日本農村医学会雑誌
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49 巻, 1 号
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  • 藤田 委由, 松下 敏夫, 松島 松翠
    2000 年 49 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農薬による慢性的健康影響を明らかにするために, 農薬とがんの関連性について疫学調査した英文文献を収集した. 文献検索は, 1988年から1998年までのMEDLINEを利用した. 収集した文献を, 疫学調査方法に従い, コホート研究, 症例対照研究に分けた. 農薬の慢性的健康影響に関しては, soft tissue sarcoma, non-Hodgkin's lymphoma, 肺がん, 乳がん等多くの部位のがんとの関連性が検討されている. また, 解析対象になっている農薬も除草剤, 殺虫剤など多種類である.
    農薬とがんとの関連性について, 疫学研究を実施する場合に問題となる対照群の選定, 農薬曝露の評価等について考察し, 併せて, 農薬による慢性的健康影響に関する疫学的調査方法のひな形を示した.
  • 江角 幸夫, 安達 久美子, 高橋 こずえ, 深田 靖彦, 陶山 昭彦
    2000 年 49 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    アメリカ臨床検査標準委員会 (以下NCCLS: National Committee for Clinical Laboratory Standards) 指針案による血清脂質4項目 (T-C, HDL-C, TG, LDL-C) の高齢者 (65歳以上) 用基準範囲の設定を試みた. 島根県内で実施した健康診断受診者14,738人を対象に, 受診時点で何らかの治療を受けている, 食後12時間未満, 毎日飲酒する, 喫煙する, 収縮期血圧160mmHg以上または拡張期血圧95mmHg以上, 肥満度-20%以下または+20%以上の除外基準を設定し, 基準標本群を抽出した.
    基準標本について性別に, 血清脂質4項目の平均値の加齢による変化を調べたところ, T-Cでは男性で50歳代, 女性で60歳代をピークにゆるやかな山型を示した. HDL-Cでは大きな変動は見られなかったが, 女性が男性に比べ高値であり, 女性では60歳代になると50歳代に比べ有意に低値を示した. TGでは男性が女性に比べ高値であった. LDL-CではT-Cと同様な傾向を示した.
    成人群 (64歳以下) と高齢者群 (65歳以上) について平均値の差を調べたところ, T-C, TG, LDL-Cでは高齢者群が成人群に比べ有意に高値を示し (p<0.01), HDL-Cでは高齢者群が成人群に比べ有意に低値を示した (p<0.01). この結果をもとに, T-Cで147-289mg/dl, HDL-Cで37-99mg/dl, TGで40-209mg/dl, LDL-Cで70-200mg/dlと高齢者用基準範囲を設定した.
  • 自尊感情・自己効力感・自己実現的価値観尺度を用いた検討
    星野 明子, 桂 敏樹, 松谷 さおり, 成木 弘子
    2000 年 49 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 地方都市における地域組織活動として位置づけられる保健推進員活動が, 活動参加者の心理的側面に与える影響を明らかにすることである. 対象は, 保健推進員活動の成員356名である. 調査項目は, 対象者の属性 (年齢, 学歴, 仕事の有無, 経済的ゆとり, ボランティア・福祉への関心, 以前の活動経験の有無) と, 主観的健康感, 活動満足度および自尊感情, 自己効力感, 自己実現的価値観である.
    その結果, 以上のことが明らかになった.
    1. 年齢とボランティア・福祉への関心は, 保健推進員の活動満足度を強めた.
    2. 活動満足度と経済的ゆとりは, 自尊感情を強める要因であった.
    3. ボランティア・福祉への関心と活動経験年数は, 自己効力感を強める要因だった.
    4. 年齢は自己実現的価値観を弱め, 活動満足度, 学歴, 経済的ゆとりは, 自己実現的価値観を強める要因であった.
    保健推進員活動は, 対象者のボランティアへの関心を満足させることで, 活動満足度を強め, 自尊感情と自己実現的価値観に影響を与えることが明らかになった.
    今後の課題として, 活動参加者に対する地域組織活動の効果を明らかにするために, 保健推進員の心理的側面 (自尊感情, 自己効力感, 自己実現的価値観) を縦断的に検討していくことが必要と思われた.
