日本農村医学会雑誌
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50 巻, 1 号
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  • 竹内 悟, 瀬沼 美保
    2001 年 50 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕直角アダプターによる子宮頚部円錐切除術を評価することを目的とした。方法: 子宮膣部円錐切除術を受けた25人について, 円錐切除術の容易さ, 合併症, 病理組織学的診断への影響, そして治療の転機を検討した。
    〔結果〕平均手術時間は10.6±4.1分, そして平均出血量は6.8±9.Ogであった。頚管狭窄が2例あった。2症例が切除断端陽性であった。切除断端が陽性ではない2例で術後細胞診が陽性であった。平均経過観察期間は9.4±11-6か月であった。
    〔結論〕直角アダプターによる子宮頚部円錐切除術は有用と考えられた。
  • 培養細胞系を用いた機能性食物素材探索の試み
    松谷 Knox洋子, 荒井 優気, 林 要喜知
    2001 年 50 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    バラ科植物果実である中国産野生シュバイカがどのような作用を脳神経系に及ぼすかを調べるため, 幾つかの細胞変性系を用いて細胞障害の抑制あるいは遅延効果について検討した。ラット胎児由来の初代海馬ニューロンをトランスフェリン濃度を低めた無血清培地中におくと, 細胞死が誘導される。そこで, この細胞死に対して抑制効果を示すビタミンEやKを、基準にして, 組織抽出液の効果を調べたところ, シュバイカ抽出液は, 他の幾つかの植物と同様に著しい抑制作用を認めた。アミロイド前駆体蛋白質 (APP) の高発現グリオーマでは, クロロキン処理により細胞死が誘導されるが, この作用には, ビタミン類やシュバイカ, あるいは, その他の植物抽出液のどれもが, ほとんど抑制効果を示さなかった。しかしながら, クロロキン処理後の回復過程に対してシュバイカのみが促進作用を示した。さらに, 老齢チャイニーズハムスターにシュバイカ溶液を与え続けたところ, これらの生存日数が平均15%ほど増加し, 老齢動物における恒常性維持にも作用したと考えられた。以上のことから, 野生シュバイカには, 中枢神経系細胞に対する保護作用や免疫系を賦活化する生理活性物質が含まれると推察される。このような研究による抗痴呆性機能食品/食材の探索は, 21世紀の超高齢社会における人々の健康や我が国の農業に大きく貢献すると期待される。
  • 榊原 久孝, 藤井 千恵, 近藤 高明
    2001 年 50 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年糖尿病患者の増大は著しく, 積極的な対応が求められている。長野県松川町では, 住民基本検診の血糖異常者に対して, 1995年から訪問保健活動を開始している。そこで, 1992年から1997年までの6年間毎年住民総合検診をした人 (1,421名) で, 1994年または1995年に血糖異常を指摘された人 (130名) のうち, 糖尿病治療歴, 家族歴がなく1997年時点で70歳未満の人65名について, 訪問保健活動の有無別に検診結果の経年変化を解析し, その効果を検討した。訪問を受けた人は30名 (訪問活動詳), 訪問を受けていない人は35名 (未訪問活動詳) であった。血糖検査の正常率は, 1996年には両群とも改善したが, 1997年には訪問活動群では90%とさらに改善したのに対し, 未訪問活動群では69%と低下し, 訪問活動群のほうが有意に高くなった。1998年検診受診者での検討でも同様の傾向がみられた。1995年と1997年の検査結果の血糖異常程度別にみても, 訪問活動群のほうが未訪問活動群より, 1995年検査の軽度異常, 中等度異常のいずれの異常程度でも, 1997年には正常率が高い傾向がみられた。糖尿陽性率も, 訪問活動群では, 1995年の6名 (20%) が1997年には3名 (10%) となり半減していた。また訪問活動群では体重が減少傾向であったのに対し, 未訪問活動群では体重増加傾向がみられた。以上の結果から, 訪問保健活動は, 血糖異常者の自覚を促し, 保健行動の持続性に効果があることが示唆された。地域においても住民基本検診での血糖異常者を対象にしたこうした保健活動が, 糖尿病予防の点から重要であると考えられる。
