温度変化は心臓の拡張機能に影響を及ぼし, 低温は弛緩過程を遅延させ, 高温は短縮させる。異なる温度で観察された左室圧一次微分最小値 (d
P/d
tmin) からの等容性弛緩左室圧曲線に対するハーフロジスティック (hL) 関数を用いた非線形回帰 (カーブフィット) は, 従来汎用されてきた単指数 (mE) 関数に比較し, 相関係数 (
r) は大きく, 残差平方平均 (RMS) は小さく, より良好な適合性がある。hL関数時定数 (
PτL) はmE関数時定数 (
PτE) と同様の温度依存性があり,
PτLは
PτEに比較しより適確な弛緩機能の指標になる。
PtEは低温では過大評価, 高温では過小評価される。
PτLは, 温度上昇あるいはd
P/d
tmin低下に伴いhL関数曲線的に減衰することが示唆される。
PτLの逆数の温度係数 (
Q10) 値は2.2である。温度変化にかかわらずhL関数はmE関数に比較し等容性弛緩左室圧曲線の弛緩機能を評価するより有用なモデルであり,
PτLは
PτEより信頼性の高い弛緩時定数である。
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