日本農村医学会雑誌
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41 巻 , 4 号
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  • 上田 忠子, 上田 厚, 青山 公治
    1992 年 41 巻 4 号 p. 951-959
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業従事者の農薬による健康障害の実態とその関与因子を明らかにするために, 南九州地区農業従事者, 男子178名, 女子232名を対象に面接調査を実施した。対象者は同時に多項目検診を受けた。その結果, 農薬による健康障害の経験を訴えた者は, 対象者の30.7%で, 性別には有意差はなかった。経営作目の組合わせ別にみると,「柑橘が主」が最も高率 (72.7%) で, ついで「米+柑橘」,「米+砂糖きび+甘藷」などであった。臨床症状は皮膚かぶれが最も多く (39.7%), 原因農薬としては, ダイホルタン (21.4%), ランネート (12.7%) があげられた。障害の発生は, 年間の農薬散布回数, 1日の散布時間, 農薬取扱い年数と有意な正の相関が認められた。農薬に関する意識調査によれば, 農薬の毒性等に関する知識はあるものの, 実際の安全な使用に関する対策は極めて不備な状態にあった。また, 農薬の効果に懐疑的な者や, 農薬の害に不安を感じている者に障害の発生が高率であった。今回の成績は, 農薬の安全使用に関しては更に効果的な教育が必要であり, 一方, 農薬に頼らない農業のあり方も考究すべきであることを示唆するものと思われた。
  • 高田 典彦, 郷家 久道, 瀬戸 皖一
    1992 年 41 巻 4 号 p. 960-965
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    う蝕, 歯周疾患に次ぐ重要疾患として, 口腔癌, 前癌病変を対象として集団検診を行った。調査対象は1990年8月から1991年8月までの佐久総合病院一泊二日ドック対象者3,557名 (男2,508名, 女1,066名) であり, 集団検診で異常ありのものについて後に生検を施行した。今回の結果から, 口腔粘膜疾患の頻度, 白板症の性, 年齢, 頻度, 喫煙, 義歯との関係について分析した.
    口腔粘膜異常ありとして検出したものは36例 (1.1%) であり, 白板症17例 (0.5%), 扁平苔癬4例 (0.1%), その他15例 (0.5%) であった。検出部位は, 歯肉14例, 頬粘膜8例, 舌5例, 硬口蓋4例, 中咽頭2例, 口唇2例, 口底1例であった。
    白板症として検出された17例は, 男性14名 (0.6%), 女性3名 (0.3%) で男女に有意差はなかった。また各年齢段階においても有意差はなかった。白板症の部位別頻度では, 歯肉 (47%), 頬 (23%), 舌 (17%) であった。喫煙との関係では, 白板症患者で喫煙者 (94%), 非喫煙者 (6%) であり, 一方健常者では, 喫煙者 (32%), 非喫煙者 (68%) であり有意の差があった。義歯との関係では, 義歯使用 (35%), 非使用 (65%) であり, 健常者の義歯使用 (31%), 非使用 (69%) と比較して有意差はなかった。
  • 中村 雅, 五十嵐 康己, 小野塚 久夫
    1992 年 41 巻 4 号 p. 966-969
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者におけるCohnI型無症候性心筋虚血 (SMI) について検討した。狭心症の既往のないインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 入院患者96例を対象とし, 症候限界性多段階トレッドミル運転負荷試験を行った。1mm以上のST低下をきたすとともに201TI心筋シンチグラフィ (SPECT撮像) で灌流欠損を認めたものをSMIと診断し, この虚血群と非虚血群との間で糖尿病歴, 合併症および他の冠危険因子について比較検討した。13例 (14%) にSMIを認めた。虚血群と非虚血群 (83例) では, 糖尿病罹病期間, 入院時空腹時血糖・HbAlc値, 糖尿病性腎症・網膜症・神経障害および高脂血症の合併率に差は認めなかった。しかし高血圧合併例 (77%vs27%;P<0.01), 喫煙例 (77%vs41%;P<0.05) が虚血群に有意に多くみられた。またSMI13例の糖尿病罹病期間は8例が1年以内で, 平均でも2.8±3.0年と短かった。糖尿病性腎症の進行程度 (前期, 早期;アルブミン尿, 顕性期;蛋白尿) によるSMIの合併率に差は認められなかった。
  • 桑原 祥浩, 上田 成子, 吉田 政雄
    1992 年 41 巻 4 号 p. 970-974
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ハウス内のキュウリにメタラキシル水和剤を動力散布機により, 前進散布あるいは後退散布により1時間にわたり, それぞれ2名ずつの作業者が散布した。この散布時間内のメタラキシルとしての散布量は14~18gであった。散布にさいして各作業者の防護装備はフード付ナイロン製防除衣を着用するとともに, 3MRマスク, ゴム手袋, 運動靴とした。散布者の作業中の防除衣全身被曝量は, 後退散布群 (0.25~0.29mg) に比較し, 前進散布群 (1.0~10.1mg) で多いことが確認された。また, 散布農薬の躯幹部皮膚への接触は後退散布群では検知できなかったが, 前進散布群では僅かではあったが皮膚への接触がみられた。また, 各散布者の呼吸域周辺の農薬気中濃度は前進散布群で高かった。さらに, 散布速度が速いほど全身被曝量および呼吸域気中域濃度が高い傾向がみられた。しかしながら, 散布作業終了後, 各散布者の「うがい液」中からは散布農薬は検出されず, 尿中への代謝産物の排泄も認められなかった。結論的には, 本調査条件下では前進あるいは後退散布のいずれの散布者に対してのメタラキシルの毒性はほとんど問題とはならないと考えられた。
