日本農村医学会雑誌
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45 巻, 6 号
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  • 角田 文男
    1997 年 45 巻 6 号 p. 740-749
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    My research on rural health began in 1953 when I was involved in a survey of the actual living environment and health conditions of residents where there were no practicing physicians. From the findings of subsequent surveys, I noticed how badly poor living environments in rural areas can affect the health of the residents. In 1962, I engaged in a study of environmental pollution in rural areas caused by industrial development and contributed to significant achievements of mine ; namely, I was the first person in the world to discover that not only does air pollution due to fluoride destroy plants, but also fluoride can accumulate in crops causes fluorosis when ingested by animals and humans. For this work, I received The Kiyoshi Saito Award from the Japan Society of Air Pollution in 1976.
    Next, Our research began with occupational health in dairy farming. We were able to establish a labor management system which is acceptable to all dairy farmers. R ecently, I surveyed changes of the physical constitution of pupils in a farming village which occurred over the last 40 years. In the last forty years, in pupils in the rural area, the thorax has flattened, the head has become rounded and the face has elongated. I can only attribute this change to the significant improvement in the diet and living environment of the children in the rural area.
    The medical technologies used in my research on rural health were not necessarily advanced ; rather I tried to used an approach which guaranteed the reproducibility of data even if the method was old. I hope my stance toward medical research will be of some help to young member of this society studying rural medicine.
  • 北村 貞太郎
    1997 年 45 巻 6 号 p. 750-754
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    In the 20th century, the form of agricultural management was greatly changed in rural areas in Japan. Many farmers became part-time farmers and began to have a side business. With the spread of cars, roads were paved with asphalt and traffic system to local cities was improved, Moreover, living conveniences such as electric installation and telephone were improved and thier living became very convenient. In the 21st century, the time of information will come, including the infrastructural develiopment, and rural areas will have good living conditions with the increase of urban people who intend to live in rural areas. On the other hand, however, environmental issues are coming out.
