日本鼻科学会会誌
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56 巻 , 4 号
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嗅覚障害診療ガイドライン
原著
  • 細矢 慶, 小町 太郎, 浅香 大也, 児玉 悟, 小林 正佳, 中川 隆之, 伊藤 伸, 横井 秀格, 許 芳行, 朝子 幹也, 大久保 ...
    2017 年 56 巻 4 号 p. 557-563
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    内視鏡下副鼻腔手術は多くの耳鼻咽喉科医が経験する手術の1つである。副鼻腔は複雑な構造と,その部位から,手術により合併症が少なからず発生し得る。また,海外では合併症の訴訟が多数あると報告されており,術前にインフォームド・コンセントを得ることは必須である。しかし,どのように手術説明が行われているかの検討はなされていない。本調査では,手術説明内容の現状を把握することで,その問題点を抽出した。平成24年11月から平成27年10月で10施設の内視鏡下副鼻腔手術の年間平均手術件数,執刀医の人数,手術説明の担当者,合併症に関する説明内容および合併症数を調査した。平均年間症例数は232例,平均執刀医数は3.3人,執刀医の90%が手術説明を行っていた。すべての施設で髄液漏,眼窩損傷について説明が行われていた。3年間の手術総件数7000件のうち,0.3%(21症例)に合併症を認めた。内訳は中等度以上の眼窩損傷が0.18%(13症例),髄液漏が0.07%(5症例),出血による再手術が0.04%(3症例)であった。過去3年間で眼窩損傷を生じたことのある施設とそうでない施設では,手術説明内容に差異は認められなかった。これは,どの施設においても眼窩損傷のリスクが十分に説明されていることによるものと考えた。0.1%程度の頻度で生じる合併症である眼窩損傷,髄液漏の説明は必須と考える。

  • 假谷 伸, 岡野 光博, 檜垣 貴哉, 春名 威範, 牧原 靖一郎, 大道 亮太郎, 西﨑 和則
    2017 年 56 巻 4 号 p. 564-569
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    髄膜脳瘤は頭蓋骨の欠損孔から頭蓋内容が頭蓋外に脱出する疾患である。先天性の骨欠損による髄膜脳瘤は後頭部に多く発生し,頭蓋底に発生することは稀である。今回,前頭洞後壁の骨欠損部から鼻腔へと脱出した前頭洞型頭蓋底髄膜脳瘤症例に対して,前頭開頭術と経鼻内視鏡下鼻副鼻腔手術を併用した切除術を施行し,良好な経過を得たので報告する。症例は40歳,男性。感冒薬を内服後に意識障害を認め,近医総合病院へ救急搬送された。横紋筋融解症を認め,透析などの加療が施行された。また,頭部MRIで左篩骨洞・前頭洞陰影と脳室拡大を認めた。髄液鼻漏所見を認めたため同院耳鼻咽喉科へ紹介され,左鼻腔内腫瘤の生検を行ったところ脳組織とのことであった。横紋筋融解症が改善したのちも意識障害が遷延するため,精査加療目的で当院脳神経外科へ転院となった。意識障害はフェノバルビタールナトリウムなどの点滴静注治療により軽快した。髄膜脳瘤に対して前頭開頭術と内視鏡下鼻副鼻腔手術を併用した切除手術と前頭蓋底再建術を施行した。術後2年を経過して髄膜脳瘤の再発は認められない。近年,頭蓋底髄膜脳瘤に対しては内視鏡による経鼻的アプローチのみで切除術を行う報告が増加している。本症例は前頭洞後壁に骨欠損部があり,内視鏡下操作のみでは硬膜再建が困難と判断した。髄膜脳瘤は比較的まれな疾患であり,症例によって適切なアプローチ法を検討することが必要と思われた。

