日本農村医学会雑誌
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56 巻 , 4 号
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綜説
  • 塩飽 邦憲, 山崎 雅之, 岩本 麻実子, 池西 瑠美, 米山 敏美, 李 麗梅, 王 莉, 乃木 章子
    2007 年 56 巻 4 号 p. 605-617
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/14
    ジャーナル フリー
     インスリン抵抗性 (インスリン依存性糖取り込みの障害) や内臓肥満を有する人に高インスリン血症,高中性脂肪血症,低HDLコレステロール血症,高血圧が重積することが知られてきた。これらの代謝異常を重積した人は,心血管疾患に罹患しやすいことから,世界保健機構は1999年にこうした病態をメタボリックシンドロームと名付け,その予防を推進している。2005年に国際糖尿病連盟や日本内科学会などは内臓肥満をコア病態とした新しいメタボリックシンドロームの診断基準を発表した。日本では2008年 (平成20年) 4月より健康保険組合を実施主体としてメタボリックシンドロームの特定健康診査と特定保健指導を行なうことになった。欧米の糖尿病学会はメタボリックシンドロームのコア病態をインスリン抵抗性としているため,日本人向けの新しい診断基準の活用について保健医療現場での混乱が広がっている。このため,メタボリックシンドロームの疾病概念とその成立過程,病態と診断基準についての問題点,実施にあたっての課題を概説した。
原著
  • 柏木 慎也, 草間 律, 高山 敦子, 齋藤 智尋
    2007 年 56 巻 4 号 p. 618-623
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/14
    ジャーナル フリー
     Skin-Sparing-Mastectomy (SSM) 手術は,切除皮膚をなるべく少なくして,乳腺を皮下にて切除する方法である。SSMを行なった38例 (39~73歳) に対し,生食バッグにて一期的乳房再建を施行した。術前に自家組織での一期的再建を希望したものはいなかった。術後に自家組織での再建を検討しているのは2例であった。インプラントによる再建では一度の手術で満足いく結果を得るのは困難であるが,約半数の左右非対称の乳房に対して修正手術もしくは入れ替えを希望する症例はなかった。温泉に抵抗なく行っているという方は3例であった。逆に入浴に抵抗がある方は2例であった。
     北信地方は農村地帯であるが,癌の根治術でない整容の手術のために農業を休んで修正手術を希望する症例はなかった。
     北信地方では乳房再建は二期的再建を勧めるべきである。
  • 丹羽 政美, 安藤 秀人, 平松 達, 伊藤 栄里子, 渡邉 常夫, 藤本 正夫, 三沢 大介, 小野木 啓人, 小出 卓也, 岡野 学
    2007 年 56 巻 4 号 p. 624-631
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/14
    ジャーナル フリー
     前立腺癌が疑われ,生検前にMRI検査が施行された91症例中37症例に癌が認められた。生検をコントロールとしてMRIの診断能を検討するとaccuracy 0.84,sensitivity 0.95,specificity 0.76であった。拡散強調画像が撮像できた26症例 (前立腺癌14症例) においてapparent diffusion coefficient (ADC) 値とprostate specific antigen (PSA) 値は有意に逆相関を認めた。正常辺縁域の平均ADC値は1.51±0.20×10-3mm2/sec,正常中心域の平均ADC値は1.47±0.12×10-3mm2/sec,前立腺癌部の平均ADC値は0.97±0.23×10-3mm2/secであり正常辺縁域と前立腺癌部においてp<0.001の危険率で有意差を認め,前立腺癌においてADC値は低下した。平均ADC値とGleason scoreの関係は相関を認めなかった。しかし,Gleason scoreを6以下と7以上の群で検討するとGleason scoreが6以下の群では平均ADC値は1.11±0.20×10-3mm2/sec,7以上の群では0.81±0.19×10-3mm2/secでありp<0.05の危険率で有意差を認めた。Gleason scoreが高いほどADC値が低下する傾向がみられた。
