蘇生
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25 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 坂部 武史
    2006 年 25 巻 2 号 p. 84-87
    発行日: 2006/07/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    日本蘇生学会は, 蘇生学の進歩と普及をはかり, 学術文化の発展に寄与することを目的に, 1982年に創立された。蘇生学研究の推進, 人材の育成, 救急医療体制の充実, 心肺蘇生法の一般社会への普及などが重要な事業である。最近では, 救急救命士の業務拡大や, 一般人による救急蘇生, 自動体外式除細動器の使用許可などの流れが見られる。学会としてこれらの安全な普及に力を入れる必要がある。また, このような新制度発足後の事後検証業務にも積極的に関わっていく必要がある。学会の発展には若い医師の参加が必須である。ACLSコースや, その他の技術講習会を積極的に取り入れ, 一方で, 救急救命士との共同企画の充実をはかっていくことが重要である。
  • 内野 博之, 諸田 沙織, 牛島 一男, Chen Li, 高橋 俊明, 池田 幸穂, 石井 脩夫, 工藤 佳久, 芝崎 太
    2006 年 25 巻 2 号 p. 88-99
    発行日: 2006/07/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    脳神経細胞死のメカニズムは長年に亘る神経科学分野の課題である。これまでは, グルタミン酸―Ca2+仮説がその中核をなすと考えられてきた。近年, 免疫抑制剤の脳保護作用からカルシニューリンとミトコンドリア内に存在するイムノフィリンが重要な役割を担っていることが判明した。イムノフィリンはミトコンドリア内膜にMPT (Mitochondrial Permeability Transition) と呼ばれる現象を誘発し, ミトコンドリア機能不全を惹起する。本稿では虚血性神経細胞死のメカニズムについて概略を述べる。
  • 盖 雪峰, 瀧 健治
    2006 年 25 巻 2 号 p. 100-103
    発行日: 2006/07/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    当救急部へ搬入されたCPAOA患者の65人の患者家族に電話インタビュー方式で (1) 心停止直後のbystander CPRの有無 (2) 搬送時の救命処置の有無 (3) 救急医療への満足感を調査した。
    患者家族によるbystander CPRはわずか29%にしか施行されていなかった。救急車内での救急隊員によるCPRや酸素投与の意味を認識していたのは, わずかな患者家族にすぎなかった。行われた救命処置は68%の患者家族に満足されていたが, 「不満足」を訴える患者家族は救命処置の意味を認識していなかった。
    このように, 患者家族が救急処置の意味を知らないことは救急医療体制の障害にもなる。メディカルコントロール (MC) は救命士の病院前救護活動のみに留まらず, 患者家族への対応法や一般市民へのCPR教育を課題とすべきである。
  • 楠 真二, 河本 昌志, 弓削 孟文
    2006 年 25 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 2006/07/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    スニッフィングポジション, セリック法, BURP法に関する当施設の麻酔科医の認識を調査した。それぞれの施行方法の正答率 (%) は95, 50, 35であった。また, 模型を用いてセリック法の圧迫の強さ (kg, mean±SD) を計測し, 右手4.2±1.9, 左手4.5±2.0, 男性4.2±2.1, 女性4.5±1.6と左右差, 性差を認めなかった。検討した3手技は救急救命士による気管挿管の際にも介助手技として行われるが, 特にセリック法とBURP法は混同されやすく, 麻酔科医にも知識の混乱が認められた。いずれの手技も正しく施行されない場合には挿管操作の妨げとなる可能性があり, 正しい知識と技術を身につける必要がある。
  • 明星 康裕, 遠山 一喜
    2006 年 25 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 2006/07/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    重症熱中症である熱射病は, 緊急性が極めて高く初期治療が生命予後に大きく関与する。今回, 経過と予後に大きな違いがみられた2症例を経験した。1例は18歳男性の労作性熱射病であった。早期にDIC, 横紋筋融解症, 肝機能障害を生じ, 後遺症として小脳症状, 構音障害が残った。もう1例は16歳男性で野球部の部活動中の労作性熱射病であった。現場で全身冷却が直ぐに開始されていた。来院時は, 横紋筋融解症, 肝機能障害がみられたが, 短時間で軽快し後遺症を残さず治癒できた。この2例の熱射病は条件が異なるため比較はできないが, 可能な限り早急に冷却と輸液を開始することが必要である。
  • 西山 友貴
    2006 年 25 巻 2 号 p. 114-117
    発行日: 2006/07/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    2か月の間に2度心停止にて救急搬送, 来院時には蘇生されていた症例を経験した。70歳, 男性, 心筋梗塞, 糖尿病, 不整脈の既往を有していた。2度とも家で意識障害で発見された。1回目は心房細動で意識は直ちに回復, 2回目は心室細動で徐細動を救急車内で行った。来院時には2回とも心房細動を呈していたが, 呼吸, 循環に問題はなかった。ホルター心電図で期外収縮多発, 発作性心房細動を認め, これが原因と考えられた。しかしその後症状はなく, 退院した。発作性心房細動によると思われる心停止, 意識障害が, 2度にわたり救急来院時, 蘇生されていた症例を経験した。1度は救急救命士による徐細動が有効だった。
  • 西山 純一, 長谷川 啓一郎, 吉野 利尋, 鈴木 利保
    2006 年 25 巻 2 号 p. 118-121
    発行日: 2006/07/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    東海大学医学部付属病院において, 2004年7月からの1年間に6名の救急救命士が気管挿管実習を行った。対象総患者数184名 (男性95名: 女性89名) , 平均年齢48.5±16.0歳, IC取得率約75%, 平均気管挿管成功率89.3±6.9%, 合併症発生率1.1% (口唇損傷2例) であった。気管挿管成功30例達成までの症例数は平均30.7±0.8例, 実習期間平均46.2±13, 4日という結果であり, 実習は約一ヶ月半の期間を必要とした。全員が実習を修了し, 認定登録を受けた。実習は重大な合併症の発生なく安全に行えたが, 実習システムは, 手技主体の指導になること, 規定症例数達成までの実習期間, 症例数に制限がなく, 実習参加が修了認定と同義となっていること, 実習が麻酔科医の献身性によってなりたっていること等の問題があり, 実習施設数の増加, 指導医の業務負担軽減, 行政等による広報他, いくつかの改善策が必要と考えられた。
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