日本農村医学会雑誌
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45 巻 , 4 号
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  • 桂 敏樹, 野尻 雅美, 中野 正孝
    1996 年 45 巻 4 号 p. 483-492
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    千葉県一農村の40歳から69歳までの住民1,528人を対象に中高年期に起こる生活出来事と強いストレスとの関連を検討した. 生活出来事は中高年期に起こり易いと言われている27項目を用いた. 強いストレスは5段階で評価し,“かなり強いストレスがある”または “非常に強いストレスがある” を “強いストレスがある” とした.
    ロジスティック回帰分析の結果, Distressとして親族とのトラブル, 上司とのトラブル, 夫婦喧嘩の変化, 借金, 怪我・病気, 近所付き合いの変化, 家族の病気が強いストレスの有意な危険因子になった. 一方, Eustressは退職個人的な成功, 家の改築であった.
    性別の分析結果から, 男では借金, 上司とのトラブル, 怪我・病気がDistressで, 帰省, 個人的成功がEustressであった. 一方, 女では親族とのトラブル, 夫婦喧嘩の変化, 近所付き合いの変化, 怪我・病気, 家族の病気がDistressで, 家の改築がEustressであった
    Distressとして作用するストレスの危険因子は人間関係のトラブルと本人または家族の健康問題であったが, 若干の性差も認められた.
  • 斎藤 三代子, 遅野井 健, 朴 明俊, 内海 信雄
    1996 年 45 巻 4 号 p. 493-499
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病患者1,000例 (男性467例, 女性533例) を対象として, 神経障害と肥満度との関連について検討した. 神経障害は, 四肢の自覚症状と自律神経症状の有無を対面法にて聴取し, さらにアキレス腱反射および生理学的神経機能検査を可能な限り実施し症状と検査の両面から判定した. また肥満度は, 日本肥満学会方式に準拠してBMIを指標として判定した.
    その結果, BMI24以上の肥満者においては, BMIが20から24の正常体重者に比して四肢の自覚症状の頻度やアキレス腱反射消失者および振動覚異常者の頻度が高かった. 両群の間には治療法, 血糖コントロールには差がなかったが, 罹病期間は肥満者でむしろ短かった. これらのことより, 肥満は神経障害の発症に対して早期から促進的に作用すると考えられた.
    またBMI20未満のやせ型の患者においても, 正常体重者に比して四肢の自覚症状やアキレス腱反射消失者および神経伝導速度異常者の頻度が高かった. 両群間で血糖コントロール, 罹病期間には差がなかったが, やせ型者ではインスリン治療者の頻度が高く, 病初期からの糖尿病の重症度が神経障害の発症に関与したものと考えられた.
    以上より, 糖尿病性神経障害の発症と肥満度には関連があり, 発症防止には適正な体重管理が重要と考えられた.
  • 川見 正機, 海老原 勇, 川見 昌子
    1996 年 45 巻 4 号 p. 500-508
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    クロルピリホス, ジクロフェンチオン (ECP) といった有機リン系殺虫剤を多量に取り扱い, 繁忙期には慢性的な高濃度暴露があると考えられる白蟻駆除, 防除作業者の職業的暴露集 団において, 有機リン系殺虫剤暴露にともなう免疫系への影響をT, B細胞のより機能的なサブセットの解析から検討した.
    その結果, 白蟻駆除作業者, コントロールのグループ平均値の比較において, ヘルパーT細胞とされるCD4+CD45RO+細胞, サプレッサーT細胞とされるCD8+CD28-細胞, サイトトキシック/プレサイトトキシックT細胞とされるCD8+CD28+細胞といった機能的サブセットの細胞比率に有意な変動を認め, 白蟻駆除作業者では, CD4+CD45RO+, CD8+CD28+細胞比率の減少, CD8+CD28-細胞比率の増加を示した. また, pan B細胞とされるCD20+細胞, 活性化に関連するとされるCD28+, CD45RO+細胞比率においても有意な変動が認められ, 白蟻駆除作業者ではCD20+細胞比率の増加, CD28+, CD45RO+細胞比率の減少を示した.
    こうした白蟻駆除作業者に認められた機能的サブセットの有意な変動は, 白蟻駆除作業にともなう慢性的な有機リン系殺虫剤暴露による免疫系への影響を反映したものと推察された.
  • 登内 真
    1996 年 45 巻 4 号 p. 509-511
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農漁村において, 小児の肥満を予防し治療することは, その地域住民の健康増進を考える時, 極めて重要なことである. 今回の研究は, その目的にそって実行された.
