2度の頸部からの大量出血に対し,止血術中の脳循環の指標に局所脳酸素飽和度(rSO
2)をモニターした。1度目の止血術で右総頸動脈を一時的にバルーンで閉塞した。閉塞後, rSO
2(%)は66/56(左/右)から63/42と右が低下し,再灌流後にほぼ前値に回復した。2度目の止血術では右総頸動脈を結紮した。結紮から濃厚赤血球液(4単位)の輸注までの間,晶質液(1500ml)とフェニレフリンで血圧を維持した。 rSO
2 は結紮前の65/55から49/48と左右とも低下し,輸血後に62/63と回復した。片側の総頸動脈の一時閉塞又は結紮時には厳密な血圧管理と貧血の回避が重要で,脳循環の指標にrSO
2は有用である。
抄録全体を表示