日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
34 巻 , 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 小山 昌正
    1985 年 34 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    北海道内浦湾沿岸にある漁業を中心とした砂原町では, 昭和54年より漁業従事者検診を行なっているが, 56年より3力年ホタテ養殖者を対象として医学的検査2アンケート調査を行ない, その成績を検討するとともに, 近接地八雲町の農業従事者 (主として酪農) の健康調査との対比を行なった。
    医学的検査では, 初年度では肥満, 高血圧が多くみられた。とくに肥満は女性に, 高血圧は男性に多い。翌年度では高血圧は約半数に減少したが, 肥満はほぼ同数であった。農業従事者との比較では, 肥満はホタテ養殖者の男性に多く, 女性ではほぼ同数, 高血圧は男性でホタテ養殖者, 女性では農業従事者に多い傾向がみられた。
    アンケート調査では, 健康状態で身体の調子が悪い, 疲れやすいと訴えるものがホタテ養殖者の女性に多く, 農夫症は男女ともにホタテ養殖者に多くみられた。
    医学的検査時には同時に栄養生活指導を実施し, とくに高血圧, 肥満を認めた人を重点的に指導した。減塩食を徹底させた結果が, 高血圧の減少につながったものと思われる。しかし肥満, 農夫症については改善されなかった。
    健康は生産向上を計るうえで大きな影響を与えると同時に, 家庭つくり, 町づくりをすすめるうえでもきわめて重要である。今後も健康増進のため保健活動の普及啓蒙を積極的にすすめていかなければならない。
  • 内田 昭夫, 岩崎 二郎
    1985 年 34 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    千葉県南部, 東京湾沿岸の, 鋸南町2漁村, 太平洋に面する館山市1漁村の30~69才の沿岸漁業従事者, 男122名, 女87名, 計209名について, 生産及び生活労働と健康との関連を, 1981年から3年間, 冬期に調査した。この地域の漁業は, 一本釣りと網漁が中心で, 前者では, たて縄, はえ縄及び竿釣り, 後者では, 定置網, 刺網, あぐり網がおこなわれる。5t以下の漁船を用いての漁労であり, 一日の労働時間が長い特徴があり, なかには夜間労働を余儀なくされる漁種がある。海上で漁業労働に従事するのはほとんどが男で, 年間の従事日数は220日前後である。女は, 少数の海女以外, 多くは漁業補助作業である。食品摂取状況をみると, 男女とも, 魚貝類, 淡色野菜, 果物が多く, 牛乳, 乳製品が少ない。飲酒, 喫煙率は, 男では, それぞれ70%と高いが, 女では低い。健康診断結果では, 高血圧出現率に, 男女差はなく16%前後であり, 心電図異常は, 男女とも10%以下である。肥満出現率は, 男より女に高いが, 労働負担が小さいことによると思われる。3漁村とも貧血の出現率が低く, 男女の中性脂肪, 漁夫のBUN異常出現率が高い。農夫症では, 肩こり, 腰痛のほか, 夜尿, 不眠め出現率が高く, 一般的健康状況では, かぜをひきやすい傾向がみられた。また, 漁夫に翼状片がみられた。以上の所見は, 沿岸漁業の漁労, 食生活, 沿岸環境との関連を示唆していると思われる。
  • 高科 成良, 関口 善孝, 光山 豊文, 妹尾 秀隆, 五明 幸彦, 八田 和彦, 横田 幸弘, 横崎 恭之, 土井 正男
    1985 年 34 巻 1 号 p. 21-33
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    広島湾内の「カキ」養殖従事者の健康状態を調査し, 労働条件・生活・行動・食事などと健康状態の関連について検討した。
    「カキ」養殖従事者の生活労働条件はかなり過酷であり、とくに男性において目立った。摂取食品は労働に応じ, 摂取量は多く, 動物性食品も多いようであった。このような条件下にある「カキ」養殖従事者の健康状態で問題になるのは男性では肥満傾向, 高血圧, 高脂血症であり, 女性では肥満傾向のみであった。しかし男女とも動脈硬化性血管障害危険因子を有するものは50%以上みられ, これらに対する対策を今より実施しないと将来問題が起こらないとは断言できないと考えられた。その対策としては, 健康教育の徹底, 個人指導の強化などが必要であり, 決して楽観すべきではないと考えられる。このような健康管理が実施されてはじめて「カキ」養殖従事者の健康状態は, 現在以上に良好な状態に保つことが可能となり, その生産性の向上も期待できるものと思われる。