    まず, 農漁村の肥満時の発生状況について, 疫学的調査を行った. その結果, 農漁村の小児の肥満児率は, 明らかに市街地を上まわっていることを認めた. また, 年毎に増加の傾向があることも判明した. 更に, 小児肥満の始まる年齢は, 4-5歳という幼い年齢であることも判った. 農漁村における小児肥満の原因として『食事の嗜好』『炊事の責任者』『食事時間』などについては, 市街地と大差がなかった. しかし,『食事のとり方』『家族の肥満』『運動を好まない』『肥満への意識に乏しい』などは明らかに市街地と差が見られた. 小児肥満の合併症は, 我々の研究では, 以外に頻度が高かった. 特に, 脂肪肝と高コレステロール血症の頻度が高かったが, 心身症の合併を認めた報告もあった. 小児肥満に対する治療として, サマーキャンプ・外来治療・入浴治療等を実施した. 治療の効果は著明で, 特に入院治療やサマーキャンプで良い成績をあげた. 肥満の判定に体脂肪率は, 成人と同様に, 有用な測定法であることが示唆された. また血中脂肪酸の変動は, 成人後の動脈効果の発症に関与していると考えられた.
    小児の肥満が, 農漁村で市街地を凌駕して, 増加していることが確認された. しかし適切な対策により, 増加を抑制出来る可能性が得られたと思う.
  • 山根 洋右
    1996 年 45 巻 4 号 p. 512-523
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1994年から3年間にわたり, 日本を縦断する形で永年, 健康づくり支援活動を続けている都市近郊農村 (北海道鷹栖町, 広島県廿日市市原, 出雲市), 農山村 (秋田県増田町, 長野県臼田町, 島根県湖陵町・佐田町・石見町, 高知県西土佐村, 熊本県豊野村), 農漁村 (北海道佐呂間町, 静岡県西伊豆町・賀茂町) を対象に, 農村コミュニティの変貌の実態, 農村住民のライフスタイルの実態, これらの分析を踏まえた農村コミュニティにおけるヘルスプロモーション技法の開発に関する調査研究を行った.
    1. 農村コミュニティ・プロフィール調査シートを開発し, 調査に使用した. 同時に最近の地域変貌と特性を都市近郊農村, 農山村, 農漁村について明らかにした.
    2. 農民のライフスタイル調査票を開発し, 調査に使用した. 同時に農民のライフスタイルを農村地域特性, 性別, 年代別に解析し, 共通的傾向, 特異的傾向について明らかにし, ライフスタイル関連疾患との関係を分析した.
    3. これらライフスタイル調査の結果は, 班長が集約し, 各班員ヘフロッピーにて還元しそれぞれの対象フィールドで全国比較のデータとして, ライフスタイル改善の健康学習素材として活用した.
    4. 対象とする農村における健康福祉活動を調査分析し, 地域特性に合ったヘルスプロモーション・プログラムを作成し, 農村コミュニティヘルスの方法論を提起した.
    5. 以上を総括し, 激しく変貌を続ける農村コミュニティの再生とヘルスプロモーションの課題を農村医学の視点から集約した.
  • 高科 成良
    1996 年 45 巻 4 号 p. 524-531
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 上田 厚
    1996 年 45 巻 4 号 p. 532-538
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業従事者の生活と健康の状況に関与するストレッサーとそれによるストレスの重要性を検討し, その実態を把握するための共通の調査票を作成した。調査票は, フェースシート, ストレスと健康の自己評価, 仕事の特性, ライフイベント, 生活満足度, 行動タイプ, 社会的支援, ストレス対処法などを内容とする13の設問で構成されている。つぎに, それを用いて, それぞれの地域の農業従事者を抽出してパイロットスタデイの形式で調査を実施し, 得られたデータ解析するとともに調査票の有用性を検討した。
    その結果, ストレスを感じている者は, 25~70%, 仕事や生活に不満のある者は, 15~30%, 関与するストレッサーとして, 同じことの繰り返し, 早朝・夜間の作業, 農業経営, 農業政策, 農休日, 配偶者・家族の問題, 協同作業のトラブルなど, 農作業自体の特性に関するもの, 農業経営に関するもの, 生活に関するものなど様々な因子があげられた。記述式で求めたストレス対処法も今後の本研究の展開に有用な資料となった。また, ストレスの状況や, ストレッサーに対する反応の程度は性別, 年齢別, 地区別に異なり, 全般に女性, 若年層により強い傾向が見られた。このように, 本調査票により, 農業従事者の生活と健康をストレスの面から評価するために我々が立てたいくつかの仮説を検証することが可能であり, 本調査票の有用性が確かめられた。
  • 杉山 一教
    1996 年 45 巻 4 号 p. 539-542
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 中馬 康男
    1996 年 45 巻 4 号 p. 543-547
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 大久保 俊治, 木村 啓二, 渡辺 一, 林 雅人, 三浦 修, 佐々木 司郎
    1996 年 45 巻 4 号 p. 548-554
