日本鼻科学会会誌
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58 巻 , 1 号
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総説
原著
  • 高橋 辰, 高橋 佳奈, 鈴木 亨
    2019 年 58 巻 1 号 p. 14-24
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    【目的】涙嚢鼻腔吻合術鼻内法(endoscopic endonasal dacryocystorhinostomy: EN-DCR)における画像支援型磁場式ナビゲーションシステム(ナビシステム)の有用性を検討した。

    【対象】一次性の鼻涙管閉塞例(nasolacrimal duct obstruction: NLDO)と総涙小管閉塞例(common canalicular obstruction: CCO)に対して,ナビシステム導入前後の一定期間内(2012.10~2017.3)に同一術者が施行したEN-DCR 92症例を対象とした。また,ナビ併用下に涙嚢限界域まで骨窓を作成し,開窓後に前弁と鼻粘膜を縫合固定する方法を提案した。ナビシステムを併用せずにEN-DCRを行った群(ナビ非併用群)32例32側,ナビシステムを併用して前弁は縫合しなかった群(ナビ併用+非縫合群)46例49側,ナビシステムを併用して前弁を縫合した群(ナビ併用+縫合群)14例14側の3群に大別して,後方視的に検討した。比較検討項目は,手術成功率,手術合併症,骨壁削除時間,および開存状態である。

    【結果】ナビ併用群では,有意に骨壁削除時間が短縮したが,手術成功率や手術合併症には有意差および一定の傾向は認めなかった。既手術や厚い上顎骨のために涙嚢位置の同定が難しい症例,ライトガイド等を涙嚢内に挿入できない涙小管系閉塞例でも,ナビシステムの併用で涙嚢限界域まで確実に開放することができた。ナビ併用+縫合群では,非縫合群と比較して開存状態が有意に改善した。

    【結論】ナビシステムはEN-DCRを確実に行うために有用な手術支援機器である。大きく安定した開窓口の作成には,涙嚢限界域まで確実に開窓して前弁を縫合する方法が有用である。

  • 大谷 志織, 前田 陽平, 端山 昌樹, 武田 和也, 津田 武, 赤澤 仁司, 猪原 秀典
    2019 年 58 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    鼻副鼻腔領域において,血管奇形は遺伝性出血性毛細血管拡張症(Hereditary hemorrhagic telangiectasia: HHT)を除いて比較的稀である。一般的に頭頸部の血管病変はリスクが低いケースも多く,手術による切除が選択されることが多い。我々は眼窩内及び副鼻腔内の血管奇形病変に対して血管内治療を施行した症例を経験したのでこれを報告する。

    症例は26歳男性。右眼霧視,右眼球突出,右眼球結膜充血が出現したため当院紹介受診となった。CT,MRI,MRAを施行し,眼窩内病変は眼窩内動静脈瘻(arteriovenous fistula: AVF)と考えられたが,副鼻腔内病変との連続性の有無の判断は困難であった。

    診断目的で血管造影を施行し,眼窩内AVFと眼窩内から篩骨洞に及ぶ動静脈奇形(arteriovenous malformation: AVM)と診断した。当院脳外科医にて血管内治療(Interventional Radiology: IVR)を施行し,両病変を塞栓した。

    本症例では,眼窩内AVFと眼窩内から篩骨洞に及ぶAVMの合併例であった。過去に,眼窩内AVFの報告は数例見られるが,副鼻腔AVMの報告は我々が渉猟しえた限りでは過去に報告が一報のみであり,非常に稀と考えられた。

    血管奇形病変についてはIVR専門医等と連携し,個々に治療方針を計画するべきである。大阪大学医学部附属病院ではOUVAC(Osaka University Vascular Anomaly Conference)という関連診療科(放射線科・形成外科・整形外科・小児外科・耳鼻咽喉科・脳神経外科・病理診断科など)での症例検討会があり,症例毎に治療方針を検討している。本症例でも脳外科医,IVR専門医との連携が不可欠であった。