  • 86例の検討
    山口 潤, 佐久間 裕司, 高桑 麗子, 後藤 朋子, 鹿野 泰邦
    2001 年 50 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    帯広地区の2病院における15歳以上の突然死を検討した。突然死の基準を, 発症から死亡までが24時間以内のものとした。
    突然死の頻度を知るために1992年と93年の2年間に死亡した1,088例について死亡診断書と診療記録から検討すると, 突然死は130例 (11.9%) であった。
    次に, 1985年から99年までの15年間に解剖された, 突然死86症例を検討した。死因別では, 心筋梗塞がもっとも多く42例であり, 急性心筋梗塞が40例 (陳旧性梗塞を伴わないもの19例, 伴うもの21例) であった。その他の死因としては, 特発性心筋症2, サルコイドーシス1, アミロイドシース2, 心弁膜症2, 大動脈瘤破裂7, 解離性大動脈瘤6, 肺塞栓症16, 肺高血圧症1, 肺炎1, 絞扼性イレウス1, 腹腔内出血1, 腸梗塞1, 脳出血2, ポックリ病1であった。
    心筋梗塞は42例 (48.8%) であり, 心筋梗塞を含む心疾患は49例であった。大動脈疾患は13例であった。併せて62例 (72.1%) は心・血管系の循環器疾患であり, 呼吸器疾患は18例で全体の20.9%を占めた。肺塞栓症は16例であり, 女性は14例であった。また術中発症が2例, 術後歩行中発症が8例など16例中15例が肺塞栓症の危険因子を有していた。
  • 宮北 隆志, 上田 厚
    2001 年 50 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    聴力障害の自己評価尺度として我々が作成した日本語版Hearing Disability and Handicap Scale (HDHS) の有用性を確認すると共に, 聴取障害及びそれに伴うハンディキャップとQOLの構成要素との関連について検討することを目的とした。調査対象は, 熊本県阿蘇郡蘇陽町 (中間農業地域) において実施された基本健康診査受診者の中で, 耳のきこえに不自由があるとする136名のうち, 訪問調査に応じた123名の回答を解析し, 次のような結果を得た。1) 日本語版HDHSを構成する3つの下位尺度のクロンバックのα は, 0.87~0.90で, 比較的高い信頼性が確認された。2) HDHSの全20項目について因子分析を行ったところ, 3つの因子が抽出され, あらかじめ想定した3つの下位尺度にほぼ対応するもので, 構成概念妥当性についてある程度確認できた。3) 日本語版HDHSの2.項目の設問に対する有訴率をみると,「言語音の聴取」に関する設問に対する有訴率65.8%~82.1%が,「非言語音の聴取」の47.9%~58.6%を大きく上回った。また,「ハンディキャップ」に関する10項目の設問に対する有訴率は25.2%~60.1%と設問によってかなりのばらつきが認められた。4) 日本語版HDHSとQOL調査票によって得られた結果を, 共分散構造モデルを用いて解析したところ, 聴取障害とそれに伴うハンディキャップの増大は, 自覚的健康度の低下を介して, 間接的にQOL (生活満足度) の低下に関係していることが示唆された。
  • 外山 幸子, 西山 勉, 嶋本 圭子, 小坂井 峰子, 照沼 正博, 小林 和子
    2001 年 50 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    自排尿型代用膀胱造設患者19名に郵送によりアンケート調査を実施し, 3回の調査で34回答を得た。手術からアンケート調査までの期間が1年未満の患者が8名 (全て初回調査), 1年から3年未満の患者が13名 (初回調査9名, 2回目調査4名), 3年以上の患者が13名 (初回調査2名, 2回目調査5名, 3回目調査6名) であった。自排尿型代用膀胱造設患者では, 原病の癌とともに, 長期間持続する尿失禁の問題, 特に夜間尿失禁と腹圧による軽度の尿失禁が患者のQOLに影響していることがわかった。
