日本農村医学会雑誌
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40 巻, 2 号
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  • 金丸 正秦, 鈴木 宏幸, 曽我 俊彦, 山川 卓哉, 森田 孝一
    1991 年 40 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    paraquat中毒による死亡率は高く, その毒性はとくに肺障害に代表される。
    急性paraquat中毒者10症例について, 血中, 尿中および臓器内paraquat濃度を測定し, その体内動態および肺濃度と肺障害の関係について検討した。
    血中濃度は24時間以内に急速に低下し, 血中半減期は服毒2時間後 (症例3) で約0.5hr, 5時間後 (症例5) で約1hr, 10時間後 (症例6) で約2hrであり, 24時間後 (症例6) では26hr以上であった。したがって時間の経過とともに延長されることが示唆された。腎機能低下は服毒後5時間以内に出現することが推察された。
    各臓器にparaquatの集積がみられ, 服毒後24時間以内は肺がもっとも多量であり, 271時間後は骨格筋がもっとも多量であった。肺内paraquat濃度は全症例を通じて死亡時の血中濃度よりも高値であった。
    肺内paraquatの排泄はきわめて遅いが, DHP, HDの施行により速くなる。しかし骨格筋からの排泄はきわめて緩徐である。腎を除く他臓器は血中濃度と比例し, ほぼ一率であると考える。
    肺病理所見は6症例とも, うっ血水腫で, 時間の経過したものほど高度であり, 長期生存例のみ, 一部に肺線維化が認められた。
    不可逆的な変化として起こる肺障害の原因は排泄されてもなお小量の血中濃度を上回る肺内残存paraquatの影響によると考える。
  • 遊離サイロキシンインデックスわかめヨード摂取の影響
    山田 勇樹, 三好 保, 今木 雅英, 棚田 成紀
    1991 年 40 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    遊離サイロキシンインデックス (FTI) に及ぼすわかめヨード多量摂取の影響について, 健康な学生を被験者に検討された。被験者は年令23-25才の男子青年である。最初の5日間基礎食を摂取させ, 続いてわかめ10g, 20g, 40gをおのおの5日間ずつ基礎食に負荷させFTIの変動を測定した。
    FTIは基礎食, テスト1 (わかめ10g: 5日間), テスト2 (わかめ20g: 5日間) において減少傾向を示した。テスト3 (わかめ40g: 5日間) において, FTIはわずかに上昇した。ついで, 実験食の摂取を終了し, 通常食に戻すとFTIは実験開始前のレベルに回復した。
  • 松岡 富男, 鈴木 晃, 寺島 秀夫
    1991 年 40 巻 2 号 p. 89-97
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和50年1月から昭和63年12月までの14年間に, 平鹿総合病院外科で手術された胃癌症例は1,236例で, 異時性多発癌8例が含まれている。症例のうち60才代がもっとも多く32.2%を占め, 次いで50才代の27.7%であった。70才以上高令者は21.0%を占めたが, 若年者は6.1%にすぎなかった。早期癌の頻度は37.5%で, 年々増加傾向を示し, 昭和63年は59.3%に達していた。他方切除不能例も114例あり, 9.2%を占めていた。
    14年間を, 昭和50年, 51年は2年間で, 昭和52年以降は3年ごとに区分して推移をみると, 症例数の減少傾向は認められなかった。昭和55年以降, 70才以上の高令者の頻度が20%以上になるとともに, 臨床病期の早い1期の症例が増加して52.1%に達し, 逆にIV期は15.2%にまで低下するようになった。また手術治癒度も向上して, 絶対治癒切除75.6%を含め治癒切除例は85.2%に達した。この治癒切除例の累積5年生存率は79.3%, 10年生存率は74.0%と, 良好な成績が得られた。症例の5.0%に重複癌が発見されており, 術前の十分な検索と術後の厳重な追跡が必要である。
  • 松岡 富男, 鈴木 晃, 寺島 秀夫
    1991 年 40 巻 2 号 p. 98-106
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和49年1月から昭和63年12月までの15年間に, 平鹿総合病院外科で手術された初発大腸癌症例は417例である。男女間の性差はなく, 結腸と直腸の罹患頻度もほとんど差は認められない。症例のうち60才代が32.1%ともっとも多く, 次いで70才代の26.1%であった。
    早期癌の占める割合は7.1%にすぎず, 大部分が進行癌で, かつstage IV・Vの高度進行例の頻度は37.4%と高く, 切除不能例も9.35%にみられた。
    15年間を3年ごとに区分して, 推移をみると, 昭和55年以降は症例数の増加とともに, 70才以上の高令者の割合が急増して36%に達するようになり, また大腸S状部癌 (S+Rs) と右側結腸癌 (C+A) の増加が認められるようになった。右側結腸癌の頻度は当地域では20.1%と多く, しかも高度進行例の比率が著しく高い。また高令者では右側結腸癌が23.7%にも達していたことは注目すべきである。また手術治癒度も著しく向上して, 結腸癌の78.5%, 直腸癌の82.0%に治癒切除が行なわれた。治癒切除例の累積5年生存率は, 結腸癌77.7%, 直腸癌75.9%, 10年生存率は結腸癌74.7%, 直腸癌70.8%と非常に良好な成績が得られた。症例の13.4%に多重癌が発見されており, ことに大腸は第2癌となる確率が高い。さらに加令とともに増す合併疾患を予防するうえでも, 術後の厳重な健康管理が必要である。
