日本農村医学会雑誌
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50 巻 , 2 号
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  • 高松 道生, 田村 真
    2001 年 50 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    佐久地域の全住民を対象として, WHO-MONICA Projectの手法に基づく心筋梗塞発症登録研究を行った。1989年度から1998年度の10年間の推移では発症数に有意な変化は認められず, 人口の高齢化に伴う発症増加も認められなかった。心筋梗塞発症例の平均年齢は女性で不変, 男性がやや高齢化の傾向にあった。最重症の心筋梗塞は突然死の形を取る事が多いが, その把握には保健所を中心とした公的研究が必要と考えられる。一方で農業従事の有無に視点を置いた研究も必要であり, 本学会の研究テーマとして意義のあるものと思われる。
  • 堀内 信之
    2001 年 50 巻 2 号 p. 85-95
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本邦の農山村では, 古くから大型の大豆大までになるマダニ (tick) による刺咬症があり, ときに咬着しているマダニをつまみ取った後に遠心性に拡大する紅斑が出現する症例がみられた。われわれは, 1987年に「マダニ刺咬症の統計」と題して, このような遊走性紅斑の7症例を報告した。ところが同じころ, 馬場等によって妙高高原でシュルツェマダニ刺咬後に生じたライム病の本邦第1例が報告され, 注目されるようになった。われわれは, その後もマダニ刺咬症とライム病の実態調査を続けてきたのでその結果を報告した。1999年までのマダニ刺咬症は, 165例であり, その中で遊走性紅斑を生じたライム病患者が16例であった。外来受診時の状態は, 虫体が咬着したままの症例62例 (37.6%), 虫体を除去した後の症例79例 (47.9%), 遊走性紅斑を生じた症例16例 (9.7%), その他8例 (4.8%) であった。年度別患者数は1994年の18例, 月別患者数は6月の135例・7月の113例, 年齢別患者数は10歳以下の33例・50歳代の32例・60歳代の29例, 咬着部位別患者数は腹部の99例が多いものであった。マダニの除去法は, 医師にて切開又は切除して除去したもの56例, 自分又は家人がつまみ取ったもの94例, 自然脱落したもの7例となった。刺咬マダニの種類は, シュルツェマダニ56例・ヤマトマダニ26例・その他3例となった。ハイリスク集団である営林署職員のアンケート結果と抗ライム病ボレリア抗体の測定をあわせて報告した。
  • 熊木 昇二, 栗林 秀樹
    2001 年 50 巻 2 号 p. 96-101
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    消炎鎮痛剤 (以下NSAID) は腰痛や関節痛などを和らげる目的で広く用いられている。しかしNSAIDはプロスタグランジン (以下PG) の生産を抑制するため, 長期に使用すると, PGの骨形成作用が阻害され, 骨密度 (以下BMD) が低下する可能性がある。われわれは, 低骨量症例の1年間のBMDの変化を調べることで, NSAIDの骨密度への影響を調査した。
    [対象と方法] 99年4月1日から9月24日までに当科でDXA. 法による腰椎と大腿骨近位部のBMDを調べ, L2-4BMDか大腿骨頸部BMDのいずれかが若年成人平均値の80%以下で続発性でなかった症例は163例であった。この中でNSAIDを1年間にわたり投与され, その間のBMDの変化を観察できた14例を対象とした (NSAID群)。コントロールとして, NSAIDを定期的に投与されず, 1年間にわたってBMDの変化を観察できた51例を用いた。この2群において, 各腰椎と大腿骨近位部BMDの1年間の変化率を求め比較検討した。
    [結果] 両群とも全例女性であり, 年齢, 身長, 体重において有意差を認めなかった。1年間のBMDの変化率で両群を比較すると, まず腰椎では, NSAID群でL 3BMD, L2-4 BMDが有意に低下し, L2BMD, L4BMDが低くなる傾向を認めた。大腿骨近位部では, NSAID群でWards BMD, troch BMD, total BMDが有意に低下し, neck BMDが低くなる傾向を認めた。
    [結論] NSAIDを長期に使用すると, 骨密度が低下する可能性が示唆された。
  • 亀谷 富夫, 越田 英夫, 橋爪 清盛, 柴田 和彦, 清水 邦芳, 堀上 健幸