  • 跡部 恒之, 小林 茂, 松尾 文晃
    2001 年 50 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医療の進歩とともに医療機器の進歩も著しく, 院内での汎用も多岐におよんでいる。又, それに伴い医療事故, 医療過誤等マスコミで多く取り上げられている現状をみると医療機器の中央管理による「保守」「点検」「整備」「教育」「啓蒙」は予防的観点からも不可欠になっている。
    このような中で, 当院においては事故防止と経費節減に着目し1993年4月より医療機器中央管理 [機器管理室設置] を開始した。既に8年経過しているが, 必ずしも最初から順調に行われてきた訳ではない。試行錯誤の繰り返しで現在に至っており, ようやく軌道に乗せることができ, 院内外から良い評価が得られるようになったが, 更に充実に向けていく為の努力が必要と考える。
  • 岡 秀行, 次田 靖功, 岡原 正幸, 斉藤 誠, 阿河 直子, 合田 吉徳
    2001 年 50 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 男性。左腰部痛を主訴として当院に入院となった。原発性左腸腰筋膿瘍と診断され, 経皮的ドレナージと抗生剤投与にて治癒した。入院時の胸部X線にて両側肺野に多発性結節影を認めた。胸部CTでは左下肺野に胸膜に接する懊状陰影と, 全肺野末梢側に大小様々な多発性結節影を認めた。結節影の一部は薄壁空洞像や血管流入像を呈していた。結節影は経過とともに一部は縮小消失し, 一部は新たに出現した。経気管支的肺生検にて器質化肺炎像を認め, 膿瘍と入院時の喀疾からともにE. faeciumが検出されたことから腸腰筋膿瘍に合併した敗血症性肺塞栓症と診断した。
  • 川村 功, 山崎 一馬, 児玉 多曜, 森川 丘道, 金子 健太郎, 飛田 浩司, 堀部 大輔, 長谷川 正和, 赤池 康
    2001 年 50 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    患者は63歳女性で胃噴門部直下から3.5×5cmの拡がりをもつIIc+IIa様早期胃癌が認められた。EMR (内視鏡下粘膜切除術) では治療困難と判断されたので, インフォームド・コンセントのもと鏡視下手術が採択され, HALS hand assisted laparoscopic surgery下胃全摘術兼リンパ節郭清術 (Roux-en-Y再建) を行った。皮切は右下腹部に7cmの横切開 (ハンドポート用) のほか, 1.2cmの皮切を4か所に加えた。ハンドポートから挿入された術者の左手の有効な誘導により, ハーモニック・スカルペル (超音波切離装置) や各種ステイプラーを駆使して胃周囲の切離, 剥離およびリンパ節郭清 (D1) は安全に行うことができた。
    食道-胃切離, 胃十二指腸切離はともに自動縫合器Endo GIAを使用し, 後者には手縫いにて埋没縫合を行った。全摘された胃は7cmの切開創から取り出した。再建にはRoux-en-Y脚作製をハンドポート切開創から手縫いで行ったあと, 自動吻合器EAA (21cm) にて, 食道空腸吻合を行った。EEAアンビルは経鼻胃管を経口的に挿入して食道断端に誘導し, 装着した。手術時間は4時間35分, 総出血量は330mlで特に大きな問題は起こらず手術は終了した。
    術後は皮下膿瘍, 軽度の食物通過障害感が認められたものの各々容易に対応でき, ほぼ満足すべき結果が得られた。鏡視下の胃全摘術は, これまで困難とされてきたが, この方法で比較的安全に行えると思われた。
  • 2001 年 50 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 50 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2001/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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