日本農村医学会雑誌
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52 巻 , 2 号
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  • 山根 洋右, 塩飽 邦憲, 杉村 巌, 林 雅人, 丸地 信弘, 明石 秀伸, 北島 桂子, 下野 久美子, 樽井 恵美子
    2003 年 52 巻 2 号 p. 135-164
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    21世紀の健康福祉政策において, 農村における健康なまちづくりは焦眉の課題であり, 健康なまちづくり戦略の樹立とそれを支援する農村医学会の活動が益々重要となっている。40~50年近く続けられている北海道鷹栖町, 秋田県増田町, 長野県松本市, 島根県出雲市の農村実践モデルを中心に現状, 成果, 課題を分析した。また, 健康なまちづくりを支援してきた病院, 大学の協働活動をcommunity-academy collaborationモデルとして評価した。
  • 熊木 昇二, 栗林 秀樹
    2003 年 52 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    われわれは閉経女性にとってスポーッ活動が骨密度 (BMD) の維持や骨折の予防に寄与しているかを明らかにすることを目的に, 対象者を現在スポーツをしている (A群), 若いときスポーツをしていたが現在はしていない (B群), 今までにスポーツはしたことがない (C群) の3群に分け, 腰椎と大腿骨近位部BMD, X線上の圧迫骨折について比較検討した。対象はBMDへ影響を与える要素のない361例とした。合わせて農業従事閉経女性141例に限定した検討も行った。全対象中A群30例, B群111例, C群220例であり, 農業従事閉経女性はA群11例, B群41例, C群89例であった。まず3群問の腰椎と大腿骨近位部BMDをZ値で比較した。全対象において腰椎では有意差を認めなかったが, 大腿骨近位部では転子部BMDにおいてA群とC群間およびB群とC群間でともにC群が有意に低く, totalBMDにおいてもA群とC群問でC群が有意に低かった。これは農業従事閉経女性においても同様の結果であった。次に圧迫骨折を有するものを3群において比較した。全対象ではA群30.0%, B群36.3%, C群47.7%であり, 農業従事閉経女性ではA群36.4%, B群29.3%, C群52.8%であった。閉経女性にとってスポーツ活動が骨密度の維持や圧迫骨折などの骨折の予防に寄与している可能性が示唆された。農業従事閉経女性においても, その目的のために農作業とは別にスポーツ活動を行うべきである。
  • 塩飽 邦憲, 乃木 章子, アヌーラド エルデムビレグ, 北島 桂子, 下野 久美子, 山根 洋右
    2003 年 52 巻 2 号 p. 172-183
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村地域で肥満が増加しつつあり, 重要な健康課題となっている。我々は, 健康・生活診断に基づき, 参加者が自らの健康リスクや生活習慣の特徴を認知し, 行動変容の課題と行動目標を明確にし, 健康学習によって生活習慣変容のための技術を獲得し, 集団特性を活用して社会支援能力を強化する3か月間の肥満改善プログラムを開発した。本プログラムは, 3か月間で3kgの体重減少および血液生化学検査値の10%改善を目標としている。プログラム参加者について, 肥満度と健康指標との関連を検討するとともに, 生活習慣と健康状態の両面からプログラム評価を行った。対象は, 島根県出雲市および佐田町在住で, 肥満改善に関心を持って自発的にこのプログラムに参加した35~70歳の住民である。対象人数は, 2000年47人, 2001年42人, 2001年51人の計140人 (BMI24.8±3.0kg/m2) であった。プログラムからの離脱者は, 2001年3人と2002年1人で, 離脱率は2.9%(4/140) であった。2000年には, 全員に10%の摂取熱量減少と1日7,000歩以上の歩行量を推奨したが, 2001年からは生活習慣調査に基づいて過食や身体活動不足を改善するための個別的な目標設定を行った。体格と生活習慣のセルフ・モニタリングのために, 週1回の体重測定と記録, 毎日の歩行量測定を実施した。2002年には, 参加者は, これらに加えて各自の設定した行動目標の達成度を記録した。健康学習は, 2000年は講義形式であったが, 2001年からはグループワークを取り入れ, 参加者の創意工夫を共有した。また, 2002年には劇などを取り入れて, 人間関係の自己評価や支援環境づくりの方法を学習した。プログラム改良によって, 体重変化は, 2000年0.1kg増, 2001年1.0kg減, 2002年1.8kg減と年々改善した。また, 減量とともに, ウエスト囲, ヒップ囲, ウエストヒップ比, 皮脂厚が減少した。血液生化学的検査値では, 2000年にはHDL, コレステロールを除いて改善を認めなかったが, 2001年と2002年には血圧やLDLコレステロールの有意な減少を認めた。健康学習と自己決定に基づく肥満改善プログラムは, 有用性と適応性が高いことが明らかになった。
  • 倉持 元
    2003 年 52 巻 2 号 p. 184-189
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近位尿細管における濾過されたHCO3-の再吸収は, 尿細管内流量に依存していることは知られている. さらに動物実験から利尿時, 集合管尿ではpCO2値を変えずに, HCO3-濃度を低下させることによってpHが低下することが報告されている. そこで今回, ヒトにおいて水利尿状態下における尿の酸性化の変化を検討した. 水分摂取により利尿をおこし尿中pH, pCO2値, HCO3-濃度を測定した. 水分摂取後120分で尿中pH値は約0.5低下した. 同時に尿中HCO3-濃度は低下したが, pCO2値には変化は認められなかった. これらのことから, ヒトにおいても水利尿は, 尿中pCO2値を変えずにHCO3-濃度を低下させることによって, 尿の酸性化を促進することが確認された. またこの現象は, 水利尿時に血液中のHCO3-の過剰な喪失を防ぐ反応と考えられた.
