蘇生
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34 巻, 2 号
日本蘇生学会雑誌 34巻 2号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
総説
  • 松本 美志也, 石田 和慶, 歌田 浩二, 山下 敦生, 福井 健彦
    2015 年 34 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/10/16
    ジャーナル フリー
     中枢神経保護に関する基礎研究はこの数十年間精力的に行われてきたが,臨床現場への貢献は非常に限定的である。相次ぐ多施設共同研究の否定的結果は多くの研究者を落胆させている。しかし,中枢神経保護に関する基礎研究は着実に進歩している。本稿では,no-reflow 現象と脳循環,麻酔薬の中枢神経保護作用,グルタミン酸毒性,虚血耐性についてまとめた。動物実験の成果を臨床応用するのは容易ではない。しかし,少しまわり道のように思えるが,動物実験の段階で多施設共同研究を行うことで動物実験でのバイアスを減らすことが,結局は基礎研究の結果を臨床応用する近道かもしれない。
  • 加藤 愼
    2015 年 34 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/10/16
    ジャーナル フリー
     DNARについては,法整備も法解釈も不確定である。しかし,こうした法的検討の前提として,何よりもDNARという概念が法律関係者にきちんと理解されていない。そればかりでなく医療者の間ですら定義や内容が共有されているとは言い難い。こうした法律を整備するための前提となるべき定義付けが確立されていないことが法的課題の出発点である。 本稿では,DNARを「救命の可能性のない疾病末期の患者に,本人または家族の要望により,心肺蘇生術を行わないこと,あるいはそのことを関係する医療者に指示すること」と定義し,これについて現行の法制度,法解釈に照らした場合,どのような法的課題があるかを概括的に考察する。
  • 今村 聡
    2015 年 34 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/10/16
    ジャーナル フリー
     日本医師会は,東日本大震災に際して災害医療チームであるJMATを派遣し,またアメリカ軍や製薬団体等の協力により大量の医薬品を被災地に搬送するなどの対応を行った。さらに,主要な医療・保健・介護関係団体を取りまとめ「被災者健康支援連絡協議会」を立ち上げ,連携体制を構築した。また,震災後はJAXAとも協定を締結し,インターネットによる情報共有と連携策も進めている。 日本医師会は,2014年8月に災害対策基本法上の「指定公共機関」の指定を受け,さらに本年6月には中央防災会議の委員に,「被災者健康支援連絡協議会」の代表の立場で就任した。今後も,多様な関係者と連携して,南海トラフ巨大地震,首都直下型地震や東京オリンピック・パラリンピック時の集団災害等に備えた取り組みをさらに推進していく。
  • 箕岡 真子
    2015 年 34 巻 2 号 p. 82-86
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/10/16
    ジャーナル フリー
     現在,相当数の病院で日常的にDNAR指示が出されているが,DNAR指示のとらえ方が,医療者個人個人で異なっており,DNAR指示によってCPR以外の生命維持治療も制限されてしまい,実質的な延命治療の差し控え・中止となってしまっている可能性がある。そろそろ,DNAR指示に関する倫理的論点を明確にし,日本の医療現場におけるDNAR指示の実践についてのコンセンサスを得る時期がきている。アメリカと異なり,法的根拠となるDNAR法がない日本におけるDNAR指示を,倫理的に,より適切に実践するためには,医療の実践に従事する一人一人が,適切なプロセスで終末期の意思決定をするよう考えていかなければならない。
原著
  • 永田 明恵, 内藤 祐介, 田中 優, 井上 聡己, 安宅 一晃, 川口 昌彦
    2015 年 34 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/10/16
    ジャーナル フリー
     予期せぬ心停止とは主治医の判断する余命を大きく逸脱する心停止である。これらはヒューマンエラーにより発生しているものが含まれ,予防できる症例も存在する。当院における心停止を遡及的に調べたところ全死亡退院患者の5.8%で予期せぬ心停止を認めた。予期せぬ心停止は,一般病棟と集中治療部および平日/休日での発生頻度に差はなく,重症度や病棟特性に関わらず発生していた。予期せぬ心停止発症24時間以内に68%の患者が呼吸苦や倦怠感などを示しており,異常を覚知した段階での介入に課題があると考えられた。特に初期の覚知段階では,呼吸数など重要なパラメーターを収集していない症例も多く,明確な評価スケールの作成と運用が今後の課題であると考えられた。
  • 金谷 明浩, 山内 正憲, 江島 豊
    2015 年 34 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/10/16
    ジャーナル フリー
     本邦における麻酔器の異常や故障および誤操作の報告を,和文報告(19編22事例)および日本麻酔科学会ホームページ(17事例)を検索し,特徴と対応を検討した。従来のAPL弁の不具合,回路接続部のもれ・脱落等の麻酔器トラブルに加えて,近年は麻酔器の高性能化による電気系統の故障という新たなパターンの異常により,臨床現場で対応できない事例がしばしば存在していた。麻酔器により換気できない状況では超緊急事態としての行動が必要である。 麻酔器とは別経路の酸素供給の方法としてバックバルブマスクなどを手術室内に常備し,即座に使用できるように日頃から麻酔科医のみならず手術室スタッフで訓練し,不測の事態に備える必要がある。
症例報告
その他(レポート)
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