日本農村医学会雑誌
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55 巻 , 1 号
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原著
  • 小貫 琢哉, 井口 けさ人, 稲垣 雅春, 鈴木 恵子, エーカポット パンナチェート, 芝田 勝敏
    2006 年 55 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/11
    ジャーナル フリー
     胸腺上皮性腫瘍は稀だが胸部外科医なら必ず遭遇する疾患である。大半は胸腺腫と胸腺癌であり臨床病期分類の正岡分類をもとに治療が行なわれる。1999年にWorld Health Organization (WHO) から病理組織分類 (WHO分類) が発表され,その有用性に関して国内外で検討された。その結果,2004年に改訂され,正岡分類と同様に重要な予後因子であるというコンセンサスが得られた。我々は1991年から2005年に当院で治療した胸腺腫21例,胸腺癌4例を集計し,WHO分類に再分類した。胸腺腫は正岡分類では,I期4例,II期11例,III期6例,WHO分類別でType B1・7例,B2・8例,B3・4例,分類不能2例だった。胸腺腫2例に重症筋無力症を認めた。胸腺癌は全4例で正岡II期とIII期が1例,IVb期が2例だった。腫瘍死は胸腺腫にはなく,胸腺癌に1例認めた。胸腺腫・胸腺癌とも治療の中心は手術だった。症例数が少なく,胸腺腫に関してWHO分類の有用性を統計学的に示すことはできなかった。しかし,正岡III期胸腺腫の大半がWHO Type B2・B3であった事より,この群における局所浸潤能の高さが示唆された。胸腺癌は4例中3例が正岡III期とIVb期で,胸腺腫よりも悪性度は高かった。胸腺腫と胸腺癌は悪性腫瘍であり,胸腺全摘術が標準治療であるが,進行例には放射線治療や化学療法も必要である。WHO分類も治療方針決定に際し重要であり,診療上は正岡分類とWHO分類を併用していく必要がある。
報告
  • 田實 直也, 横井 武, 武井 貴裕, 山田 浩昭, 秀野 功典, 片山 訓道, 濱田 国義, 山本 芳和
    2006 年 55 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/11
    ジャーナル フリー
     安城更生病院は愛知県の中央部に位置する692床の比較的規模の大きい病院である。平成14年4月の新築移転と同時に,当時,全国的に稀な電子カルテシステムの導入に踏み切った。今回のシステム導入により,それまではオーダリングシステムさえ持たなかった紙カルテによる病院の運用は劇的に変化した。これは医事課における業務にも同様で,様々な効果をもたらした。今回は,電子カルテシステムの導入が,医事業務にもたらした変化と有用性について報告を行なう。また,今回導入した医事システムの特徴としては,(1)データ抽出機能 (Data Ware House),(2)債権管理システム,(3)レセプトイメージ機能などが挙げられるが,その点についても報告するとともに,今回はこれらの機能による多くの有用な効果のうち,特に,(1)診療基礎データ,(2)人員配置や人件費の変化,(3)業務精度向上効果,(4)患者サービス効果,(5)倉庫削減効果,(6)用紙削減効果,(7)職員アンケートという視点により考察を加える。
症例報告
  • 伊藤 一寿, 小林 英之, 長谷川 聡, 吉田 研, 中川 理, 岩渕 洋, 阿部 実, 国定 薫, 上村 旭
    2006 年 55 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/11
    ジャーナル フリー
     症例は55歳,男性。平成15年7月7日頭痛,発熱,湿性咳のため近医を受診したが改善なく,7月11日胸部レントゲンで異常影が認められたため,同日当科を紹介され入院となった。一般市中肺炎を考え治療を開始したが,重篤な低酸素血症の出現と胸部X線の急速な異常影の両側への拡大が出現し,急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) と考えた。原因疾患を尿中抗原や血清抗体によりレジオネラ肺炎と診断できた。急性腎不全,ショックも合併したが人工呼吸管理を11日間で離脱でき,9月9日退院となった。本症例のようにARDS,急性腎不全,ショックをきたしたレジオネラ肺炎の死亡率は高く50~80%と報告されているが,この様な病態に好中球エラスターゼ阻害薬やステロイドの投与が有効であったと考えられた。
  • 安田 ゆかり, 大津 佳子, 柴田 雅子, 佐藤 真由美, 平山 薫, 羽持 律子
    2006 年 55 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/11
    ジャーナル フリー
     発病を機に看護師を退職した患者は,死の言動,家族の希望の優先や元医療者として良い患者を演じるという言動が多く,社会的苦痛が強いために自分の思いを表出できていないと考えていた。しかし患者から手渡された愛用のナースピンをきっかけに,患者の言動がスピリチュアルペインを表出していると考えるようになった。そこで,患者の言動の意味を村田の終末期患者のスピリチュアルペインの3つの構造「時間存在」「関係存在」「自律存在」を通し,考察することで,患者が抱えていたスピリチュアルペインの構造を知ることとした。患者が家族の思いにこたえる,医療者と良好な関係を保つという社会的苦痛と捉えていた言動は,孤独になる不安や恐怖の回避,つまり「関係存在」のスピリチュアルペインであり,また愛用のナースピンを手渡すという行動はこれからも看護師であり続けたいという「時間存在」のスピリチュアルペインが多く混在していることがわかった。
  • 岡野 学, 増栄 成泰, 横井 繁明, 河田 幸道, 久保田 全哉, 西脇 伸二, 斉藤 公志郎, 亀井 靖, 丹羽 政美
    2006 年 55 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/11
    ジャーナル フリー
     保存的に加療した黄色肉芽腫性腎盂腎炎の2例を経験したので報告する。症例1は31歳の女性で糖尿病にて内科通院中に血尿を認め当科へ紹介された。各種画像検査では左腎上極に腫瘤を認めたが,膿尿,血沈の亢進,高γ-グロブリン血症,CRPの上昇などがあり生検を行なったところ黄色肉芽腫性腎盂腎炎と診断された。このため抗生剤の投与を継続し腫瘤の縮小を認めた。症例2は回腸導管のある86歳の男性で右背部痛および同部の手拳大の腫瘤にて紹介された。画像検査では右腎は巨大水腎症を呈し,その背側から皮下に達する腫瘤を認めた。血液検査では血沈の亢進,高γ-グロブリン血症,CRPの上昇がみられ,生検では黄色肉芽腫性腎盂腎炎と診断された。このため抗生剤を投与したところ背部の腫瘤は消失した。
看護研究報告
  • 木坂 恭子, 上野 智美, 芦田 真由美, 石川 佳代子, 小川 千鶴, 奥本 真史, 片山 博恵, 金永 千恵子, 向井 恵子
    2006 年 55 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/11
    ジャーナル フリー
     近年,早期母子接触の有効性が見直される中,母と子の双方に対する効果を期待し,出生直後の正常新生児にカンガルーケアを導入している。そこで,カンガルーケアが母親にどんな良い影響を与えるのかをあきらかにするためにこの研究に取り組んだ。
     当院で分娩した母親への郵送アンケート調査や今回の出産で初めてカンガルーケアを行なった経産婦の感想を述べてもらった。その結果より,産んだ実感や感動は,より大きく,しかもカンガルーケアを始めてからは,分娩後早い時期から,また長い時間わが子とともにいたいと希望する母親が増えている。親子の相互作用により,安心感や信頼感が確立されると考えられる。今回の研究から,出生直後のカンガルーケアは母親の感情・行動に良い結果を与えることが分かった。
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