6名(男性,平均63.2歳)を対象に半構造化面接を行った.分析にあたっては,レジリエンスを〈認知的枠組みの転換〉〈主体的行動による適応〉〈支援的資源の活用〉という3つの側面から捉える操作的定義を事前に設定し,その枠組みに沿って質的帰納的に検討した.その結果,対象者のレジリエンスの様相として8つのカテゴリーが抽出された.各側面の内容は【治療の困難を現実として受容し,気持ちを切り替える】【経験に基づき有害事象の症状を予測し,対処する】【医療者との信頼関係を築き,治療に参画する】等であった.本研究で明らかになった8つのレジリエンスの様相は,現在の患者を理解し,支援を考案する上で有用な示唆を与えるものである.

実践報告
  • 木村 愛, 藤川 あや, 永井 健太, 角田 紘子
    2026 年27 巻1 号 p. 63-72
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,保健・医療・福祉部門を組み合わせて行った地域看護学領域の統合実習において,学生が各部門で得る学びの内容と特徴を明らかにするとともに,それらの学びが実習全体を通してどのように統合されるのかを明らかにすることを目的とした.方法は,2024年度にA大学B学部の地域看護学統合実習を履修した4年次学生12名が提出した実習記録物を対象に,KH Coderを用いて語句の頻度分析,共起ネットワーク分析,各部門を外部変数とした対応分析を行った.頻出語上位には「人」「生活」「支援」「地域」などが抽出された.対応分析では,保健では介護予防や住民活動に関する語,医療では入退院支援に関する語,福祉では居場所や社会参加に関する語が特徴的であった.共起ネットワーク分析では,対象者理解と対話,住民協働,資源創造など,8つのサブグラフが得られ,各部門での学びは地域包括ケアにおける看護の役割として統合されていた.

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