日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
41 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 福井 準之助, 中本 富夫, 庭川 要, 社浦 康三, 宮沢 昌子, 松島 松翠, 小林 栄子, 藤田 勉, 宮坂 元磨, 関 なおみ, 和 ...
    1993 年 41 巻 5 号 p. 1027-1032
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    我々は50-70歳代の健康に社会生活を営んでいる男女4,020名 (♂: 1,520, ♀: 2,500) を対象に尿失禁についてアンケートによる実態調査を施行した。失禁顕度は男性14%, 女性30%であり, 下着の交換を必要とする程度以上の尿失禁は男性6%, 女性10%であった。加齢と共に失禁頻度の増加を認め, 排尿回数の増加に応じて失禁頻度も増加した。脳血管障害の既往のある男女では有意に高い失禁頻度を認めた。男性では排尿困難を伴う群は有意に高い失禁頻度を有していた。女性では尿路感染と尿失禁との間に有意な相関関係があった。50歳以上群では男性では切迫性尿失禁が多く, 女性では腹圧性尿失禁が多かった。女性の尿失禁頻度は前回の調査と変わらなかったが受診率は増加していた。我が国の失禁頻度は欧米の調査結果とほぼ等しかったが, 医療機関への受診率は欧米に比べて低かった。このことは, 潜在失禁患者の多いことを示唆していると思われた。
  • 労働強度推定を指向した血清CPK活性値の評価
    樋口 俊一, 松本 和興, 棚田 成紀, 中村 武夫, 今木 雅英, 三好 保
    1993 年 41 巻 5 号 p. 1033-1037
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    労働強度と血清CPK活性値の関係を評価するために疫学的調査と実験的研究を行なった。まず, 健康な漁村住民について, 労働状態と血清CPK活性値の関連性を検討した。その結果, 労働時間が長くなるにつれて, 血清CPK活性値は上昇した。又漁業従事者は他の職業のものに較べて, 男女とも活性値は高かった。
    さらに実験的研究において, 青年女子21名を被験者を3群に分け, 3段階 (最大酸素摂取量の30%, 50%, 70%) の運動強度の付加運動を1週間に3回, 6週間施実し, 3種の血清酵素活性値の変化を検討した。その結果, 血清CPK活性値については, 各群とも統計的に有意な上昇を示し, 運動負荷強度が大きくなるに従って, 上昇率も大きくなる傾向を示した。
    以上より, 血清CPK活性値を継続的に測定することにより, 通常の生活を行なっているものの身体活動強度を把握することができることが認められた。
  • 山本 昌弘, 川久保 明利, 犬塚 和久, 河合 浩樹, 佐野 奈緒美
    1993 年 41 巻 5 号 p. 1038-1041
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    インスリン自己注射を必要とする患者は, その開始に当たって, 清潔かつ正確な手技を教育されるが, 年月を経ても的確に励行されているか否かについては, 疑問を呈する文献が散見される。1988年に機構的に空気中の細菌の混入が少ないと思われるペン型注射器が導入されたのを機会に, 細菌汚染調査を行った。[対象] 外来通院中の自己注射患者168名から使用済みのインスリンバイアル計208本を回収した。I型糖尿病52名, II型糖尿病116名で, ペン型バイアル使用者41名 (45本), 従来型バイアル使用者132名 (163本) である。[方法] 使用済みバイアルにチオグリコレート培地を無菌的に注入し, 十分振盪後に試験管へ移し37℃ で培養, 10日後に菌の発育が見られたものを陽性とした。[結果とまとめ] 細菌の発育は, 従来型4本, ペン型1本から認められた。Staphylococcus epidermidis2本, Propionibacterium acnes2本, 同定不能の嫌気性桿菌1本で, いずれも皮膚常在菌と考えられた。培養陽性となった患者は以下の特徴を持つ。(1) 30から65歳で, 極端に老齢とは言えない, (2) 1バイアル当たりの刺入回数が多い, (3) インスリン歴は2から7年, (4) 血糖のコントロール状況には一定の傾向は見られなかった。(5) 視力障害は顕著でない。この結果から, 一定期間自己注射を行なっていると, 自己流への改変が行なわれ, 注射手技が当初教育されたものからはかけ離れて行くことが推測され, 外来患者に対して, 定期的な技術指導の必要性が示唆されるものであった。
