日本農村医学会雑誌
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35 巻, 4 号
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  • 杉村 巌, 福井 実, 都丸 久, 成沢 恒男, 峯本 博正, 小西 行夫
    1986 年 35 巻 4 号 p. 735-741
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡検査で確かめた肝硬変44症例と, 肝硬変が原因で死亡した75症例について, 成因別実態を知る目的で検討を加え, また, 最近, 画像診断の発達によって小肝癌を発見する機会も多くなったが, 当院で経験した6例の5cm以下の肝癌症例について発見の経緯等について検討し, さらに進行肝癌4症例も加え, その治療法についても考察した。
  • 盛合 範彦, 志田 幹雄, 若松 秀樹, 鎌田 収一, 小松 寛治
    1986 年 35 巻 4 号 p. 742-748
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    過去5年間, 当院に入院した肝硬変症164症例について, HBs抗原・HBs抗体検査から, 成因別分類を行なった。その結果, 当地域では, 男性ではアルコール性が, 女性では原因不明, NANB肝硬変が多かった。HBs抗原陽性肝硬変は8.3%と少なかった。HBs抗原持続陽性例の肝癌合併率は53.8%と高かったが, 全体では14.1%と低く, アルコール性からの発癌はまれであり, NANB肝硬変の発癌性も低いものと思われる。HBs抗原陽性肝硬変は, 肝癌の早期発見を, アルコール性は, 食道静脈瘤の治療が, 予後次善につながるものと思われる。
  • 岡本 浩平
    1986 年 35 巻 4 号 p. 749-754
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1971年1月から1985年12月までの15年間に, 土浦協同病院で手術した胆嚢癌44例, 胆管癌22例, 膵癌53例, 乳頭部癌10例について検討した。切除率は胆嚢癌52.3%, 胆管癌54.5%, 膵癌13.2%, 乳頭部癌100%であった。治癒切除率は, それぞれ20.5%, 18.2%, 1.9%, 80%で, 膵癌が切除率, 治癒切除率ともにもっとも低かった。術後の遠隔成績でも膵癌がもっとも悪く, 2年以上の生存例がない。
  • 成因別実態と予後を中心に
    弓野 明彦, 山下 耕一, 清水 茂文, 磯村 孝二, 夏川 周介, 大西 一好, 寺島 重信, 佐々木 真爾
    1986 年 35 巻 4 号 p. 755-764
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    肝硬変症194例を成因別 (1群: B型肝炎ウイルス, II群: アルコール, III群: 特殊型, IV群: 原因不明群) に分類し, その臨床的特徴と予後について検討した。
    各成因別頻度は1群23.2%, II群35.6%, III群1.5%, IV群39.7%であり, 特にIV群では輸血歴を有するものが多く非A非B型肝炎ウイルスの関与が示唆された。全体の5年生存率は45.6%であり成因別に差はなかった。死因では食道静脈瘤, 肝不全による死亡が次第に減少する一方, 肝細胞癌の合併によるものが急増し, 特に1群では41.1%と高率であった。成因別の累積生存率には各群間に有意差はなかったが, アルコール, B型, 原因不明群の順に予後不良の傾向を認めた。
  • 櫛田 俊明, 三宅 秀則, 小原 卓爾
    1986 年 35 巻 4 号 p. 765-771
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和54年1月より昭和58年末までの5年間に阿南共栄病院に入院した肝硬変症およびそれに伴う肝細胞癌, 食道静脈瘤症例について疫学的ならびに治療成績について検討した。
    1. 5年間に経験した肝硬変は128例であった (男性98例, 女性30例)。男性では40才代 (26.5%) から急増し, 50才代 (38.8%) がもっとも多かった。女性では70才代まで増加傾向であった。
    2. 肝硬変の成因別分類では, HBV性40例 (31.3%), アルコール性27例 (20.3%), 原因不明61例 (48.4%) であり, 平均年令はHBV性55.9才, アルコール性52.5才, 原因不明60.1才であった。
    3. 128例のうち66例が死亡しており, 死因では肝細胞癌が40.9%2もっとも多く, 次いで肝不全37.8%, 消化管出血12.1%, その他9.2%の順であった.