    2001 年 50 巻 2 号 p. 102-107
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    外来通院中のインスリン治療糖尿病患者を通常のインスリン治療を続けるコントロール群14名 (C群) と血糖値に応じてインスリン注射量を2から4単位増量する前向きインスリンスライディングスケール併用群14名 (S群) にわけ, 6か月間Hb Alcと低血糖回数を観察し前向きインスリンスライディングスケールの有用性を検討した。
    C群ではHb Alc値は有意な変化はなかったが, S群ではHb Alc値は前の8.37±1.14%より1か月後より低下し始め, 2か月後には7.95±1.26%と有意に低下し (p<0.04), 5か月後には7.50±1.42%と最低値を示した。低血糖の回数は, S群では, 1か月後, 2か月後に約2倍と有意に増加したが (それぞれP<0.05, P<0.01), 重篤な低血糖は認めなかった。以上より, 前向きインスリンスライディングスケールを使った治療法は外来インスリン治療糖尿病患者において有用と考えられた。
  • 倉持 元
    2001 年 50 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    血液粘度の変化が, 脳血流に影響を及ぼすか否かに関しては議論のあるところであるが, 一般的に脳血流は自動調節されており, 外的要因による影響をあまりうけないとされている。しかし血液透析患者に関しては, 血液透析療法により短期間に体水分量の減少および血液粘度の増加がおこるため, 血液透析療法後に脳血流量および脳血流速度が低下するとの報告が多い。そこで今回, 慢性糸球体腎炎と糖尿病性腎症由来の慢性血液透析患者において, 血1液透析療法前後で脳血流速度を測定し比較検討した。年齢および血液透析期間を一致させた両群の血液透析患者において, 頚動脈超音波法にて頚動脈に狭窄のないことを確認したうえで, 経頭蓋骨超音波ドップラーを用いて血液透析療法前後で左右中大脳動脈血流速度を測定した。血液透析療法によって, 両群とも有意な体重減少および動脈血, pH, HCO3-, Ht値の増加が認められたが, pCO2, pO2値には変化は認められなかった。さらに糖尿病性腎症群では有意な平均血圧の低下も認められた。中大脳動脈血流速度は, 慢性糸球体腎炎および糖尿病性腎症群とも左右差はなく, 血液透析療法前後で脳血流速度に有意な変化および両群問での差異も認められなかった。また糖尿病性腎症群では, 慢性糸球体腎炎群に比べてpulsatility indexおよびresistive indexが高かった。このことは, 糖尿病性腎症群での動脈硬化性病変の進展を疑わせる所見と考えられた。
  • 百瀬 義人, 畝 博
    2001 年 50 巻 2 号 p. 114-124
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Cognitive-behavioural approachが行動療法における戦略として具体化され, より緩やかで適切な体重コントロールや高脂血症の発症を予防するための適用に関心が高まっている。そこで, 高脂血症の進行に対する危険因子を明確にすべく, 認知調節系食行動と血清LDLコレステロール (LDL-C) との関連を検討した。また, 行動変容のための資料として, 生活習慣改善に対する考え方についても調査した。1999年の健康診査データから, 40~65歳の男女611名を対象とし, 共分散分析法を用いて食行動とLDL-Cの独立した関連を検討した結果, 男性では, 認知調節系が抑制されていないことによる過食行動とLDL-Cとの間に重要な関連が認められた。女性では,「食動機」・「体質に関する認識」の両者がLDL-Cと強い関連を認めた。生活習慣改善に対する考え方では, 体重を減らしたい, 運動を始めたい, と回答した人が4~5割認められた。これらの結果から, 男性は自分の過食行動 (例えば, ファーストフードをよく利用する, もったいないので残り物を食べてしまう) を認識し改善すべきと考えられた。女性は料理を多めに作る習慣を改めるべきであり, さらに, 自分の行動と認識のズレ (例えば, 肥満の原因を体質と決めつけて何の努力もしないこと) を改める必要性が示された。このような認知調節系食行動の特徴が, LDL-Cレベルのコントロール要因となっている可能性が示唆された。今後は, これらの認知調節系食行動とLDL-Cに焦点を当てて検討する必要がある。
  • 松野 俊一, 太田 明宏, 杉田 峰子, 尾関 裕一, 兼村 武浩, 末松 太, 山田 正, 田中 史朗, 野田 勉, 長尾 育子, 山本 ...
