日本農村医学会雑誌
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47 巻 , 4 号
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  • 竹澤 裕之, 小西 正訓, 今井 良吉, 渡辺 雅子
    1998 年 47 巻 4 号 p. 583-588
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では農業機械の乗車時間と聴覚障害の関係について明らかにするため, 1368名の農業従事者についてアンケート調査を行い, 検診結果による聴覚障害の有無との関係について検討を行った。アンケート調査の結果, トラクター等の農業機械に乗車するものは, 男性828名中801名, 女性450名中341名の計1,142名であり, また, 総乗車時間は平均18,006±18,800. 72時間, 男性26,158. 3±18,602. 31時間, ならびに女性5,484. 65±10,338. 17時間で, 乗車しないものおよび乗車時間についても女性で少なかった。検診の結果, 1,368名中305名の22.3%に聴力の障害を認めた。
    聴力検査で異常が認められた群の平均乗車時間は24,689±21,155. 13時間, 異常を認められなかった群では16,077. 65±17,623. 69時間で, 両者において有意な差が認められた。さらにこれを年代ごとに検討すると40代, 50代, および60代において聴力に異常が認められた群では, 農業機械乗車時間が有意に長かった。これらの結果より, 農業機械が聴覚の障害に影響を与えている可能性が示唆された。
  • 清水 義雄
    1998 年 47 巻 4 号 p. 589-595
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    佐久総合病院の人工肛門・人工膀胱の患者会は, 1988年に発足して以来10年を経過した。
    佐久総合病院における1977年より1996年までの20年間の直腸癌の手術数の推移をみると, 総数では増加傾向にあるものの直腸切断術症例数は減少傾向にある。また, 泌尿器科にては, 過去9年間において回腸導管・尿管皮膚痩造設手術数は概ね変化はないものの, 術後のQOLを考えると今後continent reservoirあるいはneobladderが増加してくるものと思われる。このような状況下において, 会員の高齢化によって会員登録を抹消するcaseもあることを考えると, 患者会の会員数は今後減少していくことが予想される。
    ストーマ造設手術数減少傾向のなかで, 今回, 今後の患者会運営の方向性を探る目的にて, アンケート調査を行った。その結果, これまでの会運営は概ね支持されており, ストーマリハビリテーション・社会保障相談などを目的とした患者会に寄せる期待は大きいものと思われた。ストーマ患者数ひいては新規患者会会員数の増加が多くは見込まれないとしても, 患者会運営に病院そして関連スタッフが積極的に関与していかなければならないものと思われた。
  • 吉川 隆志, 秋江 研志, 廣川 淳一, 山本 真, 牧村 士郎, 寺井 継男
    1998 年 47 巻 4 号 p. 596-601
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    当科において原発性肺癌として1983年から1993年の11年間に登録された症例472例のうち早期肺癌症例について検討した。早期肺癌は肺門部6例, 肺末梢部25例の計31例で, この間の全症例数の6.6%であった。集検で発見されたのは肺門部肺癌は6例中3例であり, そのうち2例は喀痰細胞診検査にて発見された。一方肺末梢部肺癌では集検で発見された症例は10例 (40%) で, 全例胸部X線写真にて発見された。肺門部肺癌は喀痰細胞診検査あるいは経気管支鏡的検査により100%術前診断は可能だったが, 肺末梢部のものは25例中18例 (72%) の症例で術前診断されたが, 残り7例は開胸により診断された。治療に関しては全例外科的治療を受け, 累積生存率に関して肺門部, 肺末梢部肺癌の5年生存率はそれぞれ100%, 94.4%で予後良好であった。今後, 肺癌治療成績の向上には, 従来から指摘されているように喫煙歴を考慮した高危険群に対する積極的な喀痰細胞診検査の導入と気管支鏡検査, 精度管理された胸部X線写真検査, さらにはヘリカルCTなどの新しい診断法の導入により多くの早期肺癌発見の努力が重要と思われた。
  • 高科 成良
    1998 年 47 巻 4 号 p. 602-623