  • 関 沙織, 竹野 幸夫, 石野 岳志, 平川 勝洋
    2017 年 56 巻 4 号 p. 570-576
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    甲状腺眼症はバセドウ病などの甲状腺疾患に合併し,眼球突出や眼瞼腫脹,重症例では複視や視力障害をきたす。活動期にはステロイドや放射線外照射による治療が行われるが,無効例は眼窩減圧術の適応となる。また非活動期には視機能回復と整容性を目的に,眼窩減圧術や眼瞼手術が行われる。今回我々は,バセドウ病に伴う甲状腺眼症に対して鼻内内視鏡下眼窩減圧術を施行した3症例を経験した。眼窩減圧術は鼻内内視鏡下に行い,眼窩内側壁および下壁内側を除去した。内直筋の上方と下方に2本の平行な眼窩骨膜切開を行い,眼窩内容物を篩骨洞内と上顎洞内に脱出させた。症例1は圧迫性視神経症による視力低下を認め,ステロイド治療により視力は一時的に改善したが再増悪を繰り返し,眼窩減圧術を施行した。術後視力は改善した。症例2と症例3は眼球突出・複視などの症状を認めステロイド治療および放射線外照射を行ったが症状改善が乏しく,眼窩減圧術を施行した。鼻内内視鏡下眼窩減圧術は1990年以降多くの報告を認め,一般的な手術方法の一つとなっている。しかし国内での報告は少数である。外切開を加える必要がなく整容面で優れ,安全に行うことができる手術と考える。

  • 川島 佳代子, 寺田 理沙, 大西 恵子, 山戸 章行
    2017 年 56 巻 4 号 p. 577-585
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    スギ花粉症患者に対し2014年からスギ花粉舌下免疫療法が保険適応となり,2014年に舌下免疫療法を開始した患者について2015年と2016年のスギ花粉飛散期での有効性を検討した。さらに舌下免疫療法に対して改善を望む点や,治療を継続するのに役立ったことなどをアンケート調査した。また舌下免疫療法治療中,患者に対し服薬ノートを記載するように指示し,毎回の診察時にアドヒアランスについて確認した。有効性の検討の結果,2015年と2016年のスギ花粉飛散期において,薬物療法群と比較し舌下免疫療法群の患者の症状スコア,QOLスコアが低い結果であった。また舌下免疫療法について改善を望む点については「長期の通院」や「施行施設が限定されている」などが挙げられた。舌下免疫療法の継続に役立っていると思われる点については「服薬ノートをつける」「決まった時間に服用する」「定期的な通院を行う」などの回答が多かった。アドヒアランスの検討では,アドヒアランスが100%の群と80%未満の群での症状薬物スコアを比較した結果,100%の群は80%未満の群と比較して有意に症状薬物スコアが低い結果となった。今後長期間における有効性の検討や服薬アドヒアランスについても観察する必要があり,さらにこれから開始する患者についても同様の結果が得られるか検討していく必要があると考えられた。

  • 関根 基樹, 金田 将治, 斎藤 弘亮, 山本 光, 飯田 政弘
    2017 年 56 巻 4 号 p. 586-590
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    副鼻腔嚢胞の多くは,内視鏡下手術により嚢胞が含気化され治癒状態となる。しかし,嚢胞サイズが小さいものや骨隔壁を有する例などでは,開窓部が術後に狭窄して病変が再燃することがある。術後狭窄を予防するために,開窓部の骨切除端を粘膜で被覆する方法が広く用いられている。有茎粘膜弁として,嚢胞外の粘膜を使用する方法(鼻腔側粘膜弁)と嚢胞上皮を使用する方法(嚢胞壁粘膜弁)の2種類があるが,嚢胞壁粘膜弁について過去に詳細な報告はない。鼻腔側粘膜弁が使用できない症例や術後狭窄が予想される小病変では,嚢胞壁粘膜弁を用いており,その作成法と有用性を報告する。代表的な2症例を示す。症例1は嚢胞化したOnodi蜂巣による鼻性視神経症の症例である。サイズが非常に小さく,大きな開窓部の作成が困難であった。また鼻腔側粘膜の浮腫が強く,鼻腔側粘膜弁を作成できなかった。開窓時に嚢胞壁を温存して,微細な器具を用いて嚢胞壁粘膜弁を作成し骨切除端を被覆した。症例2は,術後性上顎嚢胞例である。鼻涙管に隣接した位置に嚢胞が位置しており,鼻腔側粘膜弁の作成が困難であった。症例1と同様に嚢胞壁粘膜弁を作成し,開窓部の骨切除端を被覆した。2症例とも開窓部は良好に維持されている。嚢胞壁粘膜弁の作成法とその有効性について述べた。嚢胞壁粘膜弁を作成するためには,繊細な手術操作が必要であり,頭蓋底手術や喉頭手術用器具の使用が有用である。