  • 小林 敏貴, 品川 篤司, 前田 浩利, 川田 健一
    2000 年 49 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年同種骨髄移植は治療法として確立され, 当院においても平成11年4月までに15例を施行した. そこで今回, 当院における同種骨髄移植の成績, 問題点について検討した. 症例は年齢5-50歳 (平均29.2歳), 疾患はAML 7例, ALL 5例, CML 1例, 非ポジキンリンパ腫1例, 重症再生不良性貧血1例で, donorは全例HLA完全一致の同胞であった. 前処置は, busulfanまたは全身照射+cyclophosphamide+etoposideが大半であった. GVHD予防はcyclosporine A+methotrexateが主で, 急性GVHDは4例 (うち3例はgrade I), 慢性GVHDは治療不要の軽度のものが2例のみであった. 輸注細胞数が少ない症例もあったが明らかな生着不全は認められなかった. 生着症例では, 平均でWBC1000/μlまでに19.5日, Plt 5万/μlまでに38. 1日をそれぞれ要した. 生着した14例中5例が平均6.7か月で再発し, 全例が平均9.6か月で死亡した. 8例は0.2-39.4か月 (中央値21.7か月) 寛解を維持し生存している. 同種骨髄移植の成績向上には, 原病再発の抑制とGVHD・感染症等の予防が重要で, 当院では特に前者が重要である. 前処置は標準より強力であるが, 急性・慢性GVHDとも非常に軽度で, graftversus leukemia effbct (GVL) が少ないと思われる. GVHD予防を簡素化しGVHD・GVLをもう少し誘導することで, 再発抑制および治療成績向上が期待できると考えられた.
  • 星野 文, 山添 久美, 島 健二, 矢嶋 晃仁, 五十嵐 真二, 倉持 元
    2000 年 49 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 維持透析患者の死亡原因の約半数がいわゆる循環器障害によるものとされ, 虚血性末梢循環障害の症状がみられることが多くなってきている. この背景には透析患者に特有の動脈硬化の進展が関与していると考えられている. そこで透析患者の虚血性末梢循環障害の早期診断に役立てるために, 当院通院中の維持血液透析患者に対して足関節-上腕血圧比 (API) を測定し, さらにアンケート調査による自覚的所見, 理学的所見および胸部, 腹部大動脈石灰化の有無を加えて分析調査を行なった. その結果API<1.0を示した患者は全体の31.0%にみられ, API≧1.0の患者に比べ平均年齢, 平均透析期間は多い傾向がみられたが有意差はなかった. 無症状群においてAPI<1.0の患者はその21.2%にみられ, そのなかに足背動脈が触れずかつチアノーゼも認められた患者が含まれていた. また知覚, 運動異常群でAPI<1.0の患者はそれぞれ群全体の35.0%, 45.5%であった. 胸部または腹部大動脈石灰化の有無による分析調査では, API<1.0の患者は両部位とも石灰化を認めない患者の23.8%に, 胸部大動脈弓のみでは22.2%, 腹部大動脈のみでは27.8%, また両部位に石灰化を認めた患者では29.6%にみられた. 今回の結果は, 今後の血液透析患者における虚血性末梢循環障害に対するフットケアに役立つものと思われた.
  • 井齋 偉矢
    2000 年 49 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    現在行われている医療情報の開示は診療録の開示が主であるが, 外科手術における術中の情報開示は, 診療録や手術記録の閲覧のみでは不十分であり, 患者自身が特に全身麻酔の場合, 手術中に意識を失っていることと相まって難しい領域のひとつである. その解決策のひとつとしてデジタルカメラによる手術中の画像を編集した印刷物を用いて術中情報の開示を試みた.
    この方法での開示例33例とそれ以前の非開示例33例に郵便によるアンケート調査を行った. アンケート回収率は開示群78.8%, 非開示群90.9%であった. 術前の手術適応の理解度は開示群100%, 非開示群93.3%であり, 術前の術式理解度も開示群91.3%, 非開示群93.3%と群間に差はなかった. 一方, 術後の説明理解度には開示群95.7%, 非開示群96.7%と差がなかったが, 診断と術式の記憶は開示群が100%であったのに対し非開示群は83.3%に留まった (X2検定, P=0.0397). しかし, 手術の満足度は開示群82.6%, 非開示群93.3%で差はなかった. 開示群のみへの質問で, 組み写真・説明文の理解度は82.6%であり, 95.7%が良い試みであると回答した.
    術中の情報をデジタルカメラの画像に説明文をつけて患者に渡すことで, 術中の開示がある程度なされ, 患者の理解度, 診断・術式の記憶の向上に寄与した.
  • 2000 年 49 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 49 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 2000/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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