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    一般検診において特別の異常が指摘されなかったもの (著変なしと判定されたもの) から数年後, 何らかの健康障害が約25%発生する。成人病一次予防の効率を向上させるためには一般検診において特別の異常が指摘されなかったものより数年後に健康度が低下する可能性が高いHigh risk者を選択し, 生活習慣改善の教育・指導を強力に実施する必要がある。このRisk指標を検討するため, 3~5年前検診を受診したもののなかより, 年齢20~69歳, 収縮期血圧160mmHg未満, 拡張期血圧95mmHg未満, 空腹時血糖120mg/dl以下あるいは随時糖160mg/dl以下, BMI18. 1~25.9, 血清コレステロール120~220mg/dlという条件をみたしたもの6,771例を研究対象としてRetrospective cohort研究を実施し, Risk指標は加齢, 収縮期血圧130mmHg, 拡張期血圧85mmHg, BMI24.0, コレステロール200mg/dlという結果を得た。
  • 上田 厚
    1998 年 47 巻 4 号 p. 624-633
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    (1) 農作業従事者のストレスとその要因を, 農業や生活における地域の特性に対応して解析し, 健康づくりにつながる農業の良い面を引き出すことのできる調査票 (生活と健康調査票) を完成させ, この調査票を用いて, 農業従事者のストレスの実態とその関与因子と因子間の相互関連の様相を解析した。
    (2) この調査の結果, 農業従事者の健康の様態を明らかにするために「生活満足度 (QOL)」および「ストレス」が極めて有効な指標であることが確かめられた。
    (3) 農業従事者は, 他産業労働者と同等のストレスを感じているが, その要因構造には他産業のそれと異なった特性や, 農業問においても, 作目や地域による比較的明瞭な差異が認められた。
    (4) 一般に, ストレスは女性が男性に比し, 若年者が高年層に比して強い傾向が見られた。
    (5) 生活要素別に不満の多い項目は, 男女共通の項目として「農業政策」「農業収入」が, 女性では「家事」「自由時間」が, 男性では「農協の支援」「情報」があげられた。
    (6) 強いストレッサーとしてあげられた要素は, 仕事の性質 (Demand/Control Model) としては「時間に追われる」「困難なしごと」が, 仕事の要素 (作業態様/作業環境/作業編成) としては「時間が長い」「炎天下作業」「重量物の運搬」「立ち作業」が, ライフイベントとしては「減収」「ケガや病気」「借金」「子供の教育」「老人介護」などであった。
    (7) 農作業従事者のQOLの向上につながるストレス関与因子の構造モデル (A/B) を作成し, その妥当性と地域健康活動における有用性を確認した。この結果, 一般に,「生活満足度 (QOL)」を阻害する最も大きい, 直接的な要因は「ストレス」であり, それを緩和し, QOLを高める最も大きな要因は「社会的支援度」であることが明らかにされた。さらに, モデルAは,「ストレス」を規定する要因の構造における, 性差や地域差を明らかにする上で有用なモデルとして活用できることが示唆され, モデルBは,「生活満足度」を規定する要因の構造に関する地域差を明らかにし, 地域の諸特性に応じたストレス対策を呈示していく上で有用なモデルであることが確かめられた。
    (8) 関連用語の統一見解を検討することにより, 農業における安全と健康の向上や地域社会における健康活動の展開に役立つ知識や考え方が得られた。
    (9) これからの効果的な農村地域健康活動を構築するためには, この調査票を使った比較的小さな地域集団における介入研究の手法を開発し, それを実施して行くことが不可欠のものになってくるのではないかと思われた。
  • 登内 真
    1998 年 47 巻 4 号 p. 634-644
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村地域における中高年層での食物摂取状況, 栄養状態と消化器系諸病態の実態を, 人間ドック・健診受診者, 外来・入院患者を対象にして調査した。
    人間ドック・健診受診者での経年的な変化としては, 食物の摂取量において, 総カロリー, 蛋白質, 脂質の増加傾向, 栄養のパラメーターとしてBMI, 総コレステロール値, 中性脂肪値の上昇傾向があった。それに伴う消化器系の病態としては, 脂肪肝, 大腸ポリープ, 胆嚢ポリープがあり, 胆石症においては関連が明らかでなかった。脂肪肝は単に消化器系の病態であるにとどまらず, 動脈硬化促進状態の一表現型として重要であり, また潜在的な糖代謝異常を伴うことが多かった。消化器系疾患での入院患者における調査では, 疾患の結果の影響が出るため病因的な検討を進めることは難しかった。