  • 山内 智彦, 横山 秀二, 小川 洋
    2019 年 58 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    Aspergillus oryzaeは,麹菌の一種であり,醤油や味噌,酒などの醸造に用いられているが,通常は鼻副鼻腔炎の原因菌とは考えられていない。今回,Aspergillus oryzaeによる鼻副鼻腔炎を経験した。症例は味噌醸造業に従事する51歳男性。X年3月,外リンパ漏に罹患した際に撮影した頭部CTで,右上顎洞内に石灰化を伴う陰影があり,上顎洞真菌症を疑った。同年4月,右ESS II型を施行した。手術時に得られた上顎洞貯留物の病理検査ではcrystal depositのみで真菌症の確定診断には至らなかった。X+1年5月,右頬の鈍痛,鼻汁の訴えあり受診。右鼻内に真菌の菌糸を認めた。右上顎洞内に貯留した白色の鼻汁を培養に提出したところ,Aspergillus(分類不能)の結果だった。患者本人が,日常的に麹菌(白2号麹,白麹すずらんの2種,いずれもAspergillus oryzae)を扱っており,同菌による鼻副鼻腔炎を疑った。患者本人が扱っている麹菌を提供してもらい,これを陽性コントロールとし,Aspergillus oryzae amy gene for alpha-amylaseをターゲットとして,培養で得られた菌体のPCRを行ったところ,麹菌と同様のバンドが培養物からも確認された。以上より,本症例はAspergillus oryzaeによる鼻副鼻腔炎と判断した。希釈したオキシドールを用いた鼻洗浄や抗真菌薬の局所投与を行ったところ,鼻汁貯留や菌糸の出現は軽快した。Aspergillus oryzaeは,通常は鼻副鼻炎の起炎菌とは考えられていないが,醸造業などで麹菌を日常的に扱っている者が鼻副鼻腔炎に罹患した際には,細菌学的な鑑別診断に加える必要性があると考えられた。

  • 細萱 理花, 大森 蕗恵, 小谷 亮祐, 一ノ瀬 篤司, 西堂 創, 鈴木 雅明
    2019 年 58 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    前頭洞骨腫は副鼻腔骨腫の中で最も頻度が高く進展した場合,合併症として髄液漏,髄膜炎,および頭蓋内気腫などが生じうる。今回我々は前頭洞骨腫により頭蓋内気腫が生じ,そのため失語症を来した一例を経験した。

    症例は45歳女性。主訴は頭痛。頭部CTにて頭蓋内へ進展した前頭洞骨腫を認め,頭蓋内気腫を合併していた。標準失語症検査では語想起障害,および語性錯語等の失名詞失語,および読解能力低下を認めた。発語失行を認めず発話は流暢,聴理解の障害は軽度,復唱良好であり,失文法は認めなかった。非言語性知能テストでは不良な成績を示した。内視鏡下生検の後,脳外科による硬膜閉鎖術を施行,頭蓋内に突出していた骨腫をドリルにて削開,硬膜を縫合,有茎皮弁,骨パテにて閉創した。術後CT上頭蓋内気腫,および脳室の圧排は改善し,検査所見はいずれも正常に回復した。術後4年が経過したが骨再増殖は認めず,また臨床症状,言語学的異常所見を認めていない。本症例における失語症の責任部位として左下前頭回眼窩部,および同部位と関連する言語処理ネットワークにおける圧排と血流低下による一過性機能抑制が起因していたと推察された。

    頭蓋内気腫の症状として頭痛や嘔吐などはあるものの失語症の報告はわずかであり,特に前頭洞骨腫に起因する頭蓋内気腫によって失語症が生じ,他の脳神経症状を伴わないケースは初めての報告である。

  • 弦本 結香, 森 恵莉, 関根 瑠美, 杉田 佑伊子, 鄭 雅誠, 倉島 彩子, 鴻 信義, 小島 博己
    2019 年 58 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    【背景と目的】嗅覚障害は神経変性疾患の早期診断や,生命予後の予測因子として着目されている。今回嗅覚障害患者の予後や神経変性疾患の発症の有無について調査したので報告する。

    【対象と方法】2009年4月から2012年3月までに当院嗅覚外来を受診した患者を対象にアンケート調査を施行した。調査票の送付は2016年12月から2017年3月までに行い,2017年5月1日を回収期限とした。質問項目は嗅覚障害の現状のVisual Analog Scale・当院受診後に新たに診断された疾患・現在の生存の有無とした。

    【結果】該当した228例のうち,住所が特定できた167例に対して調査票を送付した。91例から返信があり,研究に同意の得られた86例(男性34例・女性52例,平均年齢58.3歳)を分析対象とした。回答患者の嗅覚障害原因疾患の割合は,慢性副鼻腔炎が43%で最も多く,感冒後嗅覚障害が22%,外傷性が6%と続き,原因不明は13%であった。神経変性疾患の新規発症は2例で,いずれも発症疾患はパーキンソン病であり,原因不明の嗅覚障害患者であった。死亡は2例で,両者ともに悪性疾患を罹病していた。

    【結論】今回の調査では原因不明の嗅覚障害11例中2例がパーキンソン病を発症していた。嗅覚障害の原因が不明であった場合は,神経症状も含めた経過に注意が必要であり,神経内科への依頼も検討すべきと考えられた。

