日本鼻科学会会誌
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50 巻 , 4 号
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原著
  • 竹田 和正, 竹野 幸夫, 西 康行, 石野 岳志, 平川 勝洋
    2011 年 50 巻 4 号 p. 437-444
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/16
    ジャーナル フリー
    対象: 対象は2004年10月から2006年9月までに, 当科で上記治療を行った20症例を対象とし, 好酸球性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術後のプロピオン酸ベクロメタゾン (BDP) 高用量鼻腔内投与療法の効果を検討した。治療効果は副鼻腔粘膜の内視鏡所見とCT所見をスコア化して検討した。また, 採取した粘膜に対してグルココルチコイドレセプター (GR) のアイソフォームであるGRαとGRβの定性的観察を行った。
    結果: 症例全体 (20症例, 39側) では, 術後の粘膜病変の内視鏡所見は, 喘息合併群では非合併群に比較して, 有意に不良であった。続いて全副鼻腔の粘膜病変のCT所見は, 症例全体ではCTスコアの平均は9.4から3.2と有意な改善を認め, 術後のCTスコアの合計は喘息合併群において平均値が3.9, 非合併群では2.1で, 有意に喘息合併群が不良であった。また, 粘膜の免疫染色では, 篩骨洞粘膜の炎症細胞にGRβの発現が強い傾向が見られた。
    まとめ: 以上の結果より, 好酸球性副鼻腔炎の内視鏡下副鼻腔手術後のBDP高用量鼻腔内投与療法は, 有用な治療法であることがわかった。気管支喘息合併群は非合併群に比べ有意に治療効果が不良であり, なんらかの追加治療が必要であると考えられた。
  • 西池 季隆, 宮部 淳二, 長谷川 太郎, 識名 崇, 太田 有美, 宇野 敦彦, 猪原 秀典
    2011 年 50 巻 4 号 p. 445-450
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/16
    ジャーナル フリー
    軟骨肉腫は頭頸部に発生することは非常に珍しく, 全軟骨肉腫に占める頭頸部の軟骨肉腫は10%である。我々は鼻中隔に発生した軟骨肉腫の1例を経験した。症例は71歳女性で, 主訴は右鼻閉であった。近医で生検を行われ, 病理標本の診断結果はGrade Iの軟骨肉腫であった。CT像では, 鼻中隔後方正中に一部石灰化を伴う4cm大の腫瘍が存在した。腫瘍は蝶形骨洞前壁・下壁に浸潤していたが, 頭蓋内浸潤を認めなかったために内視鏡下に腫瘍切除を行った。現在術後2年が経過するが, 再発は認めない。組織学的にgradeが低く, 頭蓋底あるいは頭蓋内への浸潤のない軟骨肉腫に対しては, 内視鏡下切除は良い適応であると考えられる。
  • 吉川 沙耶花, 澤津橋 基広, 村上 大輔, 藤 翠, 橋本 和樹, 小宗 静男
    2011 年 50 巻 4 号 p. 451-457
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/16
    ジャーナル フリー
    鼻・副鼻腔腫瘍, 頭頸部腫瘍に対する重粒子線治療後の重大な合併症に関する報告は少ない。今回, 重粒子線治療後に様々な合併症を来した鼻腔悪性黒色腫の一例を経験した。症例は70歳男性, 鼻出血と左鼻閉を主訴に来院した。左鼻腔より鼻中隔を超えて右鼻腔に突出する白色腫瘤を認め, 組織診で悪性黒色腫と診断された。Magnetic resonance imaging (MRI) では, 左鼻腔から上咽頭に突出する, T1強調にて軽度高信号, T2強調にて軽度低信号を呈する腫瘤を認めた。18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography (FDG-PET) では, 鼻腔後部から左咽頭の腫瘤を中心に, 左上顎, 左耳下部, 左顎下部に高集積を認めた。