日本農村医学会雑誌
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54 巻, 4 号
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論説
  • ──コーデックス規格とグローバリゼーション──
    鬼武 一夫
    2005 年 54 巻 4 号 p. 625-639
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
      In Japan the consumers' trust in the food safety administration and social system was crumbled miserably. What with the occurrence of BSE cases and the revelation of a series of coverup scandals, what a food labelling system ought to be also emerged as an important issue. In April 2002, the investigation and examination commission on BSE issues came up with a report in which it proposed that the “priority of consumers' health protection over everything else” and the “adoption of risk analysis” should be the basic principles of the food safety administration.
      The report also suggested setting up independent administrative organisation to conduct the “risk assessment” and “risk communication” (Cabinet Office/the Food Safety Commission), establishing a comprehensive legal system for food safety (a Food Safety Basic Law), and amending the Food Sanitation Law and other related regulations. Meanwhile, JCCU, joining forces with its member cooperatives across the nation, gathered 13,730,000 signatures to file a petition with the government for revision of the Food Sanitation Law, worked on local governments to beef up food safety measures, appealed to all political parties and groups, and approached local assemblies about adopting our petition for food safety. These efforts bore fruit by and large.
      The central government, in response to the above-mentioned activities, put bills concerning the reform of the administrative organisation and enactment of new laws. Deliberation was carried out as speedily as ever. To assure food safety, as from July 2003, new administrative organisation came into being with new laws put into operation.
原著
  • 湊 志仁, 望月 菜穂子, 小渋 啓治, 服部 光治, 椎貝 達夫
    2005 年 54 巻 4 号 p. 640-643
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
     RIBAテストIII; NS5抗体の有無を,ALT正常,HCVセロタイプI型のRNA陽性者31例について測定し,平均3年間追跡検討した。その結果,NS5抗体(-)は22例,NS5抗体(4+)が9例で,これは対照とした40IU/l<ALT<100IU/lC型非活動性慢性肝炎25例のNS5抗体(-)3例,NS5抗体(4+)22例の結果とχ2検定で有意の差があった。累積ALT正常値維持率について,NS5抗体(-)であった22例と,NS5(4+)であった9例を,Kaplan-Meier法で検討すると,Log-rank検定で,NS5抗体(-)群が有意に高率であった。従ってRIBAテストIII; NS5抗体陰性無症候性HCVキャリアの臨床的マーカーになり得ると考えられた。
  • 山田 泰司, 松本 和久, 吉田 修, 吉川 道世, 鈴木 隆, 木村 栄司, 前田 淳一, 近藤 規央, 藤永 明
    2005 年 54 巻 4 号 p. 644-649
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
     注腸X線検査におけるバリウム付着不良例の減少と更なる画質の向上を目的に,現行バリウムとほぼ同等の粘度でより高濃度化にした製剤を調合して,その有効性を画像評価から現行バリウムと対比することにより検討した。その結果,高濃度化製剤のグループは前処置の良否に関わらず,バリウム付着は有意に深部結腸で向上し,乾き評価では乾きにくい傾向を示した。以上の結果から,粘性を維持したままでの高濃度化は,濃度が上昇したことによる希釈化の低減,添加剤の相互作用等の影響により画質の向上がみられたため,有用であると考えられた。