    血清ペプシノーゲン検査の陽性者では, 穀物の摂取量が少ない傾向がみとめられ, パラメーターでは血色素量, 血清アルブミン値が低値の傾向があった。ヘリコバクター・ピロリ菌の陽性者では喫煙係数が有意に高く, 陰性者では有意ではないが糖質の摂取量の多い傾向があった。
  • 山根 洋右
    1998 年 47 巻 4 号 p. 645-657
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1997年から2年間にわたり, 日本を縦断する調査研究チームを編成し, 永年, 各研究者が健康づくり支援活動を続けている都市近郊農村, 農山村, 農漁村を対象に, 農山村の中高年女性の健康実態把握と健康増進対策に関する調査研究を行った。
    1. 多様化する農村の実態とコミュニティ特性を明らかにするため, コミュニティプロフィールに関する調査票を作成した。対象とする農山村町村の特性をこれにより把握し, 変貌する農村コミュニティの実態把握と問題の分析に有効であることを明らかにした。
    2.「農村中高年女性ヘルスチェック調査票」を作成した。また, 地域特性別, 年齢階層別の「中高年女性コミュニティヘルスケア・マネージメントシート」を作成し, 農村女性の健康増進計画策定に有効であることを明らかにした。
    3. 農村地域における中高年女性の全国縦断的健康実態調査を行った。特に「更年期障害」を中心に, ライフスタイルとの関連を分析し, 更年期障害は, 血管運動神経障害タイプが5%, 睡眠障害, 神経症, 知覚障害のタイプが各1%みられた。これらの障害は, 月経周期, すなわち血清エストロゲン濃度よりも, 生活役割における社会心理的因子により影響されている可能性を明らかにした。この詳細は別項にて報告した。
    4. 各分担研究者により, 共同調査と平行して個別テーマを設定し, 調査研究を行った。個別研究テーマは, 北海道「農村中高年女性の頭部CT健診と痴呆予防対策」「中高年女性農業従事者と酪農従事者の健康実態と対策」, 秋田「農村中高年女性の経年的脂質動態と脂質上昇に関する経年的解析」, 千葉「農村中高年女性の健康と生活習慣」, 長野「農村中高年女性の生活と健康実態, 特に健康度判定と社会的文化的要因」, 島根「農村中高年女性の健康実態とヘルスプロモーション」, 熊本「農村健康長寿者の実態と中高年女性の健康増進対策, 特に住民参加型健康増進活動」である。これらの多角的調査により, 農村中高年女性の健康問題の多様性と健康増進対策の在り方を明らかにした。
  • 角田 文男
    1998 年 47 巻 4 号 p. 658-664
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1980年以前まで, 我が国の人口構成は西欧先進諸国に比して老年人口割合が低かったが, その後は他の先進諸国に類をみない速度で高齢化が進行してきた。特に農村部においては, 都市部よりもその傾向が顕著であり, 地域保健医療の面で様々な老年期の退行性疾患が注目されるに至った。なかでも, 老年期骨粗鬆症患者の増加は著しく, 同症による骨折や疼痛, 寝たきり, さらにはQOLの低下などが大きな問題となっている。すなわち加齢とともに全身骨量が減少して骨折の発生率が高まり, 寝たきり状態の要因にもなること, また, 医療費の高騰にもかかわってきていることなど, 特に農村の保健医療福祉上, 緊急な対応がせまられている。
    骨粗鬆症は, 骨量の減少および骨梁構造の悪化により骨の脆弱性が亢進した状態であり, 多くは閉経に伴うエストロゲンの減少による閉経後骨粗鬆症および加齢による生理的な骨量減少を基本とする老年期骨粗鬆症に分類される。骨粗鬆症の診断や重症度の判定には骨量の評価が必要不可欠である。従来, 骨量減少の有無は胸腰椎X線写真から定性的に判定されてきたが, 最近の骨量測定法の飛躍的な発展によって, 本症の第一次予防や管理に有効な骨密度や骨強度を高精度, 高感度に数量化できるようになった3~9。しかしこれらの測定法を用いて骨粗鬆症の集団検診を行うには, 測定機器の器差, 測定部位の問題, 測定時間の短縮等, いくつかの未解決な課題がある。
    本研究では, 骨量測定を基本とした農村地区における骨粗鬆症の集団検診技法を確立する一方, 特に農村部婦人の骨粗鬆症発症に係わる諸要因について検討し, その予防対策と健康管理に寄与しようとするものである。
  • 1998 年 47 巻 4 号 p. 665-678
    発行日: 1998/11/03
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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