     今回の検討でMRI検査は前立腺癌描出に有効であり,生検前にMRI検査を施行することで系統的生検 (辺縁域左右底部,中部,尖部6か所,移行域左右2か所の計8か所) のみならず標的生検 (MR画像にて癌を疑われた部位を注意深く穿刺する) も可能になり,生検の診断能の向上にもつながると考えられた。
  • 西脇 伸二, 丹羽 優佳里, 川出 尚史, 竹中 清之, 岩下 雅秀, 小野木 啓人, 畠山 啓郎, 林 隆夫, 前田 晃男, 齋藤 公志郎
    2007 年 56 巻 4 号 p. 632-637
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/14
    ジャーナル フリー
     経口摂取不能な症例において長期の栄養投与を行なう場合経腸栄養が施行されることが多い。中でも経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy,以下PEG) は,経腸栄養の第一選択として増加の一途をたどっている。しかし,胃切除後の症例や,胃瘻からの栄養投与で誤嚥や肺炎を繰り返す症例では,しばしば経空腸栄養が選択される。経空腸栄養の場合上部空腸から栄養を注入するため,栄養素の消化吸収の動態が経胃栄養と異なるものと思われる。今回我々は,経皮内視鏡的空腸瘻造設術 (direct percutaneous endoscopic jejunostomy,以下D-PEJ) 後の症例における血清微量元素およびビタミン濃度を,PEG後の症例と比較検討した。いずれも造設後6か月以上経腸栄養を継続した症例を対象とした。微量元素のうち,血清鉄,セレン濃度は有意差を認めなかったが,亜鉛および銅濃度はD-PEJ群で有意に低値であった。一方,血清ビタミンA,B12,E濃度においては両群間で有意佐は認められなかった。また,D-PEJ群で銅欠乏症状と思われる貧血や好中球減少が多く認められた。長期の経空腸栄養では銅,亜鉛などの欠乏症に留意する必要があると考えられた。
報告
  • 林 伸幸, 長瀬 善一, 横田 由香, 蒲 直人
    2007 年 56 巻 4 号 p. 638-642
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/14
    ジャーナル フリー
     今回,入院患者の療養環境を考え,食事の環境について注目し,食事の際のテーブルの高さはどれくらいが適当なのかを検討した。検討にあたり,現状のベッド・テーブル使用を前提とした。ベッド上での食事には自作の「ベッドサイドテーブル」を使用し適切な高さを探した。対象者全9名に試用したところ,座高の1/3プラス4~5cmくらいが適当という数値が出た。
     また,食堂のテーブルでは高さが合わない1名に対し別タイプの自作テーブルも試用した。高さ調整後の患者の反応は,全員が食物が確認しやすくなったと述べている。効果としては食事時間の短縮・摂取量の増加・食べこぼしの減少などがみられ,中には,食事中に寝てしまう頻度の減少した者もいた。
症例報告
  • 谷川 浩隆
    2007 年 56 巻 4 号 p. 643-647
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/14
    ジャーナル フリー
     近年の高齢化社会に伴い特に農村部では四肢体幹に疼痛をきたす運動器の変性疾患が増加している。厚生労働省の国民生活基礎調査によると有訴者の1~3位までは腰痛,肩こり,関節痛という運動器疼痛に独占されている1)。筋骨格系などの運動器疼痛をきたす疾患には加齢に伴う変形性脊椎症や関節症などの変性疾患や骨粗鬆症,関節リウマチや痛風,頸肩腕症候群などがあげられる。これらの疾患による疼痛では,時に心理社会的要因がからみ抑うつなどの精神症状が加わり症状を複雑にしていることがある。これに対し運動器疾患を治療する整形外科ではまだ決して心身医学が普及しているとはいえない。二次性線維筋痛症による運動器疼痛に対して心身医学的アプローチが有効であった症例を報告し,整形外科領域における心身医学の現状について考察した。
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