カフ付き経口エアウエイ (COPA) が有用であった咽頭部大量出血を経験した。患者は舌癌手術後1年経過した57歳の女性で, 咽頭部違和感を自覚し入院検査となった当日, 病室で会話中に突然咽頭部から出血した。意識レベル低下と誤嚥がみられ, 緊急全身麻酔下に気管切開術および止血術が予定された。麻酔導入時, 著しい出血と開口制限のために気管内挿管不能で, 直ちにCOPAを挿入し, これを介して換気を行った。幸い, COPAのカブで圧迫止血がなされ, 全身麻酔下に気管切開術および止血術が終了した。出血は1, 000mlに及び, 原因は舌癌の咽頭転移による血管破裂であった。COPAは, 舌根・咽頭部などからの出血に対し, 気道確保と圧迫止血が同時に期待でき, このような症例に対しては良い適応がある。
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