平成21年(2009年)7月17日に「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律」が公布されたことに伴い,15歳未満の小児の法的脳死判定及び臓器提供への途が開かれた。また臓器提供に係る意思表示のあり方も変更された。改正法の骨子は,1) 親族への優先提供が可能,2) 本人の生前の臓器提供の意思が存在しなくても,家族の承諾によって臓器提供が可能,3) 15歳未満の小児から臓器提供が可能,4) 虐待による事例は臓器提供者から除外する,である(表1)。平成22年7月17日(親族への優先提供については平成22年1月17日)をもって施行が開始された。
法律施行に先立って,厚生労働科学特別研究事業として,小児の脳死判定及び臓器提供等に関する調査研究班が組織され,その班員の一人として現状の問題点の整理と小児法的脳死判定基準の作成に関わった。本稿では,その経緯と小児法的脳死判定基準について概説する。
抄録全体を表示