日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
52 巻 , 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
綜説
  • 賀来 満夫, 國島 広之, 金光 敬二
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 805-811
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    SARSはいまだ迅速診断法や治療法, ワクチンによる予防法などが確立していないため, 疫学的特徴を確実に理解把握した上で, 感染予防対策を確実に実施していく必要がある。
    SARSの感染伝播経路は飛沫もしくは接触であり, リスク要因としては, 2m以内の直接対面接触, 世帯内接触, 換気が悪い閉鎖空間, 汚物などの汚染物質・体液などとの接触, などが挙げられる。SARSの臨床症状としては, インフルエンザと同様に発熱や悪寒, 倦怠感, 筋肉痛, 戦慄, 悪心, 頭痛などの諸症状がみられるが, インフルエンザと比較して, 呼吸困難, 下痢が多く, 咽頭痛, 鼻汁が少ない傾向がある。また, SARSは症状とその伝播性には相関が認められており, 感染後2∼10日間の無症状な潜伏期は, 感染力がほとんどないと報告されているが, 発熱・咳嗽などに加えさらに呼吸困難 (息苦しさ) などの症状を呈した下気道症状期には感染性が高いと考えられている。
    SARSの感染防止対策の要点としては, トリアージと交差感染の防止が挙げられる。
    SARSが疑われる患者を, 他の患者との接触を最小限として優先的に診療するトリアージを確実に行うこと, アルコール製剤の使用などを踏まえた標準予防策の遵守, さらにマスクの着用などによる伝播経路の遮断に努めることで感染伝播を防止することは可能となる。
原著
  • 山瀬 裕彦
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 812-816
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    壮年期の健康対策として厚生省は老人保健法いわゆる老健法を制定, 昭和58年より第1次, 昭和63年より第2次5か年計画, そして平成4年から第3次8か年計画をたてた。大腸ガンについては対前年比の伸び率をゼロにすることを目標として, 第3次計画に大腸ガン検診を初めて導入, 受診率を徐々に上げて最終年度の平成11年度の受診率30%を目標とした。今後の検診活動を更に発展させる材料とするために, 岐阜県における第3次8か年計画に基づく大腸ガン検診の成績の推移を全国平均と比較し現状を分析した。岐阜県の大腸ガン死亡率が, 男性は全国平均並であるが女性は常に全国平均を上回り, 47都道府県中ワースト1であることも本研究を志すキッカケとなった。
    平成11年度の受診者総数は, 平成4年度に比し約2倍に増加したがそれでも受診率は14.8%と目標の半分, 全国平均の15.3%を下回った。岐阜県全体でのガン発見率, 早期ガン率は全国平均と大差なく, 精度管理上大きな問題はないが, 岐阜県内の検便を委託された検査機関別の精度には若干のばらつきが見られた。大腸ガンによる死亡率を低下させるためには, 精検受診率を向上させねばならないが, 最も重要なことは検診受診率を上げることで, そのためには厚生労働省が有効と認めた検診に限り健康保険適応とすべきであることを主張したい。
  • 林 達彦, 浅見 冬樹, 畠山 悟, 村山 裕一, 清水 春夫
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 817-822
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    〔目的〕 一般外科病棟での胃癌切除後終末期症例における鎮痛, 鎮静の現状と緩和ケアの問題点を検討した。
    〔対象と方法〕 胃癌切除後終末期として入院し, 死亡退院された59例を対象に, 緩和療法の鎮痛剤の種類, 投与方法, 投与量, また鎮静の施行の有無とその理由や内容について検討した。
    〔結果〕 非治癒因子あるいは再発因子確認から入院までの外来治療期間は0∼682日 (平均 ; 195.3日), 入院期間は1∼117日 (平均 ; 32.1日) であった。全例に非ステロイド性抗炎症薬が使用されていた。モルヒネ製剤使用は50例 (84.7%) であった。全例にほぼ十分な鎮痛効果が認められ, 重篤な副作用は認めなかった。33例 (55.9%) の症例で鎮静を行ったが, 28例が高度の全身倦怠感, 17例が不穏状態のためであった。
    〔結語〕 非ステロイド性抗炎症薬とモルヒネ製剤にて安全で, 十分な鎮痛が得られると考えられた。しかし, 約半数の症例で鎮静が必要であった。
  • 水野 樹, 松木 美知子, 合田 吉徳, 谷本 光音, 花岡 一雄
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 823-830
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    上部消化管内視鏡検査におけるミダゾラム静注による鎮静後のフルマゼニル静注による拮抗法の有用性について検討した。成人25症例を対象に, ミダゾラム5mgを静注3分後に内視鏡検査を施行し, 内視鏡抜去5分後にフルマゼニル0.25mgを静注した。血圧, 心拍数, 経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2) を, ミダゾラム静注1分前, ミダゾラム静注2分後, 内視鏡挿入1, 3, 5分後, 内視鏡抜去1, 3分後, フルマゼニル静注1分後, 覚醒時の9点で測定記録し比較した。覚醒15分後に内視鏡検査中の記憶の有無と程度を問診し, 苦痛度を視覚的評価尺度 (Visual Analogue Scale : VAS) で評価した。収縮期血圧は, ミダゾラム静注2分後にミダゾラム静注1分前と比較し有意に低下した。内視鏡挿入1分後に増加したが, 以後徐々に低下した。フルマゼニル静注1分後と覚醒時に増加傾向を示したが, ミダゾラム静注1分前と比較し有意に低値であった。心拍数は, 内視鏡挿入1分後に最高値に達し, 以後徐々に減少し, フルマゼニル静注1分後と覚醒時に内視鏡挿入1分後と比較し有意に低値であった。SpO2は, ミダゾラム静注1分前の97.6±1.6%から, ミダゾラム静注2分後には95.7±2.5%と有意に低下し, 以後95%台で推移した。覚醒時には96.6±2.0%と回復した。2症例に内視鏡検査中の記憶を一部認め, 残りの23症例は全く記憶がなかった。記憶を一部認めた2症例のうち1症例がVAS20mm, 別の1症例がVAS 0 mmであった。本鎮静法は, 内視鏡検査操作に伴う循環変動を抑え, 順行性健忘と除痛が得られ有効であるが, 呼吸抑制の可能性があり経時的観察を要する。