  • 三廻部 真己
    1992 年 41 巻 4 号 p. 975-978
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農作業の危険性はどのくらいか, という問題を明らかにするため, 農機災害発生年千人率および労災保険経済における農業部門の収支率から検討を行った。その結果、神奈川県下における農機災害発生年千人率は, 農業12, 他産業全業種平均4であった。すなわち, 農業は他産業の約3倍の危険性があることが判明した。
    また, 全国の農業者が加入している労災保険の農業部門の保険料収入は36億9千5百万円に対し, 農作業事故補償金支出額は60億4千9百万円であり, この収支率は163.7%となり, 補償財源は赤字になっているのが現状である。この結果, 農業は遂に危険業種に陥ったということが実証できた。
  • 若月 俊一
    1992 年 41 巻 4 号 p. 979-982
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    有機農業による作物の健康に及ぼす影響に関しては, 有機農法と在来化学農法によって生産された玄米中の重金属およびミネラル含有量を測定した。その結果マンガン含有量は前者の方が有意に高かったが, その他の重金属やミネラルについて, 両者に有意の差はなかった。
    農業化学物質による中毒, 障害例と健康影響については, 有機リン殺虫剤の尿中代謝物の排出期間は, 約1週間程度認められているが, 有機リンの種類によっては, 長く排出するものが見られた。また急性農薬中毒患者では, 自殺企図によるものが大部分で, 農薬としては有機リン殺虫剤とパラコート製剤が多く見られたが, 急性中毒患者総数に占める比率は年々低下している。農業化学物質の人体内残留については, 脂肪組織では前回と同じか, やや高い値を示し, 母乳については, ほぼ前回と同じでいずれも, ここ数年は横這い状態である。農業化学物質の生体影響に関する実験的研究では, 化学肥料, とくに窒素肥料の生体影響に関する動物実験を行なった。その結果, 投与群でGOT・LDH・ALPの値が高く, 脂質過酸化を抑制するといわれているグルタチオンペルオキシダーゼ活性が高い傾向にあった。
  • 内田 昭夫
    1992 年 41 巻 4 号 p. 983-986
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    北海道, 岩手, 長野, 千葉, 広島, 愛媛, 熊本の7地域の農業従事者の営農, 食生活, 農業労働の実態を調査するとともに, 健康診査を行なって食生活や労働との関連を一昨年, 昨年に引続いて検討した。
    地域によって特性があり, 営農形態によって労働態様が異なるが, 同時に食生活にも違いがあり, それが健康状態に影響することが明らかになった。摂取栄養は, 農家においても米の消費は減少傾向にある, 魚や肉等の動物性食品摂取が増加したが, 非農家よりは劣る。また, 栄養に注意するようになってきているが, 健康改善には結びつかず, 肥満, 高血圧, 高脂血症, 心電図異常は多い。労働は農業規模の拡大したところは機械使用が多く, 有機農業は小規模農家で行なわれ, 労働強度の高い農業労働は, 減少している。運動を積極的にとり入れている農民はまだ少なく, これら要因も健康に影響していると思われた。
  • 松島 松翠
    1992 年 41 巻 4 号 p. 987-990
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村における在宅障害老人の地域ケアをすすめるために, 訪問看護の推進と問題点の分析, 在宅ケア援助活動の収支試算, 地域ケア実践のためのシステムづくりの3点について研究した。訪問看護については, 患者自身の問題, 家族の対応, 居住環境, 医療機関の態勢, 地域医師会との対応, 行政との連携等にまだ多くの改善すべき問題が残っていることが分かった。収支試算については, 人件費のみでは採算がとれるが, 車両費, 燃料費, 建物・器具等の諸経費をすべて含めた場合は赤字であった。システムづくりにおいては, お互いの情報連絡, 研究を主とする連絡会議, 懇話会, 研究会等でそれぞれの地域の特徴を生かした取組みがなされ, 効果をあげていることが分かった。さらに個々の症例に対しての, 地域ぐるみのケアのシステム化の推進が一層望まれる。
  • 林 雅人
    1992 年 41 巻 4 号 p. 991-994
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    我が国農村部の虚血性心疾患訂正死亡率は都市部より低いが, 農村部内でも地域差があり, 都市近郊農村に比べ山間農村で低かった。
    栄養調査成績からも都市近郊農村では総脂質, 動物性脂質が多く繊維が少ないなど動脈硬化進展予防の観点から不利な食生活となっていた。なお, 栄養調査成績から得られた脂肪酸摂取量と血中脂肪酸濃度はよく一致していた。
    冠動脈造影による冠硬化の程度と血清脂肪酸分析の結果はアラキドン酸 (AA), エイコサペンタエン酸 (EPA), ドコサヘキサエン酸 (DHA), E/A比との間にいずれも有意な相関は認められなかった。しかし冠動脈病変の程度は年齢と有意に相関しており, 一方高齢者程E/A比が高い傾向がみられた。すなわち加齢がEPA, DHA, E/A比と冠動脈病変の関連をマスクしたとも考えられ今後, 多施設の更に多数例で年齢, 性を揃えた検討が必要である。
    なお本研究から低カロリー, 低血清アルブミンが冠動脈病変の進展に寄与している可能性を示す結果が得られた。
  • 山根 洋右
    1992 年 41 巻 4 号 p. 995-999
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 41 巻 4 号 p. 1000-1008
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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