蘇生
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16 巻, 1 号
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  • 岡田 和夫
    1997 年 16 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 米倉 義晴
    1997 年 16 巻 1 号 p. 10-13
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    超短寿命のポジトロン核種を用いるポジトロン断層撮影 (PET) は, 神経活動にともなう脳の血流や代謝の変化を高感度で描出することを可能にした。血流遮断にともなう酸素供給の途絶は直ちに好気的な糖代謝の障害をもたらし, ニューロンの機能障害から非可逆的な細胞死にいたる経過をたどる。その予後は血流障害の程度と持続時間によって規定されるが, さらに遅発性のニューロンの脱落がこれに加わる。一方, 機能障害に陥った脳の回復については, 血流とエネルギー代謝の変化から脳機能の可塑性を探る方法が注目されている。PETを中心とした非侵襲的機能画像法が明らかにし始めた脳機能に関するこれらの成果について紹介する。
  • 片山 容一, 大島 秀規, 須磨 健, 高畑 哲也, 越永 守道
    1997 年 16 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    生後の神経細胞は一旦脱落すると再生されることはない。したがって重症脳外傷や脳虚血あるいは低酸素症などによる脳損傷の従来の治療には限界がある。この限界を克服するため, 著者らは神経細胞移植を一般的な治療法として確立することを目的とした実験を行ってきた。著者らの移植方法は, 胎児の神経細胞をce11-suspensionとして凍結保存しておき, これを解凍して定位的に脳内へ注入するもので, きわめて高い生着率が得られている。本稿では, 脳虚血により錐体細胞が脱落したラット海馬において, 胎児の海馬細胞を移植するとどのように神経回路が再構築されるかを検討した一連の実験を概括的に報告した。
  • 安田 善一, 竹内 健二, 柳本 政浩, 高倉 康, 杉浦 良啓, 後藤 幸生, 藤林 哲男
    1997 年 16 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    外傷性および血管性脳損傷患者の心拍変動スペクトル解析を最大エントロピー法を用いて行い, その解析結果と転帰との関係を検討した。死亡例では軽快例に比べて, 全体的にスペクトルのピークが小さくて数も少なく, totalパワー値が減少していた。周波数の区域別に見ると, 死亡例ではLFパワー値 (低周波数成分) が小さく, HFパワー値 (高周波数成分) は大きく, LF/HF値は低下していた。また死亡例では, スペクトルの負の傾きが減少していた。心拍変動スペクトル解析は, 脳損傷患者の重症度および予後を判定するうえで有用なモニターのひとつであると思われた。
  • 松田 富雄, 川口 秀二, 松田 知之, 小柳 覺, 有山 淳, 青野 允
    1997 年 16 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    心肺蘇生法の講義のみを履修した医学生がどの程度の一次救命処置を実施できるかをシミュレータを用いて評価した。4学年時に心肺蘇生法の講義を1時限 (50分) のみ履修した金沢医科大学医学部5学年96名を対象とした。
    正常モード (声に反応して開眼, 呼吸性腹璧運動, 脈拍触知) に設定したマイコン制御の心肺蘇生用シミュレータに対し, 医学生がどのように対応するかを観察・評価した。意識の有無の評価, 救援の依頼, 呼吸・心拍の観察・判断・処置を評価項目とした。その結果, 42名 (43.8%) が心肺停止状態と誤認し, すべてを正しく観察・判断できた学生はわずか6名 (6.2%) であった。心肺蘇生教育をより効果的に実施するためには, プライマリ・ケアによって患者の観察, 病態の把握を徹底して教育することが重要と考える。
  • ―フレカイニド投与下のリドカインとメキシレチン―
    今川 直哉, 佐藤 重仁
    1997 年 16 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    抗不整脈薬を内服中の患者の死亡率が高くなる一因として, 抗不整脈薬の催不整脈作用のため, 心室細動 (VF) が誘発されると治療に抵抗性を示す可能性が示唆されている。患者がVFを示した場合, リドカイン (L) やメキシレチン (M) が投与されるので, フレカイニド (F) の血中濃度を一定に維持し, LあるいはMを累積投与した場合の細動誘発エネルギー (FIE) , 除細動域値 (DFT) の変化を検討した。FIEはF投与後に上昇し, LとMの血中濃度上昇に従い, さらに上昇した。DFTはF投与後に上昇したが, LとM投与後の血中濃度との間に相関性はなかった。本実験より, F内服中の患者に発生した心室性不整脈にLあるいはMを投与する場合, DFTが上昇し除細動が困難になる可能性は少ないと思われる。
  • 中川 隆雄, 横山 利光, 須賀 弘泰, 西浦 輝浩, 伊藤 敏孝, 長谷川 保弘, 津田 武嗣, 村岡 隆介
