日本鼻科学会会誌
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54 巻 , 4 号
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追悼文
原著
  • 花澤 豊行, 山﨑 一樹, 飯沼 智久, 米倉 修二, 岡本 美孝
    2015 年 54 巻 4 号 p. 487-493
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/22
    ジャーナル フリー
    鼻副鼻腔疾患に対する内視鏡手術の発展は著しく,特に悪性腫瘍を含めた鼻副鼻腔腫瘍の切除における内視鏡下手術の適応が拡大されている。当科においても適応を十分に検討した上で,鼻副鼻腔悪性腫瘍症例に対して,前頭蓋底切除を含めた鼻内内視鏡下手術を施行している。本稿では,前頭蓋底の合併切除を要する鼻副鼻腔悪性腫瘍に対して内視鏡下手術の利点と有茎鼻中隔粘膜弁の有用性を活用し,(1)開頭手術では難しいと考えられる嗅覚の温存,(2)前頭蓋底と眼窩内側壁の再建に対し両側の鼻中隔粘膜弁の利用,更に(3)前頭洞底への到達が不可能と考え,これまで内視鏡下手術の適応外とした鼻骨への浸潤例に対する新たなアプローチ法について検討した。(1)嗅神経芽細胞腫症例では,患側前頭蓋底の切除の際に,内視鏡を用いて健側の頭蓋底の嗅上皮領域を確実に温存した。(2)篩骨洞原発の扁平上皮癌の照射後残存例に対しては,前頭蓋底欠損に対して患側の鼻中隔粘膜弁を使用し,眼窩内側壁の骨欠損に対しては鼻中隔軟骨および骨付きの有茎粘膜弁を用いた。(3)更に上顎洞扁平上皮癌の鼻腔内再発例では患側の鼻骨を合併切除し,鼻根部皮下を剥離した後に前頭洞前壁を削開してから前頭洞の後壁に到達し,その後壁を切離することで前頭蓋底の合併切除を遂行した。内視鏡下手術の利点と鼻中隔粘膜弁の有用性を更に生かすことで,鼻副鼻腔悪性腫瘍に対しての内視鏡下手術の適応範囲を更に拡大できると考える。
  • 鈴木 久美子, 峯崎 晃充, 倉富 勇一郎
    2015 年 54 巻 4 号 p. 494-498
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/22
    ジャーナル フリー
    上咽頭に発生する良性腫瘍は少なく,多形腺腫が発生することはきわめて稀である。今回我々は,滲出性中耳炎による難聴を初発症状とした耳管原発の多形腺腫の1例を経験したので報告する。症例は50歳男性。1年3ヶ月前からの右難聴を主訴に当科を初診した。右滲出性中耳炎,右伝音難聴を認め,内視鏡では耳管内に陥頓する表面平滑な小腫瘤を認めた。MRIでは腫瘤は直径10mm程度で,造影剤にて増強効果を認めた。経鼻内視鏡下に切除した。腫瘤は耳管咽頭口からやや奥の耳管後壁を基部としており,耳管内に限局していた。病理診断は多形腺腫であった。術後半年で鼓膜チューブを抜去したが滲出性中耳炎の再発はなく,腫瘍の再発も認めなかった。
  • 井上 智恵, 上條 篤, 中島 正己, 松田 帆, 関根 達朗, 加瀬 康弘
    2015 年 54 巻 4 号 p. 499-502
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/22
    ジャーナル フリー
    修復性巨細胞肉芽腫(GCRG: Giant cell reparative granuloma)は非腫瘍性の線維性巨細胞病変で,特に上顎・下顎骨に発生するものが多く,他に側頭骨や蝶形骨の発生報告がある。今回我々は蝶形骨に発生したGCRGの1例を経験した。症例は33歳男性で,眼深部痛と鼻閉を主訴に来院した。副鼻腔CTでは,蝶形骨洞内に石灰化を伴う陰影を認めたため診断・治療目的に手術となった。病理検査にて,破骨細胞型巨細胞と線維増生を伴った紡錘形細胞を認め,最終的にGCRGと診断された。GCRGは病理学的にも類似した疾患が多く,時として悪性腫瘍や浸潤型鼻副鼻腔真菌症,線維性骨異形成症との鑑別も必要となる。蝶形骨に発生するGCRGは稀であり,臨床上の特徴を把握することが重要で,文献的考察を加えて報告する。
  • 湯田 厚司
    2015 年 54 巻 4 号 p. 503-508
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/22