  • 大橋 健太郎, 大木 幹文, 鈴木 立俊, 中座 資実, 山下 拓
    2017 年 56 巻 4 号 p. 591-596
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    慢性の鼻疾患は鼻閉により睡眠障害や日常活動にも影響を受ける可能性がある。日中の眠気の客観的評価はMaintenance of Wakefulness Test(MWT)を代表とした,脳波を用いた検査が確立されているが,Bennettらは間歇的な発光の認知能力を評価する覚醒維持検査Oxford Sleep Resistance Test(OSLER TEST)を紹介した。本法は,点滅させた赤色のLED光の確認を,7回連続ミスするまでの時間を覚醒維持時間と規定している。そこで,本法を用いて鼻閉による眠気の実態の検討を試みた。対象としたのは鼻閉を主訴として来院した患者と正常成人である。本検査は北里大学メディカルセンターの倫理委員会の承認のもとで行った。まずエプワース睡眠調査票(ESS)によるアンケート調査を施行し,英国製Stowood製のOSLER 2により覚醒維持時間を測定した。覚醒維持時間は,鼻閉患者が28.6±9.4min,正常成人で33.7±7.4minと有意差を認めなかった。一方,分時あたりの誤認回数を比較すると,鼻閉患者は正常成人に較べて有意に多い結果となった(P<0.05)。また,スコア11点以上の鼻閉患者と10点以下の鼻閉患者では,分時誤認回数において有意差を認めた(p<0.05)。眠気の評価は簡易的で客観的に測定・観察出来る本法も検討すべき方法と考えられた。

  • 北村 貴裕
    2017 年 56 巻 4 号 p. 597-601
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    片側性副鼻腔疾患では両側性と比較して,腫瘍性病変の他に歯性副鼻腔炎,副鼻腔真菌症の存在を念頭に置いて,診断・治療にあたる必要がある。歯性副鼻腔炎および副鼻腔真菌症は片側性副鼻腔疾患の鑑別疾患として重要である。時に,歯性副鼻腔炎および副鼻腔真菌症の合併例(以下,本疾患)を経験することがある。抜歯処置後の歯牙からの真菌感染の迷入もしくは歯性の感染と真菌感染の偶発的な合併などによって歯性副鼻腔炎と副鼻腔真菌症が合併することが起こり得る。2015年4月から2016年の3月までに国立病院機構大阪医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科(以下,当科)で鼻副鼻腔手術を施行した症例のうち,片側性の副鼻腔疾患は23例だった。歯性副鼻腔炎は5例,副鼻腔真菌症は3例だった(重複含む)。本疾患は2例だった。真菌を制御するためには,その除去を行うことが重要なので,本疾患では,内視鏡下鼻副鼻腔手術を主体とする鼻科的治療が重要と思われる。また,診断にはCT,MRIが重要である。歯性副鼻腔炎はCTでは,歯牙から上顎洞への瘻孔もしくは穿通をきたす。また,副鼻腔真菌症はCTでは,真菌塊の存在を示唆するような石灰化を認め,MRI T2強調画像では,低信号域もしくは無信号域を呈する。今回の検討は1年間の内視鏡下鼻副鼻腔手術施行症例中の2例の症例報告であり,感染経路の1つとして抜歯窩の可能性があることと,免疫抑制剤や抗菌薬の長期,多剤使用も一因と考えられる。

  • 高畑 淳子, 三國谷 由貴, 松原 篤, 大北 翔吾
    2017 年 56 巻 4 号 p. 602-607
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    スギ花粉の飛散開始日の予測は,花粉症患者のセルフケアやメディカルケアの開始時期を決定するために重要な情報である。しかし,花粉の飛散開始時期は気候の違いから地域によって異なる。青森県では1993年から2003年のデータ解析から,地域独自の方法を用いて花粉飛散開始日の予測を行ってきた。すなわち,1月21日を基準日にまた日最高気温の3°Cを基準温度と定めて,日最高気温が基準温度を超えた日数を有効日数,および基準温度を超えた温度の積算を有効積算温度として,それらが一定の日数と温度に達した時期に花粉の飛散が開始すると予測する方法である。しかし,近年になり予測と乖離する年があるようになったため,飛散開始日の予測精度向上を目的として,2004年から2016年のデータを用いて起算日および基準温度について再検討を行った。その結果,起算日は1月21日で基準温度4°Cが飛散開始日予測に最適な条件と考えられた。

