10年にわたる高知県西土佐村での健康づくり運動の経験から「村づくり型健康づくりの進め方」を以下のようにまとめた。
健康づくりの進め方の基本は, 健康づくりの目的を明確にして取り組むことから始まる。
「なにをするのか」ではなく,「なんのためにするのか」というとらえ方が大切である。
「なにをするのか」という次元でとらえると, 検診受診者数の増加や健康学習の参加数など, 本来, 健康づくりの手段であるべきものが, 目的となる危険性がある。
「なんのためにするのか」というとらえ方をすることは,「より人間らしく生きるため」という本質に迫り,「健康で豊かな社会を築く」という結論にたどりつくことができる。
それにより産業から建設, 文化, 教育まで巻き込んだ総合的な運動に健康づくりは発展していく。
実際の健康づくり運動は, 住民参加のもとに, 地区活動が推進されるとともに, 健康学習の実践により, 住民の力量形成がなされるという2つの要素が合わさって展開される。特に, 住民がプラスの方向への行動変容を起こすような力量形成は, 自然発生的には難しく, 適切な学習の介入が必要となる。
また, 保健, 医療福祉関係者は, 住民と同じ目線の高さで活動を支援して, 時には住民から学び, 共に育つという姿勢が強く望まれる。
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