  • 田村 豊一, 遠藤 勝実, 廣田 則彦, 菊地 徹, 岸部 陞, 成田 徳子, 斉藤 美子, 仙北谷 順子
    1991 年 40 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    喫煙習慣が人体に (とくに呼吸器疾患において) 悪影響を及ぼしている。そこで当院の呼吸器疾患患者の喫煙に対する意識調査を100例に行ない次の結果を得た。
    1) 喫煙が体に悪影響を及ぼしていることは分かっているが, なかなか止められないでいる患者がいる。しかし, 医師からの強い『禁煙への薦め』があれば, 禁煙できる。2) 禁煙して良かったと考えている症例が多いことから, 積極的な患者教育および啓蒙が大切である。3) 喫煙指数と各種呼吸器疾患との関係で肺気腫は全例に喫煙歴があり, 喫煙指数は1174.3±104.8で他疾患に比し, 有為に高値を示した。
    喫煙習慣と呼気中CO濃度との関係をみるために, 携帯型CO分析器を用いて健常者67名に測定を行ない, 次の結果を得た。
    1) 非喫煙者と喫煙者の呼気中CO濃度を測定し, 非喫煙者は5.1±0.4ppm, 喫煙者は22.5±2.2ppmで両者間に有意差があった。2) 喫煙者26名に対して, 呼気中CO濃度と1日あたりの喫煙本数との関係を調べて, 両者間に正の相関がみられた。3) 喫煙指数と呼気中CO濃度との関係を調べて正の相関がみられた。4) 非喫煙者中, 過去に喫煙習慣をもたない30名で, 家庭内に喫煙者がいる群が7.1±0.7ppmなのに比し, そうでない群は4.2±0.5ppmと両者間に有意差があり, 受動喫煙の問題が浮き彫りにされた。5) 禁煙指導に簡便に呼気中CO濃度を測定できる携帯型CO分析器が有用と考えられた。
  • 森本 哲雄, 村上 不二夫, 三好 弥寿彦, 川野 博章, 三谷 郁生, 岡崎 幸紀
    1991 年 40 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    集団検診によって得られた40才以上79才以下の女性223例を年代別に分類し, 加令が女性の身体に及ぼす影響を検討した。その結果, 肥満度とT-Pが70才代で有意に低下していた。T-CHOが40才代から50才代にかけて急峻に上昇しており, これは閉経による影響と思われた。このように女性の場合, 40才代と50才代, および60才代と70才代の間に, 大きな身体的変化が生ずるものと想像される。次に40才以上69才以下の女性165例を肥満度別に分類し, 肥満が女性の身体に及ぼす影響を検討した。その結果, 拡張期血圧とUAの上昇が肥満の影響として問題になると思われる。
  • 菅原 伸之, 中馬 康男
    1991 年 40 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    胃集検の主な目的は胃癌の早期発見と治療により救命することによって対象人口の胃癌による死亡率の減少にある。したがって胃集検システム効果の検討は常に重要である。胃集検は本当に有効なのか, 今の方法を続けてよいのかの検討が必須なのである。検討し分析しなければならない項目は, 胃癌発見数, 早期癌の比率, 切除率, 遠隔成績, 術後の生活, 死亡率の低下に関する追跡調査である。ここでは宮城県対がん協会での成績に基づいて胃集検の効果について述べる。
  • 竹本 雅彦, 栗栖 弘明, 徳原 正洋
    1991 年 40 巻 2 号 p. 124-127
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    対麻痺による神経因性膀胱患者における膀胱癌の発生頻度は, 一般人の膀胱癌の発生に比べてかなり高率であるといわれている。対麻痺の代表的な疾患は脊損であるが, 外傷以外の原因による場合も同様のriskをもっていると考えられている。われわれは受傷後19年7か月後の脊損患者に発生した膀胱癌の1例を経験したので報告した。神経因性膀胱患者では, 尿の停滞があり, 慢性の尿路感染症の合併がしぼしば認められる。また長期にわたるカテーテル留置を必要とする場合が多く, 膀胱結石を形成しやすく, これらによる慢性刺激が存在する。これらの因子が膀胱癌発生に何らかの影響を与え, その結果高率に発生しているのではないかと考えられている。そこで神経因性膀胱患者においてば, 尿路腫瘍発生の予見をももって, 長期にわたって観察する必要を強調したい。
  • 吉川 浩英, 大林 諒人, 大畠 俊之, 藤村 二郎, 網岡 浩, 三浦 敏夫, 川口 稔, 日野 文明, 正岡 智子, 向田 邦俊, 小先 ...
    1991 年 40 巻 2 号 p. 128-132
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    症例は56才, 女性。左季肋部痛を主訴に来院した。胃X線検査, 内視鏡検査で胃体上部前壁にBorrmann2型胃癌を認めた。また, 腹部超音波検査で右副腎部に腫瘤を認めた。腫瘤はCTにて隔壁を有し, そのCT値は脂肪組織と同じdensityであった。血管造影では右下副腎動脈より栄養されるhypovascular massを呈した。以上より右副腎部腫瘤はadrenal myelolipomaと考えられた。開腹下に胃全摘術, 右副腎腫瘤摘出術を行ない, 胃癌を合併したadrenal myelolipomaと診断した。本邦においてadrenal myelolipomaの切除例は調べ得た範囲で54例報告されているが, 胃癌合併例は本例で2例目である。
  • 1991 年 40 巻 2 号 p. 133-135
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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