日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
38 巻 , 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 神山 潤, 福田 睦夫, 潤田 嘉朗, 登内 真
    1989 年 38 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和59年2月から61年5月に土浦協同病院未熟児センターに入院, 2年6か月以上経過観察し得た出生時体重2500gm未満のsmall-for-date (SFD) 児51名の身体発育および神経学的予後について検討した。
    双胎のほか, 母体側因子として妊娠中毒症, 胎盤機能不全をSFD児に多く認め, 新生児期合併症では, 感染症のほか, 多血症, 低血糖症を, とくに出生時頭囲が-1.5SD以下のsymmetrical intrauterinegrowth retardation (Sym) 児に多く認めた。SFD児の体格は有意にappropriate-for-date (AFD) 児に比し小で, 神経学的後障害を認めた児はAFD児よりも少なかったが, 後障害を認めたSFD児は全例Sym児であった。
    Sym児の予後がきわめて憂慮すべきであることが示され, その予後改善のためには, 胎児期から, 産科医, 小児科医の協力体制のもと, 一貫した集中管理体制をとれるシステム一周産期センター一の充実が急務であることを痛感した。
  • 三原 修一, 上村 妙子, 小柳 敦子, 小山 和作
    1989 年 38 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    パラコート剤はきわめて致死率の高い除草剤であり, 食品に混入するような犯罪も多発したことから大きな社会問題となり, 現在低濃度化されたパラコート剤が販売されている。
    熊本赤十字病院でも過去12年間に190例のパラコート中毒症例を経験しており, 1982年の治療法改善後もその救命率は36.3%となっている。ここ数年の動向をみても, パラコート中毒症例は減少していないのが現状である。
    さらにパラコート中毒症例の最近の傾向をみると, 誤飲や農作業中の事故が減少しており, 住民のパラコート中毒に対する認識の向上がうかがえるが, 対照的に自殺目的の服毒が増加している。また非農業従事者の中毒事故の割合も増加しており, 既に販売中止となっている旧製品による事故もいぜんとして多いことから, パラコート剤の保管管理の不十分さがうかがえるとともに, 旧製品の回収および使用禁止の措置が取られていなかったことも問題と思われる。また低濃度のパラコート剤でも, 1987年の中毒症例9例中6例が死亡している。
    パラコート中毒は, 確実に有効な治療法が存在せず, 使用する本人の自覚や行政指導だけでは解決し得ない多くの問題を含んでいる。今後われわれは, 現在直面している問題の解決に向けて努力するのみでなく, 社会的犯罪を未然に防止するという意味からも, パラコート剤の農薬としての価値を再評価するとともに, その取り扱いに関して十分検討する余地があろうと思われた。
  • 林 正利
    1989 年 38 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    40~49才令男性18人の指爪中7元素 (Ca, Na, Zn, K, Mg, Fe, Cu) 濃度を7~9月および1~3月の各3か月間測定し, 月別に比較検討した。さらにまた, 43才令男性の指爪中元素濃度を21か月にわたって測定し, 月別変動の検討を行なった。
    40~49才令男性群の7~9月の指爪中元素濃度には著しい月別変化は認められなかったが, 1~3月では2月の爪中Ca, NaおよびCu濃度が他の月のそれらと比べて有意な増減を示した。さらに2月の爪中Na/CaとNa/K比についても他の月と有意さを示した。43才令男性の指爪中元素濃度は月によって若干異なるが, Naが最も高く, 次いでCa→K→Mg→ Zn→Fe→Cuの順に低くなった。爪中7元素の内Ca, MgおよびZn濃度は月別変動が小さく, その変動係数は各10.0, 10.0および12.0 (%) であった。Na/Ca比は21か月間著しい変動はなかったが, Na/K比は12月から5月の間高い傾向を示した。この男性の爪中元素濃度の月間変動をみると, 10~12月はCaとK濃度が高く, 3~5月はCa濃度が低くなった。
    元素間の相関関係は, 40~49才令男性群と43才令男性で必ずしも一致していなかったが, CaとMgおよびNaとK間にはいずれも有意な正の相関性が認められた。
    本研究の結果は指爪中元素濃度の基礎データにはなるが, 詳細な月間変動を得るためにはより多くのサンプルについての検討が必要である。
  • 今木 雅英, 三好 保, 松本 和興, 北小路 学, 中村 武夫, 棚田 成紀
    1989 年 38 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    血清γ-GTP分画と食物摂取パターンの関連性について, 健康な日本人青年257名を対象に以下の疫学的調査を実施した。対象者の食物摂取データを用いて, 因子分析法により食物摂取パターンの三つの因子を抽出した。第1因子は, 肉類, 卵類, 野菜類に正の高い因子負荷量があり肉類, 卵類, 野菜類を多食するパターンである。第2因子は小麦類が正の高い因子負荷量, 米類は負の高い因子負荷量を示し,「パン食対米食」因子である。つまり負の因子得点の対象は米食中心の食パターンである。第3因子は十分に説明できなかった。