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    パラコートとジクワットの合剤を自殺目的に飲用し肺線維症となるも, ステロイド治療にてレントゲン写真上の異常を軽度残しながら臨床症状の消失した2症例を報告する。症例1は [57歳, 男, 薬剤飲量100ml, 飲用後来院時間2時間, ショック (-), 尿中PQ反応 (2+), 血中PQ濃度1.14μg/ml, 初診時肺病変 (-), 肺病変出現第3病日, 最低Pao2 67.6mmHg], 症例2は [65歳, 男, 薬剤飲量一口, 飲用後来院時間27分, ショック (-), 尿中PQ反応 (3+), 血中PQ濃度6.6μg/ml, 初診時肺病変 (-), 肺病変出現第6病日, 最低Pao2 58.3mmHg] であった。2症例とも全腸管洗浄, 強制利尿, 直接血液ろ過 (DHP), ステロイドパルス療法に引き続くステロイド大量経口投与を施行した。肝腎障害は一過性で正常化した。退院時のPao2は正常であった。救命し得た理由として, 比較的少ないPQ服用量, 血液浄化法の早期反復施行, 肺線維症発症早期のステロイド大量使用が重要であったと思われる。
  • 小野 満也, 樋田 敬子, 清水 茂文
    1996 年 45 巻 4 号 p. 555-559
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県厚生連佐久総合病院は在宅ケアの一環として1988年 (昭和63年) より長野県南佐久地方の南部の農村山間部4か村からの委託事業である「南部4村在宅ケア合同事業」を行ってきているが, 1995年 (平成7年) からは佐久総合病院付属小海町診療所が同事業を引継ぎ, 専属訪問看護婦を配属して発展的取組みを開始した。1995年には訪問看護をのべ665回, 訪問リハビリの介助をのべ228回行った他, 村の保健婦による健康相談の集まりを利用しての住民啓蒙活動, 問題となる要介護老人の事例検討会議などを行った。自治体合同事業は幅広い活動によって個別自治体の枠を越えた自治体連携ができ, さらに綿密な在宅ケアが可能になるものと思われ, 今後の在宅ケア発展の上でひとつの重要な役割を果たしうるものと思われた。
  • 宮坂 弘子, 大久保 桂子, 鶴田 まゆみ, 宮崎 澄江, 田島 悦子
    1996 年 45 巻 4 号 p. 560-564
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    整形外科病棟では, 脊椎, 股関節等の疾患で, ベット上臥床を強いられる患者が多い。
    臥床生活の中で, 患者が問題とした事象の中に排便行為がある。
    現在, 排便困難な患者に対し, 緩下剤, 坐薬, 洗腸といった処置方法をとっているが, 看護本来の技術や援助による排便方法がないかと考え, 冷水飲用, 腹部マッサージを実施してみた。
    その結果, 冷水飲用, 腹部マッサージは, 患者に胃, 結腸反射を充進させ, 自然排便を促す手助けとなった。
    また, 看護婦は, 坐薬や院腸に頼らず, 基本的な援助を行なってからという姿勢になり, 看護援助の一つとして定着した。
  • 北原 美穂, 小山 明美, 土屋 友美, 町田 千晴, 大越 セイ
    1996 年 45 巻 4 号 p. 565-571
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 当院では卒後数年目で退職する看護婦が増えてきている。その背景には, 職務意識の問題があるのではないかと考え, 卒後3年目と卒後10年目の看護婦を対象として仕事に対する満足度を調査した。
    その結果「人間関係」「人生観・看護観」の満足度が高く,「労働条件」の満足度が最も低かった。また, 卒後3年目と10年目の看護婦の満足度の差は少なかった。「専門職としての自律」については, 差が大きく表れていたが, これは, 卒後3年目ではまだ, 指導的立場になりにくい環境にあるために, 仕事への満足が充足されない現状にあるといえる。
    また, 今回の調査で最も満足度が低かった労働条件については, 改善できる内容について積極的に検討していく必要がある。
  • 藤森 岳夫
    1996 年 45 巻 4 号 p. 572-583
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県小海町と東京都中野区の対比を背景として, 在宅ケアに関する農村医学会における過去の諸報告と中野総合病院での5年間155例の成績を比較することによって, 農村と都市の訪問診療における相違を分析した。充分な例数の比較とは言い難いが, 結果として幾つかの示唆を得ることが出来た。1) 都市では人口構成において青壮年層が多く, 子供との同居 (または隣接) が多い。2) 都市では骨折が多く, それは女性に多く起こるから, 都市では寝たきり者における女性の比率が高い。3) 都市では農村より肺癌の率が高いらしい。4) 都市では介護者における家政婦の割合が重視される。5) 都市の方が在宅ケア患者の入院死の比率が高いようである。これに関連して, 農村における在宅ケアの現状および将来についての諸家の意見を引用して若干の考察を加えた。
  • 1996 年 45 巻 4 号 p. 606-610
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 45 巻 4 号 p. 611-614
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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