蘇生
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41 巻, 1 号
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総説
  • 丸川 征四郎, 金子 洋, 畑中 哲生, 長瀬 亜岐, 坂本 哲也
    原稿種別: 総説
    2022 年 41 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー

    ショックボタンを押すことなく自動的に電気ショックが行われるオートショック AEDが認可された。現時点での心肺蘇生教育は従来型AED、すなわち救助者がショッ クボタンを押すことによって電気ショックが行われるAEDを使用することを前提とし ている。このためオートショックAEDを使用する救助者が、存在しないショックボタ ンを探したり、感電事故を起こすことへの懸念から、オートショックAEDを示す識別 マークの活用や、オートショックAED使用法の訓練などの対策が課せられた。本論で はオートショックAEDの特性、導入経緯と対策などについて解説しつつ、AEDの音声 メッセージ等に従って行動することの重要性を強調した。

原著
  • Association between decorated room based onEffective Medical Creation (EMC) and stress level of nurses in intensive careunit.
    小川 裕貴, 井上 聡己, 奥田 千愛, 甲谷 太一, 武澤 恵理子, 惠川 淳二, 川口 昌彦
    2022 年 41 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/07/14
    ジャーナル フリー

    医療従事者のストレス軽減は医療の質を向上させる可能性がある。居心地良い環境はストレス軽減に効果的と考えられるが,集中治療室では様々な不快な感覚が生み出され,勤務者に多大なストレスを強いる。本施設ではEffective Medical Creation(EMC)に基づき集中治療室の1部屋を色彩学,心理学や空間構成に焦点を当て改装した。我々は,集中治療室に勤務した看護師延べ120人を対象として,改装部屋が一般部屋と比較し勤務者のストレスを軽減するか検討したが,唾液アミラーゼ,主観的ストレス度(VAS,NRS)に有意差はなかった。評価項目測定のタイミングやEMCに基づいた更なる改良の必要性が今後の検討課題である。

症例報告
  • 長倉 知輝, 関根 秀介, 齊木 巌, 沖田 綾乃, 岡田 寿郎, 内野 博之
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 41 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/07/14
    ジャーナル フリー

     軟口蓋裂を有するTreacher Collins Syndrome(以下TCS)女児に対して軟口蓋形成術が行われ手術室で抜管するも,上気道閉塞により再挿管となった。高度低酸素状態が20分続き徐脈に陥ったため,高度低酸素血症に伴う二次性脳傷害を回避すべく脳保護戦略として体温管理療法(Targeted Temperature Management;TTM)を実施し,Amplitude integrated EEG(以下aEEG)による持続脳波モニタリングを行った。経過は良好であり,神経学的異常は認められなかった。本症例におけるTTM及びTTM施行中の持続脳波モニタリングの有用性について報告する。

  • 山仲 貴之, 井上 聡己, 甲谷 太一, 内藤 祐介, 園部 奨太, 西和田 忠, 惠川 淳二, 川口 昌彦
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 41 巻 1 号 p. 16-19
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/07/14
    ジャーナル フリー

    症例は78歳男性。転落による第4頚椎から第7頚椎の外傷性脊髄損傷と診断され,緊急で後方固定術が施行された。術後は体位変換などで,一過性の血圧低下を認めていた。術後3日後,15日後,16日後,17日後に心停止を繰り返したため,バックアップ用ペースメーカの適応と考えられた。気管切開後の人工呼吸管理下での感染のリスクを考慮し,術後21日後リードレスペースメーカを留置した。その後,27日後徐脈によりペースメーカー調律が確認されたが心停止は起きず,術後34日目に転院した。リードレスペースメーカを留置することで,追加イベントは発生することなく,転院することができた。

  • 岡田 寿郎, 吉田 真一郎, 石田 裕介, 長倉 知輝, 沖田 綾乃, 関根 秀介, 内野 博之
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 41 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/07/14
    ジャーナル フリー

    敗血症性ショックに対するVA-ECMOの有用性については一定の見解を得ていない。今回,前立腺膿瘍による敗血症性ショックから頻回の心停止に陥った症例に対しVA-ECMOを導入し救命した症例を経験した。

     エンドトキシン吸着療法および持続血液濾過透析を開始し,VA-ECMOを導入し循環を維持した。導入2日目に脈圧の増大を確認し心収縮力の改善が見られたためドブタミンの少量投与を開始し,導入5日目に離脱した。

     本症例ではVA-ECMOによる循環維持,抗菌薬投与,腎代替療法を行い,心筋障害の改善が得られた。敗血症性ショックにおいて経過,感染巣,基礎疾患によりVA-ECMOは選択され得る治療の一つと考える。

  • 森岡 智之, 若松 弘也, 竹内 暢, 亀谷 悠介, 白源 清貴, 太田 啓介, 弘中 秀治, 松本 美志也
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 41 巻 1 号 p. 26-
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/07/14
    ジャーナル フリー

    全身性エリテマトーデス(SLE),ループス腎炎患者の生体腎移植後にくも膜下出血(SAH),たこつぼ症候群を合併した症例を経験した。症例は50歳代女性。SLE,ループス腎炎と診断され,血液透析導入後に生体腎移植術が施行された。術後9日目にSAH,たこつぼ症候群を発症した。それぞれの病態を考慮し,厳密な循環や呼吸の管理により,神経学的後遺症を残すことなく退院することができた。

     SLEにSAHを合併する頻度は一般集団よりも高く,発症した場合の予後は悪い。SLE合併患者に腎移植術を予定する場合には,脳血管障害併発のリスクが通常より高いことを患者・家族に十分説明し,術前に脳血管の精査を行うことが望ましい。

レポート
  • 竹井 豊, 米田 宏希, 松林 大司, 長谷川 恵, 安達 哲浩, 外山 元, 西 大樹, 大松 健太郎
    2022 年 41 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/07/14
    ジャーナル フリー

    【目的】救急隊員の病院連絡に関するトレーニングツールの製作とその効果を検証した。【方法】被検者が実際の救急現場活動を疑似体験し,臨床推論し,病院に連絡するといった「病院連絡トレーニング」Webアプリケーションを製作し,救急救命士の資格取得を目指す大学の3年次学生52名を対象として本トレーニングツールの効果をアンケート調査により検証した。【結果】本アプリケーションの使用では,「伝達スキル」よりも「知識」の修得により高い効果を感じ,ファシリテーターが「フィードバックしてくれたこと」や「I-SBAR-CやMISTなどの順序で伝えるトレーニングを繰り返したこと」が,病院連絡に関する伝達スキルの向上に高い影響を与えたと感じた被験者が多い傾向を示した。【結論】本トレーニングツールは,被験者の学習意欲に一定の影響を与えたものと考えられる。

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