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症の多くにヒノキ花粉症を合併するが,スギ花粉症の免疫療法がヒノキ花粉症に効果的とは限らない。【目的】スギ花粉の舌下免疫療法がヒノキ花粉症にも有効かを検討する。【方法】ヒノキ花粉症合併のスギ花粉症に舌下免疫療法を行った55例を対象とした。本検討の舌下免疫療法は季節前季節中投与法で,維持期に週1回(スギ花粉2000JAU)投与である。スギとヒノキ花粉の飛散期に1週間を単位とするくしゃみ,鼻汁,鼻閉の3項目の10cm長のvisual analog scale(VAS)を検討した。スギまたはヒノキ花粉の飛散期で最も悪かったVASを採用した。【結果】スギ花粉期のVASは0cm 11例(20.0%),1cmまで19例(34.5%),2cmまで22例(40.0%)と良好であった。VAS平均ではスギ花粉期(3.6±3.2cm)はヒノキ花粉期(2.6±2.7cm)より大きかったが有意ではなかった。VASがスギ花粉期よりヒノキ花粉期に少しでも悪化した例は20例(36%)であった。スギ花粉に効果的と想定したVAS 2cmまでの22例でヒノキ花粉期のVASをみると,引き続き良好が9例,ごく少し悪化が5例,明らかに悪化が8例であった。ヒノキ花粉期に悪化した例の背景因子に明らかに相関する因子はなかった。【結論】スギ花粉症の舌下免疫療法はヒノキ花粉症に効果的な例と効果不十分の例があった。
  • 金井 健吾, 平田 裕二, 中村 聡子, 大道 亮太郎, 岡部 洋平, 堀 泰高, 岡野 光博, 西﨑 和則
    2015 年 54 巻 4 号 p. 509-518
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/22
    ジャーナル フリー
    浸潤型蝶形骨洞真菌症に対し,緊急内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を施行し,抗真菌薬を投与したが,頭蓋内浸潤を生じ,最終的に不幸な転機をたどった2例を経験したので,剖検所見からの考察を含め報告する。症例1は61歳男性。主訴は頭痛,左視力低下。CT・MRIにて浸潤型蝶形骨洞真菌症が疑われ,緊急ESSを施行。左蝶形骨洞に真菌塊と骨破壊を認めた。病理組織検査では,真菌ではあるが菌種の確定診断には至らなかった。左視力の改善は認めなかったが,頭痛は軽快した。その後,対側の右視力低下を認め,最終的にくも膜下出血を発症し永眠された。症例2は82歳男性。主訴は頭痛,右視力低下。CT・MRIで浸潤型蝶形骨洞真菌症の診断で緊急ESSを施行。右蝶形骨洞を開放し真菌塊を認め,アスペルギルスが確認された。右視力の改善は認めなかったが,頭痛は軽快した。術後8ヵ月後に頭痛の再燃,左視力低下が出現した。CT・MRIで真菌の左蝶形骨洞への浸潤が疑われ,左蝶形洞を開放したが粘膜浮腫のみで真菌塊は認めなかった。その後,心不全が増悪し永眠された。剖検所見では,洞内の粘膜表面には真菌感染を認めなかったが,真菌の頭蓋内浸潤を認めた。真菌の動脈壁浸潤により動脈瘤が形成され,くも膜下出血に至ることがあり,MRAなどによる定期的な経過観察が必要と思われた。また,頭蓋底領域深部に真菌が浸潤している場合は,表層粘膜の検査では確認できない可能性が示唆された。
  • 河本 光平, 川村 繁樹, 朝子 幹也, 友田 幸一
    2015 年 54 巻 4 号 p. 519-525
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/22
    ジャーナル フリー
    好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は難治性の副鼻腔炎であり,内視鏡下副鼻腔手術(ESS)後も再発をきたしやすい。鼻閉,粘調な鼻汁,後鼻漏,嗅覚障害などの様々な症状を伴い,quality of life(QOL)が障害される。今回我々はECRSに対するESS後の効果を客観的,主観的に評価した。術前の鼻茸の状態,CT画像,嗅覚障害の有無,喘息の有無,血中好酸球比率,術中採取した組織中好酸球数について評価し,さらに術後12~20ヶ月後の鼻副鼻腔所見によって良好群,やや良好群,再発群の3群にわけた。術前後のQOLの変化に関しては質問票を使用した。良好群,やや良好群,再発群はそれぞれ23%,27%,22%であった。1年間経過観察できなかった症例は28%であった。再発群は他の群に比べて初診時の鼻茸が大きく,CTでの副鼻腔スコアが大きかった。血中好酸球比率,組織中好酸球数は3群間で有意差は認めなかった。すべての群において自覚症状,QOLは術前に比べて術後は有意に改善していた。また,3群間における自覚症状,QOLの改善率は,再発群は良好群,やや良好群と比較して有意に粘性鼻汁の改善が悪かった。
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