日本農村医学会雑誌
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51 巻 , 5 号
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  • 林 雅人
    2003 年 51 巻 5 号 p. 705-711
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    高齢者の生活習慣病対策は若壮年とは異なった視点が必要である。BMIについて男性ではやせ群の生存率が低く, 高齢男性群はがん死亡者を除外しても有意に低い。
    血清総コレステロールについて高齢者男性群は中年群より血清総コレステロール低値群の生存率が明確に低く, 5年以内のがん死亡例を除外してもその傾向は変わらない。この事実は基本健診で得られた高齢者高コレステロール血症に対する食事指導を若年者と同様に行うべきでないことを示している。
    血清アルブミンと血清総コレステロールは男女, 中年・高齢群すべてにおいて有意に正相関しており, がん死亡例を除外してもその傾向は変わらない。この相関は高齢者程より明確であった。この点からみても高齢者食事指導にあたっては若壮年者と同様に行うべきではない。
  • 桂 敏樹, 高橋 みや子, 右田 周平
    2003 年 51 巻 5 号 p. 712-723
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    無作為に抽出した全国の医療機関に退院計画システム化の進捗状況について調査を行った。その結果退院調整専門職がいる医療機関は約20%であった。今後医療機関が退院計画の実施によってケアの質を高めるためには, 退院計画のシステム化, 退院調整専門職や退院計画部門の設置, 患者や家族の参加による退院計画の立案と修正, 社会資源に関する十分な情報の開示, 効率的なスクリーニングとモニターリングおよびフォローアップシステムの整備, 外来機能の見直しや訪問看護部門の設置と充実, 関連諸機関との連携強化等が課題であることが明らかになった。
  • 木根渕 英雄, 松島 松翠, 西垣 良夫, 前島 文夫, 永美 大志, 臼田 誠, 浅沼 信治
    2003 年 51 巻 5 号 p. 724-741
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本学会では, 農薬による中毒 (障害) について長年にわたり, 学会員から臨床例の集積・解析研究を行い, 予防, 治療に貢献してきた。しかし, 相当程度存在すると思われる農薬の慢性期の中毒 (障害) については, ほとんど報告されていないのが現状である。そこで, 1999年に農薬の神経障害等特別研究班を発足し, 農薬急性中毒患者救命後に発症した神経障害の症例を調査するとともに, 内外の文献から慢性期の神経・精神障害についての知見を得るべく調査・研究してきた。
    本学会の臨床例調査では, 遅発性神経障害を疑われる症例が1例報告された。有機リン系農薬を服毒し救命しえたものの, 数十日後に神経障害が認められた症例である。
    また, 内外の文献を見ると, 1951年にマイパフォックスについて報告された遅発性ニューロパチーは, 主に有機リン系農薬について報告されてきた。この10年でも, 様々な症例が報告されている。また, カーバメイト系殺虫剤などの農薬でも, 遅発性ニューロパチーの報告が散見されている。1984年に使用され始めた除草剤グルホシネート (バスタ) では, 逆行性健忘, 失見当識などが経験されている。これらについては, 各農薬 (系) ごとに総括した。農作業者, 羊害虫の防除者など, 多種類の農薬を長期的に暴露される労働者について, 神経学的・精神学的疫学調査が行われている。また, 有機塩素系農薬および汚染物の母性経路暴露による, 小児の神経・精神発達についても疫学的調査が内外に見られる。それぞれに総括した。
  • 田中 敏博
    2003 年 51 巻 5 号 p. 742-750
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    2000年-2001年シースンに引き続き, 2001年-2002年シースンの当院小児科におけるインフルエンザに対する取り組みを総括した。予防面では, ワクチン接種体制を充実させた結果, 相当の効果が認められた。診断面では, A・Bの型まで判別可能な迅速診断キットが便利であったが, 安定供給という点で課題を残した。治療面では, A・B両型に有効なザナミビルをネブライザー吸入する方法を導入し, 成果を挙げた印象であった。インフルエンザ脳炎・脳症を強く疑って治療を行なった症例を3例, それに準ずる重症例を2例経験した。これらの症例をはじめとして, インフルエンザ罹患者の多くがワクチン未接種者である。対インフルエンザ戦略としては, 診断・治療面でどんなに進歩があっても, ワクチン接種を中心とする予防面に力を注ぐことが最も重要であると考える。
  • 小林 一久, 塚本 達明, 加藤 淳也, 三澤 綾子, 大高 雅彦, 宮崎 弘二, 花形 悦秀, 守屋 律子, 依田 芳起
    2003 年 51 巻 5 号 p. 751-759
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    〔目的〕 以前から胸部X線や喀疾細胞診による肺癌検診が行われてきたが, それらによる肺癌死亡減少効果は少なく, 肺癌死亡率は増加し続けている。それを減少させるにはどうしたらよいかについて検診などの二次予防面と食生活などの一次予防面について検討した。
    〔方法〕 1.平成10年度から12年度までの3年間の当センターのX線, 喀疾及びCT検診による肺癌発見状況を比較検討した。II.平成7年度から12年度までの6年間に当センターの肺癌検診で発見された79例の肺癌症例と対象群について生活習慣についてアンケート調査を行い, 両群問の違いについて有意差検定を行った。