  • 御厨 剛史, 進 保朗, 橋本 誠, 藤井 博則, 梅野 博仁, 山下 裕司
    2017 年 56 巻 4 号 p. 608-618
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    はじめに:Anterolateral septal flap(ALS flap)とは拡大前頭洞手術の際に鼻腔前方の側壁から天蓋をまたいで鼻中隔まで切開し採取するflapである。鼻腔形態を温存または被覆材料として用いることができるon demandな切開法で,本法を紹介する。対象と方法:2015年4月から2016年12月までに前頭洞単洞化手術施行例を対象とした。Draf IIbに前頭洞中隔開窓(Draf IIb with frontal septal window: FSW)またはEndoscopic Modified Lothrop Procedure: EMLP/Draf IIIを行った。全例にALS flapを使用した。結果:計9例,平均55.7歳,内訳は嚢胞2例,炎症7例であった。ALS flapの使用目的は8例が形態温存(closed method)で,外傷の1例のみ排泄路の被覆に用いた。全例に合併症は認めず,前頭洞陰影は改善した。closed例の鼻中隔と鼻堤形態は温存されていた。考察:closed Draf IIb with FSW例で患側に排泄路が形成されたものはなかった。closed EMLPではneo ostiumが残存した例が多く存在した。個々の換気排泄能で最終形態が決定されると考えた。まとめ:本法は拡大前頭洞手術時に有用な方法であると考えた。

  • 金井 健吾, 岡野 光博, 折田 頼尚, 野山 和廉, 檜垣 貴哉, 春名 威範, 假谷 伸, 小山 貴久, 大道 亮太郎, 佐藤 康晴, ...
    2017 年 56 巻 4 号 p. 619-624
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    Reactive lymphoid hyperplasia(RLH)は,組織学的に胚中心を伴うリンパ濾胞の反応性過形成を示し,個々のリンパ球の異型が少なくpolyclonalな増殖を認めるものと定義される。今回我々は,IgG4陽性形質細胞の集簇を認めた鼻腔底RLHの一例を経験した。症例は69歳女性。主訴は左鼻腔腫瘤,右難聴。右難聴で近医受診した際に,左鼻腔底前方に隆起性病変を認めた。唾液腺腫脹や鼻症状は認めなかった。IgG4値は45.5mg/dlと正常範囲内であった。2度の生検を施行し悪性リンパ腫の可能性も否定できず,摘出術を施行した。病理組織所見は,HE染色では,粘膜上皮下に著明なリンパ球・形質細胞の浸潤を認め,リンパ濾胞の過形成を伴っていた。免疫染色では,濾胞間に多数のIgG4陽性形質細胞を認め,400倍1視野あたり100個を超え,IgG4/IgG陽性細胞比は40%を超えていた。しかし,線維化の所見や高IgG4血症を認めず,包括診断基準に照らしIgG4関連疾患には合致しなかった。摘出後,約1年を経過するが,再発所見を認めていない。今後,病変の再発や悪性転化する可能性も考えられることから,治療後も厳重な経過観察を行う必要があると考えられる。

  • 浦口 健介, 牧原 靖一郎, 内藤 智之, 岡 愛子, 假谷 伸, 岡野 光博, 西﨑 和則
    2017 年 56 巻 4 号 p. 625-631
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    副鼻腔真菌症は一般には上顎洞へ片側に発症するとされており,前頭洞や両側に副鼻腔真菌症が発症することは極めて稀である。今回,前頭洞真菌症と対側の蝶形骨洞へ同時に発見された副鼻腔真菌症の1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。症例は71歳女性。頭痛により他院で頭部CTを撮影したところ前頭洞陰影を認めたため当科紹介された。CT上は左の前頭洞真菌症であり全身麻酔下にEndoscopic modified Lothrop procedureで真菌塊を摘出した。術後,CTで再評価したところ対側の右蝶形骨洞側窩のみに限局する陰影を認めた。初回CTを見直したところ蝶形骨洞には以前から陰影あり,蝶形骨洞真菌症に対して全身麻酔下で右蝶形骨洞開窓しハイドロデブリッダーシステム®(日本メドトロニック,東京)を用いて洗浄した。術後1年間経過したが真菌の再発を認めず,外来で経過観察中である。副鼻腔真菌症は複数洞や両側罹患の可能性もあるため,術前のCT読影を厳密にするべきと考えた。