報告
  • 高橋 博之
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 831-836
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    1997年より2001年までの5年間に当科で経験した悪性黒色腫14例の臨床的特徴や予後につき検討した。病期の確定できない1例を除き, 早期例5例は全例生存しているものの, 進行期の8例中6例は当科初診1年以内に死亡した。臨床的特徴として, 初発が原発部位だった症例は9例であり, 一方転移から発見された症例は5例であった。又, 病理組織学的には本邦で発生の多い末端黒子型 (acral lentiginous melanoma) は14例中7例 (50%) であった。患者の病識としては, 原発病変を認識していながら自覚症状を欠くために治療を受けず放置していた症例が少なからず見受けられた。一般に悪性黒色腫は進行が早く, 化学療法の奏功率が低いため予後不良の場合が多い。そのため早期発見, 早期外科治療を確立するためには, 一般社会への啓蒙, 医療従事者への同疾患の認識の向上ならびに医師間の連携が不可欠と考えられた。
  • 倉持 元, 矢嶋 晃仁
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 837-842
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    近年, 医学的知見および透析技術の進歩による透析患者の長期生存に伴い心血管系合併症が増加し, 現在透析患者における罹患率および死亡率の主要な原因となっている。この心血管系合併症には動脈硬化の進展が深く関与していると言われている。そこで今回, 血液透析患者においてみられた心電図異常と動脈硬化の進展度との関係および動脈硬化の臨床的促進因子との関連性について検討した。PWV実測値は心電図異常が認められた虚血性変化(I)群 (1,993±99cm/s), 左室肥大(L)群 (2,103±120cm/s), 不整脈(A)群 (2,015±120cm/s), 伝導障害(C)群 (2,014±119cm/s) では, 正常(N)群 (1,627±69cm/s)に比べて有意に高値であり, 拡張期血圧にて補正した値でも各群ともN群に比べて有意に高値であった。また血清CRP値は各群ともN群に比べて高値をとる傾向が認められた。臨床的に動脈硬化の促進因子といわれている糖尿病, 高血圧症, 高脂血症, 喫煙および胸腹部大動脈石灰化の合併頻度においては, 糖尿病および高血圧症の合併頻度は各群ともN群に比べて高い傾向が認められ, 特に高血圧症の合併頻度ではI群 (66.7%), L群 (50.0%) およびC群 (55.6%) ではN群 (16.7%) に比べて有意に高値であった。これらの結果から, 維持血液透析患者における心電図変化は動脈硬化性病変の進展と関連しており, 動脈硬化性病変の促進因子のうちで特に高血圧症は, 心電図変化に強く影響を及ぼしていることが示唆された。
看護研究報告
  • 栗田 由美子, 山中 正子, 佐藤 孝子, 皆川 美和子, 高階 英子, 佐藤 英子, 伊藤 みゆき, 菅 レイ子
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 843-848
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    〔目的・方法〕 現在, 医療もサービスの時代といわれ, 上限のないサービスが求められている。当院でも職員教育など努力していても, 患者が不満を抱えたまま退院している事は投書などから伺える。そこで, 退院時に患者の想いをくみとる癒しの場を作ることができれば, 患者は気持ちよく退院を迎えられるのではないかと考え, 平成12年より退院時面接を導入した。そして, 導入後2年間の面接の実施状況を把握するために, (1) 面接の実施率の調査, (2) 看護師へのアンケート調査を施行した。また面接の効果を, (1) 患者・看護師へのアンケート調査, (2) 面接時の生の声から分析した。
    〔結果〕 実施状況として, 面接は患者の約60%に行われており, ほぼマニュアル通りに実施されていた。また, 実施を重ねるごとに看護師の理解度も深まっていた。
    面接の効果として, 患者からは「看護師と話すことで穏やかな気持ちになった。」89%, 「入院中のつらさを解ってもらった。」94%と回答があった。「退院時面接を続けたほうがよい。」も94%であった。看護師からは, 「患者の生の声を聞くことで, サービス向上につながった。」「自分を省みる機会になった。」などの回答が多くあった。面接は患者理解の効果があるとともに, 看護の振り返りの場になっている。また, 「患者の言葉が励みと意欲につながった。」という志気高揚の効果も得られた。そして, 患者・看護師の相互に癒しの場面が展開していた。
短報
  • 吉村 淳一, 川上 愛, 石塚 悦子, 川崎 昭一
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 52 巻 5 号 p. 849-851
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/29
    ジャーナル フリー
    これまでの頭皮裂創処置では, 縫合後抜糸までガーゼで創を保護し洗髪は制限されていたため, 頭皮のかゆみや髪のべたつきなどの不快感, テープをはがす時の痛みの訴えが日常的に聞かれていた。そこで創部を開放し, 早期洗髪を行ってもらう方法につき検討した。頭皮裂創患者40例を対象に, 縫合後2日前後の早期に創を開放し, 洗髪を行ってもらい, 合併症の有無をチェックし処置についての感想について聞き取り調査を行った。その結果感染や癒合不全はなく, 大多数例に好感がもたれ, より快適な創傷処置法の一つの選択肢として有用であると考えられた。
地方会
feedback
Top