報告
  • ――愛知県厚生連薬剤師会としての取り組み――
    原田 正弥, 杉浦 洋二
    2005 年 54 巻 4 号 p. 650-654
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
     組織的に情報を共有化し,院内感染対策を検証することは現状の対策の妥当性を評価し,問題点を解決していくプロセスには有用であると考える。そのため,愛知県厚生連薬剤師会は院内感染対策の専門部会を2002年に発足した。そして,2002年から2003年にかけて,各病院の院内感染対策や消毒薬,抗菌薬の適正使用に関する状況調査を実施した。そこで得られた情報を基に各病院の課題を再認識し,年度における行動目標を掲げ実践した。その結果,各病院が目標課題に対して一つ以上を達成するとともに,今後の継続課題も浮かび上がった。このことは愛知県厚生連という組織を有効活用し,薬剤師会として活動することで得られた結果であると考える。
  • 久我 貴之, 重田 匡利, 須藤 学拓, 山下 晃正, 中山 富太, 藤井 康宏
    2005 年 54 巻 4 号 p. 655-660
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
     乳癌化学療法施行患者と未施行患者とを比較しその総合的健康状態を把握することを目的としQOL評価を行なった。2004年6月から8月に当科で乳癌化学療法施行(以下化療群)および外来経過観察(非化療群)の患者16名にアンケート方式で調査した。調査票はFunctional Assessment of Cancer Therapy Scale General(FACT-G)を改良したものでMann-Whitney検定を行なった。化療群は8名,非化療群は8名であった。化学療法の内訳はエピルビシン+シクロフォスファミド(EC)療法6名,ドキソルビシン+ドセタキセル(AT)療法1名,シクロフォスファミド+メトトレキセート+フルオロウラシル(CMF)療法1名であった。身体症状および精神的状態では,化療群が有意に悩んでいた(p<0.05)。社会的および家族との関係では両群間に差はなかった。活動状況では非化療群が有意に活動的であった(p<0.05)。特に治療の副作用,自分を病気と感じること,死ぬことや病気の悪化の心配などにおいて化療群は有意に敏感であった(p<0.05)。非化療群では有意に生活を楽しみ良好なQOLを得ていた(p<0.05)。
     乳癌化学療法施行において,一過性であっても身体症状および精神的状態のQOLが不良であった。今後はこうした点でのサポートも重要であると考えられた。
  • 丹羽 政美, 平松 達, 仲田 文昭, 濱屋 千佳, 小野木 啓人, 齋藤 公志郎
    2005 年 54 巻 4 号 p. 661-666
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
     本研究ではヒトのストレス緩和に果たす咀嚼刺激の機能的有意性をfMRIを用いて検討した。先ず不快な音刺激(ストレス音)を与えた時の脳賦活部位を同定し,次いでこの賦活が咀嚼運動(チューイング)によってどのように影響されるか調べた。またストレス関連物質であるカテコールアミンとACTHの血中濃度を分析した。チューイングは適度な硬度を有するガムベース(Xタイプ,ロッテ)を使用して行なった。その結果,ストレス音刺激によって扁桃体と前頭連合野腹側部が有意に賦活された。またカテコールアミンとACTHの血中濃度の僅かな上昇が認められた。しかし脳と血中に見られたこれらのストレス応答はチューイングにより抑制された。したがって,咀嚼刺激はストレス軽減ためのツールになることが示唆された。
看護研究報告
  • 赤塩 恵子, 宮下 みどり, 林 恵子, 田村 克彦, 長澤 正樹
    2005 年 54 巻 4 号 p. 667-671
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
     連続的携行式腹膜透析(以下PD)は自己管理を主体とした在宅の透析療法である。今回バッグ交換困難な手指変形を有する59歳女性の関節リウマチ患者に対して,SMAP法を用いたPD導入を行ない自己管理可能となった事例を経験した。事例は著明な手指関節変形を有する末期腎不全患者でUV-Fツインバッグシステムを用いた自己管理によるPDを希望した。バッグ交換は1日4回行ない1回のバッグ交換には数種類のクランプ操作を必要とするが,手指関節変形により通常のバッグ交換操作は不可能であった。既存のデバイスの活用と新たなデバイスを作製することにより自己管理によるバッグ交換が可能となった。SMAP法はPD開始までに時間的猶予があるため自己管理方法の検討と操作習得の練習期間の確保が可能であり,手指関節変形を有する関節リウマチ患者に対してSMAP法でのPD導入は有用であった。
  • 中元 美恵, 佐伯 昌美, 藤本 七津美, 石田 和史
    2005 年 54 巻 4 号 p. 672-675
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/19
    ジャーナル フリー
     糖尿病患者は,糖尿病合併症の発症を防ぎ進展を抑制するために,生涯に渡り自己管理を実行していかなければならない。しかし,治療は毎日の生活そのもので,糖尿病の状態によっては,同じ患者でも短期間で治療法が変わることもある。医師は治療法の説明を十分に行なったつもりでも,患者は不十分な理解のまま治療法の変更を受け入れ,わからないことを上手く医師に伝えられずに毎日を過ごし,コントロールが悪いことで落ち込んだり,投げやりになることがあるのではないだろうか。また長年の闘病に疲れ,誰かに話を聞いてもらい相談したくなることもあるだろう。糖尿病に関わる看護師は患者のことを理解し,どのような援助方法を提供したらよいのか,またその後の患者の反応や本当に患者に適した内容であったかを考え,患者との話し合いができるようにしなければならない。そのためにいつでも相談できる場所を確保すべきであると考える。
地方会
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