  • 中馬 康男, 瀬下 安男, 白畑 敬子, 前田 育子, 加茂 千枝子, 草野 健, 宮原 一彦
    1985 年 34 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    鹿児島市の東南部, 錦江湾に面する垂水漁協 (海潟地区, 組合員数643名, 年間取引額約40億円) のハマチ養殖従事者について, 健康生活の実態調査, ならびに教育指導を3年間実施し, 隣接した農'協組合員,(農業従事者) との健診成績を対比した。海上労働のため感冒, 腰痛が多く, 食生活の偏り, また健康に対する意識不足により, 肥満, 高脂血症, 肝障害, とくに男性におけるアルコール性肝障害が多く見られた。また早朝就業, 朝食ぬき, 午前中で終了, 午後は比較的 “暇” であり, 午後の時間の健康的な利用がなされていない。
    さらに, 農業従事者に比して若年層が多いのに, 健診結果では漁業従事者に不健康者が多くみられた。3か年継続受診者グループは少数であったが, 教育により, 肥満, 血圧異常者が多少改善されたが, 心電図異常, 肝機能異常が増加していた。
    以上の点から漁村地区は, 農村地区に比して, 若年層が多いにもかかわらず, 健康に対する認識が低く, 実態調査でも悪い成績であり, また食生活にも改善すべき問題が多く, これは生活習慣, 労働形態から由来すると思われるので, 今後長期間の継続的な対策, 教育が必要と考えられた。
  • 中川 秀昭, 河野 俊一, 奥村 義治, 辻川 研一郎, 金森 ちえ子, 鏡森 定信
    1985 年 34 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年の農村地域住民の成人病罹患状況を把握し, 成人病に対するRisk Factorを算出する為の手始めとして, 昭和46年から53年までの8年間に石川県農業協同組合連合会と協力して, 地域農業協同組合および支所を単位として行なった成人病総合健康診断受診者28643人 (男6872人, 女21771人) の昭和55年末まで追跡調査を実施し, 死亡原因の検討を行なった。一人平均観察人年は5.8人年である。
    観察期間内の死亡者は876人で調査対象者の3.1%を占め, 男の死亡割合は女の3倍に達している。初診時年令階級別死亡割合は男女とも年令が高くなるにつれて増加しており, 29才以下を除いて女より男の死亡割合が有意に高率であった。
    死因別死亡構成割合は循環器疾患が22.0%, 悪性新生物31.9%, その他26.1%となっており, 男では循環器疾患死亡が多く, 女では悪性新生物死亡が多い傾向がみられた。
    観察期間内の1,000人年当りの死亡率は5.2 (男11.8, 女3.3) であり, 主要死因群別では悪性新生物1,000人年対1.7 (男3.1, 女1.2) 脳卒中同1.2 (男2.8, 女0.7), 心疾患同0.9 (男2.3, 女0.5), 事故同0.3, 肺炎同0.2であった。主要死因別死亡率は29才以下と70才以上の脳出血を除きすべて男が女より高率であった。
  • 柳沢 昭吾, 細谷 栄司, 水嶋 丈雄, 船崎 善三郎
    1985 年 34 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県における乳房集団検診は昭和56年より漸くその緒につき, 成果を収めつつある。われわれもその一環を担い乳癌の早期発見につとめているが, 現在までの状況を報告すると同時に, 検診に威力を発揮している超音波検査の意義について述べた。
    本県の乳房集検は全県下を対象に医師による触診を第一次検診としているが, 2台の検診車による超音波診断 (ポラロイド写真) を補助診断法としているところに特徴がある。ことに医師過疎地域では, 外科専門医以外の応援を得なければならず, 腫瘤を触れた受診者を精密検査へ送る, いわゆるふりわけ診断にポラロイド写真が大変貢献した。そして初年度癌発見率0.10%は先進県なみであり, 次年度は0.06%とやや低下でしたが, 昭和58年度は0.08%と再び上昇した。しかも触診に不慣れな医師でも超音波検査を補助診断として行なうことにより, 充分乳癌の集団検診を実施できることが実証された。
    超音波診断については, ポラロイド写真は乳癌集検用に適しているが, 1方向のみではなく2方向スキャンを採用すべきである。精密検診にはやはり超音波フィルム診断が有用であり, その際腫瘍後方エコーにより病理組織診断まで推し進めることにより, 癌診断率を高めることが出来る。
  • 神沢 賢, 町田 拓也, 柳原 光国, 多田 秀穂, 水嶋 丈夫