    2001 年 50 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1999年1月から同年12月までに乳腺外来を受診し視触診, マンモグラフィ, 超音波検査等で強く悪性疾患を疑った61例に対して乳腺MRIを施行した。そのうち腫瘤性病変に対して組織学的診断の得られた58例 (良性疾患8例, 乳癌50例) を対象に, dynamicstudyによる腫瘤影の特徴, 時間信号強度曲線について良悪性疾患別に比較し, 造影MRI検査における造影パターンの解析の有用性を検討した。対象症例すべてが造影MRIで濃染した腫瘤を認め, 信号強度のピーク時間の平均値は良性疾患では約7分, 乳癌例では約2分であった。PRE (preripheral ring enhancement) は乳癌50例中40例 (80.0%) に認められたのに対して, 良性疾患では全例で認められなかった。乳腺疾患の画像診断は主にマンモグラフィ, 超音波検査が用いられてきたが, 乳腺腫瘤の治療方針を決定していく上で, dynamic MRIにおける造影パターンの解析が一助となると考えられる。
  • 岡林 義弘, 太田 秋好, 芳賀 英穂, 中西 やよい
    2001 年 50 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    超音波骨密度測定装置を用いて三重県下の農村婦人にのべ6,680回の踵骨骨密度を測定した。また骨代謝マーカーのオステオカルシン <BGP> 350例と骨型アルカリホスファターゼ (B-ALP) 450例を無作為に選択して測定した。BGPとB-ALPは45才頃より増加し始め50才より65から70才頃まで高値で変動しこの間適当なカルシウム摂取や運動不足があれば骨量は急激に減少する。5年間の経年受診者は795名で測定回数1,062回で経年の比較を行った。・初年度値を100とし各年度値を%で表わし比較すると増加例は106%, 減少例は95から91%で人数比は増加群は30~40%で40才, 60才代に多かったが全体では減少群が有意に多く (P<0.05) 増加群は有意でなかった。・初年度値が59以下の91例を見ると21例は60以上に増加したが後の78%の症例は増加せず骨折せぬように注意を喚起し, 何らかの治療が必要と思われた。骨粗緩症には, 種々な要素が関与し生活習慣の改善のみでその発現を押さえきれないとしても骨検診や事後指導の積み重ねが高齢社会にはいった日本の骨粗霧症の減少に役立つと考える。
  • 金田 考
    2001 年 50 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今回, 下咽頭の全身麻酔下内視鏡的粘膜切除術 (Endoscopic mucosal resection; EMR) 直後の著明な喉咽頭浮腫により呼吸困難となり, 再挿管を余儀なくされた2症例を経験したので報告する。症例1は73歳, 男性。食道癌術後の定期検診で下咽頭後壁の隆起性病変を指摘され, EMRを施行した。挿管後1時間45分で手術は終了した。麻酔から覚醒後, 手術室で抜管したが, 直後に喘鳴出現, 頻呼吸となり呼吸困難感を強く訴えた。症例2は67歳, 男性。アルコール性肝障害の精査目的で入院中, 下咽頭後壁の隆起性病変を指摘され, EMRを施行した。手術はとくに問題なく終了し, 十分な換気量の回復を確認し抜管したが, 直後より努力性呼吸となった。2症例とも著明な喉咽頭浮腫を認めたため再挿管し, 集中治療室へ搬入したが, 特に症例2は過度の呼吸努力による明らかな陰圧性の肺水腫を発症しており, 数目間集中治療室での人工呼吸管理を必要とした。下咽頭部のEMR術後は抜管前に咽喉頭部をよく観察し, 浮腫が強い場合はICUに入室させ, 翌朝の抜管とするなど, 何らかの対策が必要と考えられた。
  • 2001 年 50 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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