    Thinking of new rural areas, this paper presents rural vision towards the 21st century and proposes medical services based on the vision. Rural vision of ‘Cultural Residence Sphere’ in the 21st century will design the development of rural areas in about 20-30 km sphere as a unit of sphere (this unit is also for that of environmental conservation). In the sphere, resources will cycle and rural environment will be conserved not only by rural people but also by urban people.
    Following three proposals will be given for medical services in rural areas.
    1) To make systematic medical service in the cultural residence sphere.
    2) To make a community center for aged people in each agricultural settlement.
    3) To make traveling medical services.
  • 井上 洋西, 山内 広平, 中舘 俊英, 伊藤 晴方, 二宮 由香里, 毛利 孝, 千田 恵美, 小島 ゆき, 菅原 和重, 鈴木 順, 佐 ...
    1997 年 45 巻 6 号 p. 755-759
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農夫肺は, 酪農従事者 (サイロでの干し草, 堆肥作成作業など) に認められる, 過敏性肺 (臓) 炎の一種である。欧米では, 最も古くから知られている過敏性肺 (臓) 炎である。本邦では北海道, 岩手県, 北陸に多発する。発症の季節は, 主に11月から3月の冬季間に集中する。病因抗原は好熱性放線菌 (Thermoactinomyces) で, 主としてMicropolyspora faeniやThermoactinomyces vulgarisである。以前に比べて, 最近では, 予防のための数々の工夫, 例えば枯草を出来るだけ乾燥させビニール容器で包み密閉するなどの方法により, 枯れ草の発酵による発熱を防ぎ, 好熱性放線菌の繁殖を防ぐなどの環境改善がなされ, 罹患率が著しく低下した。しかしながら, 現在低容量慢性曝露による肺線維症が農村人口の高齢化と相俟って酪農地域の健康問題になりつつある。この線維化の進行を予防するには, 早期診断と継続的な職場の管理, および定期的な検査などによる健康管理が必要とされる。さらにまた, 近年新たな形の酪農に関係する職業環境汚染が生じつつあり, 看過出来ない。
  • 野村 茂
    1997 年 45 巻 6 号 p. 760-773
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    わが国の農業政策の中で, 近年, 地域の立地特性を生かした農業の展開が強調され, 米作, 園芸, 畜産の3部門を基幹とした総合産地化構想が推進されて, 複合経営農家も増えてきている。本研究においては, 平成4年度から6年度にわたって, 岩手県の米作・肉牛飼育, 茨城県のレンコン生産, 富山県のチューリップ球根栽培, 長野県の高原野菜栽培, 熊本県のいぐさ, ハウスレンコン栽培, および, 福岡県, 鹿児島県のイチゴ, ラッキョウなど, 各地域, 各作目を選び, 農業従事者の労働負担と健康影響を調査するとともに, 労働負担評価法の開発, すなわち, 労働と作業姿勢分析, 蓄積的疲労徴候インデックス (CFSI) の農業従事者への適用のたあの改訂などを試みた。
  • 江崎 廣次
    1997 年 45 巻 6 号 p. 774-785
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村の健康問題を主要疾患の予防ならびに「老いと死」についての意識の実態, 老人保健福祉の面から, 特にその対策を検討した。
    循環器疾患の予防のためには, 体重のコントロールと禁煙が有効であり, 飲酒は適度であれば, protective factorとして働く。検診の場での健康教育は飲酒, 喫煙習慣の改善に効果があると考えられる。
    老化に伴う生理的耐糖能低下, 老年糖尿病合併症について検討した。糖尿病者と非糖尿病者を夫々中年と老年に分け, 耐糖能, 膵内分泌機能, 脂質との要因を検討した。
    慢性腎不全保存期のプログラム治療「取手方式」の参加者のうち, 腎機能不変例は60%であった。透析患者の事態把握には, 身障者手帳の情報を十分に活用すべきである。骨粗髪症の集団検診は超音波法とDEXA法を組み合わせるシステムが有用である。予防対策として, 運動習慣の獲得が重要である。それには予防教室の形式で行うことが最善と考える。
    多数の人を対象に「老いと死」に関する意識調査をした。病院での家族の付き添い, 終末期医療の矛盾, 安楽死, ホスピスに対する考えを現状と対比して検討した。自宅で家族に見守られて最後を迎えたいと願望している。
    JA高齢者保健福祉計画活動の一環として, 厚生連病院のアンケート調査と市町村老人福祉計画書から施設サービス状況を分析し医療機関の関与すべき範囲を検討した。
  • 1997 年 45 巻 6 号 p. 786-789