  • 髙倉 大匡, 舘野 宏彦, 將積 日出夫
    2019 年 58 巻 1 号 p. 54-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    鼻副鼻腔内反性乳頭腫は再発率が高く,癌化の可能性もあることから,治療の第一選択は手術である。蝶形骨洞に基部を持つ乳頭腫は比較的少なく,また周囲に視神経や内頸動脈などの重要構造物があるため,手術が困難となる可能性も考えられる。当科で経験した蝶形骨洞原発内反性乳頭腫の2症例について文献的考察を加え報告する。症例1は41歳男性で,下垂体腫瘍で手術歴あり。左視野障害にて当院脳神経外科を受診し,MRIで下垂体腫瘍再発および両蝶形骨洞鼻腔進展例が疑われた。経過観察していたが,鼻出血と鼻腔への腫瘍増大を認め,病理検査にて蝶形骨洞内反性乳頭腫と診断し,内視鏡下腫瘍摘出術を行った。現在外来にて経過観察中で再発は認めない。症例2は77歳男性,他院耳鼻科で偶然両鼻腔後方の腫瘤を指摘され,病理検査で内反性乳頭腫と診断され当科紹介された。腫瘍は両側蝶形骨洞,鼻腔に充満しており,CTにて右内頸動脈隆起,蝶形骨洞後壁の骨欠損が疑われた。内視鏡下腫瘍摘出術を施行し再発は認めていない。2症例とも蝶形骨洞壁や内頸動脈骨壁の欠損が疑われ,手術合併症の可能性があり,慎重な手術操作が必要であった。蝶形骨洞前壁切除による十分な視野の確保,斜視鏡を使用した洞内観察,ナビゲーションシステムによる危険部位の確認など,根治性と安全性確保を考慮した手術対応が重要と思われた。

  • 端山 昌樹, 米井 辰一, 前田 陽平, 赤澤 仁司, 武田 和也, 津田 武, 猪原 秀典
    2019 年 58 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)は全身に血管異常をきたすため様々な症状を呈するが,中でも鼻出血は有症率が95%以上と高いことが知られている。しかしオスラー病に伴う鼻出血に関して本邦では疫学的な調査は存在しない。オスラー病の鼻出血に対する治療の現状と満足度についてアンケート調査を行い,検討を行った。オスラー病患者を対象に,匿名で鼻出血の程度,鼻出血の予防法,鼻出血に対する治療歴,満足度,耳鼻咽喉科に対する要望などについて調査した。回答者は42名のうち,有効回答の得られた36名を検討対象とした。年齢中央値は53.5歳(17–83歳),性別は男性19名,女性17名であった。34名(94%)が週1回以上の鼻出血があると回答した。耳鼻咽喉科を受診したことがあると回答したのは30名(83%)であった。治療歴はガーゼ留置16名,焼灼術18名,皮膚粘膜置換術4名であったが,治療満足度は低かった。耳鼻咽喉科に対する要望の約6割が耳鼻咽喉科医の中でのオスラー病の知識の普及に関することであった。耳鼻咽喉科でもオスラー病に対する取り組みはなされているが,十分にオスラー病患者に評価されていないと考えられた。今後,耳鼻科でもオスラー病に対して積極的な取り組みが求められると考えられた。

報告
  • 五十嵐 賢, 尹 泰貴, 白崎 英明, 安田 剛, 岩上 裕之, 小林 良樹, 澤田 俊輔, 岩井 大, 中村 銀士, 中山 岳, 松岡 伴 ...
    2019 年 58 巻 1 号 p. 70-81
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    日本鼻科学会では,2014年より学会主導による『鼻科基礎ハンズオンセミナー』を開催している。これは,耳鼻咽喉科臨床医の基礎研究に対するモチベーションや研究技術の向上,ひいては各大学間の研究を通じた横断的連携を図る目的で企画された。幸いなことに本セミナーへの期待度は非常に高く,セミナー後のアンケート調査ではこれまで継続を希望する意見が多数であった。今回で4回目となる本セミナーを第56回日本鼻科学会総会・学術講演会(甲府)において企画した。前回を踏襲し,3つの異なったテーマをそれぞれのブースで実演する形式とし,セミナー終了後に参加者にアンケート調査を実施した。セミナー内容については,全回答者から「良かった」または「大変良かった」という評価を得た。実演時間については約1割の回答者から延長を望む意見が聞かれた。一方で,セミナーの継続については今回初めて9割を下回った。

第57回日本鼻科学会総会・学術講演会
日本鼻科学会賞授賞式・記念講演
腫瘍シンポジウム
嗅覚シンポジウム
アドバンス内視鏡手術ビデオシンポジウム
若手研究者パネルディスカッション1
若手研究者パネルディスカッション2
日本・韓国鼻科学会セッション
共通講習(医療安全)
International Session 1
International Session 2
日本鼻科学会認定鼻科手術指導医について
鼻科学会診療指針・ガイドラインセミナー(2)
嗅覚教育セミナー
日本鼻科学会・難治性血管炎に関する研究班合同シンポジウム
Meet the Professor from Asian Countries 1
Meet the Professor from Asian Countries 2
共通講習(医療倫理)
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