    4. 肝細胞癌41例のうち肝硬変合併症例は30例 (肝硬変の合併率は73.2%) であった。成因別分類での発生頻度はHBV性16例 (40%), アルコール性4例 (14.9%), 原因不明10例 (16.4%) であった。
    5. 肝細胞癌の切除率は約5%であり, 切除不能例には持続動注, TAE, one shot動注を行なったが, 肝硬変の合併や進行した症例のため, 成績はいまだ不良であった。
    6. 食道静脈瘤の合併頻度は60例, 46.8%であった。16例に手術を施行した。(予防手術9例, 待期手術6例, 緊急手術1例) 手術死亡が4例あり, 遠隔死亡も5例あった。手術適応の決定にあたっては, 術前の詳細な肝機能の評価が重要である2考えられた。
  • 佐々木 襄, 井上 邦典, 川口 正晴, 武藤 寛, 平田 俊次, 森田 悟, 関口 善孝, 高科 成良
    1986 年 35 巻 4 号 p. 772-778
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    胆道および膵頭部領域癌ならびに肝硬変症および肝癌の治療成績を検討した。
    胆道および膵頭部領域癌については, 胆のう (G) 癌10例, 胆管 (B) 癌18例, 乳頭部 (A) 癌6例, 膵頭部 (Ph) 癌15例の計49例を対象とした。そのうち, 根治術を施行し得たものは, G癌1例, B癌1例, A癌5例, Ph癌2例の計9例にすぎず, 全体としての施行率は18.4%であったが, 部位別にみるとA癌では5/6 (83%) と好成績であった。
    肝硬変症および肝癌については, 肝硬変症78例, 肝癌24例の計102例について検討した。成因別にみると肝硬変症は, ウィルス性15%, アルコール性44%, 特殊型1%, 原因不明40%であり, 肝癌は, ウィルス性29%, アルコール性29%, 原因不明42%であった。
    これらの領域癌の治療成績は, A癌を除くといずれも不良で, 今後その向上を図るためには, 内視鏡US, アンギオ, CTなどの最近めざましく進歩した検査法を駆使して早期発見に努めるとともに, 積極的に根治術の適応拡大に努力する必要がある。
    肝硬変症については, 上部消化管出血例ならびに余命の延長による肝癌合併症例が増加する傾向にあり, これらにいかに対応するかが今後の課題である。
  • 森本 哲雄, 村田 欣也, 嵜山 浩子, 田尻 三昭, 水田 実, 新谷 清, 兼行 俊博
    1986 年 35 巻 4 号 p. 779-786
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    過去5年間に, 当院において経験した肝硬変症患者141例について臨床的に検討した。患者の平均年令は57.8才, 男女比は2.8: 1であった。肝硬変症の成因としては, 原因不明が最も多く75例53%, ついでアルコール性49例35%, HBウィルス性16例11%であった。肝硬変症患者70例を, 代償期と非代償期に分類して比較した。その結果, 血液生化学的検査では, コリンエステラーゼ, ICG15分値, アルブミン, プロトロンビン時間, 赤血球数の5項目が, 代償期と非代償期を鑑別するうえで, 重要な指標になると思われた。
    つぎに, 当院において経験した, 細小肝癌症例8例について検討した。細小肝癌は「最大径3cm以下の単発した肝癌」と定義した。疑診の動機としては, AFPの上昇が最も多かった。画像診断のスクリーニング法2しては, 腹部エコーが最も有用と思われた。また, アンギオで確診できなかった2例を, エコーガイド下吸引細胞診で診断した。細小肝癌8例のうち, 手術施行例は6例であり, 2例は術後短期間で死亡したが, 4例は現在生存中である。手術できなかった2例は, それぞれ診断後6か月と2か月で死亡した。切除例の病理組織学的検討を4例について行なったが, Edmondson分類では全例grade IIであった。被膜形成は3例にみ2められたが, 3例2も被膜外浸潤を伴っていた。脈管侵襲 (顕微鏡的) は1例にみられた。
  • 安倍 弘彦
    1986 年 35 巻 4 号 p. 787-792
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    過去5年間に, 久留米大学第二内科に入院した肝硬変症597症例を対象とし, 特殊型肝硬変を除いて, HBsAg, anti-HBcの検索を施行し得た321症例について, その成因を検討した。全肝硬変症587例中, III型の特殊型肝硬変は6.4%で, この中では日本住血吸虫性肝硬変がもっとも多く, 福岡県筑後地区の特徴が現われている。1群のB型ウイルス性肝硬変は28.9%, II群のアルコール性肝硬変は19.7%, IV群の原因不明群は45.0%であった。成因別頻度の推移を見ると, 1群の占める割合が年々減少し, II, III群が漸増する傾向にある。肝細胞癌の合併率ではIII群を除く各群間に差はみられず, 肝細胞癌の合併率が年々上昇していく傾向にあり, 診断技術の進歩および治療の進歩により, 肝硬変の生存期間が長くなってきたことが原因と考えられる。診断時年令では1群の方が若く, 若い年令で肝硬変まで進展することがわかる。