  • 中村 武夫, 棚田 成紀, 松本 和興, 今木 雅英, 三好 保
    1993 年 41 巻 5 号 p. 1042-1045
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ゴキブリ駆除剤に含有されているホウ酸による急性中毒における初期処置を指向して, 消化管内に残存する未吸収のホウ酸の活性炭による除去についてin vitroにおいて検討した。
    活性炭によってホウ酸吸着量に大きな差が認められた。そこでホウ酸吸着における支配因子を見い出す目的で, 活性炭の諸物性値とホウ酸吸着量との相関性について検討した。その結果, 低濃度領域におけるホウ酸吸着量と活性炭の表面pHとの間に有意な正相関を認めた。活性炭の表面pHがホウ酸吸着を支配する因子の1つであることが推測された。
  • 三好 久視, 真田 勝弘
    1993 年 41 巻 5 号 p. 1046-1053
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    わが国の自殺死亡率を, 時系列的に観察すると, 戦前戦後を通じて高値と低値を繰り返す, いわば循環変動が存在する。自殺は社会環境の変化に対し, 時により精粗に反応する。戦前の農村恐慌時代 (昭和7~8年) に高水準, 大戦中は異常に低い値を記録, 戦後の神武景気に高騰, 日本経済の安定化とともに低下(昭和40年代), 以後比較的に低値で推移したが昭和58年に急激に上昇し社会問題となった。
    またわが国の自殺の特異的な現象として, 都市部よりも農村に高く, さらには兼業農家より専業農家により高い。都市に高い欧米先進国の状況と軌を一にしていない。
    我々は昭和60年のデータを中心に県別訂正自殺死亡率を目的変数, 社会経済要因として県別一人当たりの所得指標, 県外転出比, 自殺の主な動機として取り上げられる, 病苦, 精神異常の指標として病死者数, 精神異常者数等を説明変数として重回帰分析を行った。
    その結果, 社会経済要因を因子とする重回帰式が予測子として成立することが証明された。
  • 山脇 真智, 清水 かほり, 光山 聰, 梅木 英紀, 染川 可明, 富田 昭
    1993 年 41 巻 5 号 p. 1054-1061
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Embryonal carcinomaは組織発生的にはgerm cell originといわれており, 若年女性に好発するまれな悪性腫瘍で, α-fetoprotein (AFP) を産生する特異性を有し, 悪性度が高い。最近この腫瘍の2例に遭遇し, 症例〔I〕の進行度はIIIb期であり, 症例 [II] はIc期であり, 手術術式はほぼ同様に, 患側卵管卵巣摘出術を施行し, 術後多剤併用化学療法 (PEP) を行った。症例〔I〕の方はCRとなって現在に至っているが, 症例 [II] は術後5か月間はCRであったがその後再発してPDの状態となった。組織像はほぼ同様であったが症例〔II〕の方がややimmatureの像が強く認められた。予後に関する検討を試みるに, 症例〔I〕は投薬強度が1に達しており, 症例〔II〕は必要量を満たしていなかった。投薬回数は6kur以上が必要と考えられたが, 両症例とも投薬回数は満たされていた。またAFPの消長は予後をよく反映していた。悪性上皮性腫瘍と異なり, Embryonalcarcinomaの予後については, 手術による根治性に関係せず (すなわち進行期に関係せず), 潜在性転移と組織系に関していると考えられた。それ故治療法として, 術後化学療法をCDDPを中心とするPVB療法やPVP療法, あるいはPEP療法を投薬強度を1に保持して6kur以上行うことが必要であると考える。
  • 1993 年 41 巻 5 号 p. 1062-1066
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 41 巻 5 号 p. 1067-1093
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 41 巻 5 号 p. 1094-1103
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
feedback
Top