  • 土屋 十次, 浅野 雅嘉, 立花 進, 川越 肇, 熊澤 伊和生, 名和 正人, 右納 隆, 橋本 英久
    2003 年 52 巻 2 号 p. 190-197
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    15年間における手動超音波併用乳癌検診 (以下, US併用検診) で検出した乳癌症例82例について受診時年齢を50歳未満と50歳以上に分けて集検精度, 診断能, 有自覚症状率を比較した. 結果, 50歳未満では50歳以上に比して要精検率, 有自覚症状率が有意に高く陽性予知度が有意に低いものの, 乳癌発見率, 感度, 特異度はほぼ同率であり50歳以上と同様に有用なUS併用検診が可能である事が判明した.
    組織型の検討では50歳未満の非浸潤癌症例比率が50歳以上に比して有意に多いことが判明した. US併用検診では若年受診群において浸潤癌化する以前に乳癌を早期発見することができることを示唆している.
    15年間を5年毎の3期に分け腫瘤径を検討したところ, このUS併用検診の経年的腫瘤径縮小効果が示唆された. 即ち, 微小腫瘤径乳癌が多くなった結果, 非触知乳癌症例が集検例の26.6%を占めるうえにその72.3%が浸潤癌症例であったことが判明した. これを更に年齢別に見ると, 50歳未満の群ではその乳腺の硬さから50歳以上の群に比して非触知乳癌症例比率が多くなって30.2%を占め, その69.2%が浸潤癌症例であった. 視触診検診のみの検診ではこれらは見落とし例となり, 増加しつつある50歳代の乳癌死 亡率を更に増悪させることになるので, これを抑制するために50歳未満の若年受診群に対して安全で有効なUS併用検診を早急に導入することを提言する.
  • 桂 敏樹, 高橋 みや子, 右田 周平
    2003 年 52 巻 2 号 p. 198-204
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医療機関に退院計画のシステムづくりを行うために, 退院調整専門職がいない全国の医療機関を無作為抽出し調査を行なった. 調査内容は退院調整専門職の必要性, 期待される役割, 設置の可能性などである.
    調査結果は以下の通りである.
    68.9%の医療機関は「退院調整専門職が必要である」と回二答した. 専門職にふさわしい職種は「ソーシャルワーカー」と「看護職」であった. 専門職が備えているべき特性は「社会資源, 福祉, 行政に関する知識と経験」,「介護支援専門員」,「医療・看護の知識と経験」,「退院調整能力」であった.
    業務内容は「地域や社会資源との連絡・調整」,「院内スタッフとの連絡・調整」,「退院調整」であった.
    39.5%の医療機関は「退院調整のシステム化が現実的に可能である」と回答し, 人材等の条件が整えば実現できる可能性が示唆された.
  • 佐藤 和歌子, 相田 芳夫, 福島 幸司, 白井 正弘, 杉谷 雅人, 工藤 治, 佐伯 光明
    2003 年 52 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    [背景] 今回われわれは, きわめて稀な傍鞍部, ならびに膀胱に発生した2例の傍神経節腫を経験したのでその捺印細胞像を中心に報告する.
    [症例] 症例1は59歳, 男性. 頭部CTおよびMRI検査でトルコ鞍隔膜部から前頭蓋底部にかけて存在する腫瘤を認めた. 症例2は39歳, 男性. 超音波検査, 骨盤部CTならびにMRI検査で膀胱左尿管口後部に腫瘍を認めた. 腫瘍摘出時の捺印細胞診では, いずれの症例においても, きれいな背景に弱い結合性を示す腫瘍細胞がシート状ないし散在性に出現し, 細胞質は広くライトグリーンに淡染していた. 細胞境界は不明瞭で, 核は円形-類円形を示した. 組織学的に腫瘍は多角形細胞の胞巣状ないし島状配列からなり, 免疫組織化学的ならびに電顕的検索において, 腫瘍細胞内に神経内分泌顆粒の存在を認めた.
    [まとめ] 傍鞍部ならびに膀胱における傍神経節腫の発生はまれではあるが, 本腫瘍の存在も念頭において日常診療を行う必要があると思われる.
  • 福島 哲仁, 守山 正樹
    2003 年 52 巻 2 号 p. 209-216
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    日本の食生活などの生活習慣と健康との関わりを明らかにする目的で, 日本へUターン移住した日系ブラジル人21人を対象に健康状態の変化を調査し, 移住者から見た日本の生活習慣から, その関連を分析した. 日本の生活環境に適応できた者は2人に過ぎず, 10人が十分適応できず, 9人は不適応の状態であった. 適応できない理由として, 読み書きができない, 対人関係, 仕事環境などが挙げられた. 現在の悩みや不安では, 将来16人, 人間関係12人, 日本語9人, 仕事8人, 子供の教育6人などが上位を占め, 海外からの移住者に対して地域社会の受け入れに問題のあるケースが多いことがわかった. 一方, 来日後の食物摂取量の変化では, 塩分, 肉, 果実摂取量が減少し, 魚の摂取量が増加した者が多かった. 日本とブラジルの食生活に共通するもので, サラダや米食は, 健康によいと感じている反面, コーヒーは悪いと感じている者が多かった. 相違点では, 日本の食習慣で, 魚介類を多く食べることは健康によいと感じているが, 果物と豆料理が少ない点は悪いと感じている者が多かった. 現在の健康状態は, 何らかの問題を抱えている者が半数以上であった. 体重の変化と食生活の変化との関連を見ると, 砂糖の摂取量増加と体重増加との間に関連が認められた. 日本の生活習慣が健康に与える影響について, ブラジルと日本の食習慣などの共通点と相違点を元に, 引き続き追跡していく必要がある.
  • 2003 年 52 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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