  • 上田 厚, 上田 忠子, 青山 公治, 飯干 明, 松下 敏夫, 吉田 政雄
    1986 年 35 巻 4 号 p. 793-802
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    鹿児島県下の菊栽培農家を対象に, その収穫期の労働と作業環境を調査し, 作業者の生理的負担の実態を解析し, 作業に伴うアレルゲン曝露とその対策を検討した。
    菊収穫作業は採花, 選花 (選別), 出荷 (箱詰め, 梱包) の各作業で構成され, 筋的作業負担は強くはない。しかしながら, 丁寧さと注意深さが要求される長時間労働で, 同一作業姿勢が継続され, 静的疲労をきたしやすい作業である。とくに, 選別は背部, 腰部および下腿部に緊張をしいられる作業である。
    また, 世帯における作業時間や消費エネルギー量の配分は, 女子に比し男子の比重が大きいが, 女子は, 収入生活時間の他に世帯の家事的時間のすべてを担当している。
    作業場における粉じん中には, 花粉は少なかったが, 菊葉毛茸が多数認められ, その量は作業量に伴って変動し, 作業者の即時型アレルギーの病因として菊葉毛茸の関与が最も大きいものであることが示唆された。粉じんによるアレルギー発症の予防には, 選花室の根本的な衛生工学的対策が必要であるが, 差し当たり, 作業者のマスクの着用が最も効果的である。
  • 散布作業者の疫学調査
    広瀬 俊雄, 彦坂 直道
    1986 年 35 巻 4 号 p. 803-809
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    われわれは, 1982年, 通常の散布作業に従事していた農婦がくり返す皮膚への付着と, それによる皮膚炎を契機に, 最終暴露後わずか3週間で死亡したことを報告した。
    1983年には, 宮城県北3地区において, 肺機能を中心として男女111名の検診を行ない, フローボリュームで末梢気道障害を示唆するという指標での異常を認め, これも報告した。
    今回われわれは, 農協の5つの婦人部と協力し40, 50代の非喫煙女子を対象にした疫学調査を行なった。パラコート散布者92名, 非散布者65名で, ともに無作意的に選出した。
    健診内容は, 問診, 診察, 肺機能, 動脈血ガス, 胸部X線, 血液検査, 尿検査であった。
    結果は, 今回も, フローボリュームで末梢気道障害を示すといわれるV25値で, 希釈法がずさんで, 年4回以上散布しているか, 今までの総量が10本 (5000ml) 以上の群において, 有意の低下を示した。
    両群ともに, フローボリュームでV50, V25値が諸家の示す「標準値」より有意に低下していたが, パラコート以外の数種の農薬の複合的影響も考えられた。
    2年に渡る疫学調査の結果は, 同様に末梢気道障害を明らかに示しており, これはパラコート散布による健康障害といえる。
  • 当宮 辰美, 三好 保
    1986 年 35 巻 4 号 p. 810-817
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業機械の中で、比較的よく使用されるトラクターとバインダーを対象にアイドリング時と運転時における騒音、振動を測定し以下の結果を得たので報告する。
    1.トラクターとバインダーの騒音レベルは両方とも100dBAを越えており、バインダーの騒音レベルの方が約6dB高かった。騒音の周波数分析より、トラクターの騒音は315Hzで8時間の許容基準を越え、バインダーは630Hzで2時間の許容基準を越えることが判明した。
    2.運転時におけるトラクターのハンドルの振動レベルはY方向が最も高く117.5dBであり, 座席の振動レベルは鉛直方向が最も高く97.5dBであった。これらの振動の周波数分析結果より、トラクターのハンドルでのY方向の振動は16-50Hzで, また, X方向では25-40Hzの範囲で4時間の規制目標を越え, トラクターの座席における鉛直方向の振動は31.5Hzで8時間の許容基準を越えていた。