    1985 年 34 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    当科では昭和37年より昭和58年に至る期間に104件の足関節骨折入院例を経験し, それらの約半数に観血的i療法を行なってきた。そして従来のscrew固定法にかわって昭和56年よりZuggurtungsosteosyntheseを積極的に用いている。
    ZuggurtungsosteosyntheseはKirschner鋼線, 締結用wire以外の特別な器具を施行に際し必要としない。また, 圧迫力が骨折面に持続的に働く機能的圧迫固定法であるため, 術後外固定を必要とせず, 早期関節運動開始が可能である。
    われわれのZuggurtungsosteosynthese施行症例の術後評価からみても, 本法が足関節骨折治療にきわめて有用であることを報告した。
    さらに最近, われわれは非観血的機能的療法としてテーピング固定を足関節骨折の治療にとり入れているので, その有用性と問題点に検討を加え, あわせて報告した。
  • 中田 実
    1985 年 34 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農作業災害による被災者23名について面接調査を行ない, 身体的障害が被災後の農家の生活の全体にどのような影響を及ぼしているかを世帯の経済状態との関連で考察し, 保険制度についても検討した。
    1. 農作業災害による被害は, 被災者本人の身体の傷害・後遺障害の発生を通じて被災直後の営農活動への支障, 長期的営農計画の変更・頓挫, 家族の農業労働や農外労働の強化, その他広い範囲に及んでいたが, 経済的に不安定な階層で被害はより大きかった。
    2. 国の管掌する労災保険の特例加入制度はまだ十分に周知のものとはなっておらず, 加入している者も少ない。労働災害の一種である農作業災害に対する救済は個々の農民の自助自救に任されていて, 各農家はその資力に応じて民間の各種保険制度に加入していた。
    3. 従って, 被災後に受領する保険金額の大きさは, 身体的被害の大きさが同じであっても経済的水準の低い階層では一般に少額で, 農作業災害による被害の深刻さは各農家の経済基盤の差を反映していた。また災害は各農家の経済格差を一層大きくするように作用すると考えられた。
    4. 被災による経済的転落を防止するために適切な保険が必要であり, それを要望する声が大きかった。
  • 石渕 敏明, 小平 有子, 茂木 昌子, 池田 昌伸, 山田 貞一, 大山 碩也, 出浦 喜丈
    1985 年 34 巻 1 号 p. 70-77
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    われわれは, 各種のモノクローナル抗体を用いて, 健常人末梢血および成熟児膀帯血のリンパ球サブポピュレーション (サブセット) を, フローサイトメトリーを使用し, 全血法にて解析した。主な結果は, 次のとおりであった。
    1.健常人の正常値 (Mean±SD) では, T細胞系で, OKT3+: 62.2±9.4%, OKT4+: 40.9±8.3%, OKT8+: 28.2±6.6%, OKT11+: 80.1±4.8%, B細胞系で, SmIg (polyvalent) +: 15.9±6.5%, その他, OKIa1+: 12.9±3.2%, Leu7+: 16.2±8.9%であった。
    II.健常人のOKT4/OKT8比は, Mean±SDが1.57±0.61で, 1.0以下が17%, 2.5以上が6.5%であった。同様に, 贋帯血ではMean±SDが1.80±0.71で, 1.0以下が5%, 2.5以上が11.7%の割合であった。
    III.OKT4+OKT8/OKT3比は, 健常人でMean±SDが1.05±0.14, 膀帯血で1.18±0.14であり, 贋帯血および40才以降で, 有意 (p<0.001) に高値を示した。
    IV.リンパ球サブポピュレーションは, 小児や高齢者および男女間などで, 一部生理的変動を認めた。また, この値は, 個人でいつもほぼ一定した値をとるが, 個人差ならびに一部家族性が認められた。このことは, 各個人あるいは家系における免疫応答性の差を示している可能性が考えられた。以上の点をふまえた上で, 各種の疾患における解析を行なう必要があると思われる。
  • 1985 年 34 巻 1 号 p. 78-85
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 34 巻 1 号 p. 86-88
    発行日: 1985/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
feedback
Top