日本農村医学会雑誌
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34 巻, 5 号
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  • 土屋 滋, 大貫 稔, 福屋 靖子
    1986 年 34 巻 5 号 p. 871-877
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    茨城県大穂町は筑波研究学園都市の一地域にあって, 農村地帯が主体を成し, 近代化の影響を受けつつも, ここ10年余り, 人口構成など大きな変化をみていない。人口13,000余人で国保加入率65.8%, 40才以上の人口比44.0%, 65才以上の人口比12.3%である。
    昭和56年度から茨城県の脳卒中予防対策重点地区指定にあわせて, 筑波大学社会医学系, 谷田部保健所などとともに3年計画で脳卒中半減を目指して組織的対応を試みた。
    町に対策推進協議会を育成し, 対策の企画立案からの参加, 専門部会での検診判定基準, 管理指導方針などを検討した。検診成績などの経年的整理検討と検診から管理への受け渡しの円滑化を計った。
    町の衛生概況, 基礎的資料の整理検討と共に, 検診受診率の向上, 事後指導の強化と生活指導の重視に努めた。
    その結果, 検診受診率は著しく向上し, 老人保健法施行以降は検診成績のコンピューター入力化を行い, 種々の面から分析を行うとともに経年的資料を各委員会に提出している。
    住民および地元医師会, 保健関係者など次第に参加協力意識が増してきている。
    結果的には, 経年的にみて各種検診成績の改善, とくに血圧値関係, 高度の肥満者, 二次検診対象者の指導区分上での改善などがみられ, 脳血管障害による死亡率も低減をみ, その死亡年齢も高齢化している。
    今後は健康づくり推進協議会の中で幅広く活動を続けてゆく。
  • 山形県の地域住民組織の活動を中心に
    岩崎 清, 生地 新, 芳賀 博
    1986 年 34 巻 5 号 p. 878-888
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    山形県における高血圧・脳卒中予防にかかわる地域組織の構造と機能を調査した。県内全市町村 (44市町村) の保健衛生ならびに福祉所轄課に対するアンケートで把握した122の組織を対象として, 質問紙による郵送調査と現地訪問調査を実施した (第一次調査, 回答数115, 回答率94.3%)。さらに, 一次調査で回答の得られた組織に対して, 脳卒中患者ねたきり老人等の障害老人を抱える家族に対する各組織の支援状況を調査した (第二次調査, 回答数105, 回答率91.3%)。
    (1) 115の組織は構造と運営, リーダーの特性, 活動内容の視点に基づいていくつかの特徴的なタイプに分類できた。さらに, 各組織は構造と機能に関する41変数に基づくクラスター分析により5つのグループに分類された。
    (2) 農村部と都市部では, 活発な組織のタイプが異なることが示された。農村部では, 公民館や農-協等の社会資源を含む地域ぐるみの組織に活発な事例が多かった。一方, 都市部では, 女性教育者型のリーダーを持つ住民主体の組織に活発な事例が多かった。
    (3) 40%の組織は, 脳卒中患者を抱える家族に対して何らかの支援活動を行っていた。また, ねたきり老人を抱える家族への援助は, 30%の組織で実施されていた。
    (4) 組織活動の活発さの程度と県内市町村の循環器病集団検診実施率との関係を検討した結果, 集団検診実施率が高率でない地域でも独創的な活動例が認められた。
  • 吉村 武, 三好 保, 今木 雅英
    1986 年 34 巻 5 号 p. 889-893
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    血清酵素活性値レベルに及ぼす摂取蛋白質量の影響を検討するために, 青年男性被験者8名に低蛋白質 (体重kg当たり0.73-0.75g, 40-50g/日) の実験食を21日間与え, 血清LDH活性値, アイソザイムパターンの変動を検討した。
    血清LDH活性値は低蛋白食で有意な変動は認められなかった。
    しかしながら, 血清LDH-5分画比は14日目に5.9±2.3%から10.6±2.9%となり有意な上昇 (P<0.01) を認めた。血清LDH-4分画比も14日目に7.1±1.4%から10.1±0.9%と有意な上昇 (P<0.01) を認め, 血清LDH-5, 血清LDH-4分画比が蛋白質摂取量と密接に関係している事が示された。