重粒子線治療の適応と判断し, 兵庫県立粒子線医療センターにて重粒子線治療を行った。照射線量は, 原発巣に60.8GyE/16 fractions, 左頸部リンパ節に56GyE/8 fractionsであった。治療後, 原発巣ではCR (complete response), 左頸部リンパ節ではPR (partial response) を得た。一方, 治療2カ月後から2年間にわたり, 壊死により引き起こされたと考えられる様々な早期および晩期有害事象 (口内炎, 鼻出血, 副鼻腔炎, 眼窩内膿瘍) を経験したので報告する。
  • 西川 仁, 日高 浩史, 石田 英一
    2011 年 50 巻 4 号 p. 458-464
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/16
    ジャーナル フリー
    鼻副鼻腔内反性乳頭腫の術前診断意義と, 治療後再発症例の検討のため, 術前診断・再発部位・再発期間・再発診断手段を調べた。
    2000~2008年に磐城共立病院で手術を行い, 病理学的に内反性乳頭腫と診断された31症例を対象とした。術前生検で乳頭腫と診断された (group A) のは17例 (55%), 残り14例は術前診断の異なる群で, 術後腫瘍全摘治療を追加できた群 (group B) 6例と追加できなかった群 (group C) 8例に分け, group Aと比較した。
    通院の自己中断率はgroup A (12%) が最も低く, group C (25%) が最も高かった。再発率は, 統計上有意差はないが, group A (27%) がgroup B (0%) よりも高かった。腫瘍全摘治療群 (group AとB) の再発は4例あり, 再発時期は5.4~45ヶ月 (平均18.0ヶ月) であった。再発診断は前頭洞再発の1例を除いて内視鏡で指摘できた。
    通院自己中断例や再発例から術前診断を十分行うことが勧められる。腫瘍性疾患を鑑別することで, 術前患者説明から術後治療の必要性が理解されやすい。過去の報告からも, 術後2年以内が再発期間にて慎重な観察期間とし, 晩期再発例の点から定期的な経過観察が勧められる。再発診断は, 報告例からも初回発生部位の再発が多いことから, 内視鏡の診察が大切で, CT・MRI画像は前頭洞病変や炎症にて鑑別の困難な症例に行うことが勧められる。
  • 立山 香織, 児玉 悟, 能美 希, 野田 謙二, 鈴木 正志
    2011 年 50 巻 4 号 p. 465-473
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/16
    ジャーナル フリー
    陳旧性外傷による鼻中隔彎曲症は著明な鼻中隔の肥厚や, 鼻中隔前方の強い彎曲を伴い手術に難渋することがしばしばある。通常の鼻中隔矯正術は鼻中隔の前端に切開をおく鼻内からのアプローチが一般的であるが, 陳旧性外傷による外鼻変形及び鼻中隔前方の強い彎曲や肥厚を伴った鼻中隔彎曲症に対しては, 鼻内からのアプローチのみでは限界があり, 充分な矯正が困難な場合がある。今回, 我々は陳旧性外傷による鼻閉を主訴とした鼻中隔彎曲症の3症例に対し, 鼻内からの内視鏡を用いた鼻中隔矯正術, open rhinoplasty approach及び内視鏡を組み合わせた鼻中隔外鼻形成術を行い, それぞれの術式について検討した。
    3症例とも共通して鼻中隔前方の彎曲と高度な鼻中隔肥厚を認めた。外傷による鼻中隔の骨折と脱臼のため鼻中隔軟骨または骨が二重となり, さらに骨新生をきたすため高度な鼻中隔肥厚と癒着をきたすと思われた。こういった症例に対しては鼻内からのアプローチのみでは限界があると思われた。鼻中隔後方の矯正に有利な内視鏡によるアプローチと, 前方及び外鼻形態の矯正で良好な視野が得られる鼻外からのアプローチを組み合わせることによって, 外鼻を含め, 鼻中隔全体の形態を把握した上での矯正が可能であった。
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