    1997 年 16 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    救急室搬入前後に心肺停止に陥った外傷患者5人, 絞扼性イレウス患者1人の計6人にたいし, 蘇生を目的とした救急室での開腹術を行った。全患者において心拍は再開し, 3人は血圧回復後ICUに収容し, 絞扼性イレウスの1人を救命することができ, 本手技の意義を認めた。蘇生を目的とした救急室での開腹術の適応としては, 1) 腹部外傷に起因した出血性ショック, 心肺停止, 2) 臨床所見より急性心肺停止の原因が腹腔内にあると考えられる場合, 3) 手術室までの移送に要する数分間が救命の可能性を失わせると考えられた場合, が挙げられる。この場合, 救急室には十分な救急医療スタッフと開腹セットが揃っていることが前提である。
  • 上田 聡子, 松本 聡, 国広 充, 河田 竜一, 松本 美志也, 中木村 和彦, 坂部 武史
    1997 年 16 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    生体腎移植後早期に心筋梗塞を併発した症例を経験した。症例は43歳男性で, 母親をドナーとする生体腎移植術を施行された。術前に虚血性心疾患を疑う所見は認めなかった。手術前夜と当日朝の免疫抑制薬投与後に悪心, 嘔吐, 胸痛をきたしたが, 免疫抑制薬の副作用と考えられた。患者は手術室入室時にも悪心, 嘔吐, 胸痛を訴え, 心電図上ST低下を認めた。しかし, ドナーはすでに執刀されていたこともあり, ニトログリセリン, ドパミンを持続投与しながら手術を施行した。術中呼吸・循環は安定していた。術後2日目に再び胸痛, 呼吸困難, ST低下を認め, 翌日の心エコー検査で下壁梗塞と診断した。冠動脈造影で3枝病変が確認され, 術前から病変は存在していたと考えられた。本症例では49日後冠動脈バイパス術が無事施行できたが, すくなくとも術前に虚血性心疾患を疑ってもう少し慎重な検査が必要であったと考える。
  • 松木 明知
    1997 年 16 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    集中治療は多数を対象とする医療というより個人を対象とする医療である。したがって一般原則的な治療を個人の治療に応用する時には, 大きな誤りを犯すことがある。西洋でもStephanusの予言がこのことを示唆している。
    医師が患者の容態についての正確な情報と医療方針を少なくとも事態を理解できる複数の家族に繰り返し説明すれば, 問題はほとんど起こらないと思う。
    どうしてもガイドラインが必要であるならば, それは治療方針の大網を記す数項目だけで十分である。詳細なガイドラインを作り, それに固執すればかえって杓子定規的な, 役所仕事的と批判される可能性がある。
  • ―患者の立場から―
    植田 〓佐
    1997 年 16 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    筆者は医師であるが, 患者としてDonot resuscitate (DNR) を切望する。日本でDNRが困難なのは, 多くの医師にとって患者の死が敗北であると認識することに起因している。この敗北感は日本独特の歴史, 文化, 教育に深く根付いている。しかしすべての医師が死を敗北と考えるわけではない。したがって, 医師が自分の死生観を含む治療方針を公表し, 患者がそれを選択できる開かれた医療が実現できれば, DNRも可能になる。
  • 成田 薫
    1997 年 16 巻 1 号 p. 50-51
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 橋本 悟, 柳本 政浩, 丸川 征四郎
    1997 年 16 巻 1 号 p. 52-54
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    第15回日本蘇生学会において開催されたワークショップ「インターネットによる医療情報交換」について報告する。今回は会場と全国の7つの麻酔, 集中治療の施設をインターネットで結び, 各施設の代表者がワークショップでの症例検討会に参加するという形式でデモンストレーションを行った。ワークショップに先立ち, メーリングリストを開設し事前に十分な検討準備を行ったが, 本番当日にインターネット接続に難渋し症例検討は行えなかった。しかしながらCUSeeMeを使ったビデオ会議, 電子メールの取り扱い, 初心者向けのホームページ検索指導などを行い会員を啓蒙しえた。
  • ―ワークショップの企画・準備・実際―
    柳本 政浩, 長谷川 公一, 木下 義和, 後藤 幸生
    1997 年 16 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 1997/04/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    インターネットを会場に実際に敷設して, インターネットを利用したワークショップを企画・運営した。インターネットのインフラストラクチャの整備が進んだ今, 高度な知識や高価なハードを必要とせずに, 蘇生の現場にいかに応用していくかを, 現時点で行われていることやテレビ会議等の可能性を含めワークショップに盛り込んだ。企画してから実際に行うまでの一年の間にも情報通信分野は急速に進歩しており, 柔軟な対応が必要であった。インターネットを学術総会に利用する場合は, 時間の問題やトラブルに対する対応を十分に検討しておかなければならない。また, インターネットで学術総会に参加する場合の参加基準等の問題が早急に解決の迫られる課題として指摘された。
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