    3.運転時におけるバインダーのハンドルの振動レベルは, Z方向が最も高く, 金属グリップで114.1dB, ゴムグリップで112.1dBであった。周波数分析結果より, バインダーのハンドルでのZ方向の振動は, 50Hzでピークをもち, 4時間の規制目標値を越えていた4.これらの農機具の騒音, 振動を許容基準や規制目標値と比較すると, 長時間使用すれば騒音性難聴や振動による障害をひきおこす可能性があることが認められた。
  • 三廻部 真己
    1986 年 35 巻 4 号 p. 818-824
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    就農者の高令化がすすんで, 農業労働災害が頻発してきた。高令化の実態は, 農業就業人口640万人のうち, 50才以上が68%という状況である。農業労働災害の現状は, 死亡事故だけでも昭和46年から58年までの13年間に5,049人が死亡した。最近の3か年平均をみても50才以上の死亡事故が70%を占めて, 高令者に事故死が集中している。
    憂慮すべきことは,「動作の遅れ」が原因で農作業事故を起こしているのが全体の42%にも達していることは高令者事故の特徴である。就農者の高令化で農機の操作ミス (Human Error) がなぜ起きるのかの研究視点が重要になってきた。農機運転のしやすさ (Operability) が追究されなければならない。農機運転上の人間的側面から事故要因の検討が必要であると考える。人間と機械とのかかわり合い (Man Machine Interface) の改善がこれからの事故防止の重大課題である。高精能・高能率・安全の農機でありながら実際に農機事故が減らないで, 増えている原因は何か。農機事故原因をつかみ, 同種災害の再発を防ぐ事故調査が必要である。また, 欠陥機械の発見も必要である。安全対策は, 健康づくりと同様に農作業現場の安全づくり, 安全への投資を実施することである。
  • 黒島 振重郎, 武岡 哲良, 野坂 哲也, 村上 達哉, 朝田 政克, 藤森 勝, 関下 芳明, 塩野 恒夫
    1986 年 35 巻 4 号 p. 825-829
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業外傷による肺嚢胞 (肺内血腫) の1例について報告した。
    症例は54才, 主婦, 受傷後40分で本院に搬入された。
    両胸腔内挿管'レスピレーター装着のもとに, ICUにおいて管理したが, 受傷後7日目のX線写真では'左右とも, 肺嚢胞を伴った肺内血腫がみとめられた。
    この症例は, その後呼吸, 循環状態が比較的安定していたため保存的に経過を観察したが, 右の陰影は41日目のX線写真で消失しており, 左の陰影も70日目のX線写真では全く消失していた。
    肺嚢胞 (肺内血腫) の報告は意外に少ないものであるが, 自験例での追跡経験から, 開胸手術を積極的に支持する所見がない限り'その治療としては保存的療法が選択されるべきものと考える。
  • ねたきり老人健康管理「サービス・パケッジ方式」の試みと評価
    福島 哲仁, 尾崎 米厚, 阿部 顕治, 中川 昭生, 土谷 長子, 谷口 栄作, 山根 洋右
    1986 年 35 巻 4 号 p. 830-838
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    島根県の老年化現象は, 将来人口推計によると全国平均より, 約15年先を進んでおり, 日本の老人対策を考えるうえで島根県自体重要なモデルとなっている。
    われわれは, 佐田町を対象に, 町, 出雲保健所, 出雲医師会, 島根医科大学第2環境保健医学教室の協力のもとに, 北欧で行なわれている「老人サービス・パケッジ方式」を改良し, ねたきり老人とその介護者の総合健康管理をすすめている。老人対策を総合的にすすめるには, 保健・医療・福祉・労働・文化の各境界領域に多くの問題が存在していることをこの佐田町における老人対策のこころみにより明らかにした。
  • 若月 俊一
    1986 年 35 巻 4 号 p. 839-843
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 内田 昭夫
    1986 年 35 巻 4 号 p. 844-846
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 高科 成良
    1986 年 35 巻 4 号 p. 847-849
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 菅谷 彪
    1986 年 35 巻 4 号 p. 850-851
    発行日: 1986/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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