日本農村医学会雑誌
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38 巻 , 2 号
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  • 安藤 満
    1989 年 38 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    地球温暖化と紫外線 (UV-B) 照射の増大がもたらす疾病や死亡への影響について概括した。
    (1) 異常に高い気温-「熱波」は高令者のようなリスクの高い人にとって疾病や死亡の増大を招く可能性がある。
    (2) 温暖化による都市における光化学オキシダントの増大は, 人の健康に影響し, 眼の炎症や種々の呼吸器系疾病を増大させると予想される。
    (3) 農業化学物質や農薬の環境負荷量の増大により, それら化学物質への暴露が増えると予想される。
    (4) 温暖化は蚊のような媒介性動物の季節的・地理的分布に影響し, 種々の動物媒介性の感染症の発生を変化させると予想される。
    (5) 成層圏オゾソの減少はUV-B照射の増大を引き起こすため, 各種の皮膚の疾病や眼の疾病の増大へ結び付くと予想される。
  • 保田 仁資
    1989 年 38 巻 2 号 p. 60-70
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    有機燐系農薬は脂溶性であり, 散布中の体内吸収は皮膚浸透量が多いと考えられる。したがって, 血中農薬濃度と皮膚表面付着量との間には密接な関係があり, 血中濃度が高い場合には血清cholinesterase (ChE) 活性が低下することが予想される。そこで, 柿園においてsalithionの一斉散布が行なわれた際に, 次の調査を行なった。
    散布作業者33名は作業前後に血液を採取し, 血中農薬濃度, 血清ChE活性を測定した。そのうち19名は, 下着表面に張り付けた濾紙, および手袋, 靴下に付着した農薬量を測定し身体推定総付着量とした。
    散布作業者の平均血中濃度は11.5ppb (0~62.4ppb) であり, そのうち完全防備者は4.9ppb, 不完全防備者は22.5ppbであった。(p<0.05 Wilcoxon)
    salithionの身体推定総付着量の平均値は,'完全防備者は0.45mg (1.84μg/min), 不完全防備者は8.62mg (32.7μg/min) となり, 不完全防備者は非常に高い値を示した (p<0.01 Wilcoxon)。また, 血中salithion濃度と推定総付着量の間には正の相関 (r=0.73, p<0.01) が認められた。このことは有機燐系農薬は皮膚浸透量が多いことを示している。散布作業後に血中salithion濃度が高い場合および被曝量が多い場合には血清ChE活性値が低下する傾向がうかがえた。
  • 保田 仁資
    1989 年 38 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ヒト血漿に対して16種類の農薬を作用させカルボキシルエステラーゼ (CE), アリルアシルアミダーゼ (AAA), コリンエステラーゼ (chE) 活性を測定し50%阻害濃度 (I50), 阻害定数 (Ki), pl50 (-log I50) を求めた。in vitroにおいてヒト血漿に有機燐系農薬を作用させた場合にCEI50はAAAI50, ChEI50より低い値となり, CE活性は他の2酵素よりも強く阻害された。また, DDVPによる阻害はCEI50<AAAI50<ChEI50の順であった。DDVP散布前後および3時間後に酵素活性を測定したところCE, AAA, ChE活性ともにin vitroにおける阻害と一致し, 3酵素とも散布後に低下する傾向がみられた。このうちCE活性の低下は有意であった (p<0.05)。したがって, ヒト血漿に対する有機燐系農薬の酵素阻害指標としては現在用いられているChE活性よりもCE活性を用いることがより鋭敏である。CE, AAA, ChE pl50相互の相関係数は, 0.92以上となり互いに高い相関を示した。ヒト血漿CE活性に対する有機燐系農薬のKiと阻害様式とを求めた。BRPのDixon plotにおいて, 非拮抗型阻害であり, Ki=0.36×10-7Mを得た。他の農薬も同様の結果が得られた。このことから, 有機燐系農薬に対するCE活性阻害は非拮抗型阻害である。殺菌剤IBPと殺虫剤MEPの混合剤は農薬単独の場合よりもCE活性を強く阻害する傾向がみられた。MPPの-SCH3基およびCYPの-CN基を-NO2基で置換したMEPおよびEPNはCE活性阻害が増大する傾向がみられた。
  • 高科 成良, 関口 善孝, 石橋 不可止, 光山 豊文, 妹尾 透隆, 石田 邦男, 五明 幸彦, 八田 和彦, 山田 博康, 石田 和史, ...