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 45 巻 6 号 p. 790-792
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 45 巻 6 号 p. 793-795
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 高知県西土佐村の経験から
    宮原 伸二
    1997 年 45 巻 6 号 p. 796-806
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    10年にわたる高知県西土佐村での健康づくり運動の経験から「村づくり型健康づくりの進め方」を以下のようにまとめた。
    健康づくりの進め方の基本は, 健康づくりの目的を明確にして取り組むことから始まる。
    「なにをするのか」ではなく,「なんのためにするのか」というとらえ方が大切である。
    「なにをするのか」という次元でとらえると, 検診受診者数の増加や健康学習の参加数など, 本来, 健康づくりの手段であるべきものが, 目的となる危険性がある。
    「なんのためにするのか」というとらえ方をすることは,「より人間らしく生きるため」という本質に迫り,「健康で豊かな社会を築く」という結論にたどりつくことができる。
    それにより産業から建設, 文化, 教育まで巻き込んだ総合的な運動に健康づくりは発展していく。
    実際の健康づくり運動は, 住民参加のもとに, 地区活動が推進されるとともに, 健康学習の実践により, 住民の力量形成がなされるという2つの要素が合わさって展開される。特に, 住民がプラスの方向への行動変容を起こすような力量形成は, 自然発生的には難しく, 適切な学習の介入が必要となる。
    また, 保健, 医療福祉関係者は, 住民と同じ目線の高さで活動を支援して, 時には住民から学び, 共に育つという姿勢が強く望まれる。
  • 設楽 芳宏, 松浦 亨
    1997 年 45 巻 6 号 p. 807-813
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    平成7年5月から11月にかけて, 当院で施行している秋田県北部の婦人科検診車方式集団検診の際に経腟超音波検診を導入し, 卵巣疾患, 子宮疾患の検出について検討した。
    通常の子宮頸部細胞診検査, 内診の後に経腟超音波プロープを用いて子宮, 卵巣の超音波診を施行した。要二次検診の対象となる基準は卵巣疾患では径3cm以上の腫瘤を形成しているもの, solid typeのものとし, また子宮疾患では年齢と大きさを考慮して精査の必要と考えられる子宮筋腫を有するもの, 子宮内膜の肥厚を認め, 閉経前の内膜で2.0cm以上, 閉経後で1.2cm以上のものとした。
    2,758名の婦人科検診総受診者に対して1,761名に超音波検査を施行したところ, 卵巣疾患は38名 (2.2%), 子宮疾患では48名 (2.7%) の要二次検診受診適応者が発見された。卵巣疾患の内訳では漿液性卵巣嚢腫30例, 有茎性子宮筋腫4例, 皮様嚢腫1例, Schnitzler転移1例, 早期卵巣癌1例であった。子宮疾患では子宮筋腫30例, 子宮内膜増殖例10例, 子宮留膿腫4例, 子宮腺筋症4例を見いだした。卵巣腫瘍の腫瘍径による内診触知率を検討すると, 約6cm以上のものはほぼ100%触知可能であったが, 2~3cmではほとんど触知不可能であった。
  • 王 文輝, 木村 啓二, 円谷 智夫, 渡辺 一, 林 雅人
    1997 年 45 巻 6 号 p. 814-821
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    過去5年間に163例の結核症を経験した。全結核症の中では肺結核症がいずれの年も最も多く, 60%から83%を占めている (全124例, 76%)。次に多いのは結核性胸膜炎で7.3%から24%であった (全27例, 16.6%)。治療薬は一貫してINH, RFP, EB, SMが主体であるが, 近年多剤耐性菌が増加してきてPASやCSなども使用されるようになってきている。治療期間についてはいずれの年も1年から1年半が最も多く, 全体的に短縮される傾向にあった (平成2年の平均的治療期間は17.6か月, 平成5年14.0か月)。しかし入院期間の短縮は認められなかった。肺結核症の中の塗沫陽性患者の割合は平成5, 6年の平均が40%であり平成2年の20%と比較して倍増している。また薬剤耐性菌についてはINH, RFP, EB, SMに対する多剤耐性菌が平成4年以降増加傾向にある。治療終了後に経過観察できた147例中, 再発を1例に認めた (0.7%)。
  • 本藤 達也, 高橋 浩一, 森島 信行, 宗盛 真, 大林 諒人, 松岡 敏夫, 瀬浪 正樹
    1997 年 45 巻 6 号 p. 822-826
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    症例は32歳, 女性。第3子妊娠経過中, 平成8年1月ごろから感冒様症状が出現した。2月19日妊娠35週にて胸痛, 呼吸困難出現し当院産科紹介され, 直ちに帝王切開にて出産。その後, 母体は内科入院となった。入院後症状は徐々に軽快した。しかし, 3月6日再び呼吸困難出現し, 心エコーにて僧帽弁の収縮期左房内反転, 高度逆流, 左房内後尖に疣贅を認め, 心不全, 感染性心内膜炎と診断した。また, CTにて脾梗塞が認められ塞栓症状と考えられた。炎症所見軽快後転院し, 僧帽弁置換術が施行された。周産期の感染性心内膜炎はまれであり, その治療方針について文献的考察を加えて報告した。
  • 1997 年 45 巻 6 号 p. 827-839
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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