    〔結果〕 1.人間ドックヘリカルCTによる肺癌発見率は平成10, 11, 12年度がそれぞれ0.29%, 0.24%, 0.19%であった。人間ドック直接X線のそれは0.01%, 0.02%, 0.02%で喀疾検査のそれは3年間とも0%であった。CT発見癌は腺癌が多く (95.8%), 扁平上皮癌は少なかった。性・年齢別ではCTは50歳代女性, 60歳代男性の発見率が高かった。H.生活習慣についてのアンケート調査の結果は, 肺癌群は対象群に比べ, 有意に野菜摂取が少なかったが, 他の質問項目で有意差のあるものはなかった。
    〔結論〕 ヘリカルCTによる肺癌発見率は従来法より格段に高く, しかも発見癌は早期のものが多く, 極めて有望な検査法と考えられる。アンケート調査の結果では, 野菜摂取に有意差が認められ, 野菜を多く食べることが肺癌予防につながることが示唆された。
  • 百瀬 義人, 畝 博
    2003 年 51 巻 5 号 p. 760-769
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    2000年度の健康診査データから, 中高年健康者 (40~65歳の男女計818名) のレプチンについて, 性差, 並びにBMI (body mass index: kg/m2), 喫煙, 余暇時の運動, 及び食行動との関連を横断的に解析した。レプチンは男女差 (男2.9ng/mL, 女5.7ng/mL) を認めたが, 女性の閉経の有無とは関連しなかった。一方でレプチンはBMIと正の関連を男女ともに認め, 男性では喫煙と負の関連を認めたが, 余暇時の運動との関連は明らかにならなかった。食行動では「体質に関する認識」と「満腹感覚」の2項目に有意な正の関連を認めた。男性における低レプチン (<2.6ng/mL) の肥満者 (BMI≧25) では「体質に関する認識」が高く, レプチンの不足が「太りやすい体質という認識」と関連する可能性が示唆された。
    1990年度の健康診査データを加味し, 両年度のデータがそろった328名について10年間の体重増加とレプチンとの関連について後向き解析を行なった。体重増加は男性の52%及び女性の46%に認め, 1年間の平均体重増加量は男性1.0±0.8kg, 女性1.3±0.9kgだった。男性の体重増加群の8割が, 1990年当時は普通体重 (18.5≦BMI<25.0) であり, 彼らの体重増加量とレプチンとの問に有意な正の相関関係 (r=0.281, P=0.002) を認めた。普通体重の男性におけるレプチンの増加は, レプチン抵抗性と二次的な体重増加の重要な指標になる可能性を示唆していると考えられた。
  • 片桐 健二, 脇田 郷, 横井 武, 杉本 東, 田原 裕文, 羽賀 達也, 池内 政弘, 金山 均, 大橋 孝司, 池戸 昌秋
    2003 年 51 巻 5 号 p. 770-785
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    愛知県厚生連9病院の勤務医を対象に, 職場環境と医療情勢に対する意識調査を行い, 469名96%の回答を得た。調査内容はI. 回答者の基本情報, II. JA, 農村医学, 農業について, III. 診療活動, 病院運営, 処遇について, IV. JAと厚生連の高齢者福祉・介護事業について, V.医学と医療制度の動向について, VI. 医療情報システムについて, VII大学医局と卒後臨床研修制度について, VIII. 医師としての将来について, であり, それらの回答結果について厚生連の歴史と現状, 日本の農業と医学医療の動向を参考に分析し, 考察を加えた。なおI~IVを第1編として下記の要旨で前号に報告したが, V~VIIIを第2編として本号で報告する。
    愛知県厚生連の前身となる医療機関は昭和10年代を中心に各地で展開された医療利用組合の結果として設立されており, 三河, 尾張平野における農業で基盤を固めた農協組織により支援を受けて全国有数の規模に発展してきた。しかし, 現在は愛知県においても農業は主要産業の座を明わたし, 世界的規模で進行する農産物の自由化の中で農業とJA組織の再構築を模索しており, 厚生連事業のあり方も再検討される可能性がある。また, 愛知県厚生連では病院の新築移転など大型投資が続いているが, 職員の高齢化に加えて厳しい医療費抑制政策の影響を受け医療収入の伸び悩みにより医師を含めた賃金制度の見直しを検討よぎなくされるなど, 今後の事業環境は厳しさを増す一方である, 基本情報によれば厚生連での勤続年数は5年未満の医師が多く, 母体JAを意識する動機は医療事業に関するものではなく, 農協口座への給与振込みである。わが国の食料自給率の低下に危機を感ずる者は39%,「農業の多面的機能」という言葉を知っているものは19%弱であり, 80%以上の医師が農村医学会に無関心であるなど, 農協や農業に関する意識は高くない。しかし, 厚生連病院での診療に関しては, 施設やスタッフの協力体制は良好であり, 業務遂行がしやすいと考えており, 50%以上の医師が自分の病気治療が必要となった時, 勤務する病院に委ねるとしている。賃金や厚生福祉などの処遇も総体的に良い評価であるが, 新しく導入される人事賃金制度には若干の懸念を有している。県下の厚生連病院同士での診療上の連携は少なく, 医師間の連帯感も薄い。JAの展開する介護保険事業については, 高齢者医療と密接な関係がある事業として協力の必要性を認めている。
    第2編においてもアンケートの質問内容と結果は図に示し, 回答者の基本情報との関係における詳細な分析は必要な部分を本文の中に引用した。
  • 2003 年 51 巻 5 号 p. 786-800
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 51 巻 5 号 p. 801-810
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 51 巻 5 号 p. 811-819
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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