日本農村医学会雑誌
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55 巻 , 4 号
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原著
  • 森山 美昭, 漆山 勝, 小林 勲
    2006 年 55 巻 4 号 p. 367-375
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
     高齢化が急速に進む地域医療では,その対策は深刻である。今後,造血器腫瘍患者も高齢化し,かつ,腫瘍別発症頻度の変化も想定され,新たな治療法の開発が必要になると思われる。今回,高齢化が進む新潟県柏崎地区 (柏崎保健所管内) における造血器腫瘍と他の固形癌 (死亡例) の頻度と年齢分布を解析し,地域における造血器腫瘍の実態とその特徴を明らかにすることを目的とした。
     過去10年間,当院で経験した造血器腫瘍: 293例 (AML: 52例,NHL: 112例,MDS: 75例,MM: 40例,その他: 14例) と死亡: 127例を解析の対象とした。一方,柏崎地区における20年間の人口動態,固形癌死亡例の年代別頻度とその推移を調査し,データは全てコンピュータで解析した。
     柏崎地区では,20年間で高齢化率は2倍となり,固形癌死亡例のピークは70代後半 (後期高齢者) へと移行し,かつ,死亡例は1.6倍に増加した。胃癌は減少し,肺癌と大腸・直腸癌が著しく増加し,癌発症頻度の変化も認めた。固形癌と同様,造血器腫瘍も明らかに高齢化し,死亡例は1.7倍に増加し,10年間でNHLとMDSは1.5倍,特に,MMは約3倍に増加したが,急性白血病は増減なく,発症頻度も変化した。更に,造血器腫瘍の発症と死亡ピークは70代後半 (平均:74.6歳) へと移行し,従来の造血幹細胞移植 (ミニ移植を含め) で対応できない症例が実に6割強 (60.6%) に至り,かつ,高齢者の造血器腫瘍の予後は日本の平均寿命である80代健常者の平均余命と比較しても,著しく短く(P<0.001),その対策は急務と思われる。
  • 柏木 慎也, 相沢 充, 黒佐 義郎
    2006 年 55 巻 4 号 p. 376-380
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
     近年,手術創管理に関して,ガーゼドレッシング以外の方法がいろいろ開発されてきている。ダーマボンド®は,シアノアクリレートモノマーが水分を重合開始剤として短期間のうちに重合し,ポリマーとなり,硬化することを利用した合成皮膚表面接着剤である。整形外科領域の手術創に対してダーマボンド®を塗布することにより創管理に良好な結果を得たので報告する。対象は当科にて2001年6月から2002年5月までに行なった20例。方法は閉創の際に皮下縫合した後,創上にダーマボンドを3層で塗布する。結果は全例において創感染,創離開,出血,発赤などは見られなかった。特に副作用は認めなかった。関節可動部に使用しても問題は生じなかった。ダーマボンド®を3層塗布することによって,通常の皮膚縫合の3分の1の強度を得られる。ダーマボンド®が硬化したあとは水分を通さないので新たな細菌感染は生じない。術後早期の入浴も可能である。単価は1本2,300円。これまでに術後出血等の問題は起きていない。最近増加傾向にあるDay Surgeryにおいて十分使用可能と思われる。今後日本の医療体制が治療費の包括医療の方向へと向かって行くと,Day Surgeryが主流となり,それに対しても有効なドレッシングの方法であると思われる。ダーマボンド®の応用例としては外科や婦人科領域における腹腔鏡下手術,甲状腺手術,顔面の手術などがある。ダーマボンド®を使用することにより整形外科領域での手術創管理に対して良好な結果を得たので報告する。
報告
  • 別所 裕二, 鈴木 美絵, 高倉 絵里子, 森 章哉, 松島 由実, 矢納 研二, 村田 哲也, 川上 恵基, 山本 伸仁, 瀬古 義雄, ...
