日本農村医学会雑誌
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37 巻, 1 号
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  • 第1編林業出稼
    久繁 哲徳, 近藤 真一, 大原 啓志, 五島 正規
    1988 年 37 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    出稼供給地域の農山村においては, 1960年代の高度経済成長以降, 出稼が常態化し, 生活を支える主要な産業となる状況が生みだされた。その結果, ずい道建設出稼, 林業出稼にみられるように, 一部の出稼が専業化する傾向が認められるようになった。本報告においては, 林業出稼をとりあげ, 地域における出稼の状況および出稼労働の労働衛生学的評価を行なうとともに, 労働現場および居住地域における健康管理の問題点についても検討を加えた。また, 出稼労働に起因する健康障害, とくに, 振動障害および労働災害をとりあげ, その有症状態について評価を行った。
    林業出稼は, 地域の不安定な社会経済条件を背景として, 零細な農林業を家業とする世帯から派生していた。また, 林業出稼の労働力は, 戦後復興期から高度経済成長期にかけて需要の高まりが認められた。主な出稼先は近畿地方であった。出稼先の労働条件では, 出来高・請負制のもとで長時間にわたる労働が継続して行なわれるなど問題が認められた。また, 振動作業では, 時間規制をはるかに上回る高密度の振動暴露が長期間にわたり継続して行なわれていた。出稼に起因する健康障害として, 振動障害の発症が高率 (48.6%) に認められた。これらの患者は, 出稼現場および供給地域における健康管理が不十分なため潜在化していたものであった。さらに, 労働災害による負傷 (休業4日以上) の経験者は40.0%と高率であり, 安全対策の必要性が認められた。一方, 林業出稼の専業化により作業状況, 労働条件への影響が認められた。
  • 国民栄養調査成績の解析
    仲山 良二
    1988 年 37 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    体重の増減は, 個人的にも集団的, 全国民的にも, 健康指標としては原初的または公理的といえるほどに根幹的で最重要のものであろう。その体重変動を知る資料としては, 国民栄養の現状 (国民栄養調査成績) は唯一無二のものであろう。著者はこの資料を使って, 同一出生年別年令階級を10年ごとに標本調査で追跡し,「日本人の体重増加傾向」として日本公衛誌 (昭53) に発表した。今回はその後10余年の追跡成績に, 肥満開始の時期を遡及して得た新知見を添え, さらに肥満統計に若干の検討を加えようとするものである。
  • 潤田 嘉朗
    1988 年 37 巻 1 号 p. 18-31
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    高率な周産期死亡率の茨城県 (昭和59年度周産期死亡率, 全国平均: 8.7, 茨城県平均: 10.9) では, 地域によってかなりな差がある.昭和54年から昭和58年までの市町村別平均周産期死亡率 (以下死亡率) は13.4, 県内92市町村のうち高率10か村の平均死亡率は22.7;低率10か所のそれは7.18である.しかも, これら高率地域は県南東部 (6か所), 県西部の一部 (1か所) 2に遍在しており, 低率地域は比較的県北部 (6か所) に遍在している.その理由については複雑で簡単に解明し得ないが, 上記市町村地域を, 人口規模, 出生率, 死産率, 乳児死亡率, 新生児死亡率および早期新生児死亡率等から解析してみた.特に施設分娩, 出生児体重等の点から県北と県南東部および当院を含む県南中部を中心に検討し, また県内重装備NICU設置医療機関が3か所と, そのベット数の点からみてやや少ないことも, 茨城県の周産期死亡率の高い理由であると, 当院のNICU設置前後の死亡率改善成績 (19.8から9.7に改善) から推論するとともに, 高率な県南東部との関連性についても論じた.
  • 三廻部 真己
    1988 年 37 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    神奈川県下労災保険加入農家の農機事故発生年千人率は15.2であった。これに対し, 県下他産業の業種別平均の千人率は5.5であり, 農作業の方が約3倍も事故発生率が高く, 農機運転作業はきわめて危険な作業であることが判明した。
    農作業事故の発生率が高い原因を, 農作業環境の面から検討すると, 農作業現場が傾斜地や段々畑, 狭い農道などきわめて不安全状態にあり, 潜在事故要因の災害ポテンシャル (Accident Potential) によって, 農作業事故は起こるべくして起きている。
    一方, 就農者の人の側から事故原因を検討すると (1) 高令化による身体機能の低下による事故,(2) 同じく健康障害にともなう不快感からくる事故,(3) 兼業化による土, 日曜日への集中化による事故,(4) “1人作業” による安全管理の欠陥による事故,(5) 営農危機等の心労からくる事故など不安全行動による事故と原因を二つに分けることができる。
    これらの事故原因は, いずれも農業構造上のウイーク・ポイント (Weak Point) から発生している。したがって, 農業は構造危険業種であるということができる。
  • 森本 哲雄, 村田 欣也, 新村 和典, 門 裕二, 斎藤 満, 水田 実
    1988 年 37 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    入院人間ドック症例における肝機能検査を、飲酒がおよぼす影響を中心に検討した。対象例172例のうち1日飲酒量1合未満群は70例、1合群は49例、2合群は53例であった。(1) 1合未満群、(2) 1合群、(3) 2合群について肝機能検査値 (M±SD) を比較した。その結果、飲酒量が増加するにつれて推計学的な有意差をもって変化する検査項目はGOT、GOT/GPT (OP比)、γ-GTP、CHE、LAPの5項目であった。その中でも、(1) と (3) の比較において有意差を認めたOP比、γ-GTP、LAPが飲酒量の増加による肝機能障害を最も鋭敏に反映する検査項目と思われた。
    一方、飲酒習慣を有する症例は、同時に喫煙習慣もあわせて有する症例が多く、x2検定の結果、両群間には5%以下の危険率で有意差を認めた。
  • 柳澤 利喜雄
    1988 年 37 巻 1 号 p. 42-43
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 37 巻 1 号 p. 44-52
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 37 巻 1 号 p. 53-64
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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