    これらの因子と血清γ-GTP活性値との関連性を解析すると, 統計的に有意な負の相関がGT、分画比と第1因子 (r=-0.230, p<0.01), 第2因子 (r=-0.187, p<0.01) に認められた。しかし総血清γ-GTP活性値とは有意な関係は認められなかった。以上の結果より, 食物摂取パターンがγ-GTP分画比に影響を与えていることが疫学的に認められた。
  • 松下 敏夫, 萬田 芙美, 青山 公治, 上田 厚, 上田 忠子, 李 卿, 小濱 木の実
    1989 年 38 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    オクラ栽培作業者の皮膚障害の発生について現地調査した。調査した186名 (男子76名, 女子110名) のうち, 約半数 (46.2%) がオクラ栽培による皮膚障害を経験していた。障害部位は, 主として腕 (47.5%), 頸部 (41.3%), 手指 (32.5%) などであった。障害は, 一般に掻痒 (85.0%), 発赤 (61.3%) 程度であったが, 手指の指紋消失 (16.3%) や亀裂 (11.3%) などの重症のものも認められた。皮膚障害に関係するオクラの部位は, 主として葉, 毛茸および莱果のようであった。
    46名 (男子12名, 女子34名) のオクラ作業者と112名 (男子84名, 女子28名) の対照者に, 未成熟のオクラ莱果で作成した試験液で皮膚貼布試験を行なったところ, オクラ栽培者の陽性率は, 男子 (陽性率25%) および男女合計 (同20%) で対照群に比べて統計的に有意に高かった。これらの成績は, オクラ成分は, 一次刺激性皮膚炎のみならずアレルギー性皮膚炎を生ずることを示す。
  • 山口 潤, 若原 幸枝, 小泉 直美, 塩崎 正樹, 田村 裕恵, 丸子 幸江, 飯居 サト子, 河合 弘子, 吉川 隆志, 寺井 継男, ...
    1989 年 38 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和56年から61年までの6年間に顕微鏡的血尿もしくは尿潜血を指摘された健診センター受診者を集計し尿路癌について検討したので報告する。
    受診者は合計27,513名 (M; 17,918, F; 9,595) で, 血尿は男2,536名 (14.2%), 女2,791名 (29.1%) が, 潜血は男3,356名 (18.7%), 女3,635名 (38.2%) が指摘された。
    二次検診の結果, 11名に尿路癌 (膀胱8, 前立腺2, 腎1) が発見され, 血尿陽性者の0.21%, 潜血陽性者の0.16%に相当した。発見率は男女別には男性が, 年代別には60才代が高かった。検診において指摘された血尿と発見された疾患との直接的な関連については疑問もあるが, 泌尿器科的疾患の検診制度の確立されていない今日, 血尿が泌尿器科的検索の動機となったことに意味があると思われる。
  • 森本 哲雄, 村田 欣也, 日野 啓輔, 秋山 哲司, 河内山 政彦, 三好 弥寿彦, 水田 実
    1989 年 38 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    症例1は43才の男性である。多量飲酒後, 黄疸を生じて入院し4日目, 肝性昏睡3度へ進行し死亡した。入院時プロトロンビン%31, T-B14.1であった。この症例は肝臓の組織所見がないが,「アルコールと肝」研究班が作成した, 重症型アルコール性肝炎の診断基準に該当する症例と思われた。症例2は45才の男性である。多量飲酒後, 全身倦怠感を生じて入院した。意識は清明, 肝臓は3横指触知し圧痛あり。臨床経過は肝庇護療法のみで軽快した。この症例は高脂血症と貧血を認め, Zieve症候群と診断した。
    CTを用いて, 症例1と症例2の肝臓および脾臓の容積と肝脾率を検討した。対照群と比較して症例1および症例2の肝臓の容積は増加し, 逆に脾臓の容積は減少していた。肝脾率は著明に低下していた。症例2では, 肝機能障害が軽快するとともに肝臓の容積は減少し, 脾臓の容積は増加した。肝脾率も正常化した。
  • 隅井 雅晴, 日野 文明, 大林 諒人, 網岡 浩, 吉川 浩英, 川口 稔, 三浦 敏夫, 正岡 智子, 向田 邦俊, 松井 康功, 小先 ...
    1989 年 38 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    脾膿瘍はきわめてまれな疾患であり, その頻度は0.01~0.67%とされる。かつては手術, あるいは剖検により診断されることが多かったが, 近年, 各種画像診新の進歩に伴い, 術前に診断することが容易となってきている。
    今回著者らは, 原因不明の多発性脾膿瘍を腹部超音波検査にて術前に診断し, 摘脾により治癒せしめた1例を経験したので報告した。
    患者は71才男性。原因不明の発熱のため当科に入院となった。腹部超音波検査を施行し, 脾腫と脾臓内部に多発する低エコー病変を認めた。この病変に対して超音波ガイド下に試験穿刺を行なったところ, 淡黄緑色の膿汁を得たため脾膿瘍と確診した。入院後, 強力な化学療法を行なったが下熱傾向を認めなかったため, 第9病日摘脾を施行し, その後発熱は消失した。
    脾膿瘍は, 多発性脾膿瘍と孤立性脾膿瘍に分類される。多発性脾膿瘍は重篤な基礎疾患に合併することが多い。しかし, 本症例では基礎疾患を認めず, 興味ある症例と考えられた。
  • 1989 年 38 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
feedback
Top