    1989 年 38 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村居住者3,259例および都市居住者3,200例についてCEAの疫学調査を実施した。CEAのcutoff値を5.0ng/mlとすると, CEA異常率は男性では農村12.0%, 都市6.8%, 女性では農村2.4%, 都市1.6%であり, 加令との相関は男性で明らかであった。喫煙との関係では非喫煙者は農村・都市ともに低率で大差はなく, 加令との相関もみられなかったが, 喫煙者では各年代とも都市より農村の異常率が明らかに高かった。農村・都市間の差について検討したが, 結論は出なかったけれども都市より農村に肝障害と腎障害が多く, これらが関連をもつのではないかと推察した。
  • 林 雅人
    1989 年 38 巻 2 号 p. 90-101
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    秋田県南農村部における若年者の死因と検診から得られた異常頻度, 検査値の平均等を, 栄養調査, 生活歴と対比しながら検討し次の結果を得た。(1) 当地方で若年者の脳血管疾患は全国の2倍以上もあり, とくに女性で多いのが目立つが血圧の異常者はむしろ男に多く, 血圧以外の関与を考慮する必要がある。(2) 検査値の異常では20代より30代の方が多く, 死亡頻度の増加を裏付けている。ただ20代に比べ30代の死亡率が急増しているほど検査値では顕著には出ていなかった。家族歴等の検討が必要と思われる。(3) 高血圧, 肥満の食生活の検討では正常者群との差がみられず, 若年者では食習慣よりむしろ遺伝的素因 (若年者でも家族歴に高血圧がいるものは拡張期圧は既に高いなど) による影響が大きい。(4) 貧血は女性の農業群に多く, 蛋白質, 動物性蛋白質ともに低値傾向にあった。(5) GOT, GPT, γ-GTPは男性に多く, 獣鳥肉類の摂取不足 (P>0.01), アルコール多飲傾向がみられた。(6) 高コレステロール者は脂質摂取が多く (P<0.05男), 食品別では乳, 乳製品が多かった (P<0.05男)。(7) 中性脂肪は男女とも農業群で高値を示していた。食生活では中性脂肪の多い男性でみると予想外に中性脂肪群で炭水化物 (P<0.01), 穀類エネルギー (P<0.05) は正常群より少なく, アルコールで代償しているように思われた。
  • 田谷 利光
    1989 年 38 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村に居住する若壮年者を対象として, その健康状態を調査し, 問題点の把握につとめ健康管理の方法を追求する目的で本研究を行なった。
    第一の問題は, 若壮年者は健康への関心度が低く, 健診についての受診者の理解と参加意欲を高める必要性があることである。
    第二の問題点は, 若者には若者なりのストレスがあり, 身体異常者の多くは将来, 成人病を予測されるものであった。
    第三の問題は, 健康診断は成人病の早期発見, 早期治療につながる第二次予防にすぎず, 生活習慣の偏りに原因があるとされている以上, 第一次予防をいかに展開してゆくべきかに重点をおかねばならない。
    成人病発症には, 宿主環境, 社会環境など危険指数は多数あり, 個人的には制御不能に近いものもあるが, 喫煙, 飲酒, 運動, 栄養など, いわゆる健康に密接な関係を有するライフスタイルはある程度個人制御も可能である。
    若いうちにできるだけ鍛錬された健全な身体をつくりあげること, とくに, 食習慣の改善が急務であり, 家庭環境の改善も重要なポイントと考えたい。
  • 磯村 孝二, 荻原 幹雄, 木村 英夫, 井 益雄, 黒澤 和雄, 小林 栄子, 宮沢 昭一
    1989 年 38 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県農村における20才, 30才代の若壮年者の健康状態をみると, 高血圧者率は中高年者に比べてかなり低率であり, 高コレステロール血症の頻度も低い。肥満者の頻度は男性でやや高い傾向がみられるが, 女性では低率である。貧血は男性ではほとんどみられないが女性ではかなり多く, 肝機能異常者は男性に比較的多く認められた。栄養摂取面では, 男性において食事内容のバランスのくずれているものが少なくなく, アルコール飲料の摂取も多い。女性では菓子類の摂取が多い。また, 女性では貧血予防のために魚・肉・乳卵・大豆類の蛋白質を多くとる必要がある。さらに若壮年者でも現在なお塩分摂取が多く, 高血圧予防の面で減塩対策の推進は今後も重要である。
  • 沼田 正樹
    1989 年 38 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    若壮年者 (20~39才) を対象に, 昭和59年から3年間にわたって, 健康診断と生活状態, 家庭歴, 既応歴, 食生活について調査した。
    高血圧者, 肥満者については, 20才代よりも30才代のが多く, 肝機能異常者, 高尿酸, 脂質異常者は、30才代の男性が多く, 喫煙・飲酒・過食は生活習慣による影響も考えられる。
    血色素量低下は、女性が高率を示していた。
    職業では、農業外就労者が男性の80%を占めており, 農夫症は女性の30才代の肩こり、男性の30才代の腰痛が多く, 調査時の自覚症状は気分がイライラするや, 心気症状は女性の30才代に多かった。
    食習慣については、満腹主義者、高塩分摂取者が男性に多く、甘い物主義者、間食等は女性に多く、牛乳摂取率が27%と低いとは, あまり良い結果ではない。
  • 高科 成良, 関口 善孝, 光山 豊文, 石橋 不可止, 石田 邦夫, 妹尾 秀隆, 五明 幸彦, 山田 博康, 石田 和史, 津野 健一郎
    1989 年 38 巻 2 号 p. 124-132
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今後の農業は若壮年者に期待するところが大きい。そこで現在農村に居住している若壮年者の健康維持対策について検討し、以下のような結論を得た。(1) 食生活に問題があり, 充分な指導と教育が必要である。(2) 男性では喫煙とアルコール摂取を減少させなくてはいけない。(3) 生活環境と関連するストレスが問題である。(4) 過労を避けるようにする。(5) 自己健康管理についての関心を高揚する。
  • 1989 年 38 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 38 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1989/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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