  • 西山 邦隆
    1986 年 34 巻 5 号 p. 894-900
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    頭部被服に付着した農薬による人体の2次的汚染を予防する目的で, 付着した農薬の水分による溶出濃度を実験的に測定し検討を加えた。約1年経過した被服からの農薬の溶出率は, ボルドー液剤 (銅濃度を指標として) で約2~3%, 有機燐系農薬のそれは7~14%程度であった。農薬散布作業終了後 (ボルドー液剤, 有機燐系農薬散布) の被服からの水分による農薬の溶出率は, 農薬の付着の大小よりも被服の材質により異なり, 化学繊維のような滑らかなものでは溶出率は高く, 有機燐系農薬の分解も早い傾向を示した。その値は, 被服を放置し, 4週を経てもボルドー液剤で約50%, 有機燐系農薬のそれは同じ時点で約7%であった。また, ボルドー液剤付着被服を4週放置しても, 水分による浸漬液のpHはあまり減少せず, 比較的高値を持続した。これより, 散布時, 多くの農薬の曝露を受けた被服を短期間中に再び着用する場合は, 充分農薬を除去するなどの予防を講じる必要がある。
  • 病理組織検査と画像検査
    川村 雅枝, 小松 達司, 大谷 智子, 広瀬 寿文, 中沢 肇, 茂木 茂登子, 小沢 みや子, 田辺 誠, 前田 淳, 井口 孝伯, 飯 ...
    1986 年 34 巻 5 号 p. 901-905
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    社会保険山梨病院の外来, 入院患者, および成人病検診, 人間ドック受診者を対象に, 病理組織検査における日虫卵検出率と, 画像検査による日虫症性肝病変検出について検討し, 以下の結果を得た。(1) 剖検例における日虫卵検出率は43.0%であった。(2) 手術材料における日虫卵検出率は, 肝25.0%, 胃6.3%, 十二指腸6.8%, 大腸27.7%, 虫垂8.6%, 胆嚢1.4%, 郭清リンパ節10.7%であった。(3) 生検材料における日虫卵検出率は, 肝12.6%, 胃0.4%, 十二指腸3.0%, 大腸5.9%, 肺4.8%であった。(4) 病理組織検査における年令別日虫卵検出率は, 40才代1.2%, 50才代2.2%, 60才代3.5%, 70才代8.2%, 80才代10.1%であった。(5) 超音波検査による日虫症性肝病変診断率は62.1%, 超音波検診における日虫症肝病変検出率は3.5%であった。(6) CTによる日虫症性肝病変の診断率は42.1%であった。
  • 川田 健一, 松本 和美, 藤原 秀臣, 久保田 和子, 井坂 信之
    1986 年 34 巻 5 号 p. 906-909
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和53年1月から58年12月までの6年間に当院で経験した多発性骨髄腫症例23例について, 腰痛に焦点を当てて検討した。初発症状として腰痛を訴えた症例が52.2%と圧倒的に多かった。これらの症例を腰痛群とし, その他を非腰痛群として2群に分けて比較すると, 腰痛群で発症から診断までの期間が異常に長い例が多いことが明らかとなった。農業従事者の多い当地域などでは腰痛を訴えてもいわゆる腰痛症などと見なされやすいために, 医療機関への受診や診断が遅れるのではないかと考えられた。診断の遅れが治療効果や生存期間に及ぼす影響についても検討したが特に両群間で差は認められなかった。
    さらに, 集団検診等で一般的に採用されている検査項目の中で, 多発性骨髄腫診断のスクリーニングに有用な項目を明らかにするために, 全症例の初診時検査成績から5項目について検討した。その結果ZTT値の異常率が90.9%と最も高く, 次いでコリンエステラーゼ値 (82.6%), A/G比 (73.9%) の順であった。従って集団検診でZTT値が異常低値あるいは高値を呈する例では, 多発性骨髄腫の存在を疑って精密検査を施行することが早期診断に役立つと考えられる。
  • 1986 年 34 巻 5 号 p. 910-921
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 34 巻 5 号 p. 922-946
    発行日: 1986/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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