    2006 年 55 巻 4 号 p. 381-387
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
     当院では1999年の感染対策チーム (Infection Control Team: ICT) 設立以来,エビデンスに基づく感染対策活動を行なってきた。主な活動として,感染対策指導,サーベイランスによるモニタリングをはじめ,抗菌薬投与に関する提案や臨床現場からの感染に関するコンサルテーションにも積極的に対応している。ICTはチームメンバーである医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師が各専門分野の特徴を生かした提案を臨床現場に対して行なってきた。具体的には,ICTの窓口である専任担当者を中心とし,対象症例をチームメンバー,症例によっては主治医,その他病院スタッフを交え検討し,チームとしての提案を臨床現場へフィードバックしている。当院ICTは臨床現場への介入を基本的に指示ではなくチームとしての提案を行ない,主治医や病院スタッフとのディスカッションによって治療に反映させるという形態をとっている。ICT活動は,病院スタッフとの信頼関係を保ち,専任担当者を中心とし,チームメンバー各職種の能力を集結させた組織横断的なチーム活動が求められると考える。
  • 須田 啓一, 小島 奈美子, 橋本 泰典
    2006 年 55 巻 4 号 p. 388-392
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
     介護保険施行をはさむ平成11年4月から17年3月までの6年間に老人保健施設かみつがに入所し (短期入所含む),転倒のため病院受診となった利用者は162名あった。主な診断名は,大腿骨骨折31名,脊椎骨折13名,上肢骨折10名,肋骨骨折10名,硬膜下血腫3名などで,受診の結果骨折と診断されたのは全体の48%で,骨折の40%を大腿骨骨折が占めた。病院受診数,入院数の年次推移をみると,介護保険施行後の平成12年,13年と増加したが,14年以降横ばいとなり,16年には減少に転じた。この間,(1)個別的ケア,(2)生活空間の小規模化,(3)入所後1週間のチャートによる行動分析に取り組み,こうした対策が功を奏したと思われた。受傷部位の年次推移をみると,下肢の受傷は減少傾向にあるが,脊椎,肋骨,骨盤などの躯幹部の受傷が増加している。下肢の受傷はADL (Activity of daily life) のよい利用者に多く,躯幹部の受傷はADLの低い利用者に多い。先の3つの対策はADLのよい利用者への対策としては有効だったが,ADLの低い利用者への対策としては不十分であった。ADLの低い利用者への新たな対策が今後の課題である。
  • 中山 大輔, 三浦 利子, 菊池 みずほ, 杉田 淳平, 小林 栄子, 西垣 良夫, 井出 久治, 杉山 章子
    2006 年 55 巻 4 号 p. 393-401
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
     戦後,急速に進んだ人口の高齢化によって,日本は世界有数の長寿国となった。古来,人々が希求してきた「長生き」の実現は喜ぶべきことであるはずだ。しかし,現在の「長寿」社会には,喜びよりも不安が目立つ。なかでも健康への不安を訴える声が少なくない。
     日本人の平均寿命が世界でも類のないスピードで延びた要因としては,衛生・栄養状態の改善や生活環境の整備など公衆衛生の向上とともに,医療技術の高度化による延命技術の発展が大きい。治療技術の進歩は,数々の疾患を克服する一方で,死を免れたものの後遺症に悩む人を生み出し,年々増えている高齢者の中には長期にわたる療養生活を余儀なくされている人が多い。
     今,人々は単なる「長寿」ではなく,健やかに長生きすることすなわち「健康長寿」を望んでいる。長野県は,平均寿命の高さとともに,医療機関の在院日数の低さ,在宅療養環境の整備などの面で近年良好なパフォーマンスを示し,「健康長寿」の先進地域として注目されている。こうした評価が生み出される背景には,地域で長年実践されてきた健康増進活動の積み重ねがある。
     本稿では,その1例として,県東部に位置する人口5,000人弱の八千穂村 (2005年3月20日に佐久町と合併して佐久穂町となったが,本稿では旧八千穂村を八千穂村と記す) の実践を取り上げる。村が,全国でも先駆的な取り組みとして1959 (昭和34) 年に開始した「全村健康管理」は,40年以上経過した現在,住民による自主的な活動を生み出しながら定着している。
     今回は,健康管理事業の展開の中で誕生したさまざまな住民による活動のうち,栄養改善に取り組んだグループに着目し,その形成・発展過程の調査・分析を通して,住民主体の活動を可能にする要件について考察した。
  • 星野 明子, 桂 敏樹, 山本 昌恵
    2006 年 55 巻 4 号 p. 402-407
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
     高齢者の健康な暮らしを支える地域支援システムについての検討を目的とし,都市に住む高齢者の自立を支援する交流の場「すこやかサロン」を開設した。本報告では,サロンを開設した2005年9月~2006年3月までの設置後7か月間の活動の経過を報告する。
看護研究報告
  • 小林 美幸, 中沢 京子
    2006 年 55 巻 4 号 p. 408-411
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
     交代制勤務でチーム医療をしている看護の場では情報の共有・スタッフ間の意志統一・患者の問題解決のため,カンファレンスが欠かせないものとなっている。しかし,当病棟のカンファレンスは,継続性に乏しく内容も有効な場となっていないのが現状であった。そこで,カンファレンスについてスタッフがどのように考えているか,十字形チャートを用いて問題点を分析し,カンファレンスを効果的に行なうためのアプローチについて検討した。検討後,病棟独自のカンファレンスルールを決めて行なった結果,カンファレンスが活性化した。また,看護記録監査においても改善前と比較すると監査数値が上昇したので報告する。
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