  • 原 隆太郎, 松原 篤, 高畑 淳子, 後藤 真一, 佐々木 亮, 高橋 一平, 中路 重之
    2017 年 56 巻 4 号 p. 632-638
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    本邦においては,スギ花粉症がもっとも頻度の高いアレルギー性疾患として知られている。一方で,小児期における主要な吸入性抗原は室内塵・ハウスダスト(HD)であるため,成長に伴いHD感作がどのようにスギ花粉症に影響を与えるかを検討するのは興味深いことである。そこで,2014年に岩木健康増進プロジェクト健診に参加した1138名(男性432名,女性706名)を対象として,主要な吸入性抗原であるHD1,スギ花粉,イネ科マルチ,および雑草マルチの特異的IgEを測定し各々の抗原に対する感作率を検討した。アレルギー性鼻炎の症状に関するアンケート調査も実施し,HD1のCAPスコアから未感作群,低抗体価群,高抗体価群の三群に分けて,各々のスギ花粉の感作率や発症率について比較検討した。その結果,すべての年代でスギ花粉の感作率がもっとも高値を示した。また,スギ花粉感作率はHD1高抗体価群で他の二群に比し有意に高値を示したが,スギ花粉症発症率はHD1未感作群が最も高率であり,HD1感作はスギ花粉の感作には促進的に作用するが,発症に関しては異なることが示唆された。

  • 島村 歩美, 初鹿 恭介, 増山 敬祐
    2017 年 56 巻 4 号 p. 639-645
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    頭頸部領域のいわゆる「血管腫」は口唇や舌などの顔面軟組織に多く認められるが,鼻副鼻腔からの発生はまれである。「血管腫」は現在,ISSVA分類により血管性腫瘍と血管奇形の大きく2つに分類されている。当科で経験した鼻副鼻腔血管性腫瘍・血管奇形について検討を行い,静脈奇形に対し硬化療法を施行した2例の症例について文献的考察を加えて報告する。対象は2009年1月から2015年12月までの6年間に当科で加療し病理学的に診断された9例である。血管性腫瘍4例(化膿性肉芽腫4例),血管奇形5例(静脈奇形5例)であった。発生部位は鼻中隔3例,下鼻甲介2例,上顎洞1例,鈎状突起前方1例,鼻腔側壁1例,眼窩内側壁1例であった。治療は,外科的切除(鼻内アプローチ)6例,硬化療法1例,硬化療法+外科的切除1例,1例は選択的塞栓術を施行し現在も経過観察を行っている。ガイドラインでは血管奇形に対しては外科的切除と並び硬化療法の有用性が示されているが,鼻副鼻腔血管奇形に対し硬化療法を施行した症例は未だ少ない。当科では2例で外来局所麻酔下に硬化療法を施行し,うち1例で複数回実施により腫瘍の消失を得た。硬化療法は手技が比較的簡単で患者への負担も少ないことから今後,全身麻酔が困難な症例に対して,または塞栓術の代替として実施されうると考える。

報告
  • 金谷 洋明, 神田 晃, 近藤 健二, 柏木 隆志, 小林 良樹, 澤田 俊輔, 尹 泰貴, 牛山 正人, 西濱 健, 行元 彰利, 久保田 ...
    2017 年 56 巻 4 号 p. 646-658
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー

    日本鼻科学会では,2014年より学会主導による『鼻科基礎研究ハンズオンセミナー』を開催している。これは,耳鼻咽喉科臨床医の基礎研究に対するモチベーションや研究技術の向上,ひいては各大学間の研究を通じた横断的連携を図る目的で企画された。幸いなことに本セミナーへの期待度は非常に高く,セミナー後のアンケート調査では継続を希望する意見が多数であった。今回で3回目となる本セミナーを第55回日本鼻科学会総会・学術講演会(宇都宮)において企画した。前回を踏襲し,3つの異なったテーマをそれぞれのブースで実演する形式とし,セミナー終了後に参加者にアンケート調査を実施した。セミナー内容については,全参加者から「良かった」または「大変良かった」という評価を得た。実演時間については約2割の参加者から延長を望む意見が聞かれたが,実際のセミナーでは終了時間が20分ほど遅くなった。これは参加者からの質問や実演のリクエストに丁寧に対応したためである。参加者の現在の研究環境についてもアンケートを行ったところ,満足な研究環境にあると答えた参加者は1割以下であり,前回と同様の結果であった。参加者が現在行っている実験手技については,組織染色,フローサイトメトリー,細胞培養などはすでに